※本記事は、川崎地質株式会社 の有価証券報告書(2025年11月期、2024年12月1日 ~ 2025年11月30日、2026年2月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
川崎地質グループは、建設工事に関連する地質調査、土質調査を中心に、環境・防災・海洋調査業務、測量、建設計画、設計、工事を行っています。また、大谷石採石場跡地の地下水を利用した熱供給事業にも関与しています。
単体従業員数は357名、連結従業員数は373名です。セグメントは建設コンサルタント事業の1つです。
主な国内グループ会社は、ユニオン・コンサルタント(地質調査・測量設計)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
川崎地質は、建設コンサルタント事業を主軸とする企業です。このセクションでは、同社の給与水準や働き方に関する具体的なデータ、そして人材育成や多様性への取り組みについてご紹介します。同社がどのような環境で従業員の成長を支援し、働きがいを追求しているのか、その全体像を把握することができます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が比較的長く、人材の定着傾向が見られます。平均年齢も安定しており、経験豊富な社員と若手社員がバランス良く在籍していることがうかがえます。このような環境は、知識や技術の継承がスムーズに行われ、長期的なキャリア形成を支援する土壌があることを示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,237円 |
| 平均勤続年数 | 14年7ヶ月 |
| 平均年齢 | 42歳5ヶ月 |
| 単体従業員数 | 357人 |
| 連結従業員数 | 373人 |
| 単体のグループ内比率 | 95.7% |
同社は、確定給付型の退職給付制度を設けています。これは、給与や勤続年数に応じて将来の給付額が決まる制度です。
この制度は、同社および連結子会社に適用されています。
退職一時金制度も設けられていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
川崎地質は、「人間社会と自然環境の共生、安全と安心を技術をもって社会に広く貢献すること」を企業理念として掲げ、持続可能な社会の実現を目指しています。この理念に基づき、多様な働き方と人材育成の充実に注力しています。
具体的には、急速に変化する社会の多様な価値観に対応するため、就業規則等の見直しや研修プログラムの充実を図っています。また、多様な価値観を持つ人材が能力を発揮できるよう、管理職における女性の活躍推進にも取り組んでいます。
キャリア研修や産休・育休・時短勤務制度の活用促進など、従業員が働きやすい環境整備に努めている状況です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 2.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 71.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 65.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 86.4% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全社員に占める女性労働者の割合(2025年時点) | 17.0% |
| 35歳以下の若手社員に占める女性労働者の割合(2025年時点) | 25.8% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
川崎地質グループは、建設コンサルタント事業を主軸としています。地質調査や土質調査を中心に、環境・防災・海洋調査業務、測量、建設計画、設計、工事など多岐にわたるサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループの収益は、主に長期にわたる建設コンサルタント契約から得られています。顧客との契約に基づく履行義務が一定期間にわたり充足されることで収益を認識するモデルが特徴です。
具体的には、国土強靭化推進業務やインフラメンテナンス業務、再生可能エネルギー関連業務などに注力しています。主要な顧客としては、国土交通省や防衛省、つがるオフショアエナジーなどがあり、特定の官公庁や企業からの受注が収益の大きな割合を占める傾向にあります。特に防衛省からの売上高は前期から大きく増加し、同社グループの売上高に占める割合が高まっています。
事業は主に国内で行われており、海外からの収益は限定的です。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
川崎地質グループの直近の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに順調に増加しています。特に当連結会計年度は、売上高が前期から大きく伸び、それに伴い各利益も大幅な増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは減少に転じていますが、投資活動によるキャッシュ・フローは増加し、財務活動によるキャッシュ・フローも増加しています。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | 92.9億円 | 95.6億円 | 127億円 |
| 経常利益 | - | - | 1.9億円 | 5.2億円 | 7.4億円 |
| 経常利益率 | - | - | 2.1% | 5.4% | 5.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | 1.6億円 | 3.5億円 | 6.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | 181.34 | 406.13 | 711.46 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
川崎地質グループの従業員1人あたりの売上高は、当連結会計年度において前期から増加しています。同様に、従業員1人あたりの営業利益も前期と比較して増加傾向を示しています。これらの指標は、同社グループの生産性が向上していることを示しており、事業運営の効率化が進んでいる状況がうかがえます。
| 指標 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 26.1百万円 | 34.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.2百万円 | 1.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動と投資活動の資金の流れから、現在の経営状態と将来に向けた取り組みを読み解くことができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は43.9%であり、プライム市場の製造業平均46.8%に近い水準を示しています。また、非製造業平均24.2%を上回る水準となっています。ROE(自己資本利益率)は12.7%で、プライム市場平均9.4%を上回っています。現金及び預金は11.0億円となっており、これらの財務指標は同社グループの安定した経営基盤を示しています。
| 指標 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 45.3億円 | 52.5億円 |
| 自己資本比率 | 46.4% | 43.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.1% | 12.7% |
