※本記事は、光村印刷株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
光村印刷は、印刷事業を主軸に、産業資材・電子部品製造事業、不動産賃貸等事業を展開しています。同社グループは、出版印刷物から宣伝用印刷物、包装・パッケージ、映像制作物まで多岐にわたる製品を提供しています。
単体従業員数は285名、連結従業員数は614名です。セグメントは印刷、産業資材・電子部品製造、不動産賃貸等の3つです。
主な国内グループ会社は、光村プロセス(印刷)、城南光村(同)、光村商事倉庫(同)、メディア光村(同)、大洲(同)などです。
光村印刷は、2026年1月より新聞印刷事業の生産機能を連結子会社の光村高速オフセットへ集約し、同社での新聞印刷生産を終了しました。これにより、アセットライトな協業体制へ移行しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
光村印刷は、印刷事業を核に多様な事業を展開する企業です。従業員の長期的な定着を重視し、安定した環境でキャリアを築けるよう努めています。人的資本への投資を通じて、多様な人材が活躍できる職場づくりを目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は従業員の長期的な定着を重視しており、平均勤続年数からその傾向がうかがえます。従業員の年齢構成も安定しており、経験豊富な人材が活躍できる環境です。従業員一人ひとりの能力開発と働きやすい環境整備に力を入れています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,902,324円 |
| 平均勤続年数 | 25.2年 |
| 平均年齢 | 47.2歳 |
| 単体従業員数 | 285人 |
| 連結従業員数 | 614人 |
| 単体のグループ内比率 | 46.4% |
退職給付制度は、確定給付型と確定拠出型の両方を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は、同社及び一部の連結子会社に適用されています。退職一時金制度があり、2018年10月1日をもって給与比例方式からポイント制へ移行しています。確定給付債務は16.3億円、年金資産は23.4億円となっています。同社及び連結子会社の確定拠出制度への要拠出額は、当連結会計年度で34百万円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、持続的な企業価値向上の実現に向けて、人材を最も重要な経営資源の一つと位置付けています。既存事業での収益基盤の再構築と成長領域での事業拡大といった経営戦略を推進するため、これらの戦略を牽引する人材の確保・育成、多様な人材の活躍推進、働きがいのある職場環境の整備を人材戦略の基本方針としています。従業員の給与(賞与を含む)その他の給付の額及び内容は、各従業員の役割、発揮した能力や成果、ならびに同社グループの業績や収益力向上への貢献度を総合的に勘案し、公正かつ適切な評価に基づき決定することを基本方針としています。
従業員一人ひとりが研鑽に励み、自己の能力を高め、それを最大限に発揮すること、また社内に異なる経験・技能・属性を有した多様な視点や価値観が存在することは、企業が持続的な成長を実現するために必要不可欠であると認識しています。人材育成のための教育や研修の実施、従業員が働きやすく充実感を持てる職場環境の整備、性別・国籍・年齢等にかかわらず多様な人材が活躍できる組織づくりを目指しています。具体的には、新入社員研修や階層別教育、eラーニング等を通じた継続的な能力開発を推進するとともに、業務に必要な知識・技能の習得支援やコンプライアンス意識の向上に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。男性育児休業取得率は当事業年度に該当者がいないため「-」と表示されています。男女賃金差異は、同一労働の賃金に制度上の差はなく、等級別人数構成の差が主な要因です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 77.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 79.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 100.5% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
光村印刷は、印刷事業を主軸としつつ、産業資材・電子部品製造、不動産賃貸等といった多角的な事業を展開しています。同社グループは、変化する市場環境に対応しながら収益基盤の強化を図っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、印刷事業、産業資材・電子部品製造事業、不動産賃貸等事業の3つのセグメントで事業を展開しています。主力である印刷事業では、商業印刷物や新聞印刷などを手掛けています。産業資材・電子部品製造事業では、半導体加工テープなどの産業資材や電子部品の製造を行っています。不動産賃貸等事業では、不動産の賃貸や太陽光発電事業を展開しています。
収益モデルは、各事業における製品やサービスの提供によるものです。同社グループの売上高は、株式会社読売新聞東京本社やヤマト運輸株式会社といった特定の顧客に集中する傾向が見られます。
印刷
同社グループの主力事業であり、一般印刷や新聞印刷などを手掛けています。自治体の刊行物の減少など商業印刷物の減少や、新聞印刷の生産機能の連結子会社への移管といった変化に対応しています。
収益は、各種印刷物の提供から得ています。運営は、光村高速オフセット株式会社が新聞印刷事業の一部を担っています。
産業資材・電子部品製造
半導体加工テープなどの産業資材や、電子部品の製造を行っています。電子部品製造事業では車載やスマートフォン向け水晶振動子メーカーからの治具需要が堅調に推移しましたが、産業資材製品においては得意先の開発計画見直しによる影響も受けています。
収益は、産業資材や電子部品の製造・販売から得ています。
