※本記事は、クックビズ株式会社 の有価証券報告書(2025年11月期、2024年12月1日 ~ 2025年11月30日、2026年2月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
クックビズは、飲食業界に特化した人材サービスと、投資事業を通じた冷凍加工業や食品加工業を展開しています。同社グループは、飲食業界の求人情報サイト「cookbiz」を運営し、人材紹介、求人広告、スカウトサービスを提供しています。
単体従業員数は137名、連結従業員数は169名です。同社グループのセグメントはHR事業、投資事業の2つです。
主な国内グループ会社は、きゅういち、ワールドインワーカー、マルヒロ太田食品(コロッケ等の食品製造販売)などです。
直近では、マルヒロ太田食品をグループ化し、投資事業の基盤を拡充しました。また、株式会社OICグループとの資本業務提携を締結し、セグメント名称も「投資事業」に変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
クックビズは、食産業に特化した人材サービスを展開し、事業の多角化を進めている企業です。同社グループは「人」を事業の原点と捉え、人材の育成と多様な働き方を重視する方針を示しています。このような環境で、どのような給与水準や働き方が実現されているのかを見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
クックビズでは、平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数は5年台後半となっています。これは、比較的若手の従業員が中心となりながらも、一定の経験を積んだ人材が定着している傾向を示していると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,800,682円 |
| 平均勤続年数 | 5.8年 |
| 平均年齢 | 37.2歳 |
| 単体従業員数 | 137人 |
| 連結従業員数 | 169人 |
| 単体のグループ内比率 | 81.1% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
クックビズは、「食」は「人」というミッションと「Empower the Food People」というビジョンを掲げ、食産業の発展に貢献することを目指しています。同社グループは、ミッション・ビジョンに共感する人材の採用と成長支援を競争力の源泉と位置づけています。
具体的には、2025年12月より新人事制度を導入し、社員に求める役割と期待値を明確化する「等級制度」、成果とミッションへの貢献度を測る「評価制度」、パフォーマンスを適正に還元する「報酬制度」を刷新しました。これにより、社員のスキルアップと労働生産性の向上を図り、多様な人材を惹きつける組織基盤を構築しています。
また、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用を積極的に行い、入社時研修やマネジメント層向け研修の充実、グループ間の人材交流を通じて育成を強化しています。柔軟な働き方を支援するため、時差通勤制度や副業許可制度を導入しているほか、経営陣と従業員の意思疎通を図る「MonthlySummit」や、従業員の貢献を称える「Most Cultural Player(MCP)」表彰などの多角的な表彰制度も運用しています。従業員の経営参画意識向上と財産形成支援のため、高水準の奨励金付与率30%となる持株奨励金制度も実施しており、持株会加入率は65%に達しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 23.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 73.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 73.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 53.1% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 23.0% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
クックビズグループは、飲食業界に特化した人材サービスと投資事業を主軸に事業を展開しています。食産業の発展には「人」が最も重要であるというミッションのもと、人材ビジネスを基盤とした事業の多角化を進めています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、飲食業界に特化した人材サービスを提供する「HR事業」と、事業承継課題を抱える企業への投資を行う「投資事業」の二つのセグメントで収益を上げています。
HR事業
HR事業は、飲食業界に特化した求人情報サイト「cookbiz」を運営し、人材紹介、求人広告、スカウトサービスを展開しています。また、特定技能外国人人材紹介・登録支援、研修サービス、シフト管理SaaSプロダクト「CAST」なども手掛けています。
収益は、人材紹介サービスの成功報酬、求人広告の掲載料金、スカウトサービスの利用料金、研修サービスの受講料、SaaSプロダクトの月額・従量課金から得ています。運営は、クックビズ及びワールドインワーカーが行っています。当連結会計年度においては、求職者集客の不振や営業現場の生産性回復の遅れにより、収益が減少しました。
投資事業
投資事業は、付加価値の高い事業や商品を持つ企業に対し、事業再構築や財務サポートを通じて企業価値の最大化を目指しています。具体的には、ホタテ・ホッケ・サバ等の冷凍加工業や、コロッケ等の食品製造販売を行っています。
収益は、冷凍加工品の販売や食品製造販売から得ています。運営は、きゅういち及びマルヒロ太田食品が行っています。当連結会計年度においては、原材料価格の高止まりや漁獲量の減少により苦戦を強いられ、収益は減少しました。
| セグメント | 売上高(2024年11月期) | 売上高(2025年11月期) |
|---|---|---|
