※本記事は、アサヒペンの有価証券報告書(第80期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アサヒペンってどんな会社?
同社は、家庭用塗料やDIY用品を中心とした住生活関連製品の開発・販売を幅広く手がける企業です。
■(1) 会社概要
1940年に大和塗料工業所として発足し、1947年に旭ペイントを設立しました。1965年には家庭塗料の商標に合わせてアサヒペンに社名を変更しています。1973年には家庭用塗料水性化の先駆けとなる製品を発売しました。2026年には保土ヶ谷電子販売などを子会社化し、新規に時計用品事業を開始しています。
従業員数は連結で375名、単体で139名です。筆頭株主は一般財団法人アサヒペンひかり財団で、第2位および第3位は同社の関連団体であるアサヒペン共伸会およびアサヒペン共栄会です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 一般財団法人アサヒペンひかり財団 | 12.46% |
| アサヒペン共伸会 | 5.33% |
| アサヒペン共栄会 | 3.84% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は澤田耕吾氏が務めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 澤田耕吾 | 代表取締役社長 | 2000年同社入社。生産物流本部長やアサヒ急送代表取締役社長などを経て、2018年より現職。 |
| 柊英浩 | 常務取締役営業本部長 | 1995年同社入社。営業副本部長や大豊塗料代表取締役社長などを経て、2021年より現職。 |
| 田中弘文 | 取締役相談役 | 1961年同社入社。1977年に同社代表取締役社長に就任。同社代表取締役会長を経て、2004年より現職。 |
| 石尾維英 | 取締役(管理部・システム部・総務部担当)管理部ディビジョンマネージャー広報担当 | 1989年同社入社。経理部長や経営企画本部長などを経て、2023年より現職。 |
| 松浪由竹 | 取締役総務部ディビジョンマネージャーコンプライアンス担当 | 2008年同社入社。総務部担当部長や総務本部長などを経て、2022年より現職。 |
| 林正明 | 取締役(商品開発技術部・品質保証部・購買部担当)品質保証部ディビジョンマネージャー | 1984年同社入社。技術部長兼品質保証部長や技術本部長などを経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、藤枝政雄氏(元レコフ)です。
2. 事業内容
同社グループは、「塗料事業」「DIY用品事業」「ペット用品事業」「時計用品事業」および「その他」事業を展開しています。
塗料事業
家庭用塗料、工業用塗料等の製品・サービスを提供しています。同社と大豊塗料が製造販売を行い、アサヒペン・ホームイングサービスが塗装工事の請負を担います。
収益源は塗料や塗装用品の販売代金、および塗装工事の請負代金です。運営は同社および大豊塗料などが中心となって行っています。
DIY用品事業
塗料を除く住宅メンテナンス用品や園芸用品などを提供しています。一般消費者やホームセンターが主な顧客です。
収益源はインテリア・ハウスケア用品および園芸用品の販売代金です。運営は同社、共福産業、サンパペルが行っています。
ペット用品事業
ペットフードやペット用品などを提供しています。一般のペット飼育者向けに商品を展開しています。
収益源はペット関連商品の販売代金です。運営は主にザ・ペットが行っています。
時計用品事業
関東を中心に時計用品の製造販売から修理までを幅広く提供しています。一般消費者などが顧客となります。
収益源は時計用品の販売代金や修理代金です。運営は保土ヶ谷電子販売、クレファー、サコム、テクノタイムサービスが行っています。
その他
報告セグメントに含まれない物流サービス事業や不動産賃貸業などを展開しています。
収益源はグループ内外からの物流受託手数料や不動産賃貸料です。運営はアサヒロジストやオレンジタウンなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高はペット用品事業の連結化などもあり拡大傾向にありましたが、直近では消費低迷等の影響を受けやや減少しています。利益面では原材料価格の高騰等の影響により、経常利益および当期利益ともに伸び悩む傾向が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 142.2億円 | 171.3億円 | 171.1億円 | 171.5億円 | 168.2億円 |
| 経常利益 | 9.8億円 | 10.0億円 | 9.2億円 | 9.4億円 | 7.4億円 |
| 利益率(%) | 6.9% | 5.8% | 5.4% | 5.5% | 4.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9.0億円 | 6.1億円 | 4.8億円 | 8.0億円 | 7.8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が減少した一方で、売上総利益はわずかに増加し売上総利益率は改善しました。しかし、販売費及び一般管理費が増加したため、営業利益は減益となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 171.5億円 | 168.2億円 |
| 売上総利益 | 53.0億円 | 53.9億円 |
