※本記事は、ニホンフラッシュの有価証券報告書(第62期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ニホンフラッシュってどんな会社?
同社は室内ドアなど内装システム部材の製造販売を主力事業とし、日本と中国で事業を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は1964年に徳島県で設立され、1965年より枠付ユニットドアの生産販売を開始しました。1977年にオリジナル内装ドアの生産販売を始め、1986年には業界に先駆けて多品種少量生産システムを導入しました。2002年以降は中国市場への進出を本格化し、複数の製造子会社を設立して事業を拡大しています。
現在、同社グループの従業員数は連結で1,118名、単体で220名となっています。大株主の状況を見ると、筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は創業者の髙橋栄二氏、第3位は日本カストディ銀行(信託口)となっており、金融機関や創業者などが主要な株主を構成しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.22% |
| 髙橋 栄二 | 8.51% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.54% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。
代表取締役は髙橋栄二氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙橋栄二 | 取締役社長(代表取締役) | 1965年同社入社。1965年取締役、1970年常務、1975年専務を経て、1985年より代表取締役社長。中国の複数子会社で董事長や董事を兼任し、事業拡大を牽引。 |
| 飯田和憲 | 常務取締役総務部長 | 1990年第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。みずほフィナンシャルグループグループ人事部参事役や支店長を経て、2021年同社取締役。2022年より常務取締役。 |
| 楊宋標 | 取締役 | 2002年昆山日門建築装飾有限公司入社。2006年同社取締役就任。中国の複数子会社で董事長や総経理などを歴任し、中国事業の経営を統括。 |
| 岡田克彦 | 取締役製造部長 | 1994年同社入社。北海道事業部長、特命担当マイスター、生産部長を経て、2020年より取締役製造部長。 |
| 石本恭之 | 取締役経理部長 | 2006年同社入社。管理統括部各課長や総務部長代理、総務部長を経て、2024年より取締役。2025年より経理部長。 |
| 松本貴浩 | 取締役大阪支店長 | 1993年同社入社。各支店長や西日本営業担当部長兼大阪支店受注担当などを経て、2025年より大阪支店長および取締役。 |
社外取締役は、柿内愼市(元徳島大正銀行会長)、中田祐児(弁護士・中田法律事務所開業)、鳥井勝浩(元日亜化学工業常務)、孝志茜(公認会計士・さくら税理士法人社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」および「中国」の報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 日本
日本セグメントでは、室内ドア、化粧造作材、収納ボックスなどの内装システム部材の製造販売、および製品の据付事業を展開しています。マンションデベロッパーやハウスメーカーなどへのセールスエンジニアリング力を活かした独自のジャストインタイムでの受注生産が特徴です。
収益は、主に法人顧客への製品販売と据付工事の対価から得ています。事業の運営は主にニホンフラッシュが担っており、独自の生産・供給システムを通じて多様化、高度化する顧客ニーズに迅速に対応しています。
■(2) 中国
中国セグメントでは、室内ドアなどの内装システム部材に加え、家具や流し台といった住宅設備機器の製造販売、および内装工事の設計・施工などを幅広く手がけています。デベロッパー向け販売に加え、ホテルや商業施設などへの展開も進めています。
収益は、中国国内の顧客への製品販売や工事代金などから得ています。運営は主に昆山日門建築装飾有限公司や日門(青島)建材有限公司などの複数の現地子会社が担い、一部子会社では輸出入貿易や商業施設向け製品の組立等も行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上は230億円〜330億円台で推移しており、直近数年はやや減少傾向にありますが、利益面では当期に経常利益が大きく改善し、当期利益も増益に転じています。国内外での販売価格の適正化やコスト削減活動の成果が着実に表れています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 331億円 | 273億円 | 259億円 | 240億円 | 235億円 |
| 経常利益 | 54億円 | 27億円 | 19億円 | 11億円 | 20億円 |
| 利益率(%) | 16.3% | 9.8% | 7.4% | 4.6% | 8.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 10億円 | 11億円 | 8億円 | 14億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は微減となりましたが、売上原価の減少により売上総利益は増加し、売上総利益率も改善しています。さらに販売費及び一般管理費の削減が寄与し、営業利益は前期から大きく増加して利益率も向上しました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 240億円 | 235億円 |
| 売上総利益 | 57億円 | 59億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.8% | 25.0% |
