※本記事は、H.U.グループホールディングス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月15日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
H.U.グループホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は351名、グループ連結従業員数は5,157名です。
同社グループは、臨床検査の受託、臨床検査薬の製造・販売、滅菌・手術関連事業などを展開しています。連結子会社34社を中心に、医療分野における幅広いサービスを提供しています。
主な国内グループ会社は、H.U.フロンティア(全社(共通))、エスアールエル(検査・関連サービス事業)、富士レビオ・ホールディングス(臨床検査薬事業)などです。
直近では、Plasma Services Group, Inc.の買収、株式会社ガイアメディケアの連結子会社化を実施し、ケアレックスは持分法適用関連会社となりました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
H.U.グループホールディングスは、ヘルスケア分野で変革を推進する持株会社として、人材を重要な経営資源と位置付けています。同社グループは、従業員一人ひとりの成長と活躍を重視し、人的資本の価値最大化を目指す方針です。報酬制度は職責と成果に基づき、外部市場水準も考慮して設計されています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社の平均年齢は43.2歳、平均勤続年数は12.1年となっています。比較的高い平均年齢と長い勤続年数から、従業員が長期的にキャリアを築いている様子がうかがえます。安定した環境で経験を積むことができる傾向にあると考えられます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,102,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.1年 |
| 平均年齢 | 43.2歳 |
| 単体従業員数 | 351人 |
| 連結従業員数 | 5,157人 |
| 単体のグループ内比率 | 6.8% |
なお、直近の主要子会社のデータは以下の通りです。
| 会社名 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 株式会社エスアールエル | 42.8歳 | 15.9年 | 6,451,000円 |
| 日本ステリ株式会社 | 40.1歳 | 14.1年 | 5,298,000円 |
同社および主要な国内連結子会社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
当連結会計年度末における退職給付債務は144億円、年金資産は80.9億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
H.U.グループホールディングスは、Mission・Visionの実現と中期経営計画「H.U.2030」の推進において、変革を牽引する「人財」を重要な経営資源と位置付けています。従業員一人ひとりが「自立・自走・自責」の姿勢で主体的なキャリア形成を通じて成長することが、新たな価値創造の基盤であると考えています。グループ共通の人材マネジメントの枠組みを基盤としつつ、グループ横断的な取り組みと各社の事業特性に応じた独自の取り組みを連動させ、人的資本の価値最大化を推進しています。
報酬は、各従業員に期待される職責とその発揮状況を基軸として設計されています。報酬体系は、短期および中長期の時間軸、期待役割とその成果の双方の観点を踏まえて構成されています。給与水準は、各職種に求められる専門性や業務特性、グループ各社の事業特性を踏まえ、外部労働市場における水準を参考に設計されており、国内主要企業群の報酬水準の中央値以上を維持することをターゲットとしています。個々の従業員の給与改定は、期初目標の達成状況や業績への貢献度、業務遂行の成果等を総合的に評価し、報酬に反映する仕組みです。
同社グループは、持続的成長を阻害する要因として、人材確保、人材活用、人材定着のリスクを定義し、それぞれに対応する施策を講じています。人材確保では、技術的優位性を軸とした採用ブランディング強化や採用チャネルの多様化、グループ内人材情報の可視化を進めています。人材活用では、次世代リーダー候補人材の選抜・育成プログラムの継続的運用や、タレントレビューに基づく人材の早期抜擢、計画的な後継者育成プログラムにより、次世代を担う人材を層厚く輩出する方針です。人材定着では、定期的なエンゲージメントサーベイに基づく組織課題の特定・改善サイクルを構築し、1on1による対話文化の醸成や、納得感の高い評価・報酬制度の運用、職場環境の整備を通じて、全世代が意欲を持って活躍できる組織基盤を堅持しています。
