※本記事は、株式会社串カツ田中ホールディングス の有価証券報告書(第24期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
なお、串カツ田中ホールディングスは、2026年3月1日付で社名を「株式会社ユニシアホールディングス(UNISIA Holdings)」に変更しています。2026年2月26日の定時株主総会で定款変更が承認され、その結果として3月1日から新社名が正式発効した形です。
1. 串カツ田中ホールディングスってどんな会社?
「串カツ田中」ブランドで大阪伝統の味を提供する飲食事業を主軸に、多店舗展開を進める企業です。
■(1) 会社概要
同社は2002年にケージーグラッシーズ有限会社として設立され、2008年に「串カツ田中」1号店を世田谷にオープンしました。2016年に東証マザーズへ上場し、2018年には持株会社体制へ移行して現商号となりました。2019年には東証一部へ市場変更を果たしています。
2025年11月30日現在、連結従業員数は563名、単体では40名です。筆頭株主は株式会社ノートで、第2位は代表取締役会長兼社長の貫啓二氏、第3位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社ノート | 33.63% |
| 貫 啓二 | 8.10% |
| 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 5.63% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は貫啓二氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 貫 啓二 | 代表取締役会長兼社長 | 1998年に個人事業にて飲食業を創業。2002年に前身となる会社を設立し社長に就任。以来、グループの経営を牽引し、2025年12月より現職。 |
| 大須賀伸博 | 取締役副社長 | 2011年に入社し、営業本部長やIT戦略部長等を歴任。2022年6月より現職。株式会社UKYE代表取締役や株式会社ピソラ取締役も務める。 |
| 近藤昭人 | 取締役出店戦略部管掌 | 2014年に入社し、店舗開発や出店戦略を担当。他社専務を経て2022年に再入社。2025年12月より現職。 |
| 織田辰矢 | 取締役 | 2012年に入社。東日本営業部長や株式会社串カツ田中取締役営業本部長などを経て、2025年2月より現職。 |
社外取締役は、赤羽根靖隆(元株式会社DTS代表取締役会長)、臼井健一郎(株式会社U.RAKATA代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「串カツ田中」「国内その他」「ハウスミール事業」「内装工事事業」を展開しています。
■(1) 串カツ田中
大阪伝統の味である串カツを専門とする「串カツ田中」を直営およびフランチャイズで全国展開しています。常時30品以上の串カツや大阪名物の一品料理を提供し、子ども向けサービスも充実させています。
収益は、一般顧客からの飲食代金に加え、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ、加盟金、食材等の商品販売益からなります。運営は主に株式会社串カツ田中が行っています。
■(2) 国内その他
「鳥と卵の専門店 鳥玉」「タレ焼肉と包み野菜の専門店 焼肉くるとん」「京都天ぷら 天のめし」などの新業態や、カフェ業態「TANAKA」を展開しています。
収益は、各店舗における一般顧客からの飲食代金が主となります。運営は株式会社串カツ田中および株式会社UKYEなどが行っています。
■(3) ハウスミール事業
株式会社Antwayが展開する手作り惣菜の冷蔵宅配サービス「つくりおき.jp」に対し、専用キッチンにて調理・製造を行っています。
収益は、製造受託等による売上が主となります。運営は株式会社串カツ田中が行っています。
■(4) 内装工事事業
グループ店舗の新規出店に伴う内装工事や設備の修繕などを内製化して行っています。また、グループ外からの工事受注も行っています。
収益は、店舗のオーナーや外部顧客からの工事請負代金となります。運営は株式会社ジーティーデザインが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は50億円から211億円へと急拡大しています。利益面では、2021年11月期は赤字でしたが、翌期以降は黒字化し、直近では経常利益12億円を計上するなど回復・成長基調にあります。特に直近の売上高成長が著しいです。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 50億円 | 109億円 | 141億円 | 169億円 | 211億円 |
| 経常利益 | -5.0億円 | 14億円 | 8億円 | 8億円 | 12億円 |
| 利益率(%) | -10.1% | 12.8% | 5.9% | 5.0% | 5.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -2.3億円 | 0.6億円 | 6億円 | 3億円 | 12億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は大幅に増加し、利益率も改善傾向にあります。売上総利益率は約60%前後で推移しており、営業利益率も上昇しています。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 169億円 | 211億円 |
| 売上総利益 | 101億円 | 123億円 |
| 売上総利益率(%) | 59.9% | 58.2% |
| 営業利益 | 8億円 | 12億円 |
| 営業利益率(%) | 5.0% | 5.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当・賞与引当金繰入額・雑給の合計が47億円(構成比42%)、地代家賃が13億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
串カツ田中事業は、既存店の活性化や積極的な新規出店により増収増益となり、グループ全体の成長を力強く牽引しました。ハウスミール事業は、販売チャネルの開拓が奏功し売上高が前年比で大幅に伸長、利益面でも黒字転換を達成しました。
