※本記事は、エステー株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
エステーは、子会社8社と関連会社1社で構成される同社グループとして、生活日用品の製造・販売を主軸とする「生活日用品事業」を展開しています。この単一セグメントで、日々の暮らしを支える製品を提供しています。
単体従業員数は460名、連結従業員数は739名です。同社グループの事業セグメントは「生活日用品事業」の単一です。
前期にはペットケア事業の譲受けを行い、同社グループの事業領域を拡大しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
エステーは、生活日用品事業を中核とする企業であり、安定した事業基盤のもとで従業員の働きがいや成長を重視する姿勢が見られます。多様な人材が活躍できる環境づくりや、イノベーションを創出するための人材育成に力を入れていることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員が長期的にキャリアを形成し、定着して働きやすい環境を提供している傾向があります。平均勤続年数や平均年齢から、経験豊富な人材が多数在籍し、安定した組織運営がされていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,102,383円 |
| 平均勤続年数 | 15.4年 |
| 平均年齢 | 42.0歳 |
| 単体従業員数 | 460人 |
| 連結従業員数 | 739人 |
| 単体のグループ内比率 | 62.2% |
退職給付制度として、同社グループは確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。これらの制度は、同社及び連結子会社に適用されています。退職一時金制度もあり、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
なお、確定給付制度における退職給付債務は11.1億円、年金資産は21百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
エステーグループは、中期経営計画「SMILE 2027」の実現に向け、「人」を最重要事項と位置づけ、人材戦略を推進しています。特に「かおり×ウェルネス×グローバル」の成長戦略領域に必要な専門人材の確保と、イノベーションを牽引する次世代リーダーの育成に注力しています。
人事制度においては、社員の適性と自律的なキャリア形成をサポートするため、管理職と専門職による「複線型人事制度」を採用しています。基本給は、担う「役割」の大きさと期待される成果に応じた「役割等級制度」により決定されます。賞与は目標達成度を示す「業績評価」を反映し、昇給は「業績評価」と「行動評価」を合わせた人事考課を反映することで、成果とプロセス双方を評価する仕組みです。
また、従業員向けの業績連動を反映した株式給付信託(J-ESOP)を導入し、中長期的な企業価値向上へのコミットメントを高めています。若手育成プログラム「Next」を「事業化人材の育成プログラム」へと深化させ、具体的な事業化をゴールとした実践的なカリキュラムを提供しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 23.7% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 81.4% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 57.7% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 障害者雇用率 | 3.06% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性育児休暇取得率 | 100% |
| 男性育児休暇取得率 | 100% |
人材育成・エンゲージメント
「働くことにやりがいを感じる」、「ワークライフバランスの満足度」及び「パフォーマンス発揮度」は、同社及び国内連結子会社の一部を対象としています。これらは、従業員が病気やケガがない普通の状態のときの仕事のパフォーマンスを100%としたときに、過去4週間の自身の仕事のパフォーマンス評価を記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 働くことにやりがいを感じる | 86.2% |
| ワークライフバランスの満足度 | 75.2% |
| パフォーマンス発揮度 | 85.4% |
| キャリア採用比率 | 51.6% |
| 管理職候補人財プール | 47人 |
| 次世代リーダー育成プログラム(Next)参加者 | 24人 |
| 越境学習参加者(累計人) | 26人 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
エステーは、生活日用品の製造と販売を主軸とする「生活日用品事業」を展開しています。同社グループは、この単一セグメントで事業を営んでいます。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、消臭芳香剤、防虫剤、カイロ、手袋といった幅広い生活日用品を提供しています。主な収益源は、これらの製品の販売によって一時点で認識されるものです。
