※本記事は、ヤマト モビリティ & Mfg.株式会社 の有価証券報告書(第70期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ヤマト モビリティ & Mfg.ってどんな会社?
合成樹脂成形品と物流機器の製造販売を主力とするメーカー。2024年に現社名へ変更し、EV関連等の新規事業にも注力しています。
■(1) 会社概要
1955年に大和化工材として設立し、1992年にヤマト・インダストリーへ商号変更しました。1995年に株式を店頭登録し、2022年の市場区分見直しでスタンダード市場へ移行しました。2022年にはIATと資本業務提携を行い、2024年に現社名であるヤマト モビリティ & Mfg.へ変更しています。
同社グループの従業員数は連結864名、単体90名です。筆頭株主は中国独立系自動車エンジニアリング会社のIATで、第2位は古紙回収やリサイクル事業を行う永田紙業です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社IAT | 32.76% |
| 永田紙業株式会社 | 14.29% |
| ソン レイ | 6.96% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役CEOは鈴木昭寿氏です。社外取締役比率は約18.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鈴木 昭寿 | 代表取締役CEO | 日産自動車にてグローバルマーケティング本部マネージャー等を歴任し、2024年より現職。 |
| 重岡 幹生 | 代表取締役COO | 1986年入社。樹脂事業部長、常務取締役、代表取締役社長等を経て、2024年より現職。 |
| 河原畑 宏二 | 専務取締役 | 三井物産出身。同社機能化学品本部シニアビジネスコーディネーター等を経て、2023年より現職。 |
| 永田 耕太郎 | 専務取締役 | 永田紙業社長、物流機器レンタル社長等を兼務。2015年より現職。 |
| 渋谷 俊泰 | 取締役 | 1986年入社。香港大和工貿社長、BIG PHILIPPINES社長等を経て、2022年より現職。 |
| 劉 剣 | 取締役 | IAT代表取締役等を務める。2023年より現職。 |
| 池添 洋一 | 取締役 | 伊藤忠商事執行役員、中国日本商会会長等を歴任。2023年より現職。 |
| 李 立忠 | 取締役 | 天津汽車工業チーフエンジニア、IAT副董事長等を務める。2024年より現職。 |
| 松尾 芳行 | 取締役(常勤監査等委員) | 1982年入社。HMヤマト社長、内部監査室担当等を経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、尾崎貴章(コンピタント代表取締役)、冨山健(冨山税理士事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「合成樹脂成形関連事業」および「物流機器関連事業」を展開しています。
**合成樹脂成形関連事業**
OA機器部品、自動車用品、家電部品等の各種合成樹脂成形品や金型の製造販売を行っています。主な顧客は日系企業のOA・住設メーカー等です。
収益は、顧客への製品販売による対価を得ています。運営は、同社および埼玉ヤマト、香港大和工貿、大和高精密工業(深圳)、BIG PHILIPPINES CORPORATIONなどが行っています。
**物流機器関連事業**
コンビテナー(カゴ台車)などの物流機器の製造販売を行っています。省力化や使用環境に適した製品開発に取り組んでいます。
収益は、製品の販売代金等から得ています。運営は、同社および中国の亜禡特貿易(上海)が行っています。一部特殊な機器については国内提携先へ生産委託しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は130億円から161億円の間で推移しており、当期は過去5期で最高を記録しました。利益面では、経常利益ベースで黒字と赤字を行き来しており、当期は黒字を確保しています。一方、当期純利益は減損損失の影響等により赤字となっており、安定的な収益確保が課題となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 130億円 | 142億円 | 155億円 | 154億円 | 161億円 |
| 経常利益 | -4.8億円 | -2.7億円 | 0.9億円 | 0.2億円 | 0.8億円 |
| 利益率(%) | -3.7% | -1.9% | 0.6% | 0.1% | 0.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -4.0億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | 1.5億円 | 1.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益および営業利益も改善傾向にあります。特に営業利益率は前期の0.3%から1.3%へと上昇しました。売上総利益率も向上しており、本業の収益性は回復基調にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 154億円 | 161億円 |
| 売上総利益 | 16億円 | 18億円 |
| 売上総利益率(%) | 10.3% | 11.1% |
| 営業利益 | 0.5億円 | 2.0億円 |
| 営業利益率(%) | 0.3% | 1.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が6.1億円(構成比38%)、荷造運搬費が0.9億円(同6%)を占めています。売上原価については内訳データがありません。
