※本記事は、株式会社タカギセイコーの有価証券報告書(第66期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. タカギセイコーってどんな会社?
プラスチック製品および金型の製造・販売を行うメーカーです。自動車部品やOA機器部品などを手掛けています。
■(1) 会社概要
1931年に高木漆器店として創業し、合成樹脂による漆器開発を経て1959年に株式会社高木製作所を設立。1986年に現社名へ変更しました。2007年にジャスダック証券取引所へ上場。中国やインドネシア、タイ等に現地法人を設立し海外展開を進めてきましたが、2025年には中国子会社の出資持分譲渡を決議するなど事業再編を行っています。
2025年3月31日時点の従業員数は連結で2,340名、単体で777名です。筆頭株主は代表取締役社長の高木章裕氏で、第2位は従業員持株会、第3位は同じ富山県に本社を置く物流企業のトナミホールディングスとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 高木 章裕 | 11.11% |
| タカギセイコー従業員持株会 | 5.00% |
| トナミホールディングス | 4.70% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長社長執行役員は高木章裕氏です。社外取締役比率は27.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 高木 章裕 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1994年宇部興産入社。2000年同社入社。常務執行役員海外事業統括等を経て、2019年6月より現職。 |
| 田口 浩孝 | 取締役専務執行役員国内成形品事業管掌兼開発・技術本部長 | 1982年同社入社。通信機器事業部長、開発・技術本部長等を歴任し、2017年6月より現職。 |
| 仲安 吉成 | 取締役常務執行役員海外成形品事業管掌兼グローバル企画室長 | 1986年同社入社。海外事業統括部長等を歴任。2024年6月より現職。 |
| 沖 孝則 | 取締役上席執行役員管理本部長兼品質保証担当 | 1989年同社入社。高和精工(上海)総経理、グローバル企画室シニアマネージャー等を経て、2024年6月より現職。 |
| 笹倉 康史 | 取締役執行役員国内関連事業管掌兼経営管理部長 | 1988年同社入社。経営企画部長、経営管理部長を経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、米田保晴(信州大学名誉教授)、植田浩(高下謹壱法律事務所弁護士)、白木みどり(学校法人金沢工業大学基礎教育部教職課程教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「成形品事業」および「その他の事業」を展開しています。
■成形品事業
プラスチック製品およびその製作に使用する金型の製造・販売を行っています。主な製品分野は、四輪車・二輪車の内外装部品や燃料タンク等の車両分野、プリンターや医療機器部品等のOA(その他)分野です。日本、中国、東南アジアに製造・販売拠点を有しており、顧客は自動車メーカーやOA機器メーカー等が中心です。
収益は、製品および金型の販売により顧客から対価を得ています。運営は、日本国内では同社が、中国では高木精工(香港)有限公司や高和精工(上海)有限公司等が、東南アジアではPT タカギ・サリマルチウタマやタイ タカギセイコーカンパニー・リミテッド等が行っています。
■その他の事業
不動産賃貸、損害保険の販売代理、土木建築工事の請負を行っています。
収益は、不動産の賃貸料や保険代理店手数料、工事請負代金等から得ています。運営は、主に株式会社トリニティが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は2024年3月期まで増加傾向にありましたが、当期は減収となりました。利益面では、経常利益は黒字を維持しているものの減少傾向にあり、当期は特別損失の計上等により当期純損失となりました。利益率も低下しており、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 371億円 | 473億円 | 482億円 | 511億円 | 443億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 27億円 | 24億円 | 24億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 2.0% | 5.6% | 5.0% | 4.7% | 2.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -8億円 | 10億円 | 7億円 | 17億円 | -11億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しました。売上原価も減少しましたが、売上高の減少幅が大きく、売上総利益は減少しました。販売費及び一般管理費は減少しましたが、営業利益は前期比で半減しました。売上総利益率および営業利益率ともに低下しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 511億円 | 443億円 |
| 売上総利益 | 82億円 | 67億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.1% | 15.2% |
| 営業利益 | 24億円 | 12億円 |
| 営業利益率(%) | 4.7% | 2.6% |
販売費及び一般管理費のうち、運賃及び荷造費が15億円(構成比28%)、給料及び手当が14億円(同25%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全セグメントで売上高が減少しました。日本セグメントは車両分野の受注減により減収減益となりました。中国セグメントはOA分野や車両分野の受注減等により減収となり、営業損失を計上しました。東南アジアセグメントも車両分野の受注減等により減収減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 233億円 | 225億円 | 6億円 | 4億円 | 1.8% |
| 中国 | 123億円 | 89億円 | -3億円 | -7億円 | -7.8% |
| 東南アジア | 155億円 | 129億円 | 21億円 | 14億円 | 11.2% |
| 連結(合計) | 511億円 | 443億円 | 24億円 | 12億円 | 2.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は設備投資や運転資金の調達を自己資金または借入で行い、特に設備投資や長期運転資金は金融機関からの長期借入やリースを基本としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失や関係会社整理損失等により、前期から減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入や固定資産の取得による支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の返済や非支配株主への配当金の支払い等により、前期から使用額が減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 43億円 | 22億円 |
| 投資CF | -16億円 | -23億円 |
| 財務CF | -24億円 | -2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「技術・品質・創意・挑戦」を社是とし、「絶えずお客様から信頼される企業」「常に挑戦を続ける企業」「社員が楽しく働ける企業」「環境にやさしく、地域社会に役立つ企業」を経営理念として掲げています。
■(2) 企業文化
同社は、責任を自覚し協力して職務に励むこと、技能向上に努め良い製品を作ること、規律を守り明るい社風を作ることなどを「社訓」として定めています。また、社員一人ひとりが顧客ニーズを捉え、開発先行型企業であり続けることを目指す文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
事業再編を踏まえ、これまで2026年3月期を最終年度としていた中期経営目標の見直しを進めています。新たな経営目標は策定次第公表する予定です。
■(4) 成長戦略と重点施策
「国内収益基盤の強化」「海外収益基盤の強化」「事業運営基盤の強化」の3つの方針を柱としています。国内では差別化技術の開発や効率生産体制の確立、海外では市場の見極めと投資検討、事業運営面では人材育成や財務体質の強化に取り組んでいます。
* 2026年3月期予想 売上高:401億円
* 2026年3月期予想 経常利益:15億円
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「求める人材像」として、自ら考え行動する人、常に改善意欲のある人などを掲げています。「人事ポリシー」では、多様な価値観を認め合う職場環境の形成や、能力・意欲に基づいた適材適所、公正な評価と適正な処遇の実現を目指しています。また、次世代経営幹部の育成や新人事制度の運用を開始しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.4歳 | 19.8年 | 5,134,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.5% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 61.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 60.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 75.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法的規制について
事業展開する各国において、製造物責任法や環境関連法規など様々な法的規制を受けています。これらを順守していますが、将来新たな規制の成立や改正・強化が行われた場合、対応コストの増加などにより、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料価格の変動について
使用するプラスチックや塗料などの石油化学原料の価格は大きく変動することがあります。価格上昇分の製品価格への転嫁に遅れが生じた場合、収益性が低下し、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 海外事業展開について
アジアを中心に生産・販売活動を行っており、各国の法規制や政治・社会経済状況の変化、為替レートの変動などのリスクがあります。特に予期しない規制変更や政情不安等により事業活動に支障が生じた場合、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 取引先について
自動車業界やOA機器業界の顧客に対し受注生産を行っているため、各業界の市場動向や顧客の事業戦略転換(海外移転、内製化など)、災害等による操業停止の影響を受ける可能性があります。受注数量が減少した場合、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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