※本記事は、エスケー化研株式会社 の有価証券報告書(第69期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エスケー化研ってどんな会社?
建築仕上塗材と耐火断熱材を主力とする総合化学塗材・建材メーカーです。国内トップクラスのシェアを持ち、アジアを中心にグローバル展開も進めています。
■(1) 会社概要
1955年に創業し、1958年に会社設立、1963年に四国化研工業へ、1991年に現在のエスケー化研へ商号変更しました。1994年に日本証券業協会に店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しています。2022年の東証市場区分見直しに伴い、現在はスタンダード市場に上場しています。
連結従業員数は2,378名、単体では1,691名です。筆頭株主は四国興産有限会社、第2位はMSCOカスタマーセキュリティーズ、第3位はノーザントラストカンパニーエイブイエフシーリフィデリティファンズです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 四国興産有限会社 | 31.88% |
| MSCOカスタマーセキュリティーズ | 5.77% |
| ノーザントラストカンパニーエイブイエフシーリフィデリティファンズ | 5.39% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性0名の計13名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は藤井実広氏です。社外取締役比率は30.8%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤井 實 | 取締役会長 | 1955年四国化学研究所創業。1958年代表取締役社長就任。2017年代表取締役会長を経て、2025年6月より現職。 |
| 藤井 実広 | 代表取締役社長 | 1994年入社。2003年常務取締役就任。2017年4月より現職。 |
| 坂本 雅英 | 専務取締役 | 1977年入社。1991年取締役就任。1995年10月より現職。 |
| 片岡 秀人 | 常務取締役事業本部長 | 1978年入社。2018年取締役就任。2023年4月より現職。 |
| 藤井 訓広 | 取締役総務部長兼人事部長 | 1991年入社。2003年取締役就任。2021年4月より現職。 |
| 福岡 透 | 取締役東京支社長 | 1982年入社。2004年6月より現職。 |
| 竹内 正博 | 取締役経理部長 | 1981年入社。2017年6月より現職。 |
| 長塚 孝史 | 取締役生産本部部長技術・生産・購買担当 | 1988年入社。2022年6月より現職。 |
| 西田 伸二 | 取締役国際事業本部長 | 1984年入社。2023年6月より現職。 |
社外取締役は、本竜坦道(元大阪銀行資金証券部長)、濱名正二(元大和銀行くずは支店支店長)、竹原道幸(元北おおさか信用金庫常務理事)、尾﨑賢(元関西みらい銀行専務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「建築仕上塗材事業」「耐火断熱材事業」および「その他」事業を展開しています。
■建築仕上塗材事業
有機無機水系塗材、合成樹脂塗料、無機質系塗料、無機質建材などを提供しており、主要製品としてエスケープレミアムシリーズやベルアートシリーズなどがあります。また、建造物の特殊仕上工事も手掛けています。
製品の販売および工事請負により収益を得ています。運営は、国内ではエスケー化研が、海外ではSKK(S)PTE.LTD.(シンガポール)、SKK CHEMICAL(M)SDN.BHD.(マレーシア)、SKK CHEMICAL(THAILAND)CO.,LTD.(タイ)などの現地法人が主に行っています。
■耐火断熱材事業
断熱材、耐火被覆材、耐火塗料などを提供しています。主力製品として湿式のセラタイカ2号や意匠性の高いSKタイカコート、不燃断熱材セラミライトエコGなどがあり、耐火断熱工事も行っています。
製品の販売および工事請負により収益を得ています。運営は主にエスケー化研およびSIKOKUKAKEN(SHANGHAI)CO.,LTD.が行っています。
■その他事業
洗浄剤や希釈剤などの化学製品を提供しています。これらは建築現場や塗装工事に関連する副資材として利用されます。
製品の販売により収益を得ています。運営は主にエスケー化研およびSKK CHEMICAL(M)SDN.BHD.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は852億円から1,061億円へと着実に右肩上がりで成長しています。経常利益は110億円から171億円の間で推移していましたが、直近では149億円とやや減少しました。利益率は13%~16%台と高い水準を維持しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 852億円 | 883億円 | 956億円 | 1,009億円 | 1,061億円 |
| 経常利益 | 110億円 | 129億円 | 128億円 | 171億円 | 149億円 |
| 利益率(%) | 12.9% | 14.6% | 13.4% | 16.9% | 14.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 83億円 | 94億円 | 100億円 | 120億円 | 85億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しましたが、売上総利益率は30.6%から30.4%へとわずかに低下しました。営業利益は増加しましたが、営業利益率は12.0%から11.7%へと低下しています。売上規模の拡大に伴い利益額は確保しているものの、利益率はやや低下傾向にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,009億円 | 1,061億円 |