■(3) セグメント収益
合成樹脂成形関連事業は、国内や中国でのOA部品出荷低迷があったものの、フィリピン子会社の売上が堅調で微増収となり、営業黒字に転換しました。物流機器関連事業は、積極的な営業活動と大口受注により大幅な増収となり、利益面でも貢献しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 合成樹脂成形関連事業 | 126億円 | 128億円 | -1.6億円 | 0.2億円 | 0.1% |
| 物流機器関連事業 | 28億円 | 33億円 | 2.1億円 | 1.9億円 | 5.7% |
| 連結(合計) | 154億円 | 161億円 | 0.5億円 | 2.0億円 | 1.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ヤマト モビリティ & Mfg.のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
営業活動では、売上債権の減少や棚卸資産の減少などにより、資金を獲得しました。投資活動では、主に有形固定資産の取得により資金が支出されました。財務活動では、長期借入金の返済やリース債務の返済などにより、資金が支出されました。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
高い技術力を追求し、価格競争力と適切な納期を実現することで、顧客に安心・信頼・満足・喜びを提供することを方針としています。また、コーポレート・ガバナンスの充実、法令遵守、環境負荷低減、人権尊重などを通じて、会社の健全な存続と発展を目指しています。
■(2) 企業文化
サステナビリティ基本方針に基づき、環境、社会、ガバナンスへの取り組みを重視しています。長年培ったノウハウと技術力を基盤とし、顧客要望に沿った提案から生産までの一貫体制や、従業員の健康・安全で働きやすい職場環境の維持を大切にする文化があります。
■(3) 経営計画・目標
「継続的に利益を創出し、成長を実感できる企業」を目指し、中期3ヶ年経営計画を推進しています。中長期的な成長戦略の実現と恒常的な黒字体質の構築を目標としています。
* CO₂排出量(Scope 1及び2):2013年比35%削減(2030年度目標)
* 再生可能エネルギー使用率:20%(2030年度目標)
* サステナブル製品売上比率:50%(2030年度目標)
* 女性・外国人・中途採用者管理職比率:60%以上(2030年度目標)
■(4) 成長戦略と重点施策
「新々構造改革」の継続や、モールドロックビジネスに次ぐ新規事業の創出を図っています。特にEV関連事業においては、3本柱の基盤整備と売上確保を目指しています。また、海外事業の再構築や、人材育成、新基幹システムの安定運用による業務効率化にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
ジェンダーや国籍にとらわれない多様な人材の活躍を推進しています。公平な人事考課により、適性のある人材を管理職へ登用する方針です。また、新たな教育プログラムの導入や資格取得支援を通じて、従業員の自発的な能力向上を支援し、働きがいのある職場づくりに努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 47.5歳 | 20.0年 | 5,387,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.4% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 67.8% |
| 男女賃金差異(正規) | 67.6% |
| 男女賃金差異(非正規) | 68.2% |
※男性労働者の育児休業取得率については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定に基づく公表義務の対象ではない国内子会社、また適用を受けない海外子会社であります。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性・外国人・中途採用者管理職比率(55%)、年間労働災害件数(0件)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 海外での事業展開について
中国やフィリピンなどで事業を展開しており、現地の法的規制、取引慣行、パンデミック、外交政策の転換などの影響を受ける可能性があります。これらによりサプライチェーンの毀損や経費増が発生し、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
■(2) 特定の取引先への依存
主要なOA・住設メーカー向け製品が売上の相当部分を占めています。取引先の方針変更、製造拠点の移動、製造品目の変更などがあった場合、同社の経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
■(3) 原材料価格の変動
主原料である石油化学製品や鋼材の価格が高騰し、その上昇分を販売価格に転嫁できない場合、業績が悪化する恐れがあります。また、災害等により原材料の調達が困難になった場合、製造に支障をきたす可能性があります。
■(4) 財務リスク
金融機関からの借入により運転資金等を調達しており、金利政策の変更や信用力の低下により借入コストが上昇する可能性があります。これにより、財務状態に影響が及ぶリスクがあります。



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