多様な人材一人ひとりが健康でいきいきと活躍できる環境整備に努めており、ダイバーシティ方針では、多様な人材が能力を最大限に発揮し、革新を生み出すことで新たな価値を創造することを表明しています。2026年3月期は、従業員へのダイバーシティ・マネジメントやウェルビーイングにおける教育、インクルーシブサーベイの実施、キャリア×ライフイベントの講演会開催など、様々な取り組みを通じて職場づくりを推進しています。健康経営にも注力しており、2019年に「健康宣言」を明文化し、健康経営推進部や健康管理センターを設置するなど、メンタルおよびフィジカルの両面から様々な施策を推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。各指標は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律および育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 16.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 70.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち非正規雇用労働者) | 56.1% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ H.U.フロンティア㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 1.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 69.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 71.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち非正規雇用労働者) | 66.7% |
▼ 株式会社エスアールエル
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 31.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 86.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 78.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 81.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち非正規雇用労働者) | 79.2% |
▼ 日本ステリ株式会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 13.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 85.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 63.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 78.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち非正規雇用労働者) | 87.7% |
人的資本領域の非財務目標
同社グループは、中期経営計画とともに改定されたマテリアリティに基づき、以下の非財務目標を設定しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業・休暇取得率 | 目標達成 |
| エンゲージメントサーベイ(企業理念への共感) | 目標達成 |
| エンゲージメントサーベイ(成長の機会) | 目標達成 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
H.U.グループホールディングスは、臨床検査の受託、臨床検査薬の製造・販売、そして滅菌・手術関連サービスなどを手掛ける持株会社です。医療とヘルスケアの分野で多角的な事業を展開し、人々の健康を支えるサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に「検査・関連サービス事業」「臨床検査薬事業」「ヘルスケア関連サービス事業」の3つのセグメントで事業を展開しています。これらの事業は互いに有機的かつ補完的な関係にあり、医療現場の多様なニーズに応えています。
検査・関連サービス事業
この事業では、主に医療機関から特殊検査や一般検査を受託しています。病理学的検査の受託や、検査施設の庶務、検査機器システムの保守・管理および開発業務などの周辺サービスも提供しています。海外では米国を中心に遺伝学的検査サービスを展開しており、健康診断代行サービスや食品・環境・化粧品検査も行っています。
収益は、医療機関からの検査受託や各種検査サービスから得ています。運営は、エスアールエル、日本医学臨床検査研究所、東京セントラルパソロジーラボラトリー、H.U.ウェルネス、日本食品エコロジー研究所などが行っています。前期と比較して、がんゲノムをはじめとした遺伝子関連検査や特殊検査の伸長により、収益は増加傾向にあります。
臨床検査薬事業
この事業は、国内外の臨床検査薬事業を統括する富士レビオ・ホールディングスを中心に展開しています。国内では富士レビオが臨床検査薬の製造・販売を行い、医療機関や受託臨床検査会社へ製品を供給しています。臨床検査薬の開発受託(CDMO事業)や原材料の供給、ライセンス許諾も行っています。海外では、臨床検査薬の原材料やCDMO製品の販売、バイオ原料の供給、臨床検査薬の開発・製造・販売、神経疾患関連領域の検査試薬原料販売、超・高感度検出技術の開発などを行っています。
収益は、臨床検査薬の製造・販売、CDMO事業、原材料供給、ライセンス許諾などから得ています。運営は、富士レビオ・ホールディングス、富士レビオ、富士レビオ・ダイアグノスティクス・ジャパン、先端生命科学研究所などが行っています。新型コロナウイルス関連製品の売上は減少したものの、NEURO関連売上が海外を中心に伸長したことで、収益は前期からほぼ横ばいとなっています。
ヘルスケア関連サービス事業
この事業では、主に大規模病院内で使用される医療器具の滅菌業務や、手術業務支援サービス、医療材料の物流管理・搬送サービスなどを受託しています。全国の滅菌センターでの院外滅菌サービスも提供しており、医療機器・材料の販売・リース、医療用衣服のレンタル・クリーニングも行っています。また、訪問看護事業を主とした在宅サービス事業も展開しています。
