※本記事は、ハビックス株式会社 の有価証券報告書(第75期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ハビックスってどんな会社?
不織布および紙製品の製造販売を手掛け、衛生用品や外食産業向け素材を提供する岐阜県本社のメーカーです。
■(1) 会社概要
1950年に味噌・たまり醸造業として創業し、1952年に製紙業へ転換しました。1993年に現社名へ変更し、2005年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。2024年には子会社のジェイソフトを吸収合併し、体制の効率化を図っています。
同社の連結従業員数は208名、単体では207名です。筆頭株主は同社元役員の酒井正吾氏であり、第2位は代表取締役社長の福村大介氏、第3位には取引金融機関である十六銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 酒 井 正 吾 | 8.62% |
| 福 村 大 介 | 5.50% |
| 十六銀行 | 4.93% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は吉村和彦氏、代表取締役社長は福村大介氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉村和彦 | 代表取締役会長 | トヨタ自動車入社、中国トヨタ技術センター天津副社長、シンテックホズミ社長等を経て2019年同社社長。2024年6月より現職。 |
| 福村大介 | 代表取締役社長 | 2004年入社。ジェイソフト社長、同社経営企画室長、専務、副社長等を経て2024年6月より現職。 |
| 伊神清隆 | 常務取締役 | 十六銀行執行役員等を経て2017年入社、総務部長。2020年6月より現職。 |
| 広瀬隆一 | 取締役 監査等委員 | 十六銀行支店長等を経て2014年入社、総務部長、監査役。2019年6月より現職。 |
社外取締役は、一川明弘(税理士法人NEXT代表社員税理士所長)、葛西良亮(葛西法律事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不織布関連事業」および「紙関連事業」を展開しています。
■(1) 不織布関連事業
パルプ不織布と化合繊不織布の製造・販売を行っています。パルプ不織布はクッキングペーパーやおしぼり等に使用され、化合繊不織布は紙おむつやペットシーツの表面材として使用されます。
収益は、製品販売による対価として顧客から得ています。運営は主にハビックスが行っています。
■(2) 紙関連事業
フレッシュパルプを主原料とした衛生用紙の製造・販売を行っています。主に紙おむつやペットシーツの吸収体の包合紙、おしぼり、テーブルナプキン等の中間素材として提供されています。
収益は、製品販売による対価として顧客から得ています。運営は主にハビックスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は増加傾向にあり、直近では過去最高の134億円に達しています。利益面では、2022年3月期に大幅な損失を計上しましたが、その後回復し、安定した利益率を維持しています。直近2期は比較的安定した水準で推移しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 106億円 | 109億円 | 121億円 | 132億円 | 134億円 |
| 経常利益 | 8.2億円 | 0.1億円 | -0.3億円 | 8.8億円 | 7.9億円 |
| 利益率(%) | 7.7% | 0.1% | -0.2% | 6.7% | 5.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5.6億円 | -24.5億円 | 0.5億円 | 6.7億円 | 6.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は微増しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益率は低下しました。売上総利益率は若干改善したものの、コスト増の影響を受けています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 132億円 | 134億円 |
| 売上総利益 | 25億円 | 26億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.8% | 19.5% |
| 営業利益 | 7.6億円 | 7.0億円 |
| 営業利益率(%) | 5.7% | 5.2% |
販売費及び一般管理費のうち、運賃及び荷造費が7億円(構成比35%)、給料及び手当が4億円(同18%)を占めています。
■(3) セグメント収益
不織布関連事業はインバウンド需要の回復や新規販売先の獲得により増収増益となりました。一方、紙関連事業は価格修正による受注低迷や原材料価格の上昇等により減収減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 不織布関連事業 | 75億円 | 78億円 | 10億円 | 13億円 | 17.0% |
| 紙関連事業 | 57億円 | 56億円 | 6億円 | 5億円 | 9.5% |
| 調整額 | - | - | -9億円 | -12億円 | - |
| 連結(合計) | 132億円 | 134億円 | 8億円 | 7億円 | 5.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で得た資金で借入金の返済を進め、投資は手元資金と合わせて実施しています。本業でキャッシュを生み出し、財務体質の改善を図っている健全型と言えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 16億円 | 0.5億円 |
| 投資CF | -0.1億円 | -5億円 |
| 財務CF | -7億円 | -7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は59.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、経営理念「創和」のもと、新たな製品の創出による社会への貢献と、人間尊重の精神にもとづく社会との調和によって幸福な世界を実現することを理念としています。また、「衛生・安心・快適」という価値を社会へ提供する「ビューティフルライフ創造企業」を目指す姿として掲げています。
■(2) 企業文化
コーポレートメッセージとして「“キレイ”をつくろう」を制定し、全社一丸となって取り組む文化があります。人間尊重の精神にもとづき、株主をはじめとした様々なステークホルダーとの和を調和させることを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2023年度から2030年度を対象とする「長期経営ビジョン2030」および「第1次中期経営計画2026」を策定しています。経営上の目標達成状況を判断する指標として、売上高、営業利益、セグメント売上高、セグメント利益を重視し、各セグメントの採算性管理を行っています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「新事業・新分野創出」「競争力強化」など5つの経営戦略により、外部環境の影響を受けにくいビジネスモデルへの転換や収益性改善を目指します。具体的には、素材メーカーから「衛生用品メーカー」への進化を掲げ、自社ブランド「Kireine」の拡大やOEM生産による加工事業の強化を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「組織・人材の活性化」を掲げ、将来を見据えた組織体制の整備と人材育成を強化します。専門知識を有する人材、特に医療・介護市場に精通した人材の中途採用を進めるとともに、インナーブランディングやダイバーシティ推進により、社員のモチベーション向上と活性化を図ります。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.3歳 | 11.1年 | 5,916,000円 |
※平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) パルプおよび燃料価格の変動と為替変動等
主原材料であるパルプや燃料の重油・ガスの価格は、国際的な需給バランスや為替相場の影響を受けます。これらの価格や為替相場に大きな変動がある場合、同社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定の販売先について
主要販売先であるユニ・チャームプロダクツ株式会社に対する売上高が全体の約22%を占めています。今後、取引が中止または大幅に縮小された場合、同社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) パルプ不織布生産設備の安定稼働
同社のパルプ不織布生産設備はフィンランド製の特殊な設備であり、国内では同社グループしか保有していません。特異なトラブルや部品調達の必要が生じた場合、安定操業に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 新製品の開発および新規事業の立ち上げ
市場ニーズに適応した製品の投入や新規事業の立ち上げが遅れた場合、将来の成長性と収益性が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は情報収集や市場ニーズの把握に努め、迅速な製品開発を進めています。



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