【平均年収605万円】扶桑薬品工業 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収605万円】扶桑薬品工業 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

扶桑薬品工業は、医療用医薬品や医療用機械器具の製造・販売、製造受託を主要事業としています。輸液や人工腎臓用透析剤といった医療用医薬品を中心に展開し、不動産賃貸も手掛けています。直近の業績は増収減益となりました。


目次

※本記事は、扶桑薬品工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


扶桑薬品工業は、医療用医薬品および医療用機械器具の製造・販売、製造受託を主な事業としています。輸液や人工腎臓用透析剤といった医療用医薬品を中心に展開し、不動産の賃貸事業も行っています。

単体従業員数は1,374名です。事業は医薬品事業と不動産事業の2つです。

扶桑薬品工業は、医療用医薬品及び医療用機械器具の製造・販売、製造受託を主要な事業としています。また、不動産の賃貸も行っています。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


扶桑薬品工業は、医療に不可欠な医薬品の安定供給を担い、「いのち、支えて」を事業の基盤としています。近年では生殖補助医療分野にも進出し、「いのち、育む」という新たな価値創造にも取り組んでいます。同社では、将来の成長を支える人材の育成とエンゲージメント向上を重視した働き方を推進しています。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


扶桑薬品工業では、従業員の平均年齢が40代前半であり、平均勤続年数も長く、人材が定着しやすい環境にあることがうかがえます。これは、長期的なキャリア形成を支援する同社の姿勢と、従業員が安心して働き続けられる職場環境が背景にあると考えられます。

項目 数値
平均年間給与 6,049,000円
平均勤続年数 18.8年
平均年齢 41.2歳
単体従業員数 1,374人


同社では、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度を設けています。

退職給付債務は62.5億円、年金資産は93.3億円となっています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


扶桑薬品工業は、「将来の成長を支える人材の採用と育成を戦略的に強化し、従業員エンゲージメントを向上させる」ことを人的資本戦略の基本方針としています。同社では、職務・役割に応じた処遇を基本とし、人事評価を通じた成果や行動評価を総合的に勘案して給与やその他の給付を決定しています。

人材育成においては、持続的な企業価値向上と従業員の自己実現を両立するため、資格取得支援制度の拡充やジョブローテーションの推進、リスキリングの機会提供など、スキル習得と能力開発を支援しています。また、社内表彰制度の拡充や業務改善提案のための環境整備を通じて、自発的な学びと挑戦を促しています。

社内環境整備では、従業員のワークエンゲージメントと生産性向上を目指し、柔軟な働き方やDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の推進、ウェルビーイングの浸透を図っています。本社機能の移転・集約や複数拠点のリノベーションにより、部門横断的なコミュニケーションとイノベーションが生まれやすい職場環境の構築も進めています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されています。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 7.3%
男性労働者の育児休業取得率 61.5%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 68.5%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 68.2%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 58.9%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


扶桑薬品工業は、医療用医薬品と医療用機械器具の製造・販売を主軸に事業を展開しています。人々の健康を支える医薬品の安定供給に重きを置いたビジネスモデルを構築しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社は、医療用医薬品及び医療用機械器具の製造・販売を主な事業内容としています。これに加え、製造受託や不動産の賃貸も行っています。特に、人工腎臓用透析剤や輸液製剤といった基礎的な医薬品を多く取り扱っており、安定供給に大きな責任を負っています。

収益は、主に医薬品事業からの販売によって得られています。同社は後発医薬品の販売促進にも注力しており、腎・透析関連の後発医薬品の販売が収益に貢献しています。また、製造設備を東西に分散設置し、製品保管庫を各地に設けることで、自然災害やパンデミックといった突発的な事象にも対応できる安定供給体制を構築しています。

製品の多くが重量物であるため、物流コストが売上原価や販売費及び一般管理費に大きく影響し、営業利益率は低くなる傾向があります。同社の販売実績を見ると、医薬品事業が大部分を占めており、不動産事業は比較的小規模です。主要な販売先として、株式会社スズケン、アルフレッサ株式会社、株式会社メディセオ、東邦薬品株式会社といった卸売業者への販売が大きな割合を占めています。

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社の直近の業績は、売上高が増加傾向にある一方で、利益面では減少傾向を示しています。売上高は腎・透析関連の後発医薬品の販売促進などにより増加しました。しかし、原材料費や人件費の上昇に伴う売上原価率の想定以上の上昇、および研究開発費の増加が利益を圧迫しました。

前事業年度には、特許権侵害訴訟関連損失引当金繰入額を特別損失として計上したことにより、当期純損失を計上しています。当事業年度は当期純利益を確保しましたが、売上総利益、営業利益、経常利益はいずれも減少となりました。

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


扶桑薬品工業は、本業の収益性が変動する中で、財務活動による資金調達を行いながら事業を継続しています。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社の自己資本比率は当期で38.8%となっており、前期の40.4%から減少しています。製造業のプライム市場平均と比較すると、やや低い水準にあります。手元資金を示す現金及び預金等は当期で48億46百万円となり、前期から減少しました。これらの状況は、今後の事業展開や雇用・給与の安定性を検討する上で注視すべき点であると言えます。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
自己資本比率 40.4% 38.8%
ROE(自己資本利益率) - -
現金及び預金等 62.6億円 48.5億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社のキャッシュフローを見ると、本業の資金の出入りを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に62億24百万円の支出となりました。これは主に特許権侵害訴訟の判決による仮払金の支払額が影響しています。前期も仕入債務支払の一過性の増加により支出となっていました。

投資活動によるキャッシュフローは、有形及び無形固定資産の取得による支出等があり、当期は15億15百万円の支出となっています。前期も支出が続いており、事業への投資を継続している状況です。