| HR事業 | 20.6億円 | 17.4億円 |
| 投資事業 | 12.1億円 | 11.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近の業績は、売上高が前期から減少に転じ、利益面では営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上する結果となりました。これは、HR事業における求職者集客の課題や営業現場の生産性回復の遅れ、投資事業における原材料価格の高止まりや漁獲量の減少が主な要因となっています。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | 26.7億円 | 32.8億円 | 28.6億円 |
| 経常利益 | - | - | 2.9億円 | 83百万円 | △3.9億円 |
| 経常利益率 | - | - | 10.8% | 2.5% | △13.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | 2.7億円 | 3百万円 | △4.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | 96.84 | 1.00 | △145.15 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から減少しており、生産性の低下傾向が見られます。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期のプラスから当期はマイナスに転じています。これは、売上高の減少と戦略投資が重なったことによる損失計上が影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 20.4百万円 | 16.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.6百万円 | △2.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
クックビズは、現在、事業の多角化と新たな事業領域への挑戦を進めています。積極的な投資を行っている一方で、当期は営業損失を計上しており、コスト構造改革に取り組んでいる状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
クックビズの自己資本比率は当期28.8%であり、前期の38.5%から減少しています。これはプライム市場の非製造業平均24.2%と比較するとやや高い水準です。ROE(自己資本利益率)は当期が△32.5%で、前期の0.2%から大幅なマイナスとなりました。プライム市場平均の9.4%と比較すると、収益性の改善が今後の課題であることが示されています。
手元資金を示す現金及び預金は、当期末で18.6億円となっており、前期末の22.4億円から減少しています。これらの状況は、同社グループの財務基盤が前期と比較して弱化していることを示しています。
| 指標 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 14.9億円 | 11.0億円 |
| 自己資本比率 | 38.5% | 28.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 0.2% | -32.5% |
| 現金及び預金 | 22.4億円 | 18.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
クックビズの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純損失の計上や棚卸資産、売上債権の増加などにより、△3.9億円の使用となりました。前期は2.5億円の収入でしたが、当期はマイナスに転じています。投資活動によるキャッシュフローは、無形固定資産や有形固定資産の取得による支出があったものの、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入もあり、△0.8億円の使用となりました。前期の△4.7億円と比較すると、使用額は減少しています。
財務活動によるキャッシュフローは、長期借入れによる収入があった一方で、長期借入金の返済や短期借入金の純減少があったため、0.9億円の収入となりました。前期の3.2億円と比較すると、収入額は減少しています。この結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは△4.7億円となり、前期の△2.1億円からマイナス幅が拡大しています。同社グループは本業で資金を生み出せておらず、資金繰りに課題がある状況ですが、早期黒字化に向けたコスト構造改革を断行していることが示されています。
| 項目 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.5億円 | △3.9億円 |
| 投資CF | △4.7億円 | △0.8億円 |
| 財務CF | 3.2億円 | 0.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2.1億円 | △4.7億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主に「人材採用・入社後の活躍」を支援する企業として事業を推進しています。しかし、市場規模の縮小や成長鈍化、各種サービスの競争力低下や価格下落により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、人材サービス業界は新規参入障壁が低く、多くの事業者が存在するため、競争激化が生じた場合も経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、経営計画及び事業方針のもと、既存事業や新規事業の展開を行っており、必要に応じて人材の確保が必要であると考えています。求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材の流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が出る可能性があり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
