※本記事は、シリコンスタジオ株式会社 の有価証券報告書(第27期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. シリコンスタジオってどんな会社?
ゲーム・映像業界向けの最先端CG技術と、クリエイター専門の人材サービスを両輪とする技術系企業です。
■(1) 会社概要
1999年に設立され、翌2000年に開発推進・支援事業を開始しました。2003年には人材事業へ参入し、事業基盤を拡大しています。2015年に東証マザーズへ上場を果たし、2022年の市場区分見直しを経て、2025年に東証スタンダード市場へ移行しました。
現在の従業員数は260名です。筆頭株主は社長の梶谷眞一郎氏で、第2位はゲーム開発会社のディンプス、第3位はシステム開発を行うアルゴグラフィックスとなっており、業界内での資本提携関係が見られます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 梶谷眞一郎 | 6.50% |
| ディンプス | 3.43% |
| アルゴグラフィックス | 3.25% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は43.0%です。代表取締役社長は梶谷眞一郎氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 梶谷眞一郎 | 代表取締役社長兼人財事業本部本部長 兼人財事業部長 | 2011年同社入社。コーポレートサービス本部長等を経て2018年より現職。 |
| 柳原淳一 | 取締役兼イグニス・イメージワークス事業本部長 兼事業推進部長 兼法務室長 | 米国スクウェア・ソフトSVP等を経て2022年同社入社。2025年より現職。 |
社外取締役は、橋本和幸(dots in space代表取締役)、大門あゆみ(法律事務所UNSEEN代表弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「開発推進・支援」「人材」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 開発推進・支援事業
ゲームや映像などのエンターテインメント業界に加え、自動車、建築、製造業向けにリアルタイムCG技術を活用したソリューションを提供しています。ミドルウェアの開発・販売、受託開発、サーバーネットワークの構築・運用まで幅広く手掛けます。
収益は、ミドルウェアのライセンス販売やロイヤリティ、受託開発費、コンサルティングフィー、インフラサービスの運用保守料などから得ています。運営は主に同社が行っています。
■(2) 人材事業
CG、ゲーム、映像、WEB制作業界におけるデザイナー、クリエイター、エンジニア等の専門スキルを持った人材を対象としたサービスを提供しています。
収益は、クライアント企業への人材紹介による紹介手数料および人材派遣による派遣料金から得ています。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2024年11月期までは連結決算、2025年11月期からは単体決算となっています。会計基準等の変更があるため単純比較はできませんが、売上高は40億円台で推移しています。直近の2025年11月期は増収増益となり、利益率は向上傾向にあります。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 40億円 | 45億円 | 46億円 | 44億円 | 43億円 |
| 税引前利益 / 経常利益 / 営業利益 | -0.7億円 | 3.9億円 | 2.5億円 | 1.2億円 | 1.5億円 |
| 利益率(%) | -1.8% | 8.7% | 5.4% | 2.8% | 3.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.3億円 | 1.7億円 | 2.0億円 | 0.7億円 | 2.1億円 |
■(2) 損益計算書
前期(連結)と当期(単体)の比較となりますが、売上高は概ね横ばいから微減の水準です。一方、営業利益および当期純利益は増加しており、収益性の改善が見られます。特に当期純利益は特別利益の計上もあり大きく伸長しました。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 44億円 | 43億円 |
| 売上総利益 | 18億円 | 19億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.9% | 43.9% |
| 営業利益 | 1.3億円 | 1.5億円 |
| 営業利益率(%) | 3.0% | 3.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7億円(構成比38%)、その他経費が7億円(同41%)を占めています。売上原価においては、労務費が18億円(構成比76%)と大半を占めており、労働集約的なコスト構造となっています。
■(3) セグメント収益
開発推進・支援事業は大型案件の終了があったものの、産業系案件が堅調に推移し利益を確保しています。人材事業は派遣需要の減少により減収となりましたが、一定の利益水準を維持しています。
| 区分 | 売上(2025年11月期) | 利益(2025年11月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 開発推進・支援 | 27億円 | 4億円 | 13.9% |
| 人材 | 16億円 | 3億円 | 18.3% |
| 連結(合計) | 43億円 | 7億円 | 15.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、運転資金及び設備投資資金を自己資金または銀行借入により調達し、流動性と資金源泉の安定確保を基本方針としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、ソフトウェア開発・保守サービス提供による売上高から、事業運営に必要な資金の動きを示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や資産の取得・売却等による資金の増減を表しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、銀行借入や返済、配当金の支払い等、資金調達や返済に関する動きを示しています。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1億円 | 3億円 |
| 投資CF | -0.8億円 | -0.5億円 |
| 財務CF | -3億円 | 0.7億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
エンターテインメントを通じて培った世界最高水準の技術力、クリエイティビティと人材サービスで顧客の課題を解決し、社会貢献に努めることを経営理念としています。
■(2) 企業文化
技術革新が著しいデジタルエンターテインメント領域において、「Entertainment」の一歩先をいく「EnterNext」を生み出し、最先端の感動を提供することをコンセプトとしています。迅速な意思決定と業務執行、コスト管理の徹底による利益率改善を基本方針としています。
■(3) 経営計画・目標
2026年11月期の業績目標として、以下の数値を掲げています。収益性を重視した効率経営により、継続的な企業成長を目指しています。
* 売上高:46億円
* 営業利益:1.2億円
* 売上高営業利益率:2.7%
■(4) 成長戦略と重点施策
開発推進・支援事業では、ゲームエンジンや3DCG技術の知見を活かし、製造、自動車、建築、宇宙、防衛、医療などの産業分野(非エンターテインメント領域)への顧客開拓を積極的に進めます。人材事業では、即戦力となるミドル・ハイクラス人材の確保に注力し、高付加価値サービスの提供による深耕営業を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
技術革新への対応と事業拡大のため、即戦力となる人材の中途採用や柔軟な採用活動を継続しています。また、社員のエンゲージメントとウェルビーイングの向上を図り、心理的安全性の高い組織風土の醸成や、資格補助・教育研修制度によるスキルアップ支援を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 40.1歳 | 7.2年 | 6,350,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 17.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 57.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 87.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 88.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) | 67.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、男性平均勤続年数(7.3年)、女性平均勤続年数(7.0年)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ミドルウェア市場の動向
主な販売先である国内ゲーム業界において、顧客であるゲーム開発会社の開発費が高騰しています。国内ゲーム会社が開発本数を減少させるか撤退した場合、同社の事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 技術革新への対応
プラットフォームの多様化や通信技術の進化など、技術環境は著しく変化しています。こうした急速な技術革新への対応に時間がかかった場合、または革新的な市場の形成に時間がかかった場合、競争力や業績に影響が出る可能性があります。
■(3) 人材の獲得競争
最新技術に対応できる高度なIT人材の不足により、獲得競争が激化し採用コストが増加しています。事業維持・拡大に必要な人材を十分に確保できない場合、機会損失や競争力の低下を招く恐れがあります。
■(4) 人材ビジネス業界の動向
人材事業は景気変動や雇用情勢の影響を受けやすく、法的規制(労働者派遣法等)の変更や社会保険料率の改定などによりコストが増加するリスクがあります。これらは同社の業績や事業運営に影響を与える可能性があります。



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