収益は、医療器具の滅菌業務受託、手術関連サービス、医療機器・材料販売、在宅サービスなどから得ています。運営は、日本ステリ、StarQガイア、StarQケア、ガイアメディケアなどが行っています。滅菌・手術関連事業の伸長や在宅事業の連結子会社化があったものの、一部事業の持分法適用関連会社化の影響により、収益は前期からわずかに減少しています。
同社グループの売上高は日本国内が大部分を占めており、海外売上高の比率は比較的小さい傾向にあります。特定の顧客への収益集中は見られず、多岐にわたる医療機関や企業を顧客としています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 検査・関連サービス事業 | 1,530億円 | 1,573億円 |
| 臨床検査薬事業 | 605億円 | 607億円 |
| ヘルスケア関連サービス事業 | 295億円 | 293億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5年間で変動が見られます。2022年3月期から2024年3月期にかけて減少傾向にありましたが、その後2025年3月期、2026年3月期と増加に転じています。
経常利益は、2022年3月期から2024年3月期にかけて大きく減少し、2024年3月期には経常損失を計上しました。2025年3月期には黒字に転換しましたが、2026年3月期は再び減少しています。親会社株主に帰属する当期純利益も同様に2024年3月期に純損失を計上しましたが、2025年3月期に黒字転換し、2026年3月期は大きく増加しました。これは固定資産売却益や関係会社株式売却益の計上などが寄与しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、過去5年間を通じて安定的にプラスを維持しており、本業によるキャッシュ創出力は継続していることがうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,729億円 | 2,609億円 | 2,370億円 | 2,430億円 | 2,474億円 |
| 経常利益 | 474億円 | 220億円 | △72.4億円 | 47.4億円 | 28.3億円 |
| 経常利益率 | 17.4% | 8.4% | △3.1% | 2.0% | 1.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 296億円 | 157億円 | △75.5億円 | 27.6億円 | 68.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 519.55 | 275.52 | △132.77 | 48.60 | 121.52 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から当期にかけて増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。
これは、定期昇給の実施と並行して、働き方改革や生産性向上への継続的な取り組みが進展し、時間外勤務手当が減少したことなどが背景にあると考えられます。労働時間の構造的な適正化が進むことで、従業員の働き方の質の向上にもつながっていると捉えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 44.6百万円 | 48.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.5百万円 | 0.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
H.U.グループホールディングスは、安定した財務基盤を維持しています。同社グループは本業で着実に資金を生み出し、投資活動も効率的に行われている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は51.3%となっており、プライム市場の平均と比較して高い水準を維持しています。これは財務基盤の安定性を示しており、外部環境の変化に対する耐性があると言えます。ROE(自己資本利益率)は5.0%で、前期から改善傾向にあります。手元資金である現金及び預金は481億円と潤沢であり、安定した事業運営を支える基盤となっています。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営を継続し、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する可能性を示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,373億円 | 1,375億円 |
| 自己資本比率 | 49.0% | 51.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.0% | 5.0% |
| 現金及び預金 | 409億円 | 481億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
営業活動によるキャッシュ・フローは216億円の獲得となっており、本業で安定的に資金を生み出している状況です。これは前期からやや減少しています。投資活動によるキャッシュ・フローは113億円の獲得となりました。前期は160億円の使用でしたが、当期は獲得に転じています。これは主に貸付金の回収や子会社株式の売却、有形固定資産の売却による収入が要因です。
