ヴィア・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヴィア・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の外食チェーン企業。「備長扇屋」「パステル」「魚や一丁」などのブランドで、焼鳥居酒屋やレストランを全国展開しています。第89期(2025年3月期)の連結業績は、売上高が前期比2.3%増の174億円と増収を確保しましたが、経常利益は同50.7%減の1.2億円と減益になりました。


※本記事は、株式会社ヴィア・ホールディングス の有価証券報告書(第89期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヴィア・ホールディングスってどんな会社?


焼鳥居酒屋「備長扇屋」やイタリアン「パステル」など、多様なブランドの外食チェーンを展開する企業です。

(1) 会社概要


1948年に前身となる暁印刷が設立されました。2001年に焼鳥居酒屋「備長扇屋」のフランチャイズ1号店を開店し、外食サービス事業に参入。2004年にジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。2005年に現在の商号へ変更し、持株会社体制へ移行してグループを再編。2016年には東京証券取引所市場第一部へ市場変更を行っています。

従業員数は連結380名、単体35名です。筆頭株主は主要取引先であるアサヒビールで、第2位および第3位は創業家等の個人株主が名を連ねています。

氏名 持株比率
アサヒビール 6.99%
横川 てるよ 4.70%
横川 竟 4.44%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は楠元 健一郎氏で、社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
楠 元 健 一 郎 代表取締役社長 1988年大和銀行(現りそな銀行)入社。2012年同社へ出向し執行役員等を歴任。2017年同社入社、常務執行役員。2021年4月より現職。
石 岡 健 生 取締役兼専務執行役員 1991年アイク入社。2009年紅とん入社。扇屋東日本取締役、紅とん代表取締役社長等を経て、2024年4月より現職。
関 川 周 平 取締役兼常務執行役員 2005年同社入社。執行役員企画部長、フードリーム代表取締役社長等を経て、2024年4月より現職。
横 川 正 紀 取締役 1996年暁印刷(現同社)入社。ウェルカム代表取締役、同社執行役員副社長等を経て、2023年6月より現職。
髙 田 弘 明 取締役 1988年弁護士登録。1994年暁総合法律事務所に名称変更。2008年6月より現職。
井 上 晴 孝 取締役 1985年弁護士登録。1988年井上晴孝法律事務所開設。2020年7月より現職。
北 島 亜 紀 取締役 2003年税理士登録。2017年あおい会計社代表税理士。2022年6月より現職。
髙 橋 康 忠 取締役 2006年物語コーポレーション入社。同社常務執行役員等を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、髙田 弘明(弁護士)、井上 晴孝(弁護士)、北島 亜紀(税理士)、髙橋 康忠(元物語コーポレーション常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「外食サービス事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 焼鳥・居酒屋事業


「備長扇屋」「やきとりの扇屋」「日本橋紅とん」などのブランドで、焼鳥や串焼きを中心とした居酒屋を展開しています。駅前立地や郊外ロードサイドなど、それぞれの業態に合わせた出店戦略をとり、幅広い顧客層に日常的な食事や宴会の場を提供しています。

収益は、直営店における一般顧客からの飲食代金およびフランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入等です。運営は、主に関東・東北・東海エリアを株式会社扇屋東日本、関西・東海エリア等を株式会社扇屋西日本、都内を中心とした串焼き店を株式会社紅とんが行っています。

(2) レストラン・専門店事業


「パステル」「ステーキハウス松木」「魚や一丁」「いちげん」などのブランドを展開しています。「パステル」ではなめらかプリンやパスタ、「魚や一丁」では北海道の鮮魚料理など、専門性の高いメニューをショッピングセンターやターミナル駅周辺で提供しています。

収益は、直営店における一般顧客からの飲食代金およびフランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入等です。運営は、株式会社フードリーム(パステル等)、株式会社一丁(魚や一丁)、株式会社一源(いちげん)がそれぞれ行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は回復基調にあります。特に直近2期は170億円規模まで戻しています。利益面では、経常損益が赤字の時期もありましたが、直近2期は黒字化しています。一方、当期利益は変動が見られ、安定的な収益基盤の確立が課題といえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 122億円 103億円 146億円 170億円 174億円
経常利益 -25億円 -8億円 -10億円 2億円 1億円
利益率(%) -20.9% -8.1% -6.9% 1.5% 0.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -40億円 -6億円 -10億円 2億円 0.5億円