一方、内装工事事業は外部受注の増加により増収を確保したものの、国内その他事業については売上増を上回る先行投資等の影響により、損失幅が拡大する結果となりました。
| 区分 | 売上高(2024/11期) | 売上高(2025/11期) | 利益(2024/11期) | 利益(2025/11期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 串カツ田中事業 | 150.7億円 | 175.2億円 | 10.5億円 | 14.1億円 | 8.1% |
| 国内その他事業 | 5.4億円 | 8.3億円 | △1.4億円 | △1.9億円 | - |
| ハウスミール事業 | 2.7億円 | 13.0億円 | △1.1億円 | 0.4億円 | 3.4% |
| 内装工事事業 | 9.9億円 | 14.3億円 | 1.0億円 | 1.0億円 | 7.1% |
| 調整額 | --- | --- | △0.5億円 | △1.8億円 | - |
| 連結(合計) | 168.6億円 | 210.9億円 | 8.5億円 | 11.9億円 | 5.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業による現金の創出力が大幅に向上したことに加え、外部からの資金調達を組み合わせることで、成長投資を加速させる「積極投資型」のキャッシュ・フロー構造となっています。
当期は、営業活動により前期の約3倍となる20.1億円のキャッシュを創出しました。これに加え、新株発行による10億円の資金流入や、長期借入れによる機動的な資金調達を行い、店舗展開に伴う有形固定資産の取得(8.2億円)を中心とした積極的な投資を継続しています。借入金の返済や配当といった支出をこなしつつも、手元資金を約15.7億円積み増しており、次なる投資に向けた余力も確保した健全な拡大フェーズにあります。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.1億円 | 20.1億円 |
| 投資CF | -10.5億円 | -10.6億円 |
| 財務CF | 0.7億円 | 6.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.3%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「唯一無二の”おもてなし”と”おいしさ”で笑顔あふれる未来を創造する」を企業理念に掲げています。お客様の笑顔を第一に考え、スタッフ、取引先など関わる全てのステークホルダーの笑顔を生むことを使命としています。
■(2) 企業文化
大阪の伝統的なB級グルメである串カツを通じ、単に食事を提供するだけでなく、チンチロリンハイボールや子供向けサービスなど、「楽しさ」や「体験」を提供する文化があります。接客サービスを差別化の源泉とし、スタッフが笑顔でやりがいを持って働ける環境作りを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
長期的には、主力ブランドである串カツ田中を「全国1,000店舗体制を構築し、串カツ田中の串カツを日本を代表する食文化とする」ことを目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
既存店の運営体制を強化するため、人的資本への投資や品質・サービスの向上、店舗DXによるオペレーション改善を推進します。また、「天のめし」等の新業態の確立や開発、ハウスミール事業の安定稼働、海外展開を含む新たな業態の開発・展開にも注力し、事業領域の拡大を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
企業理念に共感し体現できる人材の採用・定着を最重要課題としています。従業員が笑顔で働きがいを感じられるよう、週休2日制の導入や評価制度の運用など環境整備を進めています。また、教育プログラムの充実や社員独立支援制度などにより、長期的なキャリア形成を支援しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 40.3歳 | 3.6年 | 5,837,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.4% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 58.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 58.0% |
| 男女賃金差異(非正規) | 92.3% |
※提出会社の男性労働者の育児休業取得率については、取得者がいなかった等の理由により数値の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、特定技能外国人数(117名)、新規入社者に占める女性の割合(36.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 外食市場の競争激化
外食業界は参入障壁が低く、中食市場の成長や価格競争により環境が厳しさを増しています。他店舗との差別化を図っていますが、競争がさらに激化した場合、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) ブランドの毀損
「串カツ田中」ブランドを中心に展開していますが、お客様の嗜好の変化や不祥事等によりブランド価値が毀損された場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 店舗収益の維持
個人消費の動向や企業間競争の影響を受けやすい環境下で、商品・サービスの質が顧客の期待を下回った場合、店舗収益が低下し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) フランチャイズ加盟店の管理
フランチャイズ展開において、加盟店に対する指導が十分に行き届かず、ブランドに悪影響を及ぼす事態が発生した場合、グループ全体の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。



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