ニホンフラッシュ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ニホンフラッシュ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の内装建材メーカーです。室内ドアや収納ボックス等の製造販売を主力とし、独自の受注生産システムに強みを持ちます。当期は、国内の住宅着工減に加え、中国不動産市場の低迷に伴う貸倒引当金繰入や減損損失の計上により、減収および親会社株主に帰属する当期純損失となりました。


※本記事は、ニホンフラッシュ株式会社 の有価証券報告書(第61期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ニホンフラッシュってどんな会社?


同社は、室内ドアを中心とする内装システム部材の専門メーカーです。顧客ごとの注文に応じて生産する「マス・カスタマイゼーション」を強みとし、日本国内だけでなく中国市場でも大規模に事業を展開しています。

(1) 会社概要


1964年に徳島県で設立され、翌年には枠付ユニットドアの生産を開始しました。1986年に多品種少量生産システムを導入して生産体制を革新し、2002年には中国・昆山に現地法人を設立して海外進出を果たしました。2015年に東証一部へ指定され、現在はプライム市場に上場しています。

連結従業員数は1,236名、単体では220名体制です。筆頭株主は、資産管理を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は創業者であり現社長の髙橋栄二氏、第3位は日本カストディ銀行(信託口)となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 8.93%
髙橋 栄二 8.51%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 7.88%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は髙橋栄二氏です。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
髙橋 栄二 取締役社長(代表取締役) 1965年同社入社。専務取締役等を経て1985年より社長。中国子会社の董事長も兼務し、海外事業を牽引。1985年より現職。
飯田 和憲 常務取締役東京支店長 みずほ銀行出身。支店長等を歴任後、2021年同社取締役就任。企画管理部長等を経て2022年より現職。
楊 宋標 取締役 2002年昆山日門建築装飾有限公司入社。中国現地法人の総経理等を歴任し、中国事業を統括。2006年より現職。
岡田 克彦 取締役製造部長 1994年同社入社。北海道事業部長、生産購買部グループリーダー、生産部長等を経て2020年より現職。
石本 恭之 取締役総務部長 2006年同社入社。管理統括部、大阪支店営業課長、総務部長等を歴任。2024年より現職。
松本 貴浩 取締役大阪支店長 1993年同社入社。福岡支店長、大阪支店長、西日本営業担当部長等を歴任。2025年より現職。


社外取締役は、柿内愼市(元徳島大正銀行取締役会長)、中田祐児(弁護士)、鳥井勝浩(元日亜化学工業常勤監査役)、井関佳穂理(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」および「中国」事業を展開しています。

(1) 日本


国内市場向けに、室内ドア、化粧造作材、収納ボックス等の内装システム部材の製造販売および製品の据付を行っています。顧客の多様なニーズに対応するため、多品種少量生産のノウハウを活かした受注生産体制を構築しています。

収益は、マンションデベロッパーやハウスメーカー等の顧客への製品販売および据付工事により獲得しています。運営は主にニホンフラッシュが行っています。

(2) 中国


中国市場向けに、室内ドア、化粧造作材、収納ボックスに加え、家具やキッチン等の住宅設備機器の製造販売を行っています。また、内装工事の設計・施工や製品の据付も手掛けており、現地での一貫したサービス提供を強みとしています。

収益は、中国国内の不動産開発業者等への製品販売および内装工事代金から得ています。運営は、昆山日門建築装飾有限公司、日門(青島)建材有限公司、日門(江西)建材有限公司などの現地連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2023年3月期から2025年3月期までの業績推移です。売上高は減少傾向にあり、利益面では経常利益が縮小しています。特に直近の2025年3月期は、中国事業における貸倒引当金の計上や減損損失等の影響により、親会社株主に帰属する当期純損益が大幅な赤字に転落しています。

項目 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 273億円 259億円 240億円
経常利益 27億円 19億円 11億円
利益率(%) 9.8% 7.4% 4.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 13億円 △28億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益が縮小しています。営業利益率は低下しており、本業の収益性が厳しさを増しています。コスト構造の変化や市場環境の影響が利益を圧迫している状況です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 259億円 240億円
売上総利益 65億円 57億円
売上総利益率(%) 25.0% 23.8%
営業利益 15億円 8億円
営業利益率(%) 5.8% 3.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が16億円(構成比32%)、運賃が7億円(同15%)を占めています。また、貸倒引当金繰入額が3億円(同5%)計上されています。

