※本記事は、広栄化学株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
広栄化学は、ファイン製品の製造販売および輸出入を手がける企業です。医薬品や農薬の中間体・原料となる医農薬関連化学品、触媒や溶剤、高分子添加剤などの機能性化学品、各種合成樹脂原料などを製造・販売しています。
単体従業員数は402名です。同社の事業セグメントはファイン製品事業の単一セグメントとなっています。
同社は、親会社とともにファイン製品の製造販売および輸出入事業を展開しています。非連結子会社であるKGS株式会社は、同社従業員に対する研修の企画・運営を行っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
広栄化学は、化学品製造を主軸とする企業であり、専門性の高い事業を展開しています。このような業界特性から、従業員の長期的なキャリア形成を重視し、安定した働き方を支援する環境が整っていると考えられます。同社がどのような給与水準や働き方の特徴を持つのか、具体的なデータから見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が比較的長く、従業員が長期にわたってキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も40代前半であり、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。このような環境は、安定した組織基盤と継続的な知識・技術の継承を可能にしていると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,167,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.3年 |
| 平均年齢 | 41.8歳 |
| 単体従業員数 | 402人 |
同社は、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。
また、退職一時金制度も存在します。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
退職給付債務は15.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
広栄化学は、「信用と誠実を旨とし、英知と活力を結集して積極果敢に挑戦し、社業の発展を期する」という経営理念のもと、人材を最も重要な経営資源と位置付けています。同社が求める人材像は、「自己成長を通じたプロフェッショナル人材」「当事者意識と主体性をもち、自らの意思で高い目標を設定し積極的に挑戦する人材」「One KOEIでベストパフォーマンスを生み出す担い手」です。
給与・報酬については、物価上昇への対応やワークライフバランスの充実を考慮し、従業員が意欲と働きがいを感じて業務に取り組める賃金制度を構築・決定しています。賃金制度は、従事する役割(職務)の大きさに基づく制度となっています。
人材育成においては、「マネジメント強化」「中堅社員育成・若手社員の早期戦力化」「人事制度見直し」を三本柱としています。具体的には、執行役員や部長層を対象としたコーチング研修を実施し、マネジメント力の強化を図っています。
また、2025年4月には社内大学「広栄MANABIYA」を開講し、さまざまな階層や分野のニーズに即した教育カリキュラムを提供しています。これに合わせてスキルマネジメントシステム「Skillnote」を導入し、社員の早期戦力化を支援しています。人事制度の見直しとして、定年年齢を65歳へ段階的に延長し、最長70歳までの継続雇用を可能とする制度を導入しました。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。女性管理職比率は女性活躍推進法の規定に基づき算出されています。男性育児休業取得率については、当事業年度において対象者がいなかったため、数値は開示されていません。男女の賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しており、同一役割レベルでの男女差はありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.0% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 81.1% |
| 男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 81.8% |
| 男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 32.0% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性社員比率 | 13.9% |
| 係長級に占める女性割合 | 18.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
広栄化学は、ファイン製品の製造販売および輸出入を主な事業とする企業です。同社グループは、親会社と子会社1社で構成されており、子会社は従業員向けの研修企画・運営を担っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、ファイン製品事業の単一セグメントで事業を展開しています。この事業では、医農薬関連化学品、機能性化学品、その他の製品グループを取り扱っています。収益はこれらの製品の製造販売から得ており、北米、欧州、アジアなど海外への販売も行っています。
同社の売上高は、北米および欧州向けの医農薬関連製品や光学材料製品の販売減少により、前事業年度から減少しました。特定の相手先への販売実績が総販売実績の10%以上を占めることはなく、顧客が分散している状況です。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高が前事業年度から減少する傾向にあります。これに伴い、営業利益および経常利益も前事業年度を下回りました。当事業年度においては、減損損失を計上したことにより、当期純損益は損失となりました。
一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは収入を確保しており、本業からのキャッシュ創出力は維持されている状況です。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員の状況を見ると、平均年間給与は7,167千円であり、前事業年度から3.96%増加しています。平均年齢は41.8歳、平均勤続年数は15.3年となっており、比較的安定した雇用環境がうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| - | - | - |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
広栄化学の財務状況は、当期純損失を計上し純資産が減少するなど、厳しい局面を迎えています。しかし、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は前期から減少していますが、プライム市場に上場する製造業の平均と比較して高い水準を維持しています。手元資金である現金及び現金同等物は増加しており、一定の流動性を確保している状況です。これらの財務状況は、事業活動を継続していく上での安定性を示す要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 216億円 | 161億円 |
| 自己資本比率 | 61.4% | 53.9% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 325百万円 | 433百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の営業活動によるキャッシュ・フローはプラスとなっており、本業で資金を生み出している状況です。しかし、前期と比較するとその収入は減少しています。投資活動によるキャッシュ・フローはマイナスであり、固定資産の取得による支出があったことを示しています。財務活動によるキャッシュ・フローもマイナスとなっており、借入金の返済や配当金の支払いが行われたことを表しています。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローはプラスであり、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態です。ただし、フリーキャッシュ・フローも前期と比較して減少しています。この資金の流れは、事業活動に必要な投資を行いながらも、資金繰りには一定の余裕があることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 47.6億円 | 16.5億円 |
