※本記事は、株式会社タカギセイコー の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
タカギセイコーは、プラスチック製品とその製作に使用する金型の製造・販売を行う成形品事業と、不動産賃貸、損害保険の販売代理、土木建築工事の請負を行うその他の事業を展開しています。同社グループは、車両分野の部品からOA機器、無人搬送ロボット用部品まで幅広い製品を手がけています。
単体従業員数は776名、連結従業員数は1,849名です。同社グループの事業セグメントは日本、中国、東南アジアの3つです。
主な国内グループ会社は、トリニティ(その他の事業)などです。
当連結会計年度において、同社グループは中国連結子会社2社の出資持分譲渡を実施しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社タカギセイコーは、製造業として事業を展開しており、社員の育成や働きやすい環境整備に力を入れていることがうかがえます。持続可能な事業運営と社会貢献を両立させることを目指し、人材を重要な経営資源と位置付けています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数と平均年齢から、長期的なキャリア形成が可能な環境であることが示されています。安定した環境で専門性を高めながら働きたいと考える方にとって、参考となる情報です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,456,000円 |
| 平均勤続年数 | 19.4年 |
| 平均年齢 | 43.9歳 |
| 単体従業員数 | 776人 |
| 連結従業員数 | 1,849人 |
| 単体のグループ内比率 | 42.0% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、同社、国内連結子会社、および一部の海外連結子会社に適用されています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。当連結会計年度末における退職給付債務は46.0億円、年金資産は24.1億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「国内収益基盤の強化」と「海外収益基盤の強化」を経営戦略の両輪とし、これを支える「教育制度の充実」と「従業員エンゲージメントの向上」を人材戦略の柱としています。社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できるよう、「求める人材像」と「人事ポリシー」からなる人事基本方針を定めています。
給与の決定においては、持続的な企業価値向上と従業員への適切な利益還元、成長意欲の喚起を重視しています。物価動向や世論の賃上げ水準を考慮しつつ、個人の役割、能力、および業績貢献度に基づき決定する方針です。
人材育成では、職位に応じた階層別教育や職種別専門教育、幹部候補やグローバル人材を育成する選抜型教育を実施しています。また、技能資格取得の促進援助や通信教育のサポートを通じて、社員の自律的なキャリア形成を支援しています。
社員の経営参画を促すワーキングチーム活動や、新事業・新商品のアイデアを募集する提案制度も導入し、経営マインドの醸成と組織運営体制の強化を図っています。福利厚生面では、ワークライフバランスを尊重した柔軟な休暇制度や団体長期障害所得保険制度、小学校卒業まで利用可能な育児短期時間制度などを整備し、働きやすい環境づくりを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異については、性別に関係なく同一の職務で同一の賃金制度を設計していますが、転勤を伴うコース選択者の少なさや各種手当の有無、扶養家族手当の有無などが正規従業員の差異の主な理由です。非正規従業員では、男性は定年退職者の再雇用が多く、女性は新規採用の契約社員が多いことが主な理由となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性従業員の割合 | 3.7% |
| 男性従業員の育児休業の取得率 | 75.0% |
| 従業員の男女の賃金の差異(全従業員) | 63.3% |
| 従業員の男女の賃金の差異(正規従業員) | 61.2% |
| 従業員の男女の賃金の差異(非正規従業員) | 80.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
タカギセイコーは、プラスチック製品とそれに使用する金型の製造・販売を主軸とする成形品事業を展開しています。加えて、不動産賃貸や損害保険の販売代理、土木建築工事の請負といったその他の事業も手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、プラスチック製品およびその金型の製造・販売を行う「成形品事業」を主要な事業としています。この事業は、主に車両部品や、炭素繊維を使用したパソコン・スマートフォン等の筐体部品の生産・販売を国内外で展開しています。
日本
日本セグメントでは、主に車両分野およびOA(その他)分野の受注が増加しています。収益は、これらの成形品事業からの販売によって得ています。
中国
中国セグメントでは、車両分野の連結子会社の出資持分譲渡があったため、売上高が減少しました。収益は、主に成形品事業からの販売から得ていますが、事業再編の影響を受けています。
東南アジア
東南アジアセグメントでは、車両分野の受注減少や円高による為替換算の影響が見られます。収益は、主に成形品事業からの販売によって得ています。
同社グループは、日本、中国、東南アジアの3つの地域を報告セグメントとして事業を展開しており、海外での事業活動も活発です。特に中国セグメントでは連結子会社の出資持分譲渡、東南アジアセグメントでは円高による邦貨換算の影響が売上高に影響を与えており、為替変動リスクも存在します。主要な顧客としては、本田技研工業株式会社への販売が日本セグメントの売上高に占める割合が大きくなっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 225億円 | 231億円 |
