※本記事は、セキ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月12日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
セキは、印刷関連事業を主軸に、洋紙・板紙販売、出版・広告代理、美術館運営、カタログ販売、ECコンサルティングといった多岐にわたる事業を展開しています。同社グループは、これらの事業を通じて顧客の多様なニーズに応えています。
単体従業員数は308名、連結従業員数は484名です。同社グループの事業セグメントは、印刷関連事業、洋紙・板紙販売関連事業、出版・広告代理関連事業、美術館関連事業、カタログ販売関連事業、ECコンサルティング関連事業の6つです。
主な国内グループ会社は、エス・ピー・シー(出版・広告代・理関連事業)、コープ印刷(印刷関連事業)、関興産(美術館関連事・業)、こづつみ倶楽部(カタログ販売・関連事業)などです。
同社グループは、デジタルマーケティング事業強化のため、昨年8月に株式会社ピュアフラットを企業買収によりグループ化しました。また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
セキは印刷関連事業を主軸としつつ、環境配慮型印刷やECコンサルティングなど成長分野への投資も行う企業です。中・長期経営計画「Next200」を策定し、持続的な成長と人材への投資を重視しています。このような背景から、同社グループの給与水準や働き方には、安定性と同時に新たな挑戦を支える環境が期待できます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向が見られます。これは、長期にわたってキャリアを築きやすい環境が整っていることを示唆しています。安定した環境で専門性を深めたいと考える方にとって、魅力的な職場であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,648,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.7年 |
| 平均年齢 | 41.0歳 |
| 単体従業員数 | 308人 |
| 連結従業員数 | 484人 |
| 単体のグループ内比率 | 63.6% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。この制度は国内グループ会社に適用されます。退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は3.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
セキは、人材を持続的な成長の源泉となる最も重要な経営資源と位置付け、中・長期経営計画「Next200」のもと人的資本への投資を継続的に拡大しています。2024年7月には、企業理念体系「SEKI BRAND PHILOSOPHY」を策定し、パーパス「次代の歓びをつくる。」、ミッション「課題を希望に変える。」、そして7つのバリューを全役職員共通の行動指針としています。
同社は、紙媒体からデジタルへの事業構造転換に対応するため、印刷技術に加え、デジタルマーケティングやECコンサルティング、BPOといった成長分野を担う人材の育成を最重要課題としています。生成AIの活用研修やDX関連のリスキリングを推進し、タレントマネジメントシステムの導入を通じて適材適所の配置と計画的な人材育成の高度化を図る方針です。
また、社員が安心して長く活躍できる職場環境の実現に向け、働き方改革と健康・福祉の充実にも取り組んでいます。所定外労働の削減や有給休暇の取得促進、男性を含む育児休業の取得推進、出産・子育て等による退職者の再雇用制度などを進め、オフィス環境の整備も多年度計画で推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 61.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 75.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(有期労働者) | 40.9% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性の育児特別休暇取得率 | 100.0% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率 | 68.3% |
| 再雇用の拡大 | 申し出及び実績なし |
| 所定外労働の削減 | 実績あり |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
セキは、印刷関連事業を主軸に、洋紙・板紙販売、出版・広告代理、美術館運営、カタログ販売、そしてECコンサルティングといった多岐にわたる事業を展開しています。同社グループは、これらの事業を通じて顧客の多様なニーズに応え、収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
セキグループは、印刷関連事業を中核としつつ、幅広い分野で事業を展開しています。印刷用紙やインキなどの原材料価格高騰や人件費増加といった外部環境の変化に対応しながら、パッケージ分野への投資やデジタルマーケティング事業の強化を進めています。特に、ECコンサルティング関連事業はM&Aにより新たにグループに加わり、デジタル分野での顧客課題解決に注力しています。
印刷関連事業
出版印刷物、商業印刷物、紙器加工品の製造販売、新聞印刷の受託、発送梱包作業、広告制作などを行っています。
収益は、出版・商業印刷物、紙器加工品、新聞印刷の製造販売から得ています。運営は、セキ、コープ印刷、有限会社渡部紙工、メディアプレス瀬戸内、メディア発送、株式会社ユニマツク・アドが行っています。
洋紙・板紙販売関連事業
