スター・マイカ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スター・マイカ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スター・マイカ・ホールディングスは東証プライム上場の不動産会社です。中古マンションのリノベーション販売を主力とし、インベストメント事業やアドバイザリー事業も展開しています。2025年11月期の連結業績は、売上高692億円(前期比23.8%増)、当期純利益42億円(同34.7%増)と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、スター・マイカ・ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第28期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. スター・マイカ・ホールディングスってどんな会社?


中古分譲マンションに特化したリノベーション事業を展開し、独自のビジネスモデルで成長を続ける企業です。

(1) 会社概要


1998年に株式会社オフィス扇として設立され、2002年に事業会社がスター・マイカへ商号変更しました。2006年にヘラクレス市場へ上場を果たし、2019年には持株会社体制への移行とともに東証一部へ上場しました。その後、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証プライム市場に上場しています。

同社グループの従業員数は連結で230名、単体で47名です。大株主構成については、筆頭株主は創業者の水永政志氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
水永 政志 35.60%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 12.19%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 6.45%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性1名の計5名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は水永政志氏が務めています。社外取締役比率は80.0%です。

氏名 役職 主な経歴
水永 政志 代表取締役社長 三井物産、ボストンコンサルティンググループ、ゴールドマン・サックス証券を経て、1998年に同社代表取締役社長に就任。2000年にいちごを設立し代表取締役就任。MBA取得。


社外取締役は、小滝一彦(日本大学経済学部教授)、矢野裕史(大成CI代表取締役)、和田哲夫(学習院大学経済学部経営学科教授)、三枝和(公益財団法人大宅壮一文庫理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リノベマンション事業」、「インベストメント事業」および「アドバイザリー事業」を展開しています。

**(1) リノベマンション事業**
賃貸中の中古分譲マンション等を主な投資対象とし、賃貸運用しながらリノベーション等で価値を向上させ、幅広い消費者層へ販売しています。ポートフォリオ運用により安定収益と売却益の両立を図っています。
収益は、保有物件からの賃料収入およびリノベーション後の不動産販売代金から得ています。運営は主にスター・マイカが行っています。

**(2) インベストメント事業**
投資リターンの獲得を目的に、リノベマンション事業の対象外となる不動産や事業会社、ファンド等への投融資を行っています。
収益は、投資先からの配当や利息、および投資持分の売却益等から得ています。運営は主にスター・マイカが行っています。

**(3) アドバイザリー事業**
不動産の売買・賃貸仲介、賃貸・建物管理、および金融・不動産分野におけるコンサルティングサービスを提供しています。
収益は、仲介手数料、管理手数料、コンサルティングフィー等から得ています。運営はスター・マイカ、スター・マイカ・アセットマネジメント等が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年11月期から2025年11月期までの5期間において、売上高は369億円から692億円へと約1.9倍に拡大しています。経常利益も37億円から62億円へと順調に推移しており、利益率は概ね8〜11%台を維持しています。特に直近では大幅な増収増益を達成しており、成長基調が継続しています。

項目 2021年11月期 2022年11月期 2023年11月期 2024年11月期 2025年11月期
売上高 369億円 482億円 489億円 558億円 692億円
経常利益 37億円 54億円 39億円 46億円 62億円
利益率(%) 10.0% 11.2% 8.0% 8.2% 8.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 24億円 37億円 27億円 31億円 42億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高は558億円から692億円へ、営業利益は55億円から73億円へと大きく伸長しました。売上総利益率および営業利益率ともに改善傾向にあり、増収効果が利益拡大に寄与しています。

項目 2024年11月期 2025年11月期
売上高 558億円 692億円
売上総利益 98億円 123億円
売上総利益率(%) 17.6% 17.7%
営業利益 55億円 73億円
営業利益率(%) 9.9% 10.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が15億円(構成比31%)、租税公課が10億円(同20%)を占めています。売上原価においては、販売用不動産評価損が約0.9億円計上されています。