| 売上総利益 | 308億円 | 323億円 |
| 売上総利益率(%) | 30.6% | 30.4% |
| 営業利益 | 121億円 | 124億円 |
| 営業利益率(%) | 12.0% | 11.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が77億円(構成比39%)、運賃が26億円(同13%)を占めています。
■(3) セグメント収益
建築仕上塗材事業は、リニューアル市場での高付加価値製品の販売が寄与し、売上高・利益ともに増加しました。耐火断熱材事業も、都市部の再開発需要やデータセンター向けの需要が堅調で、大幅な増収増益となりました。全セグメントで増収増益を達成しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建築仕上塗材 | 896億円 | 935億円 | 131億円 | 134億円 | 14.3% |
| 耐火断熱材 | 95億円 | 107億円 | 14億円 | 16億円 | 14.6% |
| その他 | 18億円 | 19億円 | 1億円 | 2億円 | 8.4% |
| 連結(合計) | 1,009億円 | 1,061億円 | 121億円 | 124億円 | 11.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 92億円 | 83億円 |
| 投資CF | -96億円 | -121億円 |
| 財務CF | -12億円 | -20億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は85.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
創業精神である「無から有」をモットーに、「環境性向上」「資産価値の向上」「省力化」「快適」「健康」「安全」「安心」をテーマに掲げています。多くの顧客に利益と喜びを与え、社会に貢献することを最大の使命とし、ハイレベルの技術開発力で建築文化の創造に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
創業以来の「無から有」の精神と、信頼と誠実な仕事の展開を第一とする価値観を重視しています。オンリーワン・ナンバーワン企業としての躍進を目指し、グローバルな総合化学塗材・建材メーカーとして、社内組織体制の充実や国内外拠点の拡大を図る姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
売上高と営業利益率を重要な指標と位置づけています。また、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の指標として、ROE(自己資本利益率)とPBR(株価純資産倍率)の目標を設定しています。
* 売上高:1,030億円
* 営業利益率:11.8%
* 自己資本利益率(ROE):8%
* 株価純資産倍率(PBR):1倍超
■(4) 成長戦略と重点施策
国内トップシェアの建築仕上塗材事業において、高付加価値製品の開発や新規需要の開拓に経営資源を集中させる戦略です。特に、建築物の長寿命化に対応する高耐久製品や、環境負荷低減製品、省力化製品の開発を推進しています。また、膨大な建築ストックを持つリニューアル市場の開拓や、海外市場への展開も強化しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様化する顧客ニーズに対応するため、OJTを中心とした社員教育と定期的な社内研修を実施しています。また、専門スキルを持つ人材のキャリア採用も積極的に行い、管理職への登用を進めています。内部監査を通じた各拠点の状況把握と改善により、社内人材の育成も図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.1歳 | 13.3年 | 645万円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.6% |
| 男性育児休業取得率 | 9.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 66.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 70.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(25.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建築塗料業界の動向
同社グループは建築塗料業界に属しており、公共投資、民間設備投資、住宅投資の動向が経営に影響を与える可能性があります。少子高齢化や人口減少も売上高等に影響する可能性があるため、リニューアル市場での改修需要の創造等に努めています。
■(2) 価格競争
販売している汎用製品においては価格競争が厳しく、販売単価の低下等が経営成績に影響を与える可能性があります。特許技術を用いた製品やオリジナル製品による差別化、新製品開発、原材料のコストダウン等により対応を図っています。
■(3) 製造物賠償責任
各種品質管理基準に従って製造していますが、将来にわたり製品の欠陥が発生しない保証はありません。大規模な製品欠陥が発生した場合、賠償責任保険でカバーしきれない可能性があり、経営成績等に影響を与える可能性があります。
■(4) 海外における事業展開
中国をはじめアジアに進出しており、現地での予期しない法規制の変更、政治・経済要因、テロ・戦争等による社会的混乱が発生した場合、事業活動の停止・制限等により経営成績等に影響を与える可能性があります。



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