スーパーバッグ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スーパーバッグ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するスーパーバッグは、紙袋やレジ袋の製造販売を行う老舗包装資材メーカーです。主力は紙製品事業と化成品事業で、用度品等のベンダーシステムも展開しています。2025年3月期は、売上高が2.8%増の276億円と増収を確保しましたが、営業利益は12.8%減の9億円と減益になりました。


※本記事は、スーパーバッグ株式会社の有価証券報告書(第88期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. スーパーバッグってどんな会社?


紙袋・ポリ袋の製造販売を手掛け、包装資材の企画から納品まで行う一貫体制を持つ企業です。

(1) 会社概要


1947年に前身となる福田商会が設立され、1953年には国内初の角底自動製袋機を輸入し機械製袋を開始しました。1957年に商標名をスーパーバッグと命名し、1963年に現社名へ変更しています。1964年に東証二部に上場し、1981年には用度品の一括納品システム(S・V・S)を発足させました。

同社の従業員数は連結389名、単体340名です。筆頭株主は不動産管理を行う福田産業で、第2位は製紙大手の王子ホールディングス、第3位は金融機関のみずほ銀行です。

氏名 持株比率
福田産業 30.12%
王子ホールディングス 4.61%
みずほ銀行 3.98%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名、計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は樋口肇氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
樋口 肇 代表取締役社長執行役員 1994年安田火災海上保険入社。2020年同社入社。ベンダー推進部長、執行役員等を経て2021年6月より現職。
兼平 修 一 取締役常務執行役員管理本部長 1989年日本興業銀行入行。2020年同社顧問。2021年6月取締役常務執行役員管理本部長兼総務部長を経て現職。
福 田 英 範 取締役社長補佐執行役員 1970年大日本印刷入社。大日本製本社長、DICグラフィックス取締役常務執行役員等を経て2014年同社入社。2016年5月より現職。
本 橋 秀 明 取締役執行役員上海世霸包装材料有限公司出向総経理兼台湾超級包装材料股份有限公司出向総経理 1991年同社入社。台湾および上海の子会社総経理を歴任し、2017年6月より現職。
元 木  歩 取締役執行役員物流本部長 1987年同社入社。経営統括部長、調達本部長、営業本部長等を歴任し、2024年4月より現職。


社外取締役は、古川肇(税理士)、村岡公一(村岡運輸代表取締役社長)、米林和吉(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「紙製品事業」「化成品事業」「その他事業」および「その他」事業を展開しています。

紙製品事業


角底袋、手提袋、紙器などの紙製品の製造販売を行っています。主要な顧客は小売業や飲食チェーンなどの流通業界であり、環境意識の高まりを受けて紙製包装資材の需要に応えています。

収益は製品の販売代金です。運営は主にスーパーバッグが行い、一部製品については子会社の北海道スーパーバッグが製造を担っています。また、海外子会社を経由した調達も行い、自社製造品と共に販売しています。

化成品事業


レジ袋やポリ袋などの化成品(プラスチック製包装資材)の製造販売を行っています。環境配慮型素材の活用など、市場ニーズに合わせた製品供給を行っています。

収益は製品の販売代金です。運営はスーパーバッグが行い、国内外の協力工場への委託生産や、海外子会社を通じた調達により製品を国内市場で販売しています。

その他事業


店舗で使用する用度品や消耗資材の一括受注納品システム「S・V・S(スーパーバッグ・ベンダー・システム)」を中心とした事業を展開しています。

収益は商品の販売代金です。運営は主にスーパーバッグが行っており、顧客の資材管理業務の効率化を支援しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は回復傾向にあり、直近では276億円に達しています。利益面では、2022年3月期までは損失を計上していましたが、その後黒字転換し、安定した利益率を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 263億円 251億円 253億円 268億円 276億円
経常利益 -1.5億円 -5.0億円 4.7億円 10.8億円 10.2億円
利益率 -0.6% -2.0% 1.9% 4.0% 3.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -3.2億円 -8.8億円 4.4億円 8.6億円 6.8億円