クックビズは、食産業の発展を「人」の視点から支えることを使命とし、新たなミッション・ビジョンを掲げて事業を展開しています。同社グループは、変化する経営環境に対応しながら、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
2007年の創業以来、クックビズは一貫して飲食業界に特化した人材サービスを展開してきました。創業20周年を見据えた2024年12月には、食産業の発展には「人」が最も重要であるという原点に立ち返り、新たなミッション・ビジョンを制定しています。
ミッションは「食」は「人」、ビジョンは「Empower the Food People」です。同社グループは、「人」を起点に築いてきた事業をさらに成長させながら、事業の多角化を進め、新たな事業領域への挑戦を通じて事業規模の拡大を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、ミッション・ビジョンに共感し、高い専門性と挑戦意欲を持つ人材の獲得と育成が不可欠であると考えています。従業員の貢献を称え、ミッション・ビジョン・カルチャーの浸透を図るため、多角的な表彰制度を運用しています。
従来の四半期ごとの従業員表彰に加え、同社の5つのカルチャーを月替わりでテーマに設定し、従業員同士の相互投票で最も体現した社員を選出する「Most Cultural Player(MCP)」表彰を新たに導入しました。これにより、賞賛文化の醸成と従業員間の相互理解を深め、組織の一体感向上に努めています。
また、従業員の経営参画意識向上と中長期的な財産形成支援のため、国内でも高水準の奨励金付与率30%となる持株奨励金制度を実施しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、優秀な人材の確保を優先的に対処すべき課題の一つとしています。ミッション・ビジョンに共感し、高い専門性と挑戦意欲を持つ人材の獲得と育成が不可欠であると考えています。
このため、2025年12月より、グループ全体の行動指針と成長戦略を反映した新人事制度を導入しました。本制度では、社員に求める役割と期待値を明確化する「等級制度」、成果だけでなくミッションへの貢献度を公正に測る「評価制度」、個々のパフォーマンスを適正に還元する「報酬制度」を三位一体で刷新しています。今後もこの新人事制度を組織運営の核とし、既存社員のスキルアップを通じた労働生産性の向上を図るとともに、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材を惹きつける魅力ある組織基盤を構築する方針です。
また、顧客情報及び個人情報の管理を重要課題と認識し、情報管理体制の強化に取り組んでいます。経営上のリスクを適切に把握し、コントロールするための内部管理体制の強化も重要な課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
クックビズは監査役会設置会社であり、取締役会は社外取締役を2名設置することで、客観的な視点からの経営チェック機能を高めています。監査役会も社外監査役を2名選任しており、コーポレート・ガバナンス機能の強化を図る体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
クックビズの筆頭株主は代表取締役社長の藪ノ賢次氏であり、創業家が上位株主として名を連ねています。これにより、同社の経営は創業家によって強く支えられている構造となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 藪ノ 賢次 | 37.62% |
| SBI証券 | 8.76% |
| 藪ノ 郁子 | 7.54% |
| 山本 新九郎 | 7.09% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.78% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
クックビズの役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は藪ノ賢次氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藪ノ 賢次 | 代表取締役社長 | 2005年5月に有限会社ネクシティを設立。2007年12月に同社設立代表取締役に就任し、2021年2月より同社代表取締役社長を務める。きゅういち株式会社やワールドインワーカー株式会社の代表取締役社長も兼任しています。 |
社外取締役は、吉崎浩一郎氏(株式会社グロース・イニシアティブ代表取締役)、嶋内秀之氏(アンファク株式会社代表取締役)です。
クックビズは監査役会設置会社であり、取締役会は3名で構成され、うち2名が社外取締役です。社外取締役は客観的な視点から経営への助言と監督を行い、コーポレート・ガバナンス機能の強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
クックビズの役員報酬は、固定報酬と賞与からなる基本報酬、および譲渡制限付株式報酬とストックオプション報酬からなる非金銭報酬等で構成されています。業績連動報酬は導入されていません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 1名 | 36百万円 | 36.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.2百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 18百万円 | 4.5百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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