※本記事は、わかもと製薬株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
わかもと製薬は、医薬事業を主軸に、ヘルスケア事業、グローバル事業、不動産賃貸業を展開しています。眼科領域の医薬品や医療機器、健康食品の製造販売に加え、「強力わかもと」などの一般用医薬品も手掛けています。
単体従業員数は303名です。事業セグメントは医薬事業、ヘルスケア事業、グローバル事業、不動産賃貸業の4つです。
わかもと製薬は、眼科領域の医薬品・医療機器・健康食品の製造販売、主力製品「強力わかもと」を中心としたヘルスケア製品の製造販売、および国内外での医薬品原料の輸出入や受託製造を行っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
わかもと製薬は、人々の健康に貢献する製薬会社として、従業員の働きがいと成長を重視した環境づくりに取り組んでいます。長期的なキャリア形成を支援する人事制度や、多様な働き方を支える施策を通じて、従業員が安心して活躍できる職場を目指していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長く安定してキャリアを築ける環境が整っている傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、比較的長期にわたって在籍する従業員が多いことが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,649,590円 |
| 平均勤続年数 | 17.0年 |
| 平均年齢 | 44.4歳 |
| 単体従業員数 | 303人 |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の制度を採用しています。これらの制度は、従業員の退職給付を目的としています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は9.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、企業価値を最大化する事業戦略と人的資本価値を最大化する人財戦略を一体と捉え、人事制度・人財育成・教育研修への投資を通じて、従業員のエンゲージメントと組織力の向上に注力しています。経営理念である「人々の健康で活き活きとした生活に貢献」を実現するため、社員一人ひとりが自己実現とサステナブルな社会に向けた課題解決を両立できるような活動を支援しています。
2025年度からは新しい人事制度の運用を開始し、複線型のキャリア等級制度や、挑戦を推奨する評価・報酬制度、65歳定年制度などを導入しました。報酬に関しては、事業部門評価制度やパフォーマンスの高い社員を評価する「わかもとアワード」などに応じて見直しを行っています。新制度では、組織マネジメントに貢献するキャリアコースに加え、高度な専門性をもとに貢献するキャリアコースを新設し、社員が年齢や経験に関わらず専門性やスキルを高め、キャリアアップしていくことを目指しています。また、55歳以降の人事制度として定年延長に伴うシニア等級を導入し、処遇改善を図っています。育児や介護と両立が必要な社員向けには週休3日制度や社外副業制度も導入し、多様なキャリア形成を支援しています。
人材戦略の重点テーマとして「変革を先導する人財の開発と挑戦し続ける企業風土の醸成」を掲げ、タウンホールミーティングによる経営層と社員の対話を通じて経営理念の浸透を図っています。また、「継承と挑戦」のための教育研修体制を整備し、マネジメント研修や評価者研修、次世代リーダー育成のための新任管理職研修などを実施しています。DX推進の一環としてAI導入による業務高度化を進め、デジタル基盤強化による人的能力向上にも取り組んでいます。
ダイバーシティ推進にも力を入れており、男性の育児休業取得促進、定年延長や再雇用制度によるシニア社員の活躍促進、障がい者雇用促進、女性活躍推進、仕事と家庭の両立支援として育児短時間勤務制度や時差勤務制度を導入しています。健康経営も推進しており、社長を健康経営責任者とする体制で、健康経営優良法人に2年連続で認定されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は、本記事では取得できていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 18.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 85.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 87.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 61.6% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 採用に占める女性労働者の割合 | 20.5% |
健康・安全
同社は、2026年3月には「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に2年連続で認定されています。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
わかもと製薬は、医薬、ヘルスケア、グローバル、不動産賃貸の4つの事業セグメントを展開しています。各事業を通じて、人々の健康と生活の質の向上に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、医薬事業を主軸に、ヘルスケア製品の提供、海外展開、そして不動産賃貸まで多角的に事業を展開しています。医薬品や医療機器の製造販売、健康食品の提供、海外への製品輸出、医薬品原料の輸出、不動産賃貸など、幅広い収益源を持っています。
医薬事業