(3) セグメント収益


日本事業は売上が減少しましたが、コスト削減等により一定の利益を確保しています。一方、中国事業は不動産市場の低迷により減収となり、貸倒引当金の計上や減損損失の影響等によりセグメント損失(赤字)となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
日本 102億円 95億円 11億円 10億円 10.6%
中国 158億円 146億円 4億円 △2億円 -1.6%
調整額 △1億円 △1億円 - - -
連結(合計) 259億円 240億円 15億円 8億円 3.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ニホンフラッシュのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に貸倒引当金の増加や税金等調整前当期純損失の計上により増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入や有形固定資産の取得による支出が主な要因で減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額により減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 17億円 25億円
投資CF △16億円 △12億円
財務CF △22億円 △9億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、住宅内装システムの専門メーカーとして、住空間を構成する内装部材および周辺分野における顧客ニーズに対し、優れた技術と最高のサービスを提供することで社会に貢献することを経営方針としています。独自のシステムにより製品をジャストインタイムで提供し、業容拡大と安定収益の確保を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、長年かけて創り上げた多品種少量生産のIT技術を強みとし、顧客へジャストインタイムで製品を提供するシステムを構築しています。また、合理化や原価低減、効率的な設備投資により生産性を高めるとともに、従業員のスキルアップを図る教育訓練を実施し、一人ひとりが常に利益を意識して活動する風土を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、事業効率の向上と株主価値の最大化を目標とし、特に事業の収益力を示す営業利益および営業キャッシュ・フローの拡大を重視しています。また、EPS(1株当たり当期純利益)の成長を通じた持続的な株主価値の向上にも努め、連結・個別ともに継続的に目標を達成できる強い体質の確立を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


国内では営業力強化と販売網拡充のため、セールスエンジニア育成や地方拠点設置を進め、マス・カスタマイゼーション能力を磨きます。中国では施工管理体制の強化や財務基盤の強固な新規顧客開拓、代理店網を活用したスケルトン市場向け販売を推進します。また、分譲マンション以外の医療介護や戸建分野への販路開拓にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、多様性を考慮した人材育成に取り組み、性別や国籍、採用ルートにとらわれない能力本位の管理職登用を行っています。特に国内ではセールスエンジニアの育成や、従業員のスキルアップを図る教育訓練を実施し、一人ひとりの生産性向上を目指しています。また、海外子会社では女性管理職の登用実績があります。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 37.7歳 12.2年 4,629,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 0.0%
男性労働者の育児休業取得率 0.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 69.4%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 76.0%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期) 41.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 中国カントリーリスクと不動産市況


中国子会社における製品の生産・販売に関して、政治的・経済的不安定要素や法規制の変更、為替変動等が業績に影響を与える可能性があります。特に不動産市場の低迷が続いており、工事進捗の遅れや債権回収リスクが増大しています。実際に一部の大口得意先に対して貸倒引当金を計上するなど、業績への影響が顕在化しています。

(2) 住宅着工件数および市況変動


日本および中国において内装システム部材事業を展開しており、景気動向や金利上昇等による住宅着工件数の減少が業績に影響を及ぼします。主要顧客であるマンションデベロッパーの動向に左右されやすく、建築着工の遅延や減少が発生した場合、経営成績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(3) マンションデベロッパー等への依存


特定のマンションデベロッパーやハウスメーカーへの依存度が高く、これらの顧客の着工戸数減少や受注減少が経営成績に直結する構造となっています。良好な取引関係の維持に努めていますが、主要顧客の事業環境の変化が同社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

(4) 原材料価格の変動


製品の主要原材料である木材や表面材等の価格変動リスクがあります。生産性向上やコスト削減、販売価格への転嫁を進めていますが、急激な価格高騰が生じた場合、十分に転嫁できず、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。