※本記事は、株式会社免疫生物研究所 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
免疫生物研究所は、抗体関連事業と化粧品関連事業を展開しています。抗体を基盤とした研究用試薬や体外診断用医薬品の製造・販売、検査サービス、遺伝子組換えカイコを用いたタンパク質生産受託などを手掛けています。
単体従業員数は54名、連結従業員数は54名です。セグメントは抗体関連事業、化粧品関連事業の2つです。
主な国内グループ会社は、ネオシルク化粧品(化粧品関連事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
免疫生物研究所は、抗体関連事業を通じて社会貢献を目指す企業です。研究開発を重視し、持続可能な企業活動のために人材への投資や育成にも力を入れています。従業員が安心して長く働ける環境づくりにも取り組んでいることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も長めであることから、安定して長く働く従業員が多い傾向が見られます。これは、専門性を深めながらキャリアを築いていきたい方にとって、魅力的な環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,948,000円 |
| 平均勤続年数 | 17.7年 |
| 平均年齢 | 46.3歳 |
| 単体従業員数 | 54人 |
| 連結従業員数 | 54人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。適用範囲は同社および連結子会社です。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は1.3億円、年金資産は1.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「人の成長=企業の成長、人財・組織力の最大化」を中長期的な経営戦略として掲げ、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。人材を「資本」と捉え、多様な専門性を持つ人材の確保・育成、能力を最大限発揮できる組織基盤の構築に注力しています。成長領域における専門人材やグローバル人材の採用強化、次世代リーダー育成、デジタルスキル向上に向けた教育投資、多様な働き方を支える人事制度整備等に取り組んでいます。
従業員の給与・報酬は、各人の職務・役割・成果・能力等を総合的に評価し、社内外の報酬水準や市場動向、会社業績等を踏まえて決定されます。安定的な生活基盤を支える基本給に加え、業績目標の達成状況や個人評価を反映した賞与で構成されており、専門性の高い人材には市場競争力を踏まえた処遇を行う方針です。性別、年齢、国籍等にかかわらず、職務・役割に応じた公平な評価と処遇を重視しています。
また、従業員の人権・健康・安全衛生を重視し、一人ひとりがやりがいを持って安心して働ける就労環境の構築を進めています。育児休業規程や介護休業規程に基づく休業・休暇制度、時短勤務制度を整備し、60歳定年退職後の再雇用制度も導入しています。健康管理では年1回の健康診断やストレスチェック、安全衛生委員会の開催を通じて、従業員の健康維持・増進と安全な職場環境づくりに取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。当事業年度における男性労働者の育児休業取得率については、該当者がいません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 25.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 67.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 70.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 58.9% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
免疫生物研究所は、抗体関連事業と化粧品関連事業を展開しており、特に抗体を基盤とした研究用試薬や診断薬、検査サービスを通じて、生命科学研究や医療分野に貢献しています。遺伝子組換えカイコ技術を活用したタンパク質生産も特徴的な事業です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に「抗体関連事業」と「化粧品関連事業」の2つのセグメントで事業を展開しています。収益は、診断試薬の製造・販売、検査サービスの提供、そして遺伝子組換えカイコを用いたタンパク質生産など、多岐にわたる技術とサービスから得られています。海外での販売も行われており、グローバルな展開も見られます。
抗体関連事業
この事業は、診断試薬サービス、検査サービス、TGカイコサービスで構成されています。診断試薬サービスでは、抗体を基盤とした研究用試薬や体外診断用医薬品の製造・販売、受託サービス、医薬シーズライセンス導出を行っています。検査サービスでは、血中リポタンパク質詳細プロファイリングサービス「LipoSEARCH®」などを提供し、TGカイコサービスでは遺伝子組換えカイコによる目的タンパク質やヒト型コラーゲンの生産・販売を手掛けています。
収益は、ELISAキットの海外治験への採用や体外診断用医薬品原料抗体の国内販売増加、ラミニン511-E8や抗体受託サービスの販売増加が主な要因となっています。運営は、免疫生物研究所と連結子会社のAI Bioが行っています。
化粧品関連事業
この事業では、同社グループが開発した化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」を配合した化粧品の製品開発と販売を行っています。遺伝子組換えカイコの繭で生産されるヒト型コラーゲンを特徴としています。
収益は、国内通信販売を中心とした化粧品の販売から得ていますが、前期に比べて減少しています。運営は、連結子会社のネオシルク化粧品が行っています。
