大石産業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

大石産業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード、福証に上場する包装資材メーカーです。パルプモウルドや段ボール等の緩衝機能材、フィルムや重包装袋等の包装機能材を製造販売しています。直近の業績は、販売価格の見直しや海外販売の回復により増収となった一方、人件費や減価償却費の増加等が影響し減益となりました。


※本記事は、大石産業株式会社 の有価証券報告書(第79期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 大石産業ってどんな会社?


パルプモウルドやフィルム等の包装資材を製造する福岡県拠点の企業です。循環型社会への貢献を掲げています。

(1) 会社概要


1925年に大石商店として創業し、1947年に株式会社大石商店を設立しました。1952年に大石産業へ商号変更し、1980年に福岡証券取引所へ上場しています。2022年には東京証券取引所市場第二部に上場し、同年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。

同グループの連結従業員数は582名、単体では358名です。筆頭株主は仕入先かつ販売先である事業会社の王子ホールディングスで、第2位は従業員持株会、第3位は金融機関の西日本シティ銀行となっています。

氏名 持株比率
王子ホールディングス 9.65%
OSK社員持株会 7.00%
株式会社西日本シティ銀行 4.79%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は山口博章氏で、社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
山口 博章 代表取締役社長 1982年入社。パルプモウルド事業部やフィルム事業部の要職、取締役紙袋・フィルム事業統括などを経て、2023年4月より現職。
藤村 由賢 常務取締役 1983年入社。パルプモウルド事業部長、事業本部製造部長などを経て、2023年6月より常務取締役緩衝機能材事業本部長。2025年4月より現職。
豊田 真佐喜 取締役フィルム事業部長 1985年入社。関西支店長、執行役員東京支店長などを経て、2022年6月より現職。
大谷 洋文 取締役管理部長 1987年入社。経営企画室長、執行役員管理部長などを経て、2022年6月取締役就任。2025年4月より現職。
宮地 郁夫 取締役(常勤監査等委員) 1985年西日本銀行入行。同行監査部長などを経て、2015年同社監査役就任。2022年6月より現職。


社外取締役は、竹尾祐幸(西日本シティ銀行代表取締役副頭取)、福地昌能(公認会計士)、池田早織(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「緩衝機能材事業」「包装機能材事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 緩衝機能材事業

パルプモウルドや段ボール製品、樹脂成型品など、主に物品を保護する緩衝機能を持つ製品の製造販売を行っています。顧客は工業、食品、農業分野など多岐にわたります。

製品の販売代金が主な収益源です。運営は主に大石産業が行っています。

(2) 包装機能材事業

フィルム製品や重包装袋(クラフト紙袋等)など、主に物品を包む機能を持つ製品の製造販売を行っています。食品容器用フィルムや化学薬品・飼料用の大型紙袋などを提供しています。

製品の販売代金が主な収益源です。運営は主に大石産業、株式会社柳沢製袋、CORE PAX(M)SDN.BHD.、ENCORE LAMI SDN.BHD.が行っています。

(3) その他

情報処理機器の販売、ソフトウエアの開発・販売、デザイン関連事業、マレーシアにおける日本産農産物の輸入販売事業、不動産賃貸事業などを展開しています。

機器やソフトウエアの販売代金、賃貸料などが収益源です。運営は主に株式会社アクシス、FUSIONS TRADING MALAYSIA SDN.BHD.および大石産業が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあります。一方で利益面では、原材料価格やコスト等の影響を受け変動が見られます。直近の2025年3月期は増収となりましたが、経常利益および当期純利益は減益となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 186億円 198億円 218億円 220億円 235億円
経常利益 14億円 15億円 14億円 13億円 11億円
利益率(%) 7.6% 7.7% 6.4% 6.1% 4.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 9.3億円 9.9億円 7.2億円 9.3億円 7.8億円