| 投資CF | △16.6億円 | △6.9億円 |
| 財務CF | △33.3億円 | △8.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 30.9億円 | 9.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、輸出売上高の比率が高いため、為替レートの変動が経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、主要な原材料価格は市況で変動し、その高騰を製品価格に転嫁できない場合も、経営成績や財務状況に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社には、ハラスメントに関するリスクがあり、これが顕在化した場合は経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
広栄化学は、長年培ってきたコアテクノロジーを基盤に、社会の発展に貢献し、従業員にとって働きがいと生きがいのある企業を目指しています。信用と誠実を重んじ、英知と活力を結集して挑戦する企業文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
広栄化学の経営理念は「信用と誠実を旨とし、英知と活力を結集して積極果敢に挑戦し、社業の発展を期する」こと、そして「独創的技術の開発による有用な製品・課題解決策の提供を通じて社会の発展に貢献する」ことです。
同社は、長年培ってきた含窒素有機化合物群におけるコアテクノロジーをさらに進化させ、新たなコアテクノロジーの確立を図ることを目指しています。
これにより、新しい柱となる基幹化合物、機能製品、気相製品を創出し、高付加価値高機能製品を提供することで社会の発展に貢献する方針です。
また、従業員にとって働きがい、生きがいの感じられる企業を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
広栄化学は、信用と誠実を重んじ、英知と活力を結集して積極果敢に挑戦することを企業風土としています。
独創的技術の開発による有用な製品・課題解決策の提供を通じて社会に貢献するという価値観を大切にしています。
中期経営計画「変革への挑戦KX2027」のもと、イノベーションを加速し企業価値向上に繋げることを目指しています。
同社は住友化学グループの一員として、持続的な価値創造のための重要課題であるマテリアリティを共有し、経済価値と社会価値を一体的に創出するサステナビリティ革新(SX)に取り組んでいます。
社員エンゲージメント向上(EX)を重視しており、社内大学「広栄MANABIYA」での研修を通じて、他者理解や効果的なフィードバックを学び、社員相互の信頼関係構築を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、中期経営計画「変革への挑戦KX2027」において、「経営基盤強化」を重点テーマの一つとしています。
具体的には、社員エンゲージメント向上(EX)、デジタル革新(DX)、サステナビリティ革新(SX)に取り組むことで企業価値向上を目指しています。
社員エンゲージメント向上では、事業を推進する「ヒト」を重視し、独自に社員エンゲージメント指標を設定して向上を図っています。
デジタル革新では、全社情報共有基盤であるOne KOEI Platformの拡充と高度活用を中心に、生産性の向上と競争力の強化に取り組んでいます。
サステナビリティ革新では、住友化学グループの一員としてマテリアリティを共有し、持続的な価値創造を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
広栄化学は、監査等委員会設置会社制度を採用しており、経営の意思決定の迅速化と監督機能の強化を図っています。執行役員制度を導入し、業務執行の機動性を高めるとともに、取締役会の諮問機関を設置してガバナンスの実効性向上に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
広栄化学の筆頭株主は事業会社である住友化学です。同社は発行済株式の過半数を保有しており、広栄化学の経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。その他、金融機関や複数の個人株主が上位に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 住友化学 | 55.85% |
| 近畿産業信用組合 | 4.91% |
| 種田 修 | 2.11% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性6名・女性2名)で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長社長執行役員は佐々木康彰氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐々木 康彰 | 代表取締役社長 社長執行役員 | 1985年住友化学工業㈱(現住友化学㈱)入社。同社技術・経営企画室部長、人事部長、執行役員などを歴任。2021年田岡化学工業㈱代表取締役社長就任。2025年6月より現職。 |
| 和田 英男 | 取締役 | 1985年住友化学工業㈱(現住友化学㈱)入社。同社生活環境事業部海外マーケティング部長、事業企画部長などを歴任。2022年6月より取締役。2025年4月より専務執行役員 経理企画室、サステナビリティ推進担当。 |
| 深堀 敬子 | 取締役 | 1981年同社入社。物流購買室長、理事などを歴任。2019年6月より取締役、研究開発本部長。2023年4月より現職。2024年6月より㈱田中化学研究所社外取締役。 |
| 向井 宏好 | 取締役 | 1989年住友化学工業㈱(現住友化学㈱)入社。同社国際アグロ事業部事業企画部長、執行役員などを歴任。2024年4月より同社常務執行役員。2026年6月より現職。 |
社外取締役は、瀧口健氏(元住石貿易取締役副社長・指名委員会・報酬委員会・サステナビリティ委員会)、養老信吾氏(弁護士)、八田陽子氏(元KPMG LLPニューヨーク事務所パートナー・指名委員会・報酬委員会・サステナビリティ委員会)です。
同社は監査等委員会設置会社制度を採用しています。監査等委員である社外取締役は、独立した立場から取締役会に出席し、経験と知見に基づいた意見や提言を通じて企業統治に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、企業価値の持続的な向上と株主利益に連動する報酬体系を基本方針としています。業務執行取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬と業績連動報酬としての賞与で構成されています。賞与は、短期的な営業利益、中期的な投下資本利益率(ROIC)、長期的なサステナビリティに関するKPIの達成度合いに応じて決定されます。監査等委員である取締役には、業務執行を行わないため基本報酬のみが支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 81百万円 | 13.5百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 18百万円 | 18.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 24百万円 | 6.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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