眼科領域を主として、先発医薬品・ジェネリック医薬品、医療機器、健康食品の製造販売を行っています。収益は、これらの製品販売から得ています。
ヘルスケア事業
主力製品である「強力わかもと」に加え、薬用歯みがき「アバンビーズ」シリーズやフェムケア商品の「フェミフローラ」等の製造販売を行っています。収益は、これらの製品販売から得ています。
グローバル事業
アジア圏、ヨーロッパ圏を中心として、「強力わかもと」などの製品および医薬品原料の輸出、新たなライセンスイン・アウトの活動を行っています。また、国内において受託製造、診断薬及び原料の製造販売も手掛けています。収益は、製品輸出、ライセンス活動、受託製造、診断薬・原料の製造販売などから得ています。
不動産賃貸業
コレド室町関連の賃貸業が主たる事業です。収益は、賃貸料から得ています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 医薬事業 | 34.7億円 | 47.6億円 |
| ヘルスケア事業 | 23.5億円 | 25.4億円 |
| グローバル事業 | 17.9億円 | 24.1億円 |
| 不動産賃貸業 | 1.8億円 | 1.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
わかもと製薬の直近の業績は、売上高が増加傾向にあります。前期は営業損失および経常損失を計上していましたが、当期は営業利益、経常利益、当期純利益ともに黒字に転換し、大幅な改善を示しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
わかもと製薬の財務状況は、事業活動による資金の減少と投資活動による資金の減少が見られます。これは、将来に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
わかもと製薬の財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均(46.8%)と比較して高い水準にあります。これは、同社の安定した経営体質を示しています。手元資金は減少傾向にありますが、事業運営に必要な流動性は確保されている状況です。このような財務状況は、長期的な雇用安定性や給与水準の維持に寄与する可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 116.1億円 | 120.1億円 |
| 自己資本比率 | 77.4% | 72.8% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 29.5億円 | 20.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
わかもと製薬の営業活動によるキャッシュ・フローは減少となっています。これは、税引前当期純利益がプラスであるものの、売上債権や棚卸資産の増加が主な要因であり、事業拡大に伴う運転資金の増加を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローも減少となっており、有形固定資産の取得など、将来に向けた設備投資を積極的に行っていることがわかります。
財務活動によるキャッシュ・フローは増加となっており、長期借入金による資金調達が行われています。全体として、同社は事業拡大と投資を積極的に進める中で、資金需要が高まっている状況です。このような資金の流れは、同社の成長への意欲を示していますが、資金繰りの動向を注視することが、入社後の安定性を考える上で重要となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △3.8億円 | △4.9億円 |
| 投資CF | △0.1億円 | △6.6億円 |
| 財務CF | △1.0億円 | 1.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △3.9億円 | △11.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は薬価改定により医薬品の販売価格が下落する可能性をリスクとして認識しています。また、医療用医薬品事業の主力点眼剤において、後発品への切り替えや競合激化が財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。生産拠点が相模大井工場の1ヵ所のみであるため、大規模災害や事故による操業中断もリスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、女性に比べて男性の管理職比率が高いことが男女間賃金格差の要因となっていることを認識しています。正規雇用労働者およびパート・有期労働者における女性管理職比率の向上を重要な課題と捉え、目標値を設定し取り組んでいます。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
わかもと製薬は、人々の健康で活き活きとした生活への貢献を目指し、QOL向上に寄与する幅広い健康関連製品を提供しています。長年の経験と信頼を「承継」しつつ、新たな課題に「挑戦」する企業風土を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社の経営理念は「人々の健康で活き活きとした生活に貢献~QOL向上に寄与する幅広い健康関連製品の提供を通じて~」です。同社は、この経営理念を実現するため、「2024-2028年度中期経営計画(Wakamoto 100―承継と挑戦―)」を策定しています。この計画の副題「承継と挑戦」には、長年の事業経験や経営資源を活かしながら、新しい挑戦を行うという同社の決意が込められています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、経営理念を実現するための価値・行動基準として、以下の4点を掲げています。「お客様第一主義を徹底し、追及し続ける」こと、そして「髙い倫理観と誠実な行動で社会から信頼される企業になる」ことを重視しています。また、「お客様、社員、株主、地域・社会のステークホルダーに貢献し、企業価値を高める」こと、さらに「挑戦し続ける企業風土を醸成する」ことを大切にしています。