| 現金及び預金 | 18.3億円 | 11.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは減少となりました。これは主に売上債権の増加によるものです。投資活動によるキャッシュフローは増加となりましたが、これは投資有価証券の売却による収入が主な要因です。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の増加により増加しています。これらの資金の流れは、同社グループが売上高の増加に伴う運転資金需要に対応しつつ、財務面での調整を行っている状況を示しており、今後の事業展開と資金戦略が雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.7億円 | △14.6億円 |
| 投資CF | △8百万円 | 54百万円 |
| 財務CF | △6.9億円 | 6.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 7.6億円 | △14.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは官公庁・公共企業体をはじめとした公共部門との取引比率が高いことから、公共投資の動向により経営成績が影響を受ける可能性があります。また、公共事業の納期が年度末に集中する傾向があるため、売上高が第2四半期と第4四半期に集中するという季節変動の傾向があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
川崎地質は、「人間社会と自然環境との共生」を企業理念に掲げ、技術を通じて安全で安心できる社会づくりに貢献することを目指しています。現場を重視する「アースドクター」として、地盤に関する多様な問題に取り組む総合建設コンサルタント技術者集団です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、創業以来「協力一致、積極活動、堅実経営」を社是としています。企業理念は「人間社会と自然環境との共生、国民が安全で安心できる社会に技術をもって広く貢献すること」です。
経営ミッションとして「地球環境にやさしい優れた技術と判断力で、豊かな社会づくりに貢献する」ことを掲げています。陸域から海域まで、自然環境との調和を図りながら地盤に関する多種多様な問題に取り組み、発注者の課題解決に応えられる総合建設コンサルタント技術者集団としての発展を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「誠実・迅速・高品質なサービス」を心がけ、時代が必要とする精緻な調査・解析技術の開発に努めています。企業価値を向上させ、将来にわたって安定した利益を確保し持続的に発展できるよう、サステナビリティ経営の推進に取り組んでいます。
多様な価値観をもった人材がその能力を発揮することが企業価値向上に繋がると考えており、多様な働き方と人材育成の充実を図っています。具体的には、就業規則等の見直しや研修プログラムの充実を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループの第6次中期経営計画では、技術開発やDX推進による業務対応の効率化・高度化と働き方改革推進を重要な課題としています。M&Aを含む協業・連携による販路拡大、社員自身の健康維持、株主並びに女性やシニアを含むあらゆる世代の社員の満足度向上にも取り組んでいます。
管理職における女性の活躍推進を方針としており、「キャリア研修」や「産休・育休・時短勤務制度の活用促進」等の環境整備に努めています。地球環境問題や自然災害への危機管理、従業員の労働環境等のサステナビリティに関わる重要課題に対し、社長が統括し取締役会に報告する体制を構築しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
川崎地質では、取締役会による監督機能と経営の透明性を高めるため、監査等委員会設置会社の体制を採用しています。この体制を通じて、コーポレート・ガバナンスの充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
川崎地質は、複数の機関投資家や金融機関、個人株主によって支えられています。筆頭株主は信託銀行であり、その後に個人株主や大手銀行が続いています。従業員持株会も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本カストディ銀行(信託E口) | 7.55% |
| 三木 健嗣 | 5.65% |
| みずほ銀行 | 4.77% |
| 三井住友銀行 | 3.71% |
| 日本生命保険相互会社 | 3.62% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は栃本泰浩氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 栃本 泰浩 | 代表取締役社長 経営管理本部長 | 1983年4月 同社入社、2017年2月 同社執行役員西日本事業本部長兼西日本支社長、2020年2月 同社代表取締役社長、2023年2月 同社経営管理本部長より現職。 |
| 太田 史朗 | 代表取締役専務執行役員 企画・技術本部長 | 1996年4月 同社入社、2013年2月 同社取締役兼執行役員北日本支社長、2023年2月 同社代表取締役専務執行役員より現職。 |
| 若狭 聡 | 取締役常務執行役員 西日本地区担当 企画・技術本部設計統括室長 | 1991年11月 パシフィックコンサルタンツ株式会社入社、2016年12月 同社取締役事業管理統括部長、2025年2月 同社取締役常務執行役員より現職。 |
| 沼宮内 信 | 取締役執行役員 企画・技術本部副本部長 | 1994年4月 同社入社、2022年2月 同社執行役員企画・技術本部副本部長、2023年2月 同社取締役執行役員企画・技術本部副本部長より現職。 |
| 風間 基樹 | 取締役 技術・品質管理 技術開発担当 | 1981年4月 運輸省(現国土交通省)入省、2000年8月 東北大学大学院工学研究科土木工学専攻教授、2025年2月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、若林眞妃氏(築地四丁目法律事務所パートナー弁護士)、小代順治氏(小代法律事務所所長弁護士・監査等委員)、蓮沼辰夫氏(蓮沼辰夫税理士事務所開業・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会による監督機能と経営の透明性向上を図っています。監査等委員会は3名で構成され、うち2名が社外取締役です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、各取締役の職責や役位に応じた基本報酬に加えて、会社業績に連動する賞与と株式報酬で構成されています。基本報酬は月例の固定報酬であり、賞与は経営への貢献度、株式報酬は売上高や営業利益の達成状況を評価基準としています。監査等委員である取締役の報酬は、固定報酬である基本報酬を主とし、賞与を含めた金額は監査等委員間で協議して決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 社外取締役(監査等委員を除く) | 1名 | 5百万円 | 4.6百万円 |
| 社外取締役(監査等委員) | 2名 | 7百万円 | 3.6百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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