同社グループの売上高は、抗体関連事業が全体の大部分を占めており、化粧品関連事業は比較的小規模となっています。主要な顧客としてImmuno-Biological Laboratories, Inc.やシスメックス㈱への販売実績があり、特定の顧客への収益集中が見られます。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 抗体関連事業 | 9.6億円 | 10.0億円 |
| 化粧品関連事業 | 5百万円 | 3百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向を示しています。特に直近の当連結会計年度では、売上高が前期から増加し、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も大きく伸びています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6.5億円 | 7.9億円 | 8.2億円 | 9.7億円 | 10.0億円 |
| 経常利益 | △2.4億円 | △1.5億円 | 1.3億円 | 2.1億円 | 3.0億円 |
| 経常利益率 | △37.6% | △18.8% | 15.4% | 21.6% | 29.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △2.6億円 | △2.9億円 | 1.9億円 | 2.5億円 | 3.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △27.78 | △31.10 | 20.05 | 26.74 | 35.33 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から増加しています。また、従業員1人あたり営業利益も前期から増加しており、従業員一人ひとりの生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化と効率的な事業運営を示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 16.7百万円 | 18.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.6百万円 | 5.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社免疫生物研究所の財務状況は、安定した経営基盤と将来への投資余力を示しています。本業で着実に資金を生み出し、健全な資金循環を維持していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
株式会社免疫生物研究所の財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって特徴づけられています。当期の自己資本比率は85.5%であり、プライム市場の製造業平均(46.8%)と比較しても非常に高い水準です。これは、外部からの借入に依存せず、自社の資金で事業を運営する安定した経営体制を示しています。
また、ROE(自己資本利益率)は当期19.6%と、プライム市場平均(9.4%)を大きく上回っており、効率的な資本活用による収益性の高さがうかがえます。手元資金である現金及び預金も9.9億円と厚みがあり、不測の事態や将来の事業機会に備える十分な流動性を確保している状況です。これらの財務指標は、同社グループの経営が安定しており、入社後の雇用や給与の安定性にも寄与する基盤があることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 15.1億円 | 18.4億円 |
| 自己資本比率 | 82.1% | 85.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 17.9% | 19.6% |
| 現金及び預金 | 8.3億円 | 9.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
株式会社免疫生物研究所のキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、健全な財務活動を行っている状況を示しています。当期の営業活動によるキャッシュフローは3.0億円のプラスとなり、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費の計上などが主な要因です。これは、同社グループが事業活動を通じて着実に資金を獲得していることを意味します。
投資活動によるキャッシュフローは△1.2億円のマイナスとなっており、投資有価証券の取得など、将来に向けた投資を行っていることがうかがえます。その結果、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは1.8億円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している優良な状態です。財務活動によるキャッシュフローは△27百万円のマイナスで、長期借入金の返済による支出が主な要因であり、借入金の返済を進めていることがわかります。
これらのキャッシュフローの状況から、同社グループは安定した事業運営と計画的な投資・返済を行っており、入社後の安定性や将来的な成長性への期待が持てる財務状況であると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.8億円 | 3.0億円 |
| 投資CF | △54百万円 | △1.2億円 |
