※本記事は、株式会社光陽社 の有価証券報告書(第77期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 光陽社ってどんな会社?
商業印刷を主力とし、企画・デザインから製本・配送までの一貫体制を持つ老舗印刷会社です。
■(1) 会社概要
同社は1949年に大阪で設立され、オフセット印刷用写真版の製造販売を開始しました。1989年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、2013年には東京証券取引所市場第二部にも上場しました。その後、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行し、2025年には名古屋証券取引所メイン市場にも上場を果たしています。近年はデジタルコンテンツ制作や環境配慮型印刷にも注力しています。
2025年3月31日現在、連結従業員数は174名、単体従業員数は156名です。筆頭株主は代表取締役社長の犬養岬太氏で、第2位はカレンダーや扇子等の製造販売を行う新日本カレンダー、第3位は株式会社KKとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 犬養 岬太 | 27.20% |
| 新日本カレンダー | 9.41% |
| KK | 9.41% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は犬養岬太氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 犬 養 岬 太 | 代表取締役社長 | 大和證券、ugoを経て、2013年より現職。 |
| 八 木 浩 志 | 取締役 | 同社関西事業本部長、営業本部長、西日本営業本部長などを歴任し、2015年より現職。 |
| 佐 々 木 雅 規 | 取締役 | 同社東日本営業本部企画開発部部長、サステナビリティ事業部部長を経て、2025年より現職。 |
| 小 川 杏 介 | 取締役 | 同社業務本部部長を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、宮﨑安弘(新日本カレンダー代表取締役社長)、上條典夫(元電通執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「印刷関連事業」および「その他」事業を展開しています。
同社グループは印刷関連事業の単一セグメントですが、事業部門として以下の区分で事業を展開しています。
**(1) 製品制作部門**
デジタル対応した画像処理技術を核として、オフセット印刷用写真版、ディスプレイ、映像・マルチメディアコンテンツの制作を行っています。顧客は印刷会社や広告代理店、一般企業などが中心です。
収益は、顧客からの制作受注に対する対価として得ています。運営は主に同社およびノコムが行っています。
**(2) 印刷部門**
企画、デザイン、DTP製作から印刷、加工、アッセンブリ、納品までのワンストップサービスを提供しています。また、絵本の印刷、製本、配送も行っています。商業印刷物が主力製品です。
収益は、印刷物の製造・販売および関連サービス料から得ています。運営は同社、ニコモ、ノコムが行っています。
**(3) 商品部門**
ビジネスフォーム、伝票、封筒、帳簿等の企業の印刷物および印刷に関連する消耗品等を販売しています。
収益は、これらの商品の販売代金として得ています。運営は同社およびノコムが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は38億円から47億円へと着実に増加傾向にあります。経常利益は一時赤字となりましたが、その後は黒字化し、直近では1億円前後の水準で推移しています。当期純利益も黒字を維持していますが、利益率は低位で推移しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 38億円 | 41億円 | 43億円 | 45億円 | 47億円 |
| 経常利益 | -0.8億円 | 0.2億円 | 0.9億円 | 1.1億円 | 1.0億円 |
| 利益率(%) | -2.0% | 0.4% | 2.1% | 2.4% | 2.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -1.2億円 | 0.3億円 | 0.0億円 | 1.4億円 | 0.6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の45億円から47億円へ増加しました。売上総利益も微増していますが、営業利益は減少しており、利益率も低下しています。売上の伸びに対して利益の伸びが追いついていない状況です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 45億円 | 47億円 |
| 売上総利益 | 9.8億円 | 10.1億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.8% | 21.5% |
| 営業利益 | 0.7億円 | 0.6億円 |
| 営業利益率(%) | 1.6% | 1.3% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が4.1億円(構成比43%)を占めており、主要なコスト要因となっています。また、製造原価明細書(単体)によると、当期総製造費用のうち外注加工費が約19億円(構成比52%)、材料費が約8億円(同22%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、事業部門別の売上高を見ると、印刷部門が全体の大部分を占めており、前期比で増収となりました。製品制作部門も増収となりましたが、商品部門は減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 製品制作 | 7.6億円 | 7.6億円 |
| 印刷 | 37.6億円 | 39.4億円 |
| 商品 | 0.3億円 | 0.2億円 |
| 連結(合計) | 45億円 | 47億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.2億円 | 0.1億円 |
| 投資CF | 1.0億円 | -0.8億円 |
| 財務CF | -1.6億円 | -1.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.2%で市場平均とほぼ同水準です。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客様に喜ばれる“良いものづくり”を通じて、社会の進歩発展に貢献すると共に、全従業員の働きがいと幸せを追求する」ことを経営理念として掲げています。顧客満足と社会貢献、そして従業員の幸福を同時に実現することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、行動指針として「誠実」「創意」「確実」の3つを掲げています。常に誠意をもって人に接すること、創意工夫を志すこと、そして職務を確実に遂行することを重視する企業文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、2025年度から2027年度までの中期経営計画を策定しています。最終年度である2028年3月期における連結業績目標として、以下の数値を掲げています。
* 売上高:52億円
* 営業利益:1.5億円
* 経常利益:1.8億円
* 営業利益率:2.9%
* 経常利益率:3.5%
■(4) 成長戦略と重点施策
同社グループは、カーボンゼロプリント等の環境配慮型印刷の刷新や、企画から配送までの一貫生産体制を活かした提案営業、デジタルマーケティングの提案力強化を推進しています。また、生産工程の自動化や標準化プロジェクトによる品質・生産性の向上およびコスト削減にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、社員が成長し多様な業務に対応できるよう、作業の標準化や多能工化を進めています。また、資格取得の補助や、在宅勤務などの多様な勤務体系の導入、産休・育休制度の見直しを通じて、社員が安心して働き続けられる環境の整備と多様性の確保を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 47.6歳 | 16.9年 | 4,752,496円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.8% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法の規定による公表義務の対象ではないため記載を省略しています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 印刷需要の変動
同社グループの主力である商業印刷において、デジタルサイネージ等の電子メディアの多様化により、印刷物の需要が減少しています。新規顧客開拓や既存顧客深耕に注力していますが、想定以上に需要が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 受注価格の変動
印刷市場は小規模事業者が多く、競争激化により受注価格の下落が進んでいます。同社は付加価値の提供やコストダウンにより収益性の確保に努めていますが、想定以上に価格競争が激化した場合には、業績に悪影響が生じる可能性があります。
■(3) 自然災害
同社グループはデータバックアップの複数拠点化や安否確認システム導入等の対策を講じていますが、台風や地震などの大規模な自然災害により、会社インフラの損壊や生産活動の停止などの想定を超える被害が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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