(2) 損益計算書


増収となったものの、売上原価の増加などにより売上総利益率は微減し、営業利益も減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 268億円 276億円
売上総利益 54億円 55億円
売上総利益率 20.2% 20.0%
営業利益 10.3億円 9.0億円
営業利益率 3.9% 3.3%


販売費及び一般管理費のうち、運送費及び保管料が23億円(構成比49.2%)、給料及び手当が11億円(同22.9%)を占めています。

(3) セグメント収益


紙製品事業が売上の過半を占め、利益面でも主力となっています。化成品事業、その他事業も増収で黒字を維持していますが、利益率は紙製品事業と比較して低水準です。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
紙製品事業 147億円 152億円 13億円 13億円 8.3%
化成品事業 55億円 57億円 1億円 1億円 2.1%
その他事業 66億円 67億円 2億円 2億円 3.0%
調整額 - - -6億円 -7億円 -
連結(合計) 268億円 276億円 10億円 9億円 3.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出や資金調達手段の確保に努めている。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や売上債権の減少等により増加したが、仕入債務の減少や法人税等の支払等により、前年同期と比較して増加額は減少した。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入があったものの、投資有価証券及び固定資産の取得による支出が上回り、増加に転じた。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の純額減少や配当金の支払い等により、前年同期と比較して減少額が増加した。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 10億円 8億円
投資CF -3億円 2億円
財務CF -4億円 -8億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、パッケージ関連事業を軸に顧客のニーズと変化に挑戦すること、ステークホルダーへの責任を果たし存在感のある強い会社を目指すこと、そして明るく活発で希望のある社風をつくり、社員とその家族の幸せを追求することを経営理念として掲げています。

(2) 企業文化


経営理念の一節にもあるように、「明るく活発で希望のある社風」を重視しており、社員とその家族の幸せを追求することをビジョンとしています。また、環境対応方針をまとめた「スーパーバッグ環境宣言」を制定し、環境配慮型経営を推進する姿勢を明確にしています。

(3) 経営計画・目標


第2次中期経営計画「環境と共に歩む次世代パッケージ企業~創業120年の誇りを胸に~」において、「成長戦略の追求と環境経営基盤の構築」を基本方針とした3カ年計画に取り組んでいます。数値目標としては、自己資本比率32.0%の達成などを掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


「稼ぐ力」と「造る力」による成長モデルの構築を目指し、紙製品事業への注力、環境配慮製品を含めた新規事業開拓、環境偏差値向上への取り組み、人的資本・ガバナンス強化、経営基盤戦略を重点施策としています。また、物流資材に特化した自社通販サイト「BAG-On」の立ち上げなど、新規事業の創出にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「主体的にキャリアプランを描き構築できる人財づくり」を掲げ、社員が自らキャリアを描き成長できる仕組みづくりを進めています。新人事制度の導入や教育研修の充実、ダイバーシティ推進などを通じ、従業員エンゲージメントの向上と魅力的な職場環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.8歳 18.5年 5,038,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.2%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 60.4%
男女賃金差異(正規) 73.3%
男女賃金差異(非正規) 29.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(62.8%)、女性の育児休業取得率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料購入価格の変動


レジ袋の原料であるポリエチレン等の石油化学製品や、紙製品の原材料価格は原油価格や需給バランスの影響を受けやすく、仕入価格の変動が継続しています。価格転嫁の交渉は行っていますが、さらなる変動が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 為替相場の変動


紙製品やレジ袋の原材料輸入など外貨建て取引を行っており、円安は仕入価格の上昇要因となります。為替予約等でリスクヘッジを行っていますが、為替レートの変動は業績に影響を与える可能性があります。

(3) プラスチックの環境問題


環境負荷低減に向けた取り組みを進めていますが、廃プラスチックに関する規制強化やレジ袋有料化の影響により、化成品事業の需要が減少するリスクがあります。今後さらに規制が強化された場合、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。