※本記事は、南海プライウッド株式会社の有価証券報告書(第73期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 南海プライウッドってどんな会社?
南海プライウッドは、木質建築内装材の製造販売を主力とし、電線電気機器の販売等も展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1955年4月に合板の製造販売を目的に香川県高松市で設立されました。1958年4月に天井板の生産を開始し、1995年4月に大阪証券取引所市場第二部へ上場しました。近年では2025年10月にフランスの合板メーカーであるETABLISSEMENTS GUY JOUBERTを子会社化しています。
従業員数は連結で2,348名、単体で430名です。大株主の構成をみると、筆頭株主はその他の関係会社で不動産賃貸事業を営む南海興産で、第2位は公益財団法人南海育英会、第3位は金融機関である百十四銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 南海興産 | 24.89% |
| 公益財団法人南海育英会 | 16.03% |
| 百十四銀行 | 4.82% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は丸山徹氏が務めています。社外取締役は取締役5名中1名が選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 丸山 徹 | 代表取締役社長 | 1980年5月日本ビクター入社。1997年4月同社入社。管理本部長等を経て、2001年6月より現職。 |
| 丸山 宏 | 取締役開発部門担当 | 1993年4月住友林業入社。1996年1月同社入社。商品開発グループリーダー等を経て、2009年4月より現職。 |
| 浮田 貴仁 | 取締役営業部門特需営業、営業推進担当 | 1987年4月同社入社。営業統括グループリーダー等を経て、2016年6月より現職。 |
| 丸山 瑛 | 取締役経営企画室営業部門新規開拓営業担当 | 2015年4月八千代エンジニヤリング入社。2020年5月同社入社。経営企画室長等を経て、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、村田剛(元高松国税局法人課税課課長補佐)です。
2. 事業内容
同社グループは、「木材関連事業」、「電線関連事業」、「一般管工事関連事業」および「その他事業」を展開しています。
■木材関連事業
天井材、収納材、床材、合板、製材品などの木質建築内装材を製造・販売しています。主な顧客は住宅関連業界であり、国内の新築住宅市場やリフォーム・リノベーション市場、集合住宅市場のほか、欧州を中心とした海外市場にも製品を提供しています。
顧客への製品販売による収益を主な収入源としています。事業の運営は同社のほか、原材料の荷役や運送を行う南海港運、インドネシアのPT.NANKAI INDONESIA、フランスのNP ROLPIN SASなどの国内外の連結子会社が担っています。
■電線関連事業
四国エリアを中心に、電線および電設資材の販売を行っています。主な顧客は、電気工事業者や安定的な売上を確保できる製造メーカーなどです。
顧客への電線電気機器の販売による収益を主な収入源としています。同事業の運営は、同社の子会社であるナンリツが担っています。
■一般管工事関連事業
西日本エリアにおいて、工業用および家庭用合成樹脂製品の制作および加工を行っています。主な顧客は化学プラントであり、配管工事やライニング工事などを提供しています。
顧客からの工事受注による収益を主な収入源としています。同事業の運営は、同社の子会社である南海化工が担っています。
■その他事業
報告セグメントに含まれないサービス事業として、香川県内で賃貸用オフィスビルや賃貸住宅などの不動産賃貸事業を展開しています。
賃貸用不動産のテナントや入居者から受け取る賃貸料による収益を主な収入源としています。同事業の運営は、同社の関係会社である南海興産などが関連しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社の売上高は直近5年間で継続して増加傾向にあり、堅調な成長を示しています。経常利益は資材価格の高騰などにより一時落ち込んだものの、直近では販売価格の適正化やコスト削減策の推進により大幅な増益となり、利益率も回復しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 219億円 | 231億円 | 238億円 | 249億円 | 291億円 |
| 経常利益 | 25億円 | 9億円 | 18億円 | 17億円 | 34億円 |
| 利益率(%) | 11.5% | 3.8% | 7.8% | 6.6% | 11.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 12億円 | 6億円 | -4億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
増収に伴い売上総利益が拡大し、売上総利益率も改善しています。徹底したコスト管理や為替対策などにより販売費及び一般管理費の増加を抑えた結果、営業利益は倍増し、営業利益率も上昇して本業の収益力が強化されています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 249億円 | 291億円 |
| 売上総利益 | 72億円 | 93億円 |
| 売上総利益率(%) | 28.8% | 31.9% |
| 営業利益 | 10億円 | 21億円 |
| 営業利益率(%) | 3.9% | 7.2% |
