※本記事は、リケンテクノス株式会社 の有価証券報告書(第96期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. リケンテクノスってどんな会社?
コンパウンド、フイルム、食品包材の製造販売を行う化学メーカーです。独立系企業として多分野へ展開しています。
■(1) 会社概要
1951年に理研ビニル工業として設立され、塩化ビニルコンパウンドの製造を開始しました。1961年に東証二部、1974年に東証一部へ上場し、2001年に現社名へ変更しました。タイ、米国、インドネシア等に拠点を設立して海外展開を加速させ、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しています。
連結従業員数は1,886人、単体では780人です。筆頭株主は資産管理を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は主要な仕入先であり取引関係を持つ化学メーカーの信越化学工業です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 10.79% |
| 信越化学工業 | 4.62% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.90% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長執行役員は常盤和明氏です。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 常盤 和明 | 代表取締役社長執行役員 | 1983年入社。RIMTEC CORPORATION営業部長、経営企画室長などを経て2016年4月より現職。 |
| 入江 淳二 | 代表取締役副社長執行役員管理本部長 | 1981年富士銀行(現みずほ銀行)入行。2011年同社入社。法務・コンプライアンス室長、管理本部長などを経て2025年4月より現職。 |
| 梶山 学之 | 取締役専務執行役員営業本部長 | 1985年入社。RIKEN ELASTOMERS CORPORATION取締役社長、経営企画本部長などを経て2025年4月より現職。 |
| 小川 智三 | 取締役常務執行役員ものづくり統括本部長兼購買本部長 | 1996年入社。製造本部長、埼玉工場長、購買本部長などを経て2025年4月より現職。 |
| 島田 髙志 | 取締役(常勤監査等委員) | 1984年入社。製造本部長、品質保証本部長、リケンケーブルテクノロジー代表取締役社長などを経て2024年6月より現職。 |
社外取締役は、江原茂(元SOMPOホールディングス代表取締役専務執行役員)、末村あおぎ(末村あおぎ公認会計士事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「トランスポーテーション」「デイリーライフ&ヘルスケア」「エレクトロニクス」「ビルディング&コンストラクション」および「その他」事業を展開しています。
■(1) トランスポーテーション (TR)
自動車、鉄道、船舶市場等に向けた製品を提供しています。主な製品は、内装部品や外装部品に使用されるコンパウンド(合成樹脂材料)やフイルムです。アジアや北米市場でのプレゼンス確立と、自動車分野の機能部品販売強化を戦略としています。
収益は、自動車メーカーや部品メーカー等の顧客への製品販売により得ています。運営は、リケンテクノスに加え、米国のRIKEN AMERICAS CORPORATION、タイのRIKEN (THAILAND) CO.,LTD.などの海外現地法人が製造・販売を行っています。
■(2) デイリーライフ&ヘルスケア (DH)
医療、生活資材、食品包材市場等に向けた製品を提供しています。主な製品には、医療用チューブや輸液バッグ等のコンパウンド、食品用ラップ等のフイルム・食品包材があります。医療・ヘルスケアおよび生活資材分野での高付加価値製品の拡充を進めています。
収益は、医療機器メーカーや食品加工業者、流通業者等への製品販売から得ています。運営はリケンテクノスのほか、中国の理研食品包装(江蘇)有限公司などが担っており、食品包材分野では同社グループが製造・販売を行っています。
■(3) エレクトロニクス (EL)
エネルギー、情報通信、IT機器市場等に向けた製品を提供しています。電線被覆材等のコンパウンドや、光学分野で使用されるフイルムなどを展開し、情報インフラへの貢献やオンリーワン製品の開発を目指しています。
収益は、電線メーカーや電子機器メーカー等への製品販売により得ています。運営はリケンテクノスおよび連結子会社のリケンケーブルテクノロジー等が担い、海外拠点を通じたグローバルな供給体制を構築しています。
■(4) ビルディング&コンストラクション (BC)
住宅、ビル、建築資材、土木市場等に向けた製品を提供しています。建具や床材、壁紙等に使用されるコンパウンドや建装用フイルムなどを扱い、機能的で環境に優しい空間部材の提供を行っています。
収益は、建材メーカーや建設業者等への製品販売から得ています。運営はリケンテクノスや株式会社アイエムアイなどが担当し、住宅・非住宅市場向けに幅広く事業を展開しています。
■(5) その他
報告セグメントに含まれない事業として、原材料の仕入・販売などを行っています。
収益は、原材料の販売等により得ています。運営はリケンテクノスおよび一部の関係会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実な増加傾向にあり、第92期の882億円から第96期には1,281億円へと成長しています。利益面でも、経常利益、当期純利益ともに増加基調を維持しており、利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 882億円 | 1,099億円 | 1,235億円 | 1,257億円 | 1,281億円 |
| 経常利益 | 57億円 | 69億円 | 80億円 | 95億円 | 106億円 |
| 利益率(%) | 6.4% | 6.3% | 6.4% | 7.6% | 8.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 27億円 | 36億円 | 42億円 | 66億円 | 69億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益が増加しています。営業利益率も向上しており、収益性が高まっています。売上原価率は微減しており、コストコントロールが機能している様子がうかがえます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,257億円 | 1,281億円 |