カテゴリー別に見ると、消臭芳香剤であるエアケアが同社グループの売上高の大きな割合を占めています。次いで衣類ケア、ハンドケアが続きます。直近の期では、エアケア、ペットケア、ホームケア、ハンドケアの各カテゴリーで売上高が増加しました。一方で、衣類ケア、湿気ケア、サーモケアの各カテゴリーでは売上高が減少しています。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への販売が大部分を占めており、海外売上高の比率は低い傾向にあります。また、特定の顧客への売上集中が見られることも特徴です。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で増加傾向にあります。経常利益は期間中に変動が見られますが、直近の期では増加しました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比較して減少しています。これは、前期に計上された負ののれん発生益が当期にはなかったことが主な要因となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 455億円 | 456億円 | 445億円 | 481億円 | 485億円 |
| 経常利益 | 34.8億円 | 27.3億円 | 19.3億円 | 20.8億円 | 24.2億円 |
| 経常利益率 | 7.7% | 6.0% | 4.3% | 4.3% | 5.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 11.1億円 | 18.3億円 | 12.7億円 | 28.3億円 | 16.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 49.91 | 82.22 | 57.23 | 133.57 | 77.38 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しています。従業員1人あたり営業利益も前期から増加しており、生産性の向上がうかがえる傾向にあります。
これらの指標は、組織全体の効率性や収益体質の強さを示すものとなります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 59.1百万円 | 65.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.0百万円 | 2.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、安定した財務基盤を築きながら、事業活動を通じて資金を生み出し、将来に向けた投資も行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは、高い自己資本比率を維持しており、強固な財務基盤を築いています。手元資金も潤沢に確保されており、不況時にも耐えうる安定性を示しています。ROEはプライム市場平均を下回っていますが、堅実な財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 332億円 | 343億円 |
| 自己資本比率 | 71.0% | 73.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.6% | 4.9% |
| 現金及び預金 | 101億円 | 103億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度におけるキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローがプラスとなり、本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。これは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上によるものです。投資活動によるキャッシュフローはマイナスですが、前期と比較して支出が大幅に減少しており、有形固定資産の取得などを行っています。その結果、フリーキャッシュフローはプラスとなり、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある優良な状態です。財務活動によるキャッシュフローは配当金の支払いなどによりマイナスとなっています。このような資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を行いながら、将来に向けた投資も継続していることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 33.0億円 | 20.7億円 |
| 投資CF | △47.9億円 | △6.4億円 |
| 財務CF | △24.2億円 | △12.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △14.9億円 | 14.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの属する日用雑貨業界は、競合他社や新規参入者との間で常に厳しい競争が行われています。競争環境に的確に対応できない場合、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、製品の原材料調達において、原油価格の高騰や円安の進行による素材価格の高止まりが長期化した場合、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
