ファンドクリエーショングループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ファンドクリエーショングループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。ファンド組成・運用を行うアセットマネジメント事業と、不動産や太陽光発電等への投資を行うインベストメントバンク事業を展開。直近決算は売上高58.4億円、経常利益5.0億円と増収増益で、アセットマネジメントの安定収益と投資事業の売却益が寄与しました。


※本記事は、株式会社ファンドクリエーショングループ の有価証券報告書(第17期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ファンドクリエーショングループってどんな会社?


アセットマネジメントとインベストメントバンクの2事業を柱に、独自の金融スキームで多様な投資機会を提供する金融サービス企業です。

(1) 会社概要


2002年に株式会社ファンドクリエーションとして設立され、ファンド開発・運用を開始しました。2006年にジャスダック証券取引所(現スタンダード市場)へ上場を果たします。その後、2009年に株式移転により持株会社である同社を設立し上場しました。現在は不動産、太陽光、車両など多様な資産を対象とした事業を展開しています。

連結従業員数は23名、単体では5名と少数精鋭の体制です。筆頭株主は代表取締役社長の田島克洋氏で、第2位は同氏の資産管理会社である有限会社T's Holdingsです。第3位には、同社グループと取引関係にあるアイザワ証券グループが名を連ねています。

氏名 持株比率
田島 克洋 37.21%
有限会社T's Holdings 12.76%
アイザワ証券グループ 5.26%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は田島克洋氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
田島 克洋 代表取締役社長 1988年大和証券入社。2002年ファンドクリエーション設立し代表取締役社長。2009年同社設立し代表取締役社長。2013年リンキンオリエント・インベストメント代表取締役社長より現職。
吉田 隆 取締役経営企画部長 1988年三井道路入社。2006年ファンドクリエーション経営企画部部長。2014年同社取締役経営企画部長。2025年同社取締役経営企画部長より現職。
内海 嘉一 取締役 2007年ファンドクリエーション入社。2017年同社執行役員。2022年同社取締役、ファンドクリエーション取締役不動産投資グループ長より現職。
阪本 浩司 取締役(常勤監査等委員) 1982年兼松江商入社。2005年ファンドクリエーション執行役員。2017年同社取締役経営企画部長。2025年同社取締役常勤監査等委員より現職。


社外取締役は、辻敏樹(元大和証券高松支店長)、斉木愛子(パレスサイドコンサルティング代表取締役CEO)、佐藤貴夫(弁護士)、神谷有子(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「アセットマネジメント事業」および「インベストメントバンク事業」を展開しています。

(1) アセットマネジメント事業


国内外の不動産、太陽光発電設備、車両、ベンチャー企業等を投資対象とするファンドの組成・管理・運用を行っています。投資家のニーズに合わせて新たな投資対象を発掘し、ファンド化して提供しています。

収益源は、ファンドの組成や運用期間中に発生する管理報酬、アセットマネジメントフィー、不動産の取得・売却時に発生するアクイジションフィーやディスポジションフィーです。運営は主に株式会社ファンドクリエーションやファンドクリエーション・アール・エム株式会社が行っています。

(2) インベストメントバンク事業


自己資金を活用し、不動産、太陽光発電設備、車両、証券等への投資を行っています。不動産投資では、物件を取得してバリューアップ後に売却します。車両投資では、運送事業者からトラック等を買い取りリースバックを行う事業を展開しています。

収益源は、保有不動産や車両の売却益、賃料収入、リース料収入、太陽光発電の売電収入、証券投資によるキャピタルゲインやコンサルティングフィー等です。また、金融商品仲介業務による手数料収入も含まれます。運営は主に株式会社ファンドクリエーションや株式会社FCインベストメント・アドバイザーズ等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、第14期に一時的に売上が減少しましたが、その後は増加傾向にあり、第17期には売上高58億円に達しています。利益面では、経常利益が安定して黒字を維持しており、利益率も6%~16%の間で推移しています。当期純利益も毎期計上されており、堅実な収益構造が見て取れます。

項目 2021年11月期 2022年11月期 2023年11月期 2024年11月期 2025年11月期
売上高 22億円 17億円 41億円 57億円 58億円
経常利益 2億円 3億円 3億円 3億円 5億円
利益率(%) 9.2% 16.1% 7.2% 6.0% 8.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.5億円 0.6億円 0.5億円 0.6億円 0.9億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しました。売上総利益率は約20%から約22%へ改善しています。営業利益率も向上しており、収益性が高まっていることがわかります。