サステナビリティ基本方針では、皆様の健康に寄与する社会的使命のもと、持続可能な社会の構築に積極的に役割を果たすとともに、企業価値の向上に努めることを示しています。同社は「わかもと製薬行動憲章」を定め、法令順守や公正な競争を徹底しています。全社員にコンプライアンス・プログラムを配布し、定期的な教育を実施している状況です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、経営理念の実現とサステナブルな経営に向けて、重要な経営課題(マテリアリティ)を特定しています。これらは「価値創造」(V)と「価値保全」(E・S・G)の2つの観点から合計7つあります。人的資本への投資として、「変革を先導する人財の開発と挑戦し続ける企業風土の醸成」を価値創造に関するマテリアリティの一つとして掲げています。
サステナビリティ活動の推進のため、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会とサステナビリティ推進室を新設し、活動の推進に努めています。人財戦略としては、挑戦する人や変革を進める人が活躍する企業体の実現を目指し、人財育成方針や社内環境整備に関する方針を構築している状況です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社として、取締役の職務執行に対する監督機能の強化を図るガバナンス体制を採用しています。独立社外取締役が経営の透明性と客観性を確保する役割を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、複数の事業会社が上位に名を連ねています。これは、事業連携や安定的な資本関係を通じて、同社の経営が多角的に支えられている状況を示しています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ロート製薬 | 11.44% |
| キッセイ薬品工業 | 10.89% |
| AVI JAPAN OPPORTUNITY TRUST PLC(常任代理人 みずほ銀行 決済営業部) | 8.64% |
なお、公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドが2025年12月30日付変更報告書で3,693,100株(10.60%)を保有している旨が記載されていますが、同社として2026年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含められていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は平井友行氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平井 友行 | 代表取締役社長 | 1989年日本興業銀行入行、みずほ証券金融公共本部副本部長などを経て、2023年同社入社。2026年4月より現職。 |
| 五十嵐 新 | 取締役会長 | 1981年日本興業銀行入行、みずほコーポレート銀行営業第14部長などを経て、2010年同社入社。2026年4月より現職。 |
| 佐藤 公彦 | 常務取締役 | 1988年同社入社、医薬事業部長、薬粧事業部長、人事部長などを歴任。2026年4月より現職。 |
| 葛西 洋芳 | 取締役 | 1994年同社入社、相模研究所薬理・安全性研究室長、医薬開発本部長などを歴任。2023年6月より現職。 |
| 谷口 誠 | 取締役 | 1992年同社入社、生産企画部長、相模大井工場長などを歴任。2024年6月より現職。 |
社外取締役は、惠島克芳氏(元みずほ証券常任顧問・日本ハウスホールディングス社外取締役・監査等委員)、桑原育朗氏(弁護士・桑原法律事務所開設・東京都弁護士国民健康保険組合監事・監査等委員)、樋川加奈氏(公認会計士・樋川公認会計士事務所開設・郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構監事・ベステラ社外取締役(監査等委員)・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社を採用しており、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会の構成員とすることで、取締役の監督機能を強化しています。社外取締役は、会社経営の経験や法律・会計の専門性に基づき、独立した中立の立場から経営判断に対する助言・監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主利益との連動を基本方針としています。取締役(監査等委員を除く)の報酬は、固定報酬としての基本報酬と、業績連動報酬としての賞与で構成されています。監査等委員である取締役には、その職務内容を踏まえた基本報酬のみが支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 78百万円 | 13.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 13百万円 | 12.9百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 18百万円 | 6.0百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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