※本記事は、スーパーバッグ株式会社の有価証券報告書(第89期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. スーパーバッグってどんな会社?
紙袋やレジ袋などのパッケージ関連事業と消耗資材の一括納品システムを展開する老舗企業です。
■(1) 会社概要
1947年に福田商会として設立され、1953年に日本初の角底自動製袋機を導入しました。1963年にスーパーバッグに社名を変更し、1964年に東京証券取引所に上場しています。1981年には消耗資材の一括納品システムを発足させ、その後は台湾や北海道にも製造・販売拠点を拡大し成長を続けています。
現在の従業員数は連結で381名、単体で335名です。筆頭株主は不動産管理を行う福田産業で、第2位は事業会社の王子ホールディングス、第3位は金融機関である明治安田生命保険となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 福田産業 | 30.08% |
| 王子ホールディングス | 4.61% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 3.94% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は樋口肇氏が務めており、全取締役8名のうち社外取締役が3名を占めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 樋口肇 | 代表取締役社長執行役員 | 1994年安田火災海上保険に入社。2020年に同社へ入社し、ベンダー推進部長等を経て、2021年より現職。 |
| 兼平修一 | 取締役専務執行役員管理本部長 | 1989年日本興業銀行に入行。2020年に同社顧問に就任し、2021年に取締役常務執行役員等を経て、2025年より現職。 |
| 元木歩 | 取締役常務執行役員物流本部長 | 1987年に同社へ入社。量販店第二営業部長、経営統括部長、調達本部長、営業本部長等を経て、2025年より現職。 |
| 福田英範 | 取締役社長補佐執行役員 | 1970年大日本印刷に入社。大日本製本代表取締役社長等を経て、2014年に同社へ入社し、2016年より現職。 |
| 毛塚和男 | 取締役常勤監査等委員 | 1973年に同社へ入社。企画管理部長、経営統括部主査、常勤監査役等を経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、古川肇(元西崎高正税理士事務所)、村岡公一(村岡運輸代表取締役社長)、藤瀬敦賀(米林・藤瀬法律事務所)です。
2. 事業内容
同社グループは、紙製品事業、化成品事業、その他事業の各セグメントを展開しています。
■紙製品事業
自社の主力工場において、紙袋やレジ袋、宅配袋、紙器などのパッケージ関連製品の製造および販売を行っています。主な顧客は、国内の流通業や来店型店舗、およびEC市場の事業者です。
顧客へ製品を販売することによる収益を主な収益源としています。事業の運営は主にスーパーバッグが行うほか、製造の一部を子会社の北海道スーパーバッグに委託し、完成した製品をスーパーバッグが一括購入して販売する体制をとっています。また、台湾の子会社も独自に仕入および販売を展開しています。
■化成品事業
国内外の協力工場へ製造を委託したポリ袋などの化成品パッケージを購入し、国内の流通市場に向けて販売しています。飲食店をはじめとするテイクアウト用のポリ袋なども取り扱っています。
顧客へ製品を販売することによる収益を主な収益源としています。運営はスーパーバッグが主体となり、需要変動や原材料価格の動向を踏まえながら国内外の協力工場と連携して製品を調達し、国内市場に供給するモデルを構築しています。
■その他事業
顧客が利用する用度品や消耗資材に関する一括受注納品システムであるS・V・S(スーパーバッグ・ベンダー・システム)を中心とした事業を展開しています。包装用品のほか、清掃用品や事務用品なども広く取り扱っています。
顧客に納品する各種資材や消耗品の販売収益を主な収益源としており、取引先の店舗数増加などに伴うアイテムの取扱増が収益に寄与します。本事業の運営はスーパーバッグが主体となって展開しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、レジ袋有料化やコロナ禍による消費行動の変化を受けて一時は経常損失を計上しましたが、その後は需要回復と業務効率化により黒字転換を果たしています。売上高は緩やかな増加傾向にあり、利益面も原材料価格や物流コストの変動に対応しながら安定した水準を維持しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 251億円 | 253億円 | 268億円 | 276億円 | 282億円 |
| 経常利益 | -5億円 | 5億円 | 11億円 | 10億円 | 8億円 |
| 利益率(%) | -2.0% | 1.9% | 4.0% | 3.7% | 2.9% |
| 当期利益 | -1億円 | 4億円 | 9億円 | 7億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前年比で微増となりましたが、原材料費や人件費等のコスト上昇に加え、生産設備の整備やメンテナンスの実施により売上総利益は横ばいにとどまりました。その結果、営業利益率も前年の3.3%から2.7%へと低下し、減益となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 276億円 | 282億円 |
| 売上総利益 | 55億円 | 55億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.0% | 19.4% |
| 営業利益 | 9億円 | 8億円 |
| 営業利益率(%) | 3.3% | 2.7% |
販売費及び一般管理費のうち、運搬費や保管費などの物流関連費用が24億円(構成比50%)、給与手当が14億円(同30%)を占めています。
■(3) セグメント収益
