ヴィア・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヴィア・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヴィア・ホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、「やきとりの扇屋」や「パステル」等の飲食店を展開する外食サービス企業です。直近の業績は、売上高が前期比微増の174億円となった一方、原材料費や人件費などの営業コスト増加を吸収できず、営業損益は6800万円の赤字に転落しました。


※本記事は、株式会社ヴィア・ホールディングスの有価証券報告書(第90期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヴィア・ホールディングスってどんな会社?


外食サービス事業において、居酒屋からレストランまで幅広いブランドを展開するホールディングスカンパニーです。

(1) 会社概要


1948年に暁印刷として設立され、2001年に外食サービス事業へ参入しました。2004年に扇屋コーポレーションを子会社化したのち、2005年に持株会社体制へ移行し現在の社名に変更しています。その後もM&Aにより紅とんや一源等の事業を取得し、外食企業としての規模とブランドポートフォリオを拡大してきました。

現在の従業員数は連結で383名、単体で36名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は事業会社のアサヒビールで、第2位および第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
アサヒビール 6.99%
横川 てるよ 4.70%
横川 紀夫 4.32%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は楠元健一郎氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
楠元 健一郎 代表取締役社長 1988年大和銀行入行。2012年同社へ出向し執行役員等を経て、2017年入社。2021年4月より現職。
石岡 健生 取締役兼専務執行役員 1991年アイク入社。2009年紅とん入社。2021年同社取締役等を経て、2024年4月より現職。
関川 周平 取締役兼常務執行役員 2005年同社入社。企画副本部長や子会社代表等を経て、2024年4月より現職。


社外取締役は、髙橋康忠(元物語コーポレーション取締役)、古川徳厚(グロースパートナーズ代表取締役)、仮屋裕一(グロースパートナーズ入社)、枝伸(アサヒビール常勤監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「外食サービス事業」の単一セグメントとして展開しています。

(1) 扇屋・紅とん業態(居酒屋関連)


小型飲食店舗を中心とした居酒屋・焼鳥業態を展開し、幅広い顧客層へ食事と空間を提供しています。主なブランドとして、焼鳥店「備長扇屋」「やきとりの扇屋」、刺身居酒屋「魚や一丁」、地域密着型総合居酒屋「いちげん」、炭火串焼き専門店「日本橋紅とん」などを含みます。

主に一般顧客に飲食サービスを提供し、飲食代金を受け取ることで収益を得るモデルです。一部のブランドではフランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入も得ています。運営は、扇屋東日本、扇屋西日本、一丁、一源、紅とんの各子会社が行っています。

(2) フードリーム業態(レストラン関連)


ショッピングセンター内を中心にレストラン業態を展開し、ファミリー層をはじめとする多様な顧客に食事を提供しています。代表的なブランドには、イタリアンレストラン「パステル」、中華料理「双喜亭」、ステーキ専門店「ステーキハウス松木」などがあります。

来店した一般顧客に対し、食事やデザートなどを提供した対価として代金を受け取ることで収益を獲得しています。商業施設内の集客力を活かした店舗展開が特徴であり、本事業の運営は子会社のフードリームが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は落ち込みから徐々に回復傾向にあり、170億円台で推移しています。一方、経常損益は各種コストの高騰や経営環境の変化により赤字と黒字を行き来しており、当期は再び経常赤字となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 103億円 146億円 170億円 174億円 174億円
経常利益 -8億円 -10億円 2億円 1億円 -2億円
利益率(%) -8.1% -6.9% 1.5% 0.7% -0.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -6.2億円 -9.9億円 2.1億円 0.5億円 -5.4億円

(2) 損益計算書


売上高はほぼ横ばいを維持したものの、原材料費や物流費の高騰などにより売上総利益率は低下しています。これに加えて人件費の増加などの影響を吸収できず、営業利益は赤字に転落しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 174億円 174億円
売上総利益 117億円 115億円
売上総利益率(%) 67.3% 66.1%
営業利益 2億円 -0.7億円
営業利益率(%) 1.1% -0.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が52億円(構成比45%)、賃借料が18億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は外食サービス事業の単一セグメントであるため、事業全体の売上高を記載します。客単価の上昇により全体としては微増収となりましたが、既存店の客数減少等の課題もみられています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
外食サービス事業 174億円 174億円
連結(合計) 174億円 174億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-43.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も18.7%で市場平均を下回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 1億円 2億円
投資CF -5億円 -4億円
財務CF -4億円 3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「心が響きあう価値の創造」を企業理念に掲げています。顧客の心のニーズに応え、喜びと感動に満ちた新しい価値のイノベーションに果敢に取り組み、ステークホルダーにとって信頼される企業を目指しています。食の安全・安心・健康をテーマとし、品質の追求等を通じてライフスタイルの価値を具現化します。

(2) 企業文化


コンプライアンスの基本原則として、「相互の人格・個性を尊重し、オープンで公正な企業文化の構築を通じた、グループで働く人々の生きがいや幸福実現」を掲げています。風通しの良い企業風土を重視し、差別の禁止や各種ハラスメントの禁止などを行動規範として定め、倫理的な企業文化の構築に努めています。

(3) 経営計画・目標


同社は2028年3月期を最終年度とする「中期経営計画2028」を発表しており、強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を目指しています。

・売上高:224億円
・営業利益:9億円
・営業利益率:4%
・店舗数:309店舗

(4) 成長戦略と重点施策


持続的な成長を実現するため、新たな経営戦略「未来計画Next」を推進しています。集客力・収益性の高い好立地への出店や新コンセプトの業態開発、従業員のリスキリングによる労働生産性の向上等により、収益力の改善を徹底する方針です。また、食の安全・安心の確保や持続可能な調達にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「社員を豊かに幸せに出来る会社」という経営理念のもと、すべての従業員が能力を発揮できるよう「総活躍」を全社方針に掲げています。公平な評価と成長機会の提供、多様な働き方の支援などを強化し、個人と組織のパフォーマンス最大化を図ることで、組織全体の活性化と企業価値の向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 48.6歳 14.3年 5,824,000円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.4%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.5%
男女賃金差異(正規) 86.7%
男女賃金差異(非正規) 98.5%


※上記は主要子会社である扇屋東日本のデータです。提出会社単体は公表義務の対象外のため開示されていません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 感染症拡大による影響


新たな感染症の発生や拡大があった場合、渡航制限や外出制限などの措置により日常生活や経済活動に制約が生じ、売上高の減少や仕入価格の高騰等のコスト増が発生するリスクがあります。

(2) 食品安全性と食材仕入


食中毒などの衛生問題や食材の安全性に関わる問題が発生した場合、売上高の急激な落ち込みにつながる可能性があります。また、天候不順等により原材料が高騰した場合、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 法的規制について


外食店舗の営業に係る食品衛生法や労働基準法等の各種法的規制を受けており、これらが強化された場合に対応のための新たな費用が発生し、業績等に影響を与える可能性があります。

(4) 季節変動や天災等


売上は夏場や各種イベントなどの時期に依存する傾向があります。そのため、酷暑、大型台風、豪雪などの天災等が発生した場合、見込んでいた売上が伸び悩み、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。