販売費及び一般管理費のうち、報酬及び給料手当が14億円(構成比30%)、発送運賃が12億円(同26%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の木材関連事業は、収納建材の商品ラインナップ拡充やリフォーム市場向け販売が好調に推移したことに加え、フランス企業の連結子会社化もあり大幅な増収となりました。電線関連事業は大型物件の受注増により堅調に推移しましたが、一般管工事関連事業は資材価格の影響で減収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 木材関連事業 | 223億円 | 264億円 |
| 電線関連事業 | 21億円 | 22億円 |
| 一般管工事関連事業 | 6億円 | 5億円 |
| 連結(合計) | 249億円 | 291億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う積極型の状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 25億円 | 23億円 |
| 投資CF | -20億円 | -49億円 |
| 財務CF | -7億円 | 30億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も56.0%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「経営ならびに製品の独自性と安定成長」を基本理念に、変化する外部環境に対して柔軟に対応できる経営体制のもと、メーカーの使命である製品の安定供給を続けることを掲げています。市場ニーズを先取りしたオリジナル製品の開発により、顧客満足度の高い住宅内装メーカーを目指しています。
■(2) 企業文化
「独自の発想と経営で革新にチャレンジし、お客様の求める真の価値を創造することで、ステークホルダーおよび社会と調和のある安定成長の実現」を経営理念とし、その実現に向けた行動規範として、「持続可能な社会の実現のための企業倫理の遵守」「顧客満足度の高い製品開発」「あらゆる環境の保全と持続」を重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、「売上高成長率」「売上高営業利益率」「自己資本比率」「自己資本利益率(ROE)」を重要な経営指標として位置づけています。安定した財務基盤のもとに収益基盤を拡大し、企業価値の継続的拡大を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
新設住宅着工戸数の減少に依存しない新たな事業への積極的な取り組みを持続的成長の柱としています。国内ではリフォーム・リノベーション市場を成長ドライバーとし、集合住宅や非住宅市場への展開も強化します。海外市場においてはフランスの子会社を戦略的中心拠点とし、欧州合板市場を中心に市場開拓を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
暮らしにイノベーションをもたらす企業として、多様な人材が仕事と家庭を両立し、能力を最大限に発揮できる環境整備に努めています。経験やノウハウの多様性を強化するため中途採用を加速し、外部知見の活用を図るほか、女性活躍や男性の育児休暇取得を推進し、性別に関わらず働き続けやすいワークライフバランスの実現を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.8歳 | 16.8年 | 4,789,489円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.2% |
| 男性育児休業取得率 | 54.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 64.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 76.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 51.4% |
また、同社は「人的資本」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児休業からの復帰率(100.0%)、総合職新入社員における中途社員比率(22.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 住宅市況と国内経済への依存
同社グループの主要な収益源である住宅向け収納建材の需要は、新設住宅着工戸数の動向に強く影響を受けます。住宅価格の高騰や金利の上昇により市況が悪化し、着工戸数が大きく減少した場合は、同社グループの業績および財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 海外拠点における地政学リスク
インドネシア子会社を通じた原材料の調達体制を強みとしていますが、現地の政治・経済状況の変化や自然災害、地政学リスクにより資材調達の遅延やコスト増加が発生するリスクがあります。また、欧州市場の開拓も、経済悪化や法規制の変更による影響を受ける可能性があります。
■(3) 為替レートおよび資材価格の変動
主力製品の資材等の一部を海外から調達しているため、為替レートの変動は仕入価格や外貨建て資産・負債に影響を及ぼします。また、資材価格やエネルギーコスト全般の高騰が続く中で、業界内の価格競争が激化した場合には、採算性が悪化し業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 海外子会社の業績低迷リスク
フランス子会社であるNP ROLPIN SASは買収当初より業績低迷が続いており、債務超過の状態にあります。同社グループは経営支援や販売・技術支援により再建を図っていますが、今後も業績が回復せず純資産価値が毀損し続けた場合には、追加で損失を計上するリスクがあります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。