| 売上総利益率(%) | 30.9% | 32.0% |
| 営業利益 | 8.7億円 | 6.3億円 |
| 営業利益率(%) | 5.1% | 3.7% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が13.3億円(構成比28%)、荷造・運送費が11.6億円(同24%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である塗料事業およびDIY用品事業は売上高が減少したものの、DIY用品事業では内製化などの効率化により増益となりました。ペット用品事業は減収減益となり、新規に加わった時計用品事業は取得関連費用の計上等で営業損失となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 塗料事業 | 76.4億円 | 73.2億円 | 4.6億円 | 3.2億円 | 4.4% |
| DIY用品事業 | 49.1億円 | 48.2億円 | 1.9億円 | 2.1億円 | 4.5% |
| ペット用品事業 | 43.7億円 | 33.8億円 | 1.3億円 | 0.5億円 | 1.6% |
| 時計用品事業 | - | 10.5億円 | - | -0.7億円 | -6.7% |
| その他 | 2.4億円 | 2.5億円 | 0.9億円 | 1.1億円 | 44.7% |
| 連結(合計) | 171.5億円 | 168.2億円 | 8.7億円 | 6.3億円 | 3.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動による資金獲得に加え、借入による資金調達を活用して、新規事業取得や設備投資などの投資活動に資金を振り向ける再建・転換型のキャッシュ・フロー状況となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.7億円 | 12.4億円 |
| 投資CF | -12.1億円 | -9.1億円 |
| 財務CF | -3.3億円 | 6.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「暮らしを彩り 住まいをまもる」をトータルコンセプトに、優れた製品とサービスをお客様に提供し、住生活の質的向上と充実のために貢献することを経営理念として掲げています。DIYを通じた社会貢献を目指し、より良い未来を作り出すための事業活動を展開しています。
■(2) 企業文化
同社は、社是として「誠意を貫く 信用第一主義」「不可能を可能にする 積極経営」「高収益・高賃金を実現する 生産性向上」を基本精神としています。社会に対しては安全と環境保全に責任を持ち、顧客には高い価値を提供し、社員には会社の繁栄を通じた豊かな生活を実現するという方針を定めています。
■(3) 経営計画・目標
資本効率と株主還元を意識した経営を目指し、収益力向上の観点から売上高および営業利益を経営指標としています。中期経営計画ではグループ全体の持続的成長を目指し、明確な数値目標を掲げています。
* 売上高250億円(2031年3月期)
■(4) 成長戦略と重点施策
既存事業の枠にこだわらず、新規事業の検討やM&Aを通じた事業基盤の拡大に注力しています。また、新規販路の開拓やEC事業の強化による営業力の向上、製品の内製化を含む業務プロセスの改善を通じた生産性・収益力の向上にも積極的に取り組む方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは「企業は人であり、従業員の成長なくして会社の成長と発展はなしえない」との考えから、人材の多様性を活かした育成を推進しています。採用活動の活性化やジョブローテーションの実施に加え、女性、高齢者、障害者が活躍できる環境整備、自己啓発支援の強化に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.8歳 | 16.6年 | 5,544,908円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.1% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格の変動による影響
同社グループが使用する顔料や石油化学製品、容器包装類などの主要原材料の市場価格は、原油・ナフサおよび原料鉱石等の価格の影響を受けるため、調達コストの上昇が同社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 為替相場の変動による影響
同社グループの取扱商品には海外からの輸入商品が含まれており、為替変動の影響を受けます。為替予約取引等でリスクヘッジを行っていますが、完全に回避できる保証はなく、急激な為替変動が業績に影響する可能性があります。
■(3) 天候不順による影響
家庭用塗料や園芸用品など同社グループの主力製品の一部は、季節の移り変わりや天候の良し悪しによって需要が大きく変動します。需要期における長雨や天候不順などの環境条件は、販売実績に直接的な影響を及ぼすリスクがあります。
■(4) 自然災害による影響
大規模な地震等の自然災害が発生した場合、生産設備の損壊や道路等のインフラの混乱が生じ、製品の製造、運搬および販売活動に支障をきたす恐れがあります。その被災規模によっては事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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