(2) 損益計算書


直近2期間の傾向を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は67.3%から67.4%と高い水準を維持しています。一方、営業利益は減益となっており、人件費や原材料費などのコスト増加が利益を圧迫している様子がうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 170億円 174億円
売上総利益 114億円 117億円
売上総利益率(%) 67.4% 67.3%
営業利益 3億円 2億円
営業利益率(%) 1.9% 1.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が51億円(構成比44%)、賃借料が18億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


各事業会社とも売上高は概ね横ばいか微増で推移しています。扇屋東日本や扇屋西日本、紅とんなどは増収を確保しましたが、フードリームは減収となりました。利益面では、扇屋西日本以外は経常損失となっており、各社とも収益性の改善が課題となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
(株)扇屋東日本 48億円 50億円 -億円 -0.4億円 -0.9%
(株)扇屋西日本 33億円 34億円 -億円 0.0億円 0.1%
(株)フードリーム 53億円 52億円 -億円 -0.7億円 -1.3%
(株)一丁 6億円 6億円 -億円 -億円 -%
(株)一源 11億円 12億円 -億円 -億円 -%
(株)紅とん 19億円 20億円 -億円 -0.5億円 -2.6%
連結(合計) 170億円 174億円 2億円 1億円 0.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で獲得した現金を、借入金の返済や店舗への設備投資に充てている「改善型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 6億円 1億円
投資CF -2億円 -5億円
財務CF -2億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-1.6%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は18.1%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「心が響きあう価値の創造」を企業理念として掲げています。顧客の「心のニーズ」に応え、喜びと感動に満ちた新しい価値のイノベーションに取り組み、すべてのステークホルダーから信頼される企業を目指しています。食の安全・安心・健康をテーマに、品質の追求とサービスの提供を通じてライフスタイルにおける価値を具現化します。

(2) 企業文化


「社員を豊かに幸せに出来る会社」という経営理念のもと、従業員の成長と幸せを重視する文化があります。「総活躍」を全社方針として掲げ、個人と組織のパフォーマンス最大化に取り組んでいます。グループ会社の自主性・独立性を尊重しつつ、グループ全体での生産性と効率性を追求する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


事業再生計画に基づき、強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的改善を目指しています。2026年3月期の数値目標として、以下の指標を掲げています。

* 売上高:180億円
* 営業利益:10億円
* 営業利益率:6%

(4) 成長戦略と重点施策


「未来計画"Next"」を推進し、持続的な成長を目指しています。具体的には、集客力・収益性の高い好立地への出店、新コンセプトの業態開発、新たなテクノロジーの導入によるオペレーション合理化、業態実験の知見を既存店へ導入することによる収益力改善に取り組んでいます。また、人材への投資や財務基盤の強化も重要課題としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「総活躍」を方針に掲げ、従業員一人ひとりの個性や強みを見極め、自律的な成長を支援しています。OJTや社内留学制度、階層別研修などを通じてスキル習得を促進し、女性や外国人、高齢者など多様な人材の登用を推進しています。また、公平な評価制度やキャリアプラン構築支援、働きやすい職場環境の整備により、従業員エンゲージメントの向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 48.1歳 13.3年 5,573,000円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.2%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 93.5%
男女賃金差異(正規雇用) 90.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 99.3%


※数値は連結子会社である株式会社扇屋東日本のものです。男性育児休業取得率については、該当者がいなかったため算出されていません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食品安全性と食材仕入


BSEや鳥インフルエンザなどの食材の安全性に関わる事態や、食中毒等の衛生問題が発生した場合、売上高の減少など業績に影響を及ぼす可能性があります。また、天候不順等による原材料の調達難や価格高騰が生じた場合も、業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(2) 法的規制について


食品衛生法や労働基準法など、外食店舗の営業に係る各種法的規制や制限を受けています。これらの規制が強化された場合、対応費用の発生により業績に影響する可能性があります。また、将来の消費税率引き上げに伴う個人消費の落ち込みもリスク要因となります。

(3) 人財の確保及び育成について


継続的な新規事業開発や店舗展開を進める方針ですが、十分な人財の確保・育成ができない場合、サービス低下や出店計画の遅れ等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。労働人口の減少が進む中、多様な人材の確保と育成が重要課題となっています。

(4) 有利子負債依存度について


出店資金等を主に金融機関からの借入により調達しているため、総資産に占める有利子負債の割合が高い水準にあります。金利上昇や、財務制限条項への抵触による期限の利益喪失が生じた場合、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。