不動産賃貸等
不動産の賃貸や太陽光発電事業を展開しています。同社が保有する旧北品川棟の底地賃貸を開始するなど、新たな収益源の確保にも取り組んでいます。
収益は、不動産の賃貸収入や太陽光発電による売電収入から得ています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 印刷 | 141億円 | 133億円 |
| 不動産賃貸等 | 3.8億円 | 4.8億円 |
| 産業資材・電子部品製造 | 3.0億円 | 3.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
過去5期間の売上高は、直近で減少傾向を示しています。経常利益は変動が見られましたが、当期は黒字に転換しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、当期に大きく増加しました。
当期は営業損失を計上しましたが、前期と比較すると損失幅は縮小しています。特別利益として投資有価証券売却益を計上した一方で、特別損失として減損損失も計上されました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 154億円 | 148億円 | 147億円 | 148億円 | 141億円 |
| 経常利益 | 4.2億円 | △28百万円 | 57百万円 | △49百万円 | 23百万円 |
| 経常利益率 | 2.7% | △0.2% | 0.4% | △0.3% | 0.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 50百万円 | 4.9億円 | 57百万円 | 71百万円 | 3.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 16.20 | 159.22 | 18.51 | 23.04 | 115.31 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
従業員1人あたり売上高(連結)は、前期からわずかに減少しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は、前期と比較して損失幅が縮小しており、改善の傾向が見られます。
同社グループは、生産体制の効率化や製品価格の適正化に取り組んでおり、これらの取り組みが生産性の改善に寄与していると考えられます。新聞印刷生産機能の連結子会社への移管に伴う従業員の転籍も、一人あたりの指標に影響を与えている可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 23.1百万円 | 23.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △0.2百万円 | △0.1百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローが支出超過となる一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは収入超過となっています。これにより、フリーキャッシュ・フローはプラスを維持しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から上昇し、68.3%となっています。これはプライム市場の平均と比較して高い水準を示しており、安定した経営基盤があることを示しています。ROE(自己資本利益率)は2.0%であり、前期から改善しています。手元資金である現金及び預金は40.6億円を確保しており、事業運営に必要な流動性を維持している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 178億円 | 185億円 |
| 自己資本比率 | 63.4% | 68.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 0.4% | 2.0% |
| 現金及び預金 | 41.5億円 | 40.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少などにより2.6億円の支出超過となりました。これは前期の収入超過から転じています。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入などにより5.8億円の収入超過となりました。これにより、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローは3.2億円のプラスとなっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済などにより8.5億円の支出超過となりました。全体として、営業活動で資金が流出する一方で、投資活動で資金を回収し、借入金の返済を進めている状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.0億円 | △2.6億円 |
| 投資CF | △0.7億円 | 5.8億円 |
| 財務CF | △3.3億円 | △8.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 8.2億円 | 3.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、株式会社読売新聞東京本社やヤマト運輸株式会社向けの売上が全体の約4割を占めており、特定取引先への依存リスクがあります。また、基幹事業である印刷事業においては、デジタル化の加速による紙媒体の需要減少が続いており、市場の変化による業績への影響が指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
光村印刷は、“美の再現”を原点とする印刷技術を核に、社会の発展と文化の向上に貢献することを目指しています。育んできた歴史と経験を活かしながら、変革と挑戦を続ける企業風土を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、“美の再現”を原点にした印刷技術を核に、歴史と経験を活かしながら「ともにつくり、ともに伝える。」を企業理念としています。かけがえのない存在であり続けることを目指しています。
