エクスモーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エクスモーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場で、自動車業界を中心とした組込みソフトウェア開発の品質改善コンサルティングを展開しています。第18期は売上高・各利益段階ともに過去最高を更新し、増収増益を達成しました。生成AI活用ツールの提供開始など新技術への対応も進め、事業拡大を図っています。(148文字)


※本記事は、株式会社エクスモーション の有価証券報告書(第18期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エクスモーションってどんな会社?


組込みソフトウェアの品質改善に特化したコンサルティング企業で、自動車分野を中心に支援を行っています。

(1) 会社概要


同社は2008年に東京都港区で設立され、2018年に東京証券取引所マザーズへ上場しました。2022年の市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行しています。2023年には株式会社buboを完全子会社化しました。2024年には生成AIを活用した要件定義支援サービス「CoBrain」の提供を開始しています。

同社グループの従業員数は連結88名、単体76名です。筆頭株主は親会社でありシステム開発を行うソルクシーズで、第2位は同社代表取締役社長の渡辺博之氏、第3位は同社常務取締役の芳村美紀氏です。親会社とは役員の兼任がありますが、独自の企業文化と経営の自主性を維持しています。

氏名 持株比率
ソルクシーズ 52.89%
渡辺 博之 4.50%
芳村 美紀 3.97%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は渡辺博之氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
長尾 章 取締役会長 1983年トータルシステムコンサルタント設立取締役。ソルクシーズ社長等を経て2008年同社社長。2024年よりソルクシーズ会長を兼任。
渡辺 博之 取締役社長(代表取締役) 1996年オージス総研入社。2008年同社専務取締役を経て2013年より社長。bubo代表取締役社長を兼任。
芳村 美紀 常務取締役管理本部管掌兼セールス・マーケティング本部管掌 1991年リコー入社。2008年同社常務取締役。2025年2月より現職。
小濵 宗隆 取締役研究・開発本部長 1993年オージス総研入社。2009年同社入社。2024年2月より現職。
斎藤 賢一 取締役コンサルティング本部長 1992年ケンウッド入社。リコーを経て2009年同社入社。2024年2月より現職。
甲斐 素子 取締役(監査等委員) 1999年ソルクシーズ入社。同社取締役管理本部長兼総務部長兼経理部長等を歴任。


社外取締役は、鷲﨑弘宜(早稲田大学教授)、水谷幸二(佃パートナーズ代表取締役)、中村渡(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンサルティング事業」および「その他」事業を展開しています。

コンサルティング事業


自動車やロボット等の製品に組込まれる「組込みソフトウェア」の品質改善に特化したコンサルティングを提供しています。提案だけでなく、実際に課題解決まで手掛ける実践的スタイルが特徴です。特に自動車分野(SDV)に強みを持ち、モデルベース開発の導入や機能安全への対応などを支援しています。

主な収益源は顧客企業からのコンサルティングフィーです。また、生成AIを活用したソリューションや要件定義支援サービス「CoBrain」、人材育成サービス「Eureka Box」なども提供しています。運営は主にエクスモーションおよび子会社の株式会社buboが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近3期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあり、第18期には14億円に達しました。利益面でも、経常利益、当期純利益ともに増加基調を維持しており、利益率も高い水準で推移しています。特に第18期は増収増益となり、成長が継続しています。

項目 2023年11月期 2024年11月期 2025年11月期
売上高 11億円 13億円 14億円
経常利益 1.3億円 1.6億円 1.9億円
利益率(%) 12.2% 12.3% 14.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.4億円 0.9億円 1.0億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を確認すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は40%台前半で安定して推移しており、高い収益性を維持しています。営業利益率も前期より改善しており、効率的な事業運営が行われていることがうかがえます。

項目 2024年11月期 2025年11月期
売上高 13億円 14億円
売上総利益 5.2億円 5.8億円
売上総利益率(%) 40.5% 41.7%
営業利益 1.6億円 1.9億円
営業利益率(%) 12.1% 13.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が0.9億円(構成比23.2%)、役員報酬が0.8億円(同20.4%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社グループはコンサルティング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略されていますが、全体の売上高は前期比で増加しています。これは、自動車業界の顧客からの継続案件に加え、他産業分野からの新規顧客獲得が進んだことや、人材育成サービス等が順調に推移したことによるものです。

区分 売上(2024年11月期) 売上(2025年11月期)
コンサルティング事業 13億円 14億円
連結(合計) 13億円 14億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営に必要な流動性と資金源を安定的に確保することを基本方針とし、自己資金を基本としながらも、必要に応じて銀行借入で調達しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の状況を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却など、将来の成長に向けた資金の動きを表しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払いなど、資金調達と返済に関する状況を示しています。

項目 2024年11月期 2025年11月期
営業CF 0.9億円 2.5億円
投資CF -0.2億円 -0.5億円
財務CF -0.5億円 -0.6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、組込みシステム開発の変革に取り組む顧客を現場から支援し、成功に導くプロフェッショナル集団であることを理念としています。実績と知見を持つコンサルタントが提供する「高品質なソフトウェア」により、開発現場の効率的な変革を成功させ、最終的に顧客企業の製品競争力向上につなげることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、従来型の提案主体のコンサルティングではなく、提案内容を自ら実践し、直接課題解決まで手掛ける「ワンストップ型の実践的スタイル」を特徴としています。現場支援を通じて顧客を成功に導くことを重視しており、ソフトウェアエンジニアリングの理論と実践スキルの両方を有する専門家としての姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、持続的な成長と企業価値向上のため、売上高、売上総利益率、売上高営業利益率、コンサルティング要員数、ROE、増配率を重要な経営指標としています。2026年11月期の計画として以下の数値を掲げています。

* 売上高:14.5億円
* 売上総利益率:43.8%
* 売上高営業利益率:14.1%
* コンサルティング要員数:81名
* ROE:7.8%
* 増配率(3か年平均):5.3%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、主要顧客である自動車分野での最先端製品開発支援を通じてノウハウを蓄積しつつ、建設機器、農機、医療等の新規分野への展開を進めています。また、人材リソースの制約を受けないストックビジネスとして、学習プラットフォーム「Eureka Box」や生成AI活用ツール「CoBrain」の拡販に注力し、収益基盤の拡充を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、優秀な人材の確保を優先課題とし、知名度向上や専任者による採用強化、新卒・中途を問わない積極的な人員確保を行っています。社員に対しては、スキル向上予算の付与や社員同士の情報交換の場を設けるなど定着化に努めています。また、多様性の確保に向けた目標設定や環境整備についても今後検討を進める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年11月期 44.6歳 6.5年 7,237,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社グループは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定業界への依存


売上高の約73%が自動車業界向けであり、同業界の技術開発動向や現場支援ニーズの変動が業績に大きく影響する可能性があります。他分野(医療機器、産業機器等)での新規顧客獲得を進めていますが、売上集中の解消には時間を要する可能性があります。

(2) 特定顧客への依存


売上高の55%が取引先上位2社(株式会社SUBARU、トヨタ自動車株式会社)で占められており、これらの顧客からのニーズが減少した場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。売上の分散を図っていますが、依存度の解消には時間を要する見込みです。

(3) 要員の確保


高度なスキルを持つ人材によるコンサルティングサービスを提供しているため、人材獲得競争の激化や新卒者人口の減少により必要な要員を確保できない場合、受注機会の損失につながる可能性があります。また、少数精鋭で運営しているため、現場支援を行う社員の退職がサービス提供に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。