【平均年収716万円】大伸化学 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収716万円】大伸化学 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

大伸化学は、有機溶剤専業メーカーとして塗料業界を中心に化学品事業を展開しています。直近期は売上高がわずかに減少したものの、利益は大きく増加し、減収増益となりました。


目次

※本記事は、大伸化学株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


同社グループは、化学品事業の単一セグメントで事業を展開しています。有機溶剤専業メーカーとして、塗料業界を中心に幅広い製品を提供しています。

単体従業員数は192名、連結従業員数は235名です。セグメントは化学品事業の1つです。

主な国内グループ会社は、(連結子会社)山崎梱包運輸(運送業)などです。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


大伸化学は、化学品事業を基盤とする企業として、従業員の安定的なキャリア形成と働きがいを重視しています。同社グループでは、長期的な視点での人材育成と、多様な働き方を支える環境整備に力を入れています。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


大伸化学では、従業員が長期間にわたってキャリアを築ける環境が整っていることがうかがえます。平均勤続年数と平均年齢から、経験豊富な人材が多数在籍し、安定した組織運営に貢献している傾向が見られます。

項目 数値
平均年間給与 7,155,000円
平均勤続年数 17.3年
平均年齢 42.1歳
単体従業員数 192人
連結従業員数 235人
単体のグループ内比率 81.7%


大伸化学グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。同社は確定給付企業年金制度、退職一時金制度、確定拠出企業年金制度を設けており、連結子会社は中小企業退職金共済制度を利用しています。

退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

退職給付債務は9.0億円、年金資産は12.2億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


大伸化学グループは、「環境と安全に配慮し、有機溶剤の安定供給と求められる製品を開発することで、社会に貢献する」という経営方針のもと、「人財」を最大の原動力と位置付けています。持続的な事業成長のため、「自律型人材」の育成と「安全で健全な社内環境の整備」を人的資本戦略の二大潮流として推進しています。

従業員の報酬については、等級定義に基づく「期待される役割の遂行度」と「職務遂行能力」を公正に評価する等級制度を運用しています。上位等級では、組織マネジメントを担う「管理職コース」と高度な専門性を発揮する「専門職コース」の複線型人事制度を導入し、多様なキャリアパスと適正な処遇を実現しています。給与・給付は、市場競争力のある水準を維持しつつ、個人目標の達成度や行動指針の実践度を測る多角的な評価に基づいて決定されます。

人材育成方針としては、「社員の多様性と人権を尊重し、個人の力を最大限に生かせるように、一人一人が又はグループで課題を謙虚に学び、考え、評価し、迅速に改善できる人材を育成します」という企業行動指針を掲げています。具体的には、社会人への意識改革や基本スキル習得を目的とした入社時教育、実務を通じたOJT、中堅社員研修や管理職研修などのOff-JTを体系的に実施しています。また、安全な職場環境づくりや心身の健康保護、人権尊重、差別のない健全な職場環境の確保にも取り組んでいます。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率は、公表義務の対象ではないため記載されていません。非正規雇用労働者の男女の賃金の差異については、定年再雇用後に高度な業務執行責任を担う嘱託社員が含まれているため、男性の平均賃金が高くなっています。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 19.7%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 80.2%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 83.0%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 60.1%

多様性・登用

指標 目標 2026年3月期実績
女性管理職比率 2030年3月までに20%以上 19.7%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


大伸化学は、化学品事業を単一セグメントとして展開している企業です。有機溶剤の専業メーカーとして、塗料業界を中心に幅広い顧客に製品を提供し、事業を構築しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、有機溶剤の製造および販売を主軸とする化学品事業を展開しています。主な製品としては、ラッカーシンナー類、合成樹脂塗料用シンナー類、洗浄用シンナー類、印刷用溶剤類、特殊シンナー類、単一溶剤類、塗料・その他があります。これらの製品の販売が収益の大部分を占めています。

また、単一溶剤を中心とした商品の販売や、その他収入も収益源となっています。同社グループは新規ユーザーの開拓に注力し、販売拡大を図ることで収益を上げています。主要な顧客として東洋インキ株式会社があり、当連結会計年度の売上高の20.8%を占めています。

