※本記事は、サンメッセ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
サンメッセは、企画、デザイン、製版、印刷、製本といった印刷事業を主軸に、イベント事業も展開しています。同社グループは、多様な情報コミュニケーションニーズに応える総合的なサービスを提供しています。
単体従業員数は614名、連結従業員数は643名です。セグメントは印刷事業、イベント事業の2つです。
主な国内グループ会社は、日本イベント企画(イベント事業)、Sinc(印刷事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
サンメッセは、創業100周年に向けた変革期にあり、「総合コミュニケーション企業」への転換を目指しています。この変革を支える「人財」を重要な経営資本と位置づけ、多様な働き方や育成に力を入れています。従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、生きがいを持って働ける環境づくりを推進していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
サンメッセでは、従業員の平均年齢が43.8歳、平均勤続年数が22.16年となっており、長期間にわたってキャリアを築いている従業員が多い傾向が見られます。これは、同社が安定した雇用環境を提供し、従業員が腰を据えて働ける職場であることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,574,164円 |
| 平均勤続年数 | 22.16年 |
| 平均年齢 | 43.8歳 |
| 単体従業員数 | 614人 |
| 連結従業員数 | 643人 |
| 単体のグループ内比率 | 95.5% |
サンメッセは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。これらの制度は同社及び一部の連結子会社が対象です。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
同社の退職給付債務は23.6億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
サンメッセは、新経営ビジョン「Change -SX2035- 印刷を、超える。」の実現に向け、「人財」を最も重要な経営資本と位置づけ、人的資本への投資を経営戦略と連動させています。既存事業の専門人財育成に加え、DX・AI活用や新規事業開発を担う人財の確保・育成を推進し、多様な人財が能力を最大限発揮できる組織風土の醸成と健康経営を通じて、エンゲージメント向上とイノベーション創出を目指しています。
人事評価制度は改訂を進めており、人財のプロ化と目標達成に応じた成果主義を導入することで、社員の挑戦心と自律的な成長を促しています。給与体系は職務・役割に応じた等級制度と職能制度を採用し、業績目標の達成度や職務遂行能力を総合的に評価して昇給・賞与に反映する仕組みです。賞与は会社業績と個人評価を反映した変動型で、組織貢献度も評価に連動させ、公正性・透明性を確保するため半期ごとの考課会議やフィードバック面談を重視しています。
人財育成では、デジタル・IT関連教育に注力し、階層別・職種別教育として部署を越えた研修も実施しています。多様な働き方を推進するため、リモートワークや時短勤務を推奨しており、女性の産休・育休取得率・復帰率は100%です。また、男性の育児休暇取得も推奨し、制度を利用しやすい環境を構築しています。
多様性の推進においては、厚生労働省が定める「えるぼし認定」の最高位3つ星を取得しており、地域企業やNPOと連携したワークダイバーシティに関する「雇用施策検討会議」にも参画しています。労働安全衛生・健康経営にも力を入れ、「労働安全方針」の作成や労災体験会を実施するほか、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する健康経営優良法人2026(大規模法人部門)にも認定されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.2% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 54.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 71.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 93.6% |
社員エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 総合満足度 | 34.7% |
多様な働き方
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性の産休・育休取得率 | 100.0% |
| 女性の産休・育休復帰率 | 100.0% |
労働安全・健康経営
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 業務上災害件数 | 19件 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
サンメッセは、印刷事業とイベント事業を主軸に、顧客のコミュニケーションを多角的に支援する事業を展開しています。長年の経験で培った技術力と企画力を活かし、幅広いニーズに応えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、企画、デザイン、製版、印刷、製本及びこれらに関連する付帯事業を中心とした印刷事業と、イベント事業を主たる事業としています。これらの事業を通じて、顧客との対話と技術力で「感動をデザイン」することを目指しています。
印刷事業
商業印刷、出版印刷、包装・パッケージ印刷、コーポレート・コミュニケーション、情報コミュニケーション、IPS(情報処理サービス)、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、その他特殊印刷関連で構成されています。収益は、これらの多様な印刷関連サービスから得ています。運営は、サンメッセ、Sinc、Sun Messe(Thailand)Co.,Ltd.が行っています。
イベント事業