企業理念のもと、経営ビジョンとして「期待を超える“サービス”や“ソリューション”の提供を通じて、社会の発展と文化の向上に寄与する企業」であり続けることを掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営ビジョン実現のため「変革・挑戦・顧客第一」を行動規範としています。サステナビリティを巡る課題を、事業リスクの低減と中長期的な企業価値の向上につながる重要な経営課題と認識しています。
人的資本に関する方針として、従業員一人ひとりが能力を高め、最大限に発揮すること、多様な視点や価値観が存在することが持続的な成長に不可欠であると考えています。人材育成のための教育や研修の実施、働きやすく充実感を持てる職場環境の整備、性別・国籍・年齢等にかかわらず多様な人材が活躍できる組織づくりを目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、早期に営業利益の黒字化を実現することが最重要課題であると認識しています。本業における収益力の抜本的な強化と継続的な黒字基盤の定着に向けたV字回復のシナリオを描いています。
既存事業での収益基盤の再構築と成長領域での事業拡大を推し進め、持続的な成長軌道を確立し、中長期的な企業価値の向上を目指しています。
また、環境配慮型社会のニーズに応えて、プラスチック使用量を削減し、デザイン性にも優れた紙製軟包装材の拡販など新たな利益機会の創出に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
光村印刷は、経営と監視・監督の機能を分離し、効率的かつ実効的な企業統治体制を構築しています。取締役会の活性化と意思決定の迅速化、業務執行体制の強化を図るため、執行役員制度を導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、上位には複数の事業会社が名を連ねています。筆頭株主は三菱製紙であり、DIC、読売新聞グループ本社がそれに続いています。これらの事業会社が主要な株主として同社を支えていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三菱製紙 | 16.70% |
| DIC | 14.91% |
| 読売新聞グループ本社 | 7.33% |
なお、株式会社三菱UFJ銀行及びその共同保有者は、2024年3月11日現在で合計128千株(4.12%)を所有しています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長社長執行役員は嶋山芳夫氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 嶋山 芳夫 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1981年4月同社入社。管理本部経理部長、理事、執行役員を経て、2021年6月より同社代表取締役社長社長執行役員に就任。2022年6月より光村商事倉庫代表取締役社長も務める。 |
| 御地合 英伸 | 取締役常務執行役員情報ソリューション事業部 事業部長 | 1990年4月同社入社。印刷・情報営業本部第二営業副本部長兼営業第六部長、理事、執行役員を経て、2021年6月より同社取締役執行役員。2026年5月より情報ソリューション事業部事業部長に就任。 |
| 北川 日出男 | 取締役上席執行役員特命担当 | 1985年4月同社入社。印刷事業部印刷・情報営業統括本部第二営業本部長、理事、執行役員を経て、2023年6月より同社取締役上席執行役員。2026年4月より特命担当に就任。 |
| 藤川 和典 | 取締役 上席執行役員 経理本部長 兼総務本部管掌 | 1991年4月同社入社。経理部長、経理本部長、理事、執行役員を経て、2025年6月より同社取締役上席執行役員経理本部長兼総務本部管掌に就任。 |
| 村川 武彦 | 取締役 上席執行役員 情報ソリューション事業部生産本部長 | 1985年4月同社入社。印刷・情報事業部印刷・情報生産統括本部川越工場川越製造部長、理事、執行役員を経て、2025年6月より同社取締役上席執行役員。2026年5月より情報ソリューション事業部生産本部長に就任。 |
社外取締役は、柴崎憲二氏(元ヤマト運輸代表取締役・指名報酬委員)、榎本雅彦氏(元富士フイルムグラフィックソリューションズ常務執行役員・指名報酬委員)です。
同社は監査役会設置会社であり、経営の監視・監督機能の強化を図っています。執行役員制度を導入し、業務執行の迅速化と効率化を進めるとともに、指名報酬委員会を設置することで、役員の人事や報酬決定における公正性、客観性、透明性を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、株主総会で定められた限度額内で、取締役会が事業規模や業界水準を考慮して定めた報酬基準に基づき決定されます。指名報酬委員会の承認を受けた上で、各人の職責、経験、能力、実績を考慮して個別の報酬額が決定される仕組みです。監査役の報酬も、株主総会の限度額内で職責や実績に基づいて監査役の協議により決定されます。また、長期的な業績連動の性格を持たせるため、報酬の一部を自社株取得に充当する制度も導入されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 67百万円 | 9.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 6.7百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 25百万円 | 6.2百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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