その結果、本業と投資を合わせたフリーキャッシュフローは当期に77億39百万円のマイナスとなりました。この資金不足を補うため、財務活動によるキャッシュフローは短期借入金の増加等により63億21百万円の収入となっています。この状況は、資金繰りを財務活動に依存している傾向を示しており、今後の雇用や給与の安定性を検討する上で留意が必要です。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF △33.1億円 △62.2億円
投資CF △31.7億円 △15.2億円
財務CF 76.2億円 63.2億円
フリーCF(営業CF+投資CF) △64.7億円 △77.4億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社は、医療費抑制策の一環として行われる薬価引き下げや後発医薬品の使用促進等の政策が、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しています。また、主力製品である人工腎臓用透析剤は厳しい市場競争下にあり、革新的な製品や治療技術の登場により業績に重大な影響を与える可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社は、労務問題に関する訴訟を提起される可能性があると認識しています。訴訟を提起され敗訴した場合、経営成績及び社会的信頼に重要な影響を及ぼす可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


扶桑薬品工業は、医療用医薬品を主力とするメーカーとして、「生命(いのち)支えて、生命(いのち)育む」をパーパスに掲げています。徹底した品質管理と安定供給を通じて、医療を支える企業となることを目指しています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社は「生命(いのち)支えて、生命(いのち)育む」をパーパスとして掲げています。2025年8月に公表した中期経営方針「FUSOビジョン2030 Next Stage」では、2030年度のあるべき姿を示しています。

具体的には、「徹底した品質管理と持続的な安定供給を行う基礎的医薬品メーカーとして、そして腎臓・泌尿器領域におけるアンメットメディカルニーズに対応するスペシャリティファーマとして、医療を通じて社会を支える、なくてはならない企業となる」ことを目指しています。生命関連産業の一員として、社会貢献と関係者の期待に応えることを経営の基本方針としています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社は社是の一つに「社会寄与につながる経営方針」を掲げ、経営理念では「人の健康と生命に密接に関与する医薬をつくる企業には、それにふさわしい倫理が求められる」と示しています。透析治療のパイオニアとして、透析関連医薬品・医療機器の安定供給を社会的使命としてきました。

近年では生殖補助医療(ART)分野にも進出し、「いのち、育む」という新たな価値観を加え、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを推進しています。サステナビリティ推進体制を強化し、取締役会の監督のもとサステナビリティ委員会を設置しています。特に「気候変動」と「人的資本」を重要なサステナビリティ項目と認識し、活動を進めています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社は、主要領域である透析関連領域や輸液関連領域において、患者数の減少や物流・保管コストの増大、薬価改定といった厳しい外部環境に直面しています。このような状況下で、医療に不可欠な「基礎的医薬品」や「供給確保医薬品」の高品質な安定供給を重要な課題としています。

中期経営方針「FUSOビジョン2030 Next Stage」では、「次代に向けた変革のための投資フェーズ」と位置づけ、新薬開発や人的資本・DXへの投資を進めています。生産体制の効率化のため、岡山第二工場の建設や大東工場の機能移転・集約を推進しています。また、サプライチェーンマネジメント室を新設し、品質管理体制の基盤強化と安定供給の確実化を図っています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


同社は、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能とを分離し、業務執行の機動性を高めるために執行役員制度を導入しています。取締役会は全ての取締役8名で構成され、経営上の重要事項を審議・決定し、取締役の職務執行を監督しています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


同社の株主構成を見ると、筆頭株主は「ぶどう協和会」であり、特定の事業会社や機関投資家が上位に名を連ねています。また、従業員持株会や創業家関係者も上位株主として存在しており、多様なステークホルダーによって支えられている資本構成となっています。

株主名 持株比率
ぶどう協和会 7.02%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.60%
敷島振興 5.30%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は戸田幹雄氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
戸 田 幹 雄 代表取締役社長 1966年4月同社入社、1969年5月取締役就任、1979年2月代表取締役社長就任より現職。
戸 田 幹 洋 代表取締役専務経営企画部長 2003年4月国際協力機構青年海外協力隊としてタンザニア連合共和国に派遣、2016年3月同社入社、2021年6月取締役就任、2025年6月代表取締役専務就任より現職。
岡 純 一 取締役生産本部長 1971年4月同社入社、2009年6月取締役就任、2022年4月生産本部長就任より現職。
伊 藤 雅 教 取締役研究開発センター担当 1974年4月同社入社、2013年6月取締役就任、2021年6月研究開発センター担当就任より現職。
大 谷 英 樹 取締役営業本部長 1987年4月同社入社、2017年6月取締役就任、2021年6月営業本部長就任より現職。


社外取締役は、柏木孝氏(帝塚山学院大学客員教授)、渡部靖彦氏(渡部靖彦公認会計士事務所代表)、池野由香里氏(弁護士法人栄光社員弁護士)です。

同社は監査役会設置会社であり、社外取締役3名を含む8名の取締役で構成される取締役会が経営を監督しています。また、社外監査役2名を含む3名の監査役が、取締役の職務執行を監査する体制です。社外取締役および社外監査役の全員が独立役員として指定されており、経営の透明性と監視機能の強化に努めています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社の役員報酬は、企業価値の継続的な向上と中長期的な業績貢献意欲を高めることを目的として設計されています。具体的には、固定報酬としての基本報酬、業績連動報酬としての賞与、および退職慰労金によって構成されています。基本報酬は職責や在任年数などを考慮して決定され、業績連動報酬は経常利益や当期純利益などを反映して決定される仕組みです。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 5名 1.2億円 24.8百万円
監査役(社外除く) 1名 12百万円 12.0百万円
社外役員 6名 28百万円 4.7百万円


なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。