| 営業利益 | 8億円 | 17億円 |
| 営業利益率(%) | 3.2% | 7.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が14億円(構成比34%)、運賃が7億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
日本セグメントは販売価格の適正化などにより増収増益を達成しました。一方、中国セグメントは不動産市場の低迷などで減収となりましたが、事業構造改革やコスト削減が進み、営業利益は黒字に転換しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 95億円 | 99億円 | 10億円 | 14億円 | 14.3% |
| 中国 | 146億円 | 136億円 | -2億円 | 3億円 | 2.4% |
| 連結(合計) | 240億円 | 235億円 | 8億円 | 17億円 | 7.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFおよび財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行いながら手元資金で投資も賄う優良な健全型キャッシュ・フローのパターンを示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 25億円 | 17億円 |
| 投資CF | -12億円 | -3億円 |
| 財務CF | -9億円 | -5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「住空間を構成する内装部材及び周辺分野における顧客ニーズに対し、優れた技術と最高のサービスを提供することにより、社会に貢献する」ことを経営理念に掲げています。住宅内装システムの専門メーカーとして、多様化・高度化する市場ニーズに高品質な製品で応えることを使命としています。
■(2) 企業文化
「自己革新」「創意工夫」「積極果敢」を社是社訓として掲げ、環境変化に柔軟に対応しながら企業価値向上に取り組んでいます。また、「会社を愛し、商品を愛し、仕事に誇りを持つ」という社訓のもと、組織力の強化を推進し、「品質は顧客の信頼を生み、信頼は会社を育てる」という品質方針を全社で共有しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は事業の収益力向上および企業価値の持続的な向上を経営目標としています。具体的な経営指標として、営業利益率、EPS(1株当たり当期純利益)、ROE(自己資本利益率)、および営業キャッシュ・フロー(営業CF)を重視し、資本効率を意識した経営と安定的かつ健全なキャッシュ創出力の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
日本国内ではマス・カスタマイゼーション対応力とセールスエンジニアリング力を活かし、ホテルや医療・介護施設などの非住宅分野や集合住宅リノベーション分野への展開を進めます。中国では与信リスクを重視した販売戦略へ転換し、ルート販売や非住宅向け販売への多角化などによる事業構造改革を断行して収益基盤の安定を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人材の成長が企業の成長を支える」との考えのもと、セールスエンジニアリング営業を戦略の中核に据え、提案力や顧客との信頼構築力を重視した人材育成を行っています。管理職層のマネジメント教育や、社長自らが語る場を設けた次世代リーダーの育成、世代を超えた「知の承継」や毎月の全員参加型教育などを継続的に推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 39.1歳 | 12.3年 | 4,795,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 75.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 79.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 37.8% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 海外業務に関するリスク
同社グループは中国を中心に製品の生産および販売を行っています。進出国における政治・経済情勢の変化、為替変動、法規制の変更や地政学的リスクが事業に影響を及ぼす可能性があります。また、中国の不動産市場の低迷に伴い、回収代わりとして取得した不動産の価値が下落した場合、減損損失が発生する懸念があります。
■(2) 住宅着工件数等の動向
国内外での内装システム部材事業は、住宅着工件数や建築市況の影響を強く受けます。景気動向や金利上昇、建築コストの高止まりによってマンションデベロッパーなどの事業活動が鈍化した場合や、建築現場での前工程の遅延が発生した場合には、製品納入の遅延や受注減少につながるリスクがあります。
■(3) 原材料価格の変動
同社製品の主な原材料である木材や表面材などは、市況や原油価格の変動等によって調達コストが上昇する可能性があります。生産性向上やコスト削減に努めるとともに販売価格への転嫁を進めていますが、急激な価格上昇に対して適時かつ十分に転嫁できなかった場合、収益性が圧迫されるリスクがあります。
■(4) マンションデベロッパー等への依存
同社はマンションデベロッパーやハウスメーカーに対し、新製品の優先提供やアフターフォローを通じて良好な取引関係を維持していますが、特定顧客への売上割合が比較的高い傾向にあります。顧客の着工戸数の減少などにより同社の受注が減少した場合には、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。



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