| 財務CF | △32百万円 | △27百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.3億円 | 1.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、体外診断用医薬品事業において、研究開発の遅延や許認可取得の長期化、競合他社の新製品発売、診療報酬改定などにより業績に影響を受ける可能性があります。また、海外展開による影響として、各地域の経済状況や政治的要因、公的規制、為替管制、自然災害などが事業展開や業績に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、小規模な組織であり、個々の役職員の働きに依存している面があります。特に代表取締役社長への依存度が高い状況であり、今後の事業展開に必要な役職員が関与困難になった場合、事業および業績に大きな影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
免疫生物研究所は、生物の生命維持に不可欠な「抗体」の研究開発を通じて、人類が病気から安全に免れる社会の実現を目指しています。難病に苦しむ人々の明るく豊かな暮らしに貢献することを経営理念としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
免疫生物研究所グループは、生物の生命維持に不可欠な免疫機構「抗体」の研鑽を通じて、人類が病気から安全に免れる社会の実現を目指しています。治療用医薬品や診断用医薬品の開発、生活習慣病領域での検査サービスを提供しています。また、カイコ繭中に抗体などの安全性の高いタンパク質を発現させる技術を用いた製品化も行っています。世界で難病に苦しむ人々が病気を克服し、明るく豊かな暮らしを営めるよう社会に貢献することを経営理念としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
免疫生物研究所グループは、自由な発想と柔軟な組織を重視する研究開発型企業です。常に問題意識を持ち、研究開発活動が滞らないよう組織を運営しています。日々進歩する科学技術を積極的に取り入れ、柔軟な創造力と自由闊達な意欲をもって新たな製品の実用化や事業化を目指しています。また、公正かつ透明な企業活動を基本方針とし、コンプライアンスを徹底しています。人権と人格を尊重し、ハラスメントや差別を排除する社内規程を設け、従業員が安心して働ける環境づくりを進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
免疫生物研究所グループは、研究開発の重点投資を経営課題の一つとしています。治療用医薬品や診断用医薬品のパイプライン充実のため、優秀な人材の採用や研究開発の効率化、スピードアップを図っています。また、各事業に精通した研究員やプロジェクト推進人材の確保、研究開発に適した環境作りを推進しています。経営管理体制の強化も重要な課題であり、経営の公正性・透明性・継続性を確保するため、各種社内規程や関係法令等の遵守、内部統制の整備・運用に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、2026年6月25日の定時株主総会で監査等委員会設置会社へ移行しました。これにより、取締役会の監督機能が強化され、コーポレート・ガバナンスの充実と強化が図られています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は代表取締役社長の清藤勉氏であり、同氏が経営に深く関与していることがうかがえます。また、株式会社トランスジェニックグループも上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 清藤 勉 | 12.07% |
| 楽天証券共有口 | 2.72% |
| トランスジェニックグループ | 1.72% |
| 中沢 祥子 | 1.09% |
| 東和銀行 | 1.07% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は清藤勉氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 清藤 勉 | 代表取締役社長 | 1964年9月 国立がんセンター研究所病理学部技官、1978年9月 日本抗体研究所入社、1982年9月 同社設立 代表取締役社長就任、2011年6月 ㈱トランスジェニックグループ取締役就任、2021年2月 ㈱AI Bio代表取締役社長より現職。 |
| 中川 正人 | 常務取締役業務執行責任者兼事業グループ管理本部長 | 1983年4月 ㈱ウェッズ入社、2007年10月 同社入社、2008年6月 同社取締役財務経理部長兼社長室長就任、2021年6月 同社常務取締役業務執行責任者兼事業グループ管理本部長より現職。 |
社外取締役は、福永健司氏(㈱トランスジェニックグループ代表取締役)、岡住貞宏氏(井上・岡住司法書士行政書士事務所共同代表・常勤監査等委員)、小嶋一慶氏(弁護士法人ゆうあい綜合法律事務所代表・監査等委員)、兒島宏和氏(株式会社山田製作所非常勤監査役・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能強化と経営の意思決定の迅速化を図っています。4名の社外取締役が中立的・公正な立場から助言を行い、経営の公正性及び透明性の向上に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役報酬は基本報酬のみで構成されており、各役員の役位、職責、業績等を総合的に勘案して決定されています。基本報酬は金銭による月例の固定報酬です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 43百万円 | 14.2百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 13百万円 | 2.6百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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