エステーは、社会への奉仕と信頼を信条とし、お客様に最も信頼される製品やサービスを提供することで社会に貢献することを経営理念としています。こころに響くアイデアで、人々のふとした瞬間を笑顔にするパーパスを掲げ、事業活動を行っています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、社会に対するSERVICE(奉仕)とTRUST(信頼)を信条とし、お客様に最も信頼される製品やサービスを提供することで社会に貢献することを経営理念としています。社是「誠実」を実践するため、パーパスとして「こころに響くアイデアで、ふとした瞬間を、ふふっと笑顔に。」を策定しました。世界中の人々のこころ安らぐ健やかな、笑顔ある生活の実現に向け、多様な付加価値を提供できる企業を目指しています。中長期経営戦略『SMILEプラン』では、「くらしと社会を豊かにするウェルネス・カンパニーへ」という10年後のありたい姿を掲げ、「かおり×ウェルネス×グローバル」を成長テーマに定めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは社是「誠実」を大切にし、パーパスに従って常にお客様を第一に考え、ニーズに迅速かつ丁寧に対応するスピード経営を実現しています。サステナビリティ方針では、環境との調和や社会に対する公正さに努め、独自のエアケア中核技術を通して人々の暮らしに快適さと豊かさを提供することを掲げています。人的資本(人財)の取り組みとして、「イノベーションを起こせる人財の確保・配置」や「DE&Iを推進する人財の育成」、「従業員エンゲージメントの向上」、「労働生産性の向上」を目指しています。若手育成プログラム「Next」を「事業化人財の育成プログラム」へと深化させ、具体的な事業化をゴールとした実践的なカリキュラムへと刷新しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、原材料価格の高騰や為替変動、地政学リスクの長期化など、不透明な経営環境に直面しています。消費者の価値選別が厳しさを増し、社会課題解決への要請も高まる中で、収益性とサステナブルな社会貢献の両立が求められています。持続的な成長のため、従前の事業モデルに囚われず、成長戦略と経営体質強化を両輪で推進しています。創立80周年を迎える2027年3月期は、既存事業の収益構造を抜本的に見直すプロジェクトや、アイデア創出プロセスを刷新し、新価値創出のスピードを上げる取り組みを実施することで、「稼ぐ力の回復」に向けた転換点とすることを掲げています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
エステーは指名委員会等設置会社として、経営の監督機能と業務執行機能の分離を図っています。取締役会は社外取締役が過半数を占める構成となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
エステーの株主構成を見ると、筆頭株主は信託銀行であり、複数の機関投資家が上位に名を連ねています。また、個人株主や創業家と見られる鈴木氏が上位に複数名存在し、安定した資本構成を形成していることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.81% |
| 鈴木 幹一 | 7.14% |
| 日本生命保険相互会社 | 6.34% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表執行役社長は上月洋氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 上月 洋 | 取締役会議長 | 1987年4月同社入社。営業企画、経営企画、マーケティング、R&D、営業、事業統括など多岐にわたる部門を担当。2023年6月取締役会議長兼代表執行役社長に就任し、2024年10月より現職。 |
| 吉澤 浩一 | 取締役 | 1985年4月同社入社。財務・総務、経営企画、経営戦略、関係会社担当などを歴任。2014年6月取締役兼執行役。2026年4月専務執行役経営全般担当兼関係会社担当より現職。 |
| 山本 一成 | 取締役 | 1992年4月カゴメ入社後、飲料ビジネスや国際事業に従事。2022年6月同社入社。国内事業本部、マーケティング企画本部、海外事業本部を担当し、2026年4月常務執行役ウェルネス事業本部担当兼マーケティングコミュニケーション本部担当兼海外事業本部本部長より現職。 |
| 橋本 成明 | 取締役 | 2001年4月同社入社。営業部門、経営戦略部門、経営企画室、新規事業、営業本部などを担当。2025年6月取締役兼執行役兼CDOに就任。2025年7月より取締役兼執行役兼CDO経営統括本部担当兼経営統括本部本部長兼シェアードサービス室担当より現職。 |
社外取締役は、前田新造氏(元資生堂代表取締役会長・指名委員・監査委員・報酬委員)、岩田彰一郎氏(フォース・マーケティングアンドマネージメント代表取締役CEO・指名委員長・監査委員・報酬委員)、野田弘子氏(野田公認会計士事務所代表・監査委員長・指名委員)、和智洋子氏(梶谷綜合法律事務所パートナー・監査委員)、宮永雅好氏(中央大学大学院戦略経営研究科教授・報酬委員長・監査委員)です。
同社は指名委員会等設置会社であり、経営の監督機能と業務執行機能の分離を明確にしています。社外取締役が取締役会の過半数を占め、独立した立場で経営を監督する体制が構築されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
エステーの役員報酬は、取締役には固定報酬が、執行役には月例報酬と中長期インセンティブ報酬としての株式報酬が支給される体系です。執行役の月例報酬は固定報酬と業績連動報酬で構成され、業績に連動した株式報酬も導入されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 14百万円 | 3.5百万円 |
| 執行役 | 7名 | 1.5億円 | 21.9百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 43百万円 | 8.6百万円 |
同社グループの役員報酬等の総額は2.10億円で、対象となる役員の合計人数は16名です。
なお、執行役に対する非金銭報酬等は、固定報酬11百万円、業績連動報酬1百万円です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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