同社グループは本邦以外の外部顧客に対する売上高がなく、海外に所在する有形固定資産もありません。しかし、中東の地政学リスクによる原油価格の変動や為替変動、海外景気に起因する需給関係が利益面に影響を与える要因として認識されています。

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は概ね320億円から340億円台で推移しています。当連結会計年度の売上高は前期からわずかに減少しましたが、利益面では改善が見られます。

営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも前期から大きく増加しており、増益となりました。これは、新規需要の開拓や販売価格の是正、効率的な原材料購入の推進に加え、原材料価格が前年同期を下回ったことが主な要因として挙げられています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 - 344億円 325億円 347億円 346億円
経常利益 - 13.1億円 9.4億円 8.7億円 12.4億円
経常利益率 - 3.8% 2.9% 2.5% 3.6%
親会社株主に帰属する当期純利益 - 9.6億円 6.3億円 5.9億円 8.9億円
1株当たり当期純利益(円) - 208.96 137.09 128.55 194.39

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期からわずかに減少しましたが、従業員1人あたり営業利益(連結)は大きく増加しています。これは、売上高が微減する中でも、効率的な経営努力により利益率が改善したことを示しています。

従業員1人あたりの利益が増加していることは、組織全体の生産性が向上している傾向にあることを示唆しています。効率的な原材料購入や販売価格の是正といった取り組みが、従業員一人ひとりの稼ぐ力に貢献していると考えられます。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 150.3百万円 147.3百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 3.5百万円 5.0百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


同社グループの財務状況は、事業活動を通じて安定した資金を生み出し、強固な財務基盤を築いています。これは、将来にわたる事業の継続性と成長を支える重要な要素となっています。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって支えられています。自己資本比率はプライム市場の製造業平均を上回る水準で推移しており、強固な財務体質を示しています。

ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、安定した事業運営が継続されています。手元資金も十分に確保されており、事業環境の変化に対する耐性があると言えます。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる要素となっています。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 165億円 174億円
自己資本比率 65.6% 66.7%
ROE(自己資本利益率) 3.6% 5.2%
現金及び預金 71.3億円 93.4億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、将来への投資も継続している状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少などにより、前期に比べて増加しました。これは、事業活動が順調に資金を創出していることを意味します。

投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出があり、事業基盤の強化に向けた投資が行われています。財務活動によるキャッシュフローは、主に配当金の支払いによる支出となっています。営業活動で得た資金が投資活動の支出を上回るフリーキャッシュフローはプラスで推移しており、事業の安定性と成長に向けた健全な資金循環が保たれています。この資金の流れは、同社グループの持続的な成長と従業員の安定した雇用を支える基盤となっています。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 27.5億円 28.5億円
投資CF △2.9億円 △4.4億円
財務CF △1.9億円 △1.9億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 24.6億円 24.1億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、原材料市況の変動による影響を事業リスクとして認識しています。主原料が石油化学製品であるため、中東地域の紛争や地政学リスク、海外経済の動向、原油価格や為替の変動が原材料の調達や価格に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動への対応もリスクとして挙げられています。環境に関する規制が予測以上に強化された場合、企業活動の制限や対策費用の増加により、事業活動や経営成績に影響を与える可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、疫病や自然災害による従業員の出勤停止が事業活動に影響を及ぼすリスクを認識しています。大規模な自然災害や疫病の発生により従業員が出勤できなくなった場合、工場の操業停止や運送業務の滞りが発生し、事業活動や経営成績に影響を与える可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


大伸化学は、有機溶剤の専門メーカーとして、品質向上と安定供給を経営の根幹に据えています。お客様の多様なニーズに応えながら、環境への配慮と社会貢献を重視し、持続的な成長を目指す企業です。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社グループは、お客様の満足が得られる品質の確保と納期遵守を通じて、製品の品質向上を目指すことを基本方針としています。差別化できる新製品の開発や生産性向上、販売体制の強化により、強固な経営基盤の確立を図っています。