洋紙・板紙の販売を行っています。
収益は、洋紙・板紙の販売から得ています。運営は、セキが行っています。
出版・広告代理関連事業
書籍、雑誌の出版と広告代理業を行っています。
収益は、出版・広告代理店収入から得ています。運営は、株式会社エス・ピー・シーが行っています。
美術館関連事業
美術館の設置と運営を行っています。
収益は、美術館収入から得ています。運営は、セキ、関興産が行っています。
カタログ販売関連事業
カタログによるオフィス関連用品の販売や、地域特産品などを販売するカタログ制作を行っています。
収益は、カタログ販売・製作から得ています。運営は、セキ、有限会社こづつみ倶楽部が行っています。
ECコンサルティング関連事業
ECモールでの売上向上支援を中心としたECコンサルティングを提供しています。
収益は、ECコンサルティングから得ています。運営は、株式会社ピュアフラットが行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 印刷関連事業 | 89.5億円 | 89.4億円 |
| カタログ販売関連事業 | 16.5億円 | 14.2億円 |
| 出版・広告代理関連事業 | 13.5億円 | 13.1億円 |
| 洋紙・板紙販売関連事業 | 3.5億円 | 3.6億円 |
| ECコンサルティング関連事業 | - | 1.1億円 |
| 美術館関連事業 | 3百万円 | 3百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5連結会計年度の業績を見ると、売上高は概ね110億円から120億円台で推移しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は変動が見られ、特に当期は経常利益が前期から大きく減少しました。営業利益は当期に営業損失を計上しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 112億円 | 119億円 | 120億円 | 123億円 | 121億円 |
| 経常利益 | 4.2億円 | 5.9億円 | 4.8億円 | 4.5億円 | 1.9億円 |
| 経常利益率 | 3.8% | 5.0% | 4.0% | 3.7% | 1.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.2億円 | 4.3億円 | 3.7億円 | 2.8億円 | 2.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 77.76 | 103.12 | 87.70 | 67.32 | 60.74 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益は、前期はプラスでしたが当期は営業損失を計上したことによりマイナスとなりました。これは、原材料価格やユーティリティー費の高騰、人件費の増加、新規設備投資による償却負担、M&A関連費用やのれんの償却費用の発生などが影響していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 26.6百万円 | 25.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.5百万円 | △0.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で得た資金を成長投資に充てている状況です。財務基盤の厚みと資金の流れから、現在の経営状況を読み解くことができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
セキの自己資本比率は83.6%となっており、プライム市場の製造業平均46.8%と比較して高い水準を示しています。これは、同社の財務基盤が非常に安定していることを示しています。ROE(自己資本利益率)は当期で1.6%となり、プライム市場平均の9.4%を下回っています。手元資金である現金及び預金は37.0億円あり、不況時にも耐えうる資金を確保している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 158億円 | 165億円 |
| 自己資本比率 | 82.9% | 83.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 1.8% | 1.6% |
| 現金及び預金 | 42.6億円 | 37.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業活動によるキャッシュ・フローは5.2億円のプラスとなりましたが、前期の8.0億円と比較すると減少しています。これは主に、減価償却費や税金等調整前当期純利益、売上債権の減少額が増加要因となった一方で、有価証券売却益や法人税等の支払額が減少要因となったためです。
投資活動によるキャッシュ・フローは9.0億円のマイナスとなり、前期の7.9億円のマイナスから支出が増加しています。これは定期預金の預入や連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得、有形固定資産の取得、投資有価証券の取得による支出が主な要因です。
財務活動によるキャッシュ・フローは1.7億円のマイナスとなり、親会社の配当金の支払額や長期借入金の返済による支出が主な減少要因となっています。結果として、フリーキャッシュ・フローは3.9億円のマイナスとなり、本業で得た資金を上回る投資を行っている成長投資フェーズにあることが示されています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.0億円 | 5.2億円 |
| 投資CF | △7.9億円 | △9.0億円 |