イベントの企画、運営を行っています。収益は、イベントの企画・実施に伴うサービス提供から得ています。運営は、日本イベント企画が行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 印刷事業 | 160億円 | 165億円 |
| イベント事業 | 4.8億円 | 6.1億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績推移を見ると、売上高は変動しながらも、当期は増加に転じています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、当期において大きく増加する傾向を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 166億円 | 171億円 | 166億円 | 164億円 | 171億円 |
| 経常利益 | 6.1億円 | 4.0億円 | 4.1億円 | 3.5億円 | 5.4億円 |
| 経常利益率 | 3.7% | 2.3% | 2.5% | 2.1% | 3.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.6億円 | 3.3億円 | 2.6億円 | 3.3億円 | 4.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 17.08 | 21.16 | 16.60 | 21.44 | 29.74 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、生産性が向上していることがうかがえます。また、従業員1人あたり営業利益も前期から増加しており、組織全体の収益を創出する力が強化されている状況です。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 24.8百万円 | 26.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.2百万円 | 0.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
サンメッセは、本業で安定した資金を生み出し、投資も行いながら、財務基盤を強化している状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は62.4%であり、プライム市場の製造業平均46.8%と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)は3.6%で、プライム市場平均の9.4%を下回っています。手元資金である現金及び預金は35.9億円と増加しており、財務の安定性を示す要素となっています。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも影響を与える基盤となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 119億円 | 142億円 |
| 自己資本比率 | 60.0% | 62.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.8% | 3.6% |
| 現金及び預金 | 30.1億円 | 35.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは9.4億円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費の増加などが主な要因です。投資活動によるキャッシュフローは△0.4億円の支出となり、定期預金の預入や有形固定資産の取得による支出があった一方で、投資有価証券の売却及び償還による収入もありました。財務活動によるキャッシュフローは△3.7億円の支出で、短期借入金の純増減額や長期借入金の返済、自己株式の取得による支出、配当金の支払いなどが主な要因となっています。
本業で安定した資金を生み出し、投資活動による支出を上回るフリーキャッシュフロー9.0億円を確保している状況です。これは、事業の持続的な成長と財務の安定性を示すものであり、入社後の雇用や給与の安定性につながる基盤となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 10.1億円 | 9.4億円 |
| 投資CF | △9.1億円 | △0.4億円 |
| 財務CF | △2.3億円 | △3.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 0.9億円 | 9.0億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主力事業である印刷事業は、ペーパーレス化の進行などの市場環境変化に直面しています。新たな事業領域での売上拡大が不十分な場合や、価格競争力向上のための原価削減施策が不十分な場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、事業を展開する市場において多数の企業と競合しており、価格競争が激化し受注価格の低下が発生しています。これらの努力で価格低下を吸収できない場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは円滑な労使関係の構築に努めていますが、労使間の交渉が不調に終わり、長期間に及ぶストライキなどが発生した場合、事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。その結果、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
サンメッセは、印刷を核としながらも、常に新しい技術革新に挑戦し、社会貢献を目指す企業です。持続的な成長と社会価値の創出を通じて、未来をデザインする組織文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