フリーキャッシュ・フローは329億円のプラスとなり、前期の60億円から大きく増加しています。本業で得た資金と投資活動による収入で、自由に使える資金が潤沢にある状態です。財務活動によるキャッシュ・フローは264億円の使用となりました。これは主に長期借入金の返済や配当金の支払いが要因です。これらのキャッシュフローの状況は、同社グループが本業で安定した資金を創出し、財務的な健全性を保ちながら事業運営を行っていることを示しています。これは、従業員の雇用安定性や給与水準の維持に良い影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 220億円 | 216億円 |
| 投資CF | △160億円 | 113億円 |
| 財務CF | △53億円 | △264億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 60億円 | 329億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、医療制度改革や競合激化、医療費抑制政策などによる市場環境の変化が事業に影響を及ぼすリスクを認識しています。また、北米・欧州・アジアなど海外での事業活動も積極的に展開しており、各地域の市場変化、景気後退、政情変化、法規制の変更などが業績に悪影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、優秀な人材の確保や維持、育成が計画通りに進まない場合、事業活動に支障をきたし、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があると認識しています。国内の少子高齢化や労働市場の変化も、このリスクに影響を与える要因としています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
H.U.グループホールディングスは、ヘルスケア領域における新しい価値創造を通じて、人々の健康と医療の未来に貢献することを目指しています。同社グループは、変化の激しい事業環境に対応しながら、持続的な成長と社会への価値提供を追求する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループのMissionは、「ヘルスケアにおける新しい価値の創造を通じて、人々の健康と医療の未来に貢献する」ことです。このMissionのもと、検査・手術を中心とした医療インフラとしての役割を果たすだけでなく、広くヘルスケア領域へと事業を展開しています。
中期経営計画「H.U.2030 2.0」では、「世界のH.U.グループ」を目指すことを掲げています。技術的な優位性を軸としたイノベーションにより、臨床的価値の高い製品をグローバルに提供し、日本を代表するヘルスケア企業となることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「新たな価値を創造する人財の育成」をマテリアリティ(重要課題)として設定しています。社会インフラとしての機能を発揮する根幹は人であるとの考えのもと、人的資本の強化に取り組んでいます。
「人を想い、人が高める」をキーワードに、多様かつ健康で活性化された組織風土づくりを推進しています。具体的には、「人権方針」「ダイバーシティ方針」「労働安全衛生方針」「人財育成方針」を定め、組織的・体系的に活動しています。同社は「D&I Award 2025」で最高評価の「ベストワークプレイス」に2年連続で認定されており、健康経営優良法人大規模法人部門にも7年連続で認定されています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、高齢化や医療費増加、原材料価格上昇といった事業環境の変化に対応すべき課題として認識しています。これに対し、患者ニーズ(Patient Journey)を支える医療インフラとして、オンコロジー(がん)やNEURO(認知症)、感染症といった疾患別の成長戦略を推進しています。
また、人的資本の強化を重要なテーマとしており、従業員一人ひとりが医療インフラとしての役割を認識し、「長く働きたい」と思える会社を目指しています。学術面を含めた教育機会の提供や、個々人のライフスタイルに合わせた柔軟な人事制度の整備、従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいます。さらに、指名委員会等設置会社としてガバナンスの強化も図り、持続的な価値創造と稼ぐ力の強化を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
H.U.グループホールディングスは、指名委員会等設置会社であり、グループを統括する持株会社として経営体制を構築しています。取締役会は社外取締役を多く含む構成となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
H.U.グループホールディングスの株主構成を見ると、筆頭株主は信託銀行であり、信託業務に係る株式を保有しています。上位株主には複数の海外機関投資家も名を連ねており、幅広い投資家層に支えられている資本構成となっています。特定の創業家や事業会社による支配的な影響は見られません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 13.90% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 | 5.65% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.50% |