| 東南アジア | 129億円 | 124億円 |
| 中国 | 89.1億円 | 60.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は前期に減少しましたが、当期も引き続き減少傾向にあります。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の損失から当期は大幅な増益となり、回復基調を示しています。特に営業利益は前期から大きく増加しており、本業の収益性が改善していることがうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 473億円 | 482億円 | 511億円 | 443億円 | 415億円 |
| 経常利益 | 26.7億円 | 24.0億円 | 24.2億円 | 12.7億円 | 23.8億円 |
| 経常利益率 | 5.6% | 5.0% | 4.7% | 2.9% | 5.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 10.1億円 | 7.0億円 | 11.9億円 | △22.5億円 | 16.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 366.42 | 253.66 | 428.74 | △808.20 | 577.91 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期と比較して増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から大きく向上しており、生産性の改善が見られます。これらの指標の改善は、組織全体の効率化や収益体質の強化が進んでいることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 18.9百万円 | 22.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.5百万円 | 1.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で得た資金を成長に向けた投資に充てている状況です。財務基盤は改善傾向にあり、事業活動を継続していく上での安定性を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から増加し、ROE(自己資本利益率)も大幅にプラスに転じています。手元資金である現金及び預金は減少傾向にありますが、一定の額を保持している状況です。これらの財務状況は、事業活動を継続していく上での基盤を示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 156億円 | 161億円 |
| 自己資本比率 | 31.1% | 38.4% |
| ROE(自己資本利益率) | -18.3% | 13.4% |
| 現金及び預金 | 55.7億円 | 42.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローはプラスとなっています。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費によるものです。一方で、投資活動によるキャッシュフローはマイナスであり、有形及び無形固定資産の取得や連結の範囲の変更を伴う子会社出資金の売却による支出が主な要因となっています。
その結果、本業で得た資金を投資に充てた後のフリーキャッシュフローはマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュフローはプラスに転じており、短期借入金の増加が影響しています。この資金の流れは、事業の成長に向けた投資を継続しつつ、外部からの資金調達も活用している状況を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 22.1億円 | 11.4億円 |
| 投資CF | △23.1億円 | △26.6億円 |
| 財務CF | △2.1億円 | 2.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.1億円 | △15.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは自動車業界やOA機器業界に属する顧客に対しプラスチック成形品を販売しており、各業界の市場動向が財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、生産及び販売活動の一部をアジアを中心とした海外で展開しており、海外拠点における生産高及び売上高の比率はそれぞれ36.9%、35.1%となっています。そのため、海外の法的規制、社会情勢の変化、為替レートの変動が事業活動に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
株式会社タカギセイコーは、お客様のニーズを捉え、開発先行型企業として信頼され、社会に貢献し続けることを目指しています。プラスチックの無限の可能性を追求し、社会に新たな価値を提供していくことを重視する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
タカギセイコーは、「社会の公器として永続する企業であること」をミッションに掲げています。ビジョンとしては、「誰からも信頼される会社(100年企業)」、そしてステークホルダーから「『タカギセイコーという会社があってよかった』と言ってもらえる会社」になることを目指しています。
同社グループは、コア技術を活かし、「プラスチックに秘められた無限の可能性を“カタチ”にする」という価値を社会に提供しています。経営理念では、お客様からの信頼、挑戦、社員の働きがい、環境への配慮、地域社会への貢献を重視しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、社是として「技術・品質・創意・挑戦」を掲げ、社員一人ひとりがお客様から高い評価を得られるよう取り組んでいます。社訓では、責任感と協力、技能向上、規律と礼儀、健康と人格の向上、社会への感謝と誠実な貢献を大切にする姿勢が示されています。
