※本記事は、株式会社光陽社の有価証券報告書(第78期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 光陽社ってどんな会社?
印刷や画像処理技術を核とした、環境配慮型製品やデジタルマーケティングを展開する企業です。
■(1) 会社概要
1949年の設立以来、オフセット印刷用写真版の製造販売を祖業とし、1989年に大証二部へ上場しました。その後、事業の統廃合や子会社の設立を進めながら印刷事業を拡大し、2013年に東証二部へ上場しました。2022年の市場再編で東証スタンダード市場へ移行し、2025年には名証メイン市場へ上場を果たしています。
同社グループは連結で172名、単体で152名の従業員を擁しています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は代表取締役社長である犬養岬太氏で、第2位は速見嘉弘氏、第3位には社外取締役の出身企業である新日本カレンダーが名を連ねており、経営陣と関係の深い個人や事業会社が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 犬養岬太 | 28.13% |
| 速見嘉弘 | 18.29% |
| 新日本カレンダー | 9.73% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は犬養岬太氏が務めており、取締役6名のうち2名が社外取締役となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 犬養岬太 | 代表取締役社長 | 2004年大和證券入社。2007年ugo入社。2013年光陽社に入社して顧問を務め、同年より現職。 |
| 八木浩志 | 取締役 | 1988年光陽社入社。関西事業本部長、営業本部長、西日本営業本部長などを経て、2015年より現職。 |
| 佐々木雅規 | 取締役 | 1998年光陽社入社。東日本営業本部企画開発部部長、サステナビリティ事業部部長を経て、2025年より現職。 |
| 小川杏介 | 取締役 | 2013年光陽社入社。業務本部部長を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、宮﨑安弘(新日本カレンダー代表取締役社長)、上條典夫(東京富士大学特任教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「製品制作」「印刷」「商品」の各部門を通じて印刷関連事業を展開しています。
■(1) 製品制作部門
デジタル対応した画像処理技術を核として、オフセット印刷用写真版、ディスプレイ、映像やマルチメディアコンテンツの制作および販売を行っています。顧客に製作物を納品し、検収された時点で収益を認識するビジネスモデルであり、運営は主に光陽社およびノコムが担当しています。
■(2) 印刷部門
企画からデザイン、DTP製作までのトータルフローを構築し、カラーマネジメントを強みとした印刷、加工、アッセンブリ、納品に至るワンストップサービスを提供しています。また、絵本の印刷や製本、配送なども手がけており、運営は光陽社、ニコモ、ノコムの各社が行っています。
■(3) 商品部門
ビジネスフォームや伝票、封筒、帳簿といった企業向けの各種印刷物や、印刷に関連する消耗品などの販売を行っています。商品を納品し、顧客の検収が完了した時点で収益を認識しており、本部門の運営は光陽社とノコムが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の連結業績を見ると、売上高は41億円から48億円へと着実な増収基調を描いています。経常利益も0.2億円から一時的に足踏みしたものの、直近では1億円を超える水準で安定しており、利益率も2%台後半に改善しています。環境配慮型印刷などの付加価値提案が奏功し、堅調な業績推移を見せています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 41億円 | 43億円 | 45億円 | 47億円 | 48億円 |
| 経常利益 | 0.2億円 | 0.9億円 | 1億円 | 1億円 | 1億円 |
| 利益率(%) | 0.4% | 2.1% | 2.4% | 2.2% | 2.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.3億円 | 0.6億円 | 1億円 | 0.6億円 | 0.8億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上高の増加に伴って売上総利益も10億円から11億円へと拡大し、売上総利益率は22.2%へと向上しています。これに伴い、営業利益も0.6億円から1億円へと伸長し、営業利益率は2.1%へ改善するなど、本業での収益力が着実に高まっていることが分かります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 47億円 | 48億円 |
| 売上総利益 | 10億円 | 11億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.5% | 22.2% |
| 営業利益 | 0.6億円 | 1億円 |
| 営業利益率(%) | 1.3% | 2.1% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が4億円(構成比43%)、賞与引当金繰入額が0.3億円(同3%)を占めており、人件費が主要なコスト要因となっています。
■(3) セグメント収益
主力の印刷部門が売上高40億円規模と全体の大半を牽引し、前年比でも安定した増収を達成しています。製品制作部門も堅調に推移しており、環境対応製品やデジタルマーケティング分野への提案強化が奏功し、部門全体として順調な成長基調を維持しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 製品制作部門 | 8億円 | 8億円 |
| 印刷部門 | 39億円 | 40億円 |
| 商品部門 | 0.2億円 | - |
| 連結(合計) | 47億円 | 48億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
当期のキャッシュ・フローは、営業CFと投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなる「改善型」のパターンを示しています。営業利益や保有資産の売却等によって得た資金を活用し、借入金の返済を進めることで財務体質の改善を図る局面にあると言えます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.1億円 | 1億円 |
| 投資CF | -0.8億円 | 0.2億円 |
| 財務CF | -1億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客様に喜ばれる“良いものづくり”を通じて、社会の進歩発展に貢献すると共に、全従業員の働きがいと幸せを追求する」ことを経営理念に掲げ、社会貢献と従業員の幸福の両立を目指した経営を行っています。
■(2) 企業文化
行動指針として「誠実(常に誠意をもって人に接する)」「創意(常に創意工夫を志す)」「確実(常に確実に職務を遂行する)」を制定しています。品質と顧客への誠実な対応を重視し、日々の業務を通じて改善を繰り返す組織風土を築いています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画(2025年度〜2027年度)の連結業績目標として、最終年度となる2028年3月期に以下の数値を掲げています。
* 売上高:52億円
* 営業利益:2億円
* 経常利益:2億円
■(4) 成長戦略と重点施策
今後は環境貢献につながる製品需要の増加を見込み、「カーボンゼロプリント」など独自の環境配慮型印刷の販路拡大を成長戦略の中心に据えています。また、デジタルマーケティングの提案力強化や、自社内の一貫生産体制を活かしたトータル物流サービスの提供を通じて、付加価値の向上と収益構造の強化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
企業価値の持続的向上のため、人材を最も重要な経営資源と位置づけています。作業の標準化と多能工化の推進により組織全体の生産性向上を図るとともに、資格取得支援や在宅勤務等の導入を通じて、多様な人材が能力を最大限に発揮できる社内環境の整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 48.2歳 | 17.6年 | 4,920,235円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には一部の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 印刷需要の減少
商業印刷を主力としているため、電子メディアの多様化やデジタルサイネージの普及に伴って印刷物の需要が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 受注価格の下落競争
印刷市場は小規模事業者が多数を占めており、競争の激化によって受注価格の下落が進んでいます。コストダウン等で収益性を確保していますが、想定以上の価格下落は業績を圧迫するリスクとなります。
■(3) 自然災害による事業停止
データバックアップ体制の複数拠点化等を行っていますが、地震や台風等の想定を超える自然災害が発生し、大規模なインフラ損壊や生産活動の停止が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす懸念があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。