リサイクルによる資源の有効活用と環境への配慮を重視し、社会に貢献できる企業を目指しています。また、業容拡大と収益重視の経営によって、株主の期待に応えることも重要な目標です。信頼性の高い生産管理と高度な品質管理体制の確立に総力を挙げて取り組んでいます。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループは、「社員の多様性と人権を尊重するとともに、個人の力を最大限に生かせるように、一人一人が又はグループで課題を謙虚に学び、考え、評価し、迅速に改善できる人材を育成します」という企業行動指針を掲げています。社員自らが会社に貢献するために何を行うべきかを自分で考えて行動できる「自律型人材」の育成に努めています。多様な人材がモチベーション高く働けることを目指し、安全な職場環境づくりにも取り組んでいます。

社員の心身の健康を守り、人権を尊重し、差別のない健全な職場環境の確保を方針としています。サステナビリティ委員会を設置し、気候関連課題を含むサステナビリティ全体のリスク管理と戦略推進に責任を負っています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、原料調達ルートの多角化による安定確保と、市場価格の変動に即応した機動的な販売価格の改定を最優先課題として認識しています。有機溶剤の安定供給という社会的使命を果たすべく、これらの課題解決に全力を傾注しています。

持続的な成長に向けた新規事業の開拓や新製品の開発を進め、強固な収益基盤の構築を目指しています。最新のAIやIT技術を活用し、調達・生産・物流の各工程における徹底した合理化を図る方針です。不透明な時代を勝ち抜くための人材育成と組織活性化も推進しています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


大伸化学では、取締役会と監査役会が連携し、経営の適法性と効率性の確保、透明性の向上に取り組んでいます。監査役会設置会社として、社内取締役と社外取締役、そして独立した社外監査役を含む体制を構築しています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


大伸化学の株主構成を見ると、筆頭株主は個人名であり、その次に同姓の有限会社が続いていることが特徴です。特定の株主グループが上位を占めることで、安定した経営基盤を形成している様子がうかがえます。

株主名 持株比率
坪井 典明 13.21%
有限会社坪井 12.16%
光通信KK投資事業有限責任組合無限責任組合員光通信 6.50%
日本生命保険相互会社 5.11%
三井住友銀行 3.69%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は堀越進氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
堀越 進 代表取締役社長 1983年同社入社後、第二営業部副部長、第三営業部長、樹脂カット事業部長兼第三営業部長などを歴任。2013年執行役員、2016年取締役を経て、2019年6月より代表取締役社長に現職。
坪田 法幸 常務取締役営業本部長東日本統括 1985年同社入社後、大阪支店長などを務める。2019年6月取締役、2025年6月常務取締役営業本部長兼東日本統括兼第一営業部長に就任し、2026年4月より現職。
澤井 光範 取締役製造本部長越谷工場長 システムセンター長 1990年同社入社後、越谷工場副工場長兼技術課長、越谷工場長などを歴任。2021年執行役員、2025年6月より取締役製造本部長兼越谷工場長兼システムセンター長に現職。
山田 栄司 取締役資材部長 1990年同社入社後、営業本部仙台営業所所長、資材部長などを務める。2022年執行役員を経て、2025年6月より取締役資材部長に現職。


社外取締役は、野﨑満氏(元株式会社有沢製作所)、福田純一郎氏(元綜研化学代表取締役社長)です。

同社は監査役会設置会社であり、社内取締役と社外取締役で構成される取締役会が経営上の重要事項を決定し、監査役会が独立した立場から監査を行っています。社外取締役は、多様な経験と知見を経営に反映させる役割を担っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社の役員報酬は、取締役と監査役で異なる体系を採用しています。報酬は、月例の基本報酬と退職慰労金といった固定報酬に加え、短期的な業績に連動する役員賞与で構成されています。この報酬体系は、企業価値の増大を担う優秀な経営者の確保と、透明性・公正性の高い報酬決定プロセスを目的としています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 6名 2.0億円 33.3百万円
監査役(社外除く) 1名 18百万円 18.4百万円
社外取締役 4名 10百万円 2.5百万円
社外監査役 3名 10百万円 3.3百万円


報酬等の総額は2.4億円であり、対象となる役員は合計14名です。なお、上記の退職慰労金には、当事業年度の引当金繰入額が含まれています。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。