(2) 損益計算書

直近2期間を比較すると、売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費も増加しました。売上総利益率はほぼ横ばいで推移していますが、販管費の増加により営業利益率は低下しており、コストコントロールが課題となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 220億円 235億円
売上総利益 42億円 43億円
売上総利益率(%) 19.1% 18.4%
営業利益 11億円 9.0億円
営業利益率(%) 4.9% 3.8%


販売費及び一般管理費のうち、発送運賃が11億円(構成比33%)、給料及び手当が7.3億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益

緩衝機能材事業は、事務機器用製品の拡販や価格改定により増収となりましたが、コスト増により減益でした。包装機能材事業は、海外での重包装袋の販売増などが寄与し増収増益となりました。その他事業も増収となりましたが、利益は減少しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
緩衝機能材事業 107億円 111億円 10億円 8.8億円 7.9%
包装機能材事業 109億円 120億円 8.6億円 9.3億円 7.8%
その他 3.8億円 4.4億円 0.3億円 0.2億円 5.2%
調整額 - - -8.1億円 -9.3億円 -
連結(合計) 220億円 235億円 11億円 9.0億円 3.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

大石産業は、運転資金については一時的な借入を除き、長期において多額の借入を行う計画はありません。営業活動では、税金等調整前当期純利益の増加がキャッシュ・フローを押し上げました。投資活動では、主に有形固定資産の取得により資金を使用しました。財務活動では、配当金の支払い等により資金が減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 19億円 22億円
投資CF -14億円 -18億円
財務CF -6.4億円 -3.9億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、創業100周年を機に新たなグループビジョンを策定しました。パーパスとして「未来を包む - Inclusion for Future -」を掲げ、顧客の製品だけでなく社会の未来を「包む」ことで、人々や地球環境を包摂し、社会に有用な存在であり続けることを目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、バリュー(価値観)として「誠実」「挑戦」「協創」を掲げています。誠実な行動と透明なコミュニケーションで信頼を築き、困難に立ち向かって未来を切り拓くとともに、多様なパートナーと協力して成果を分かち合う姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、中期経営計画において、売上高、経常利益、経常利益率、ROE(自己資本利益率)および自己資本比率の維持・向上を目標として掲げています。また、循環型社会に最適なソリューションを提供することにより、持続可能な未来の実現に貢献することを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


第8次中期経営計画『New Challenge 2027』に基づき、環境・社会・ガバナンスの各視点から重点施策を推進しています。緩衝機能材事業では新技術活用による売上拡大や省エネ製品開発、包装機能材事業では機能性フィルム開発やDX・FA推進、環境配慮型製品の普及に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


ダイバーシティの推進、優秀な人材の確保と育成、働きやすい職場環境づくりを掲げています。社員一人ひとりが能力を最大限に発揮することが企業価値向上につながると考え、階層別・職務別教育の充実や人事制度の見直し、ワークライフバランスの推進に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.4歳 15.7年 5,645,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.2%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 59.5%
男女賃金差異(正規) 70.4%
男女賃金差異(非正規) 77.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、研修参加率(35.9%)、年次有給休暇取得率(58.7%)、平均残業時間/月(16.5時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 製品需要および景気動向の影響

同社製品は農産物、工業品、食品など幅広い分野で使用されていますが、景気後退による需要減少や競争激化による市況悪化が業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、新製品開発や機能改良による差別化を図っています。

(2) 原燃料価格の変動

主要材料である原紙や樹脂・フィルム、燃料のLPG・LNG等の価格変動リスクがあります。原油価格や古紙市況の影響を受けやすいため、調達先の分散や契約の長期化などによりリスク緩和に努めています。

(3) 為替変動の影響

海外子会社の業績や財務状況は為替相場の変動による換算リスクを受けます。また、海外からの調達においても影響が生じる可能性があります。これに対し、為替予約の活用や調達先の分散などの対策を講じています。

(4) 海外展開に伴うカントリーリスク

マレーシアに生産・販売拠点を有しており、同国の経済動向、政情不安、法規制変更等が業績に影響を与える可能性があります。現地の弁護士等からの情報収集や子会社との連携強化により対応を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。