(3) セグメント収益


リノベマンション事業は、販売活動が好調で大幅な増収増益となりました。インベストメント事業は営業投資有価証券や収益物件の売却により売上が倍増しています。一方、アドバイザリー事業は仲介手数料収入が増加したものの、スポット報酬の減少により減益となりました。

区分 売上(2024年11月期) 売上(2025年11月期) 利益(2024年11月期) 利益(2025年11月期) 利益率
リノベマンション事業 537億円 660億円 48億円 68億円 10.3%
インベストメント事業 9億円 22億円 2億円 2億円 10.4%
アドバイザリー事業 12億円 10億円 12億円 10億円 104.6%
その他 - - - - -
調整額 -7億円 -9億円 -7億円 -8億円 -
連結(合計) 558億円 692億円 55億円 73億円 10.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**パターン:勝負型(在庫型)**
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年11月期 2025年11月期
営業CF -53億円 -51億円
投資CF -0.6億円 -4億円
財務CF 30億円 70億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は25.6%で市場平均(非製造業)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「“作る”から“活かす”社会の実現へ」を企業理念(ミッション)に掲げています。コーポレートスローガン「Find the Value」の下、中古マンションという既存資産に光を当て、リノベーション等を通じて新たな価値を創造し、持続的で活力のある社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「スター・マイカ・ウェイ」を行動指針として定めています。「オープン&フラット」「チームワーク」「プロフェッショナル」「クリーン・スマート」「スピード」「当事者意識」「ビジョンの共有」「成長」「チャレンジ」「イノベーション」の10項目を掲げ、多様な人材が能力を発揮できる組織風土の醸成に努めています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「Find the Value 2026」において、2026年11月期の計数目標を以下の通り設定しています。
* 売上高:847億円
* 営業利益:92億円
* 当期純利益:50億円
* ROE:12.0%以上
* 営業利益率:10.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「オーナーチェンジ物件への回帰」および「都市部シェア拡大」を重点施策として推進しています。また、既存戦略の深化に加え、高価格帯等の未開拓領域への挑戦により市場期待を超える成長を目指すとともに、将来の利益成長に向けた投資を最優先しつつ、利益拡大による継続的な増配を志向しています。

* 販売事業期間の短縮(1.5カ月短縮)
* オーナーチェンジ物件回転期間の短縮(18カ月短縮)
* 販売用不動産残高:1,000億円以上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


高いコンプライアンス意識を持ち、経営者目線で意思決定できるプロフェッショナル人材の育成を目指しています。資格取得支援(宅地建物取引士等)や「水永ゼミ」による経営幹部候補育成などを行うほか、フレックスタイム制度や育児短時間勤務の延長など、多様な働き方を支援する人事制度の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年11月期 35.5歳 5.3年 6,812,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 65.1%
男女賃金差異(正規雇用) 70.3%
男女賃金差異(非正規雇用) -%


※男女賃金差異(非正規雇用)について:同社は該当者がいない等の理由により数値を記載していません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性マネジメント階層比率(20.8%)、男性に対する女性の賃金比率(62.5%)、総合職の宅地建物取引士取得率(96.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

**(1) 不動産市場環境の変動リスク**
主力のリノベマンション事業は、景気、金利、地価動向等の影響を受けます。新築価格高騰等により底堅い需要を見込んでいますが、市場環境の変化には留意が必要です。取締役会等で市場動向を常時モニタリングし、変化に対応できる体制を構築しています。

**(2) 金利上昇および有利子負債への依存**
物件取得資金を金融機関からの借入金等で調達しており、金融環境の変化や金利上昇は支払利息増加のリスクとなります。資金調達手段の多様化や金利スワップによる固定化等でリスク軽減に努めていますが、財務制限条項への抵触等が経営に影響を与える可能性があります。

**(3) 販売用不動産の評価損リスク**
保有する販売用不動産の収益性が低下した場合、帳簿価額を正味売却価額まで切り下げる評価損の計上が必要となります。経済情勢や不動産市況の悪化により正味売却価額が下落すれば、同社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。