また、企業の社会的責任(CSR)活動を通じて、持続可能な事業運営と社会貢献の両立を目指し、誰からも信頼される会社であり続けることを重視しています。コーポレート・ガバナンス体制の強化やコンプライアンス・リスクマネジメント体制の充実も重要な経営課題として認識されています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
タカギセイコーは、「資本コストや株価を意識した経営」の実現を重要な経営課題の一つと認識しています。PBR1倍超の実現に向けては、「市場からの信頼獲得(株主資本コスト低減)」を強力に推進しています。
具体的には、経営リスクの低減と情報開示を徹底し、財務健全性の向上、ガバナンス体制の強化、ESG経営の推進と情報開示、積極的なIR活動を通じた投資家との対話深化を進めています。また、サステナビリティの観点から、地球環境、地域社会、社員の視点に立ったCSR活動を通じて、ESGの観点でステークホルダーの満足度を高め、SDGs目標の達成に貢献することを目指しています。カーボンニュートラルに向けては、エネルギー転換、省エネ、再エネ発電の3つの対策を組み合わせて二酸化炭素排出量削減に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
タカギセイコーは、株主重視の基本方針に基づき、透明性と効率性を追求したコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。取締役会、監査役会、執行役員会を通じて、迅速な意思決定と経営の監督を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
タカギセイコーの筆頭株主は個人株主であり、同社グループの創業家が経営に深く関わっていることがうかがえます。従業員持株会も上位に位置しており、従業員による安定的な株式保有も特徴です。複数の事業会社も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 高木 章裕 | 11.20% |
| タカギセイコー従業員持株会 | 4.80% |
| トナミホールディングス | 4.60% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 4.60% |
| みずほ銀行 | 3.70% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
タカギセイコーの役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長は高木章裕氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 高木 章裕 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1994年宇部興産㈱入社、2000年同社入社。高木精工(香港)有限公司出向、同社取締役、常務執行役員、専務執行役員、副社長執行役員を経て、2019年より同社代表取締役社長社長執行役員より現職。 |
| 田口 浩孝 | 取締役専務執行役員国内成形品事業管掌兼開発・技術本部長 | 1982年同社入社。氷見金型工場長、通信機器事業部長、取締役執行役員、上席執行役員を経て、2017年より同社取締役専務執行役員国内成形品事業管掌兼開発・技術本部長より現職。 |
| 仲安 吉成 | 取締役常務執行役員海外成形品事業管掌兼グローバル企画室長 | 1986年同社入社。PT タカギ・サリマルチウタマ取締役社長、海外事業統括部長、執行役員を経て、2024年より同社取締役常務執行役員海外成形品事業管掌兼グローバル企画室長より現職。 |
| 沖 孝則 | 取締役上席執行役員管理本部長兼品質保証担当 | 1989年同社入社。高和精工(上海)有限公司総経理、執行役員、取締役執行役員を経て、2024年より同社取締役上席執行役員管理本部長兼品質保証担当より現職。 |
| 笹倉 康史 | 取締役執行役員国内関連事業管掌兼経営管理部長 | 1988年同社入社。経営企画部長、経営管理部長を経て、2020年より同社取締役執行役員経営管理部長。2024年より国内関連事業管掌を兼任し現職。 |
社外取締役は、米田保晴氏(信州大学名誉教授)、植田浩氏(高下謹壱法律事務所弁護士)、白木みどり氏(金沢工業大学教授)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役が取締役会の意思決定に参画し、経営判断の妥当性・相当性を確保する役割を担っています。社外監査役は、客観的かつ中立的な立場から経営執行の透明性と適正性を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
タカギセイコーは、企業価値と業績の持続的な向上への動機付け、優秀な人材の確保、株主との価値共有を目的とした報酬体系を採用しています。取締役の報酬は、固定報酬、業績連動報酬、譲渡制限付株式報酬で構成されており、各職責に応じた適正な水準が基本方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.4億円 | 28.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 12.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 23百万円 | 4.6百万円 |
連結報酬等の総額が1億円以上である役員は存在しないため、個人別の開示はありません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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