紙製品事業は宅配袋や紙器の販売が好調でしたが、一部取引先からの受注減や生産設備のメンテナンス費用が重荷となり減益でした。化成品事業は海外調達先の多様化により増益となり、その他事業も取引先店舗数の拡大によるアイテム取扱増で増益となりました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 紙製品事業 | 152億円 | 152億円 | 13億円 | 11億円 | 7.1% |
| 化成品事業 | 57億円 | 58億円 | 1億円 | 2億円 | 2.9% |
| その他事業 | 67億円 | 72億円 | 2億円 | 2億円 | 2.9% |
| 調整額 | -億円 | -億円 | -7億円 | -7億円 | - |
| 連結(合計) | 276億円 | 282億円 | 9億円 | 8億円 | 2.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
直近のキャッシュ・フローは、営業CF、投資CF、財務CFのすべてがマイナスとなる状況(末期型)にあります。営業CFのマイナスは仕入債務の減少や棚卸資産の増加によるものであり、投資活動や借入金の返済といった財務活動による資金流出も重なり、全体の資金が減少しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8億円 | -1億円 |
| 投資CF | 2億円 | -4億円 |
| 財務CF | -8億円 | -7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.3%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「パッケージ関連事業を軸に、お客様のニーズと変化に積極果敢に挑戦すること」「ステークホルダーへの責任を果たし、存在感のある強い会社を目指すこと」「明るく活発で希望のある社風をつくり、社員とその家族の幸せを追求すること」を経営理念として掲げています。わが国製袋業界のパイオニアとしての誇りを持ち、株主重視の基本姿勢を堅持しながら持続的な成長を目指しています。
■(2) 企業文化
「明るく活発で希望のある社風」をビジョンに掲げ、社員が主体的にキャリアプランを描ける組織風土の醸成に取り組んでいます。また、多様な考え方を生かせる体制づくりを重要視しており、変化を恐れず新しいことにチャレンジできる文化と、実力を最大限に発揮できる仕組みを通じて、働きがいのある魅力的な職場環境の構築を推進しています。
■(3) 経営計画・目標
第2次中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)において、最終年度までに持続的な成長と長期利益の実現を目指しています。営業利益の拡大および営業利益率の改善を目標とし、財務体質強化の観点から自己資本比率とROE(自己資本利益率)を重視した経営を行っています。
- 自己資本比率:32.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
「成長戦略の追求と環境経営基盤の構築」を基本方針とし、トータルパッケージ提案の推進や、宅配資材・紙器など成長分野への経営資源の集中を図っています。さらに、設備更新や環境関連への積極的な投資を実行することで中長期的な成長基盤を確立します。
- 紙製品事業への注力
- 環境配慮製品を含めた新規事業開拓
- 人的資本への取り組みとガバナンス強化
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
重要な経営資源である「人財」の可能性を最大限に引き出すため、従来の年功序列から「早期活躍・成果重視」の環境へと人事制度を刷新しました。適材適所の人財配置を進める「戦略人事」、次世代リーダーの育成や自己啓発支援を図る「社員育成」に加え、女性活躍やキャリア採用などの「多様性」推進、心身の健康を支える「健康経営」を中核に据えています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。社員一人ひとりに与えられた役割と実力に応じて処遇を決定する評価制度を導入し、意欲的に挑戦・成長できる機会の拡充を図っています。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.0歳 | 18.3年 | 5,395,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.2% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 72.3% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 28.9% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(64.8%)、女性の育児休業取得率(100.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料購入価格の変動
主力の紙製品や化成品パッケージの原材料となる石油化学製品および紙製品は、原油価格の騰落や需給バランスの影響を大きく受けます。仕入価格の大幅な上昇に対して販売価格への転嫁が遅れた場合、同社グループの収益を圧迫するリスクがあります。
■(2) 為替相場の変動
同社グループは、紙製品の輸出入に加え、化成品部門におけるレジ袋等の大半を輸入で調達しています。輸入比率が90%を超過する状況において為替相場が円安方向に進行した場合、仕入価格の上昇を通じて業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 特定の取引先や市場への依存
製品の主要な販売先は国内の流通業であり、国内景気の後退に伴う需要の縮小や、競合他社による低価格製品の流入による価格競争の熾烈化がリスクとなります。特定の取引先への依存度は低いものの、流通業界全体のデフレによる小売価格の低下は業績に影響します。
■(4) プラスチックの環境問題対応
廃プラスチックによる環境問題への世界的な懸念を背景に、国内でもプラスチック製レジ袋の有料化が開始され、販売量が落ち込む影響を受けています。今後、プラスチック資源循環戦略に基づくさらなる規制強化が進めば、化成品事業の需要が減少し業績に影響する可能性があります。



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