| 財務CF | △1.7億円 | △1.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 0.1億円 | △3.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループが属する印刷業界では、情報媒体のデジタルシフトにより紙関連媒体の需要が減少し、同業者間の受注競争が激化しています。これにより、受注単価が下落する傾向にあります。
また、原油価格の高騰や製紙メーカーの停抄・減産により、印刷用紙の仕入価格が上昇する事態となれば、洋紙・板紙販売関連事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループでは、人的要因による製造工程上の不備などにより製品の欠陥が生じた場合、損害の求償や業績の低下により印刷関連事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
セキは、持続的な成長と社会貢献を重視し、明確な経営理念と行動指針のもとで事業を展開しています。市場の変化に柔軟に対応しながら、品質、環境、情報セキュリティといった多角的な視点から企業価値向上を目指す企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
セキは、企業理念体系「SEKI BRAND PHILOSOPHY」を掲げ、パーパスとして「次代の歓びをつくる。」、ミッションとして「課題を希望に変える。」を目指しています。同社グループは、市場構造の変革に機動的かつ柔軟に対応し、経営の合理化と効率化を推進することで、収益性の高い企業体質を構築し、持続的な成長を確保していくことを経営方針としています。また、中・長期計画「Next200」を策定し、次の200年に向けた持続的かつ安定的な経営基盤の構築と成長分野への投資による業域拡大を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
セキは、企業理念体系「SEKI BRAND PHILOSOPHY」において、大切にする価値観として「7つのバリュー」を策定しています。これらは全役職員に共通する行動指針であり、社員一人ひとりが仕事に体現することで、顧客や地域社会とともに新たな価値を生み出す企業であり続けることを目指しています。同社グループは、人材を持続的な成長の源泉となる重要な経営資源と位置付け、人的資本への投資を継続的に拡大しています。採用や人事登用においては、性別、国籍、年齢、性格、学歴、価値観などを個々の個性として尊重し、多様な人材が活躍できる組織づくりを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
セキグループは、持続的な成長に向けた重点経営課題として、経営規模に応じた最適な組織体制の構築、環境配慮型経営の推進、社内投資の推進を掲げています。環境保護と環境負荷の低減に向けては、「ISO14001」に基づく取り組みや「FSC認証紙」の取り扱い、グリーンプリンティング工場認定などを通じて、環境配慮型経営を推進しています。また、情報セキュリティ委員会を組織し、最高情報責任者(CISO)を設置してIT統制と情報セキュリティを強化・推進しており、個人情報保護マネジメントシステム(PMS)を軸に個人情報の適切な保護にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
セキグループは、株主価値の最大化と永続的な発展を目指し、経営の効率化と経営管理体制の改善に継続的に取り組んでいます。適時かつ正確な情報開示を通じて透明性を高め、コンプライアンスやリスク管理の徹底を図ることで、コーポレート・ガバナンスの充実に努めていることがうかがえます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は関啓三氏であり、創業家が経営に深く関与している体制であることが示されています。また、有限会社宏栄興産や公益財団法人関奉仕財団といった関連性の高い組織が上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 関 啓三 | 20.53% |
| 有限会社宏栄興産 | 11.77% |
| 公益財団法人関奉仕財団 | 6.45% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は関宏孝氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 関 宏孝 | 取締役社長代表取締役 | 2008年10月同社入社、2010年6月取締役事業開発室長、2017年4月代表取締役社長より現職。 |
| 関 啓三 | 取締役会長代表取締役 | 1975年6月同社入社、1988年5月代表取締役社長、2017年4月代表取締役会長より現職。 |
| 関 宏晃 | 専務取締役製造本部長経営管理本部長 | 2014年7月同社入社、2020年6月常務取締役製造本部長、2024年4月専務取締役製造本部長兼経営管理本部長より現職。 |
| 松友 孝之 | 取締役松山本社事業本部長 | 1995年4月同社入社、2012年6月取締役経営管理本部長、2021年4月取締役松山本社事業本部長より現職。 |
| 岡田 克志 | 取締役 | 1984年8月エス・ピー・シー入社、2010年4月同社代表取締役
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 97百万円 | 24.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 9百万円 | 9.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 3百万円 | 0.8百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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