なお、シュローダー・インベストメント・マネージメント・リミテッドは2025年4月30日現在で4,484,600株(7.80%)、ブランデス・インベストメント・パートナーズ・エル・ピーは2026年2月27日現在で4,857,188株(8.45%)、三井住友トラスト・アセットマネジメントは2026年3月13日現在で1,440,100株(2.50%)をそれぞれ所有している旨が大量保有報告書に記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は17名(男性15名・女性2名)で構成され、女性役員比率は11.8%です。代表執行役社長兼グループCEOは石川剛生氏が務めています。社外取締役比率は77.8%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 竹内 成和 | 取締役 | 1976年CBS・ソニー入社。ソニー・ミュージックアーティスツ代表取締役社長、エイベックス・グループ・ホールディングス代表取締役CFOなどを歴任。2016年同社取締役代表執行役副社長、2016年同社取締役代表執行役社長、2023年同社取締役代表執行役会長を経て、2026年4月より同社取締役執行役。 |
| 北村 直樹 | 取締役 | 1993年ソニー入社。ソネットエンタテインメント経営企画部長などを経て、2011年同社入社。同社執行役、Miraca Life Sciences, Inc. CEOなどを歴任。2018年より同社取締役、2021年より同社執行役常務。 |
| 青山 繁弘 | 取締役 | 1969年サントリー入社。同社取締役洋酒事業部長、専務取締役経営企画本部長、代表取締役副会長などを歴任。2018年より同社社外取締役。 |
| 天野 太道 | 取締役 | 1977年等松青木監査法人入所。有限責任監査法人トーマツ社員、グループCEO兼監査法人包括代表などを歴任。2016年天野太道公認会計士事務所開設。2017年より同社社外取締役。 |
| 粟井 佐知子 | 取締役 | 1984年米国食肉輸出連合会日本事務所入所。ラ・プレリージャパン代表取締役社長などを歴任。2020年ADワークスグループ社外取締役、2022年ビーピー・カストロール社外取締役。2023年より同社社外取締役。 |
| 伊藤 良二 | 取締役 | 1979年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。UCC上島珈琲取締役、シュローダー・ベンチャーズ代表取締役、ベイン・アンド・カンパニー日本支社長などを歴任。2006年プラネットプラン代表取締役。2014年より同社社外取締役。 |
| 白川 もえぎ | 取締役 | 2003年弁護士登録、友常木村法律事務所入所。アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2021年金融庁企業会計審議会臨時委員。2022年より同社社外取締役。 |
| 宮川 圭治 | 取締役 | 1982年日本貿易振興会入会。ドイツ証券M&A部門統括責任者、リンカーン・インターナショナル会長などを歴任。2019年より同社シニア・アドバイザー。2021年より同社社外取締役。 |
| 吉田 仁 | 取締役 | 1980年ヴィクトリア入社。アスクル入社後、オフィスライフクリエーション統括部長、取締役BtoBカンパニーCOO、取締役副社長などを歴任。2023年より同社社外取締役。 |
社外取締役は、青山繁弘氏(元サントリーホールディングス代表取締役副会長・指名委員)、天野太道氏(公認会計士・元有限責任監査法人トーマツグループCEO兼監査法人包括代表・監査委員長)、粟井佐知子氏(元ラ・プレリージャパン代表取締役社長・報酬委員長・監査委員)、伊藤良二氏(元ベイン・アンド・カンパニー日本支社長・指名委員・報酬委員)、白川もえぎ氏(アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー・指名委員・監査委員)、宮川圭治氏(元ドイツ証券M&A部門統括責任者・報酬委員・監査委員)、吉田仁氏(元アスクル取締役副社長・指名委員長)です。
同社は指名委員会等設置会社であり、取締役9名中7名が社外取締役で構成されています。社外取締役は、経営の客観性、中立性、専門性を確保し、経営者の職務執行の妥当性を監督する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
H.U.グループホールディングスの役員報酬は、固定報酬としての基本報酬に加え、短期業績連動型報酬(STI)、譲渡制限付株式ユニット(RSU)、パフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)から構成されています。報酬の決定は、全ての委員を社外取締役で構成する報酬委員会によって行われ、客観性と透明性を重視した運用プロセスが構築されています。業績連動型報酬では、連結売上高や当期純利益、サステナビリティ指標などが評価指標として用いられ、中長期的な企業価値向上へのインセンティブが設計されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 執行役 | 8名 | 5.6億円 | 70.2百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 88百万円 | 12.6百万円 |
なお、執行役を兼務する取締役に対しては、取締役としての報酬は支給されていません。
個人別報酬が開示されている役員は、竹内成和氏(2.56億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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