項目 2024年11月期 2025年11月期
売上高 57億円 58億円
売上総利益 11億円 13億円
売上総利益率(%) 20.0% 21.9%
営業利益 4億円 6億円
営業利益率(%) 7.7% 9.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が2.2億円(構成比31%)、支払手数料が1.6億円(同23%)を占めています。売上原価では、不動産等売上原価が42億円(構成比93%)と大半を占めています。

(3) セグメント収益


アセットマネジメント事業は安定的に推移し、増収増益となりました。インベストメントバンク事業も、不動産や車両の売却等が寄与し増収増益を達成しました。両セグメントともに利益率は高く、特にアセットマネジメント事業は40%を超える高い水準を維持しています。

区分 売上(2024年11月期) 売上(2025年11月期) 利益(2024年11月期) 利益(2025年11月期) 利益率
アセットマネジメント事業 9億円 9億円 4億円 4億円 41.8%
インベストメントバンク事業 48億円 49億円 4億円 5億円 10.8%
調整額 -0.0億円 -0.0億円 -3億円 -3億円 -
連結(合計) 57億円 58億円 4億円 6億円 9.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のCFパターンは「勝負型(在庫積み増しによるマイナス)」です。
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年11月期 2025年11月期
営業CF 2億円 -6億円
投資CF 2億円 -6億円
財務CF -1億円 12億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「投資家のニーズに立脚した魅力的なファンドの開発」をコンセプトとしています。顧客ニーズを汲み上げ、既存の金融商品に縛られない新しいアセットや事業機会といった投資対象を、社内外のノウハウを活用して商品化し、顧客に提供することを目指しています。

(2) 企業文化


アセットマネジメント事業とインベストメントバンク事業のシナジーを図り、ステークホルダーに必要とされる企業として永続的な成長を目指す文化があります。少人数体制ながら、専門的知識と経験を持つプロフェッショナルな人材が集まり、効率的な業務運営を行うことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


アセットマネジメント事業におけるファンド運用資産残高、および不動産、太陽光発電設備、車両等の受託資産残高の積み上げを重要な経営指標としています。2025年11月期時点でのファンド運用資産残高は233億円、不動産等の受託資産残高は207億円となっています。

(4) 成長戦略と重点施策


不動産等受託資産残高の拡大と新規ファンド受託による安定収益の積み上げ、太陽光発電や車両ファンドの拡大に取り組みます。また、新規事業への投資やM&Aを通じて事業ポートフォリオを充実させ、事業基盤の拡充を図ります。金融機関や提携先との関係強化も推進し、資金調達力や販売力の向上を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


専門性の高い業務に対応するため、スキルを持つ人材の確保と育成を経営上の重要課題としています。多様な経験やバックグラウンドを持つ人材を採用するとともに、OJTや定期的な研修、資格取得支援を通じて、コンプライアンス意識と高度な専門性を備えた人材を育成する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年11月期 47.3歳 2.6年 10,648,014円


※平均年間給与は、連結子会社から支給された年間の給与、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は従業員規模が300人以下のため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、取締役または部門長職に就いている役職員における女性の比率(33%)、当社および子会社の従業員の女性比率(35%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 外部環境の変化


事業は金利動向、不動産市況の変動、法改正等の経済情勢の影響を強く受けます。これらの変化や投資家ニーズの変化に対応できない場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同社は新たなファンド開発等により対応する方針です。

(2) 競合について


アセットマネジメント事業では大手金融機関系や専門型会社、インベストメントバンク事業では不動産・発電設備投資等において競合が存在します。商品開発力や案件獲得競争での劣後が経営成績に影響する可能性があります。同社は独自性を活かした事業展開で対応します。

(3) 不動産ファンドへの依存


アセットマネジメント事業の売上は不動産ファンドに大きく依存しており、不動産市場の急激な変動が悪影響を及ぼす可能性があります。同社は太陽光発電や車両など投資対象を多様化し、影響を低減する方針です。

(4) 特定の人物への依存


創業者の田島克洋社長が経営やマーケティング等に深く関与しており、同氏の業務遂行が困難になった場合、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。経営体制の強化により、過度な依存を改善する方針です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。