「常にお客さまを第一に考え、印刷を核に、持続的に発展し、社会に貢献すること」を経営理念としています。同社グループは「技術革新」「法令順守」「環境保護」の3つの経営基本方針を掲げ、最先端の技術革新に挑戦し、公正な企業活動と環境保全に努めています。2025年の創業90周年を機に、コーポレート・パーパス『対話(コミュニケーション)と技術力で、“感動をデザイン”する。』を制定しました。同社グループは「印刷を、超えた『総合コミュニケーション企業』へ」という新ビジョンの実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、コーポレート・パーパス『対話(コミュニケーション)と技術力で、“感動をデザイン”する。』のもと、お客さまを大切にする姿勢とものづくりへのこだわりを重視しています。あらゆるステークホルダーに「感動」という価値を創出することを目指しています。人材を「資本」と捉え、個々の成長を事業成果につなげる「人的資本経営」を推進しています。多様な人材が能力を最大限に発揮できる教育機会の提供や、ウェルビーイング向上に資する取り組みを積極的に進める企業風土です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、世界経済の不透明感や国内のコスト上昇、人手不足、原材料調達の不安といった厳しい経営環境に直面しています。印刷業界のデジタルシフトやペーパーレス化による市場構造の変化に対応するため、労働力不足への対応や生産プロセスのDX化が不可欠な課題です。新経営ビジョン実現に向け、「人的資本」と「DX」を重点テーマとしています。次世代リーダー育成や多様な人材が活躍できる環境整備、MIS整備やAI実装によるテクノロジー活用、サステナビリティ経営の推進に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
サンメッセは監査等委員会設置会社であり、取締役会は10名で構成され、そのうち3名が監査等委員である取締役です。同社グループは執行役員制度を導入し、業務執行機能の分離を推進しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
サンメッセの筆頭株主は株式会社大垣共立銀行です。上位株主にはサンメッセ従業員持株会や、田中義一氏をはじめとする個人株主が名を連ねています。これらの株主構成は、同社グループが金融機関や従業員、そして創業家とみられる個人によって支えられていることを示しています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大垣共立銀行 | 4.97% |
| サンメッセ従業員持株会 | 3.72% |
| 田中 義一 | 3.25% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性10名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長社長執行役員は田中信康氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田中尚一郎 | 代表取締役会長会長執行役員 | 1989年12月同社入社、2018年4月同社代表取締役社長社長執行役員営業本部長、2025年6月同社代表取締役会長会長執行役員より現職。 |
| 田中 信康 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1989年9月日興證券株式会社入社、2011年1月同社入社、2021年6月同社取締役専務執行役員、2025年6月同社代表取締役社長社長執行役員より現職。 |
| 伊東 覚 | 取締役専務執行役員IPS本部管掌 | 1984年4月同社入社、2011年6月同社取締役執行役員製造副本部長兼本社工場長、2023年6月同社取締役専務執行役員IPS本部長兼IPS製造部長、2026年4月同社取締役専務執行役員IPS本部管掌より現職。 |
| 由良 直之 | 取締役常務執行役員管理本部長兼総務部長 | 1984年4月同社入社、2015年6月同社取締役執行役員東京統括部長、2022年4月同社取締役常務執行役員営業本部長、2024年6月同社取締役常務執行役員管理本部長兼総務部長より現職。 |
| 衣斐 輝臣 | 取締役執行役員品質保証室長 | 1984年4月同社入社、2015年6月同社取締役執行役員管理本部長兼総務部長、2017年1月同社取締役執行役員品質保証室長より現職。 |
| 平野 高光 | 取締役執行役員営業本部長 | 1987年4月同社入社、2019年4月同社執行役員営業副本部長兼岐阜統括部長兼営業開発部長、2024年4月同社執行役員営業本部長、2024年6月同社取締役執行役員営業本部長より現職。 |
| 植田 浩暢 | 取締役執行役員製造本部長 | 1993年4月同社入社、2023年4月同社製造副本部長(DX推進担当)、2024年4月同社執行役員製造本部長、2025年6月同社取締役執行役員製造本部長より現職。 |
社外取締役は、石岡秀夫氏(石岡秀夫税理士事務所代表・監査等委員)、澁谷英司氏(澁谷英司公認会計士事務所所長・美濃窯業社外取締役(監査等委員)・J-MAX社外取締役(監査等委員)・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会、監査等委員会、会計監査人を設置しています。社外取締役は取締役会や監査等委員会に出席するだけでなく、執行役員会にもオブザーバーとして出席し、内部監査や会計監査とも連携して、取締役の職務執行を監視する体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
サンメッセの取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)の報酬は、固定報酬としての月額報酬と非金銭報酬である株式報酬で構成されています。一方、監査等委員である取締役の報酬は固定報酬としての月額報酬のみで構成されています。これらの報酬は、指名・報酬委員会の審議及び答申を踏まえ、取締役会で決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 8名 | 1.1億円 | 13.3百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 2名 | 6百万円 | 3.2百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 7百万円 | 3.6百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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