| 売上総利益 | 219億円 | 243億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.4% | 19.0% |
| 営業利益 | 88億円 | 105億円 |
| 営業利益率(%) | 7.0% | 8.2% |
販売費及び一般管理費のうち、支払運賃が40億円(構成比28.6%)、給料及び賞与が30億円(同21.5%)を占めています。
■(3) セグメント収益
トランスポーテーションおよびデイリーライフ&ヘルスケア事業が売上増を牽引しています。一方、エレクトロニクスおよびビルディング&コンストラクション事業は前年比で減収となりましたが、全体としては増収を確保しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| トランスポーテーション | 400億円 | 411億円 |
| デイリーライフ&ヘルスケア | 341億円 | 368億円 |
| エレクトロニクス | 250億円 | 247億円 |
| ビルディング&コンストラクション | 266億円 | 255億円 |
| その他 | 0.6億円 | 0.7億円 |
| 調整額 | 10億円 | 14億円 |
| 連結(合計) | 1,257億円 | 1,281億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
リケンテクノスは、営業活動を通じて得られた資金が前連結会計年度に比べて増加し、健全な事業運営を示しています。投資活動では、設備投資や無形資産への投資、有価証券の売却などが行われました。財務活動では、自己株式の取得や配当金の支払いが行われ、資金の流出が見られました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 108億円 | 115億円 |
| 投資CF | -17億円 | -32億円 |
| 財務CF | -111億円 | -65億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「リケンテクノス ウェイ」を経営理念とし、「すべての生活空間に快適さを提供するリーディングカンパニー」を目指しています。「Comfort for all life spaces」を掲げ、独創的な科学と技術の力で、世界中の人々の豊かな暮らしと地球環境の持続可能性に貢献することを社会的使命としています。
■(2) 企業文化
「チャレンジャー」としての精神を重視し、「できないとは言わない」「有言実行」「他人の能力を信じて任せる」といった価値観を行動指針として掲げています。失敗を恐れずに挑戦し、顧客の信頼に応えるために自ら考え行動することを推奨する企業風土があります。
■(3) 経営計画・目標
新たな3ヵ年中期経営計画「One Vision, New Stage 2027」を開始し、「稼ぐ力」の伸長と「サステナビリティ」を2本の柱としています。具体的な数値目標は記載されていませんが、3年間の営業キャッシュフロー等を活用し、成長投資や株主還元に取り組む方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
「Global One Company」としてグローバルな一体運営を目指し、ASEAN重視に加え日本国内への成長投資も強化します。「顧客の期待の先を行く」ために情報収集・分析力を強化し、新たに「ものづくり統括本部」を立ち上げて技術・製造・品質管理・購買を一体化します。また、「新規事業/新製品への挑戦」として産学共同の取り組みを推進し、新製品の開発に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人の成長こそ企業の成長」を掲げ、社員一人ひとりが「リケンテクノス ウェイ」を実践し成長することを方針としています。グローバル競争に勝つための人材育成投資を積極的に行い、個の能力を組織力として結集させます。多様な個性が活きる環境整備を進め、不足する能力は中途採用で補完し、社内の活性化を図ります。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.8歳 | 17.3年 | 7,703,330円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.2% |
| 男性育児休業取得率 | 53.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 73.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.5% |
| 男女賃金差異(非正規) | 46.0% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、DX教育受講率(98%)、特定検診実施率(89.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 自然災害・感染症の流行
大規模な自然災害や感染症のまん延等は、事業活動に支障を及ぼすとともに、経済の大幅な減速を通じて財務状況に悪影響を与える可能性があります。これに対し、対応体制や広報体制を確立しています。
■(2) 事業継続に対する危機事象の発生
不確実性への対応不足により事業継続が困難になるリスクがあります。同社は、事業継続マネジメント(BCM)の高度化を進め、危機事象発生時の対応力強化に努めています。
■(3) システムダウン・情報漏洩
サイバー攻撃等によるシステムダウンや情報漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜を招く恐れがあります。国内外のグループネットワークを統一し、セキュリティ強化に取り組んでいます。
■(4) 環境問題への対応遅れ
環境問題への対応が遅れることで競争優位性が低下するリスクがあります。これに対し、CO2削減計画を具体化するなど、環境対応を進めています。



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