※本記事は、株式会社サンエー化研 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
サンエー化研グループは、軽包装材料製品、産業資材製品、機能性材料製品の製造・販売を手がけています。食品用包材から工業用資材、粘着加工品まで幅広い製品を提供しています。
単体従業員数は432名、連結従業員数は611名です。同社グループの事業セグメントは、軽包装材料、産業資材、機能性材料の3つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)東邦樹脂工業(軽包装材料・産業資材)、(連結子会社)シノムラ化学工業(産業資材)などです。
前連結会計年度に譲り受けた保護フィルム事業の生産を開始し、機能性材料セグメントの収益性改善に貢献しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
サンエー化研は、企業理念に基づき、未来に向けた新しい価値創造と社会貢献を目指しています。従業員が安心して能力を発揮できる職場環境の整備を経営上の重要課題と位置付け、多様な働き方を支援する取り組みを進めていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、従業員が長期的にキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も比較的高い水準にあり、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,290,000円 |
| 平均勤続年数 | 18年10ヶ月 |
| 平均年齢 | 44歳7ヶ月 |
| 単体従業員数 | 432人 |
| 連結従業員数 | 611人 |
| 単体のグループ内比率 | 70.7% |
同社グループは、従業員の退職給付に充てるため、確定給付制度を採用しています。確定給付型とは、給与や勤続年数に応じて将来の給付額があらかじめ決まっている制度です。この制度は、同社及び連結子会社に適用されています。
退職一時金制度も採用されていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
当連結会計年度末における退職給付債務は23.5億円、年金資産は39.6億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
サンエー化研は、企業理念である「わたしたちは、未来にむけて新しい価値を創造し、社業を通じて社会に貢献しよう」を共有し、その実現に向けて主体的に行動できる人材の採用・育成を基本方針としています。多様な人材が安全に安心して能力を発揮できる職場環境の整備を進め、お客様から信頼される人材集団の形成を目指しています。
同社は人的資本経営を経営上の重要課題と位置付け、従業員が安心して働き、能力を十分に発揮できる職場環境の整備に取り組んでいます。具体的には、労働災害の防止や熱中症対策の強化、ハラスメント防止に向けた教育・啓発活動を継続しています。若手従業員に対する定期的な面談機会の充実も図られています。
また、従業員の定着と成長を促すため、職場内コミュニケーションの活性化や管理職による育成支援、技能・知識の継承にも力を入れています。これらの取り組みを通じて、従業員が働きがいを感じながら成長できる組織づくりを進めていることがうかがえます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。女性管理職比率は、本記事では取得できていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者に占める女性労働者の割合 | 20.5% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 67.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 79.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 81.2% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 東邦樹脂工業株式会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者に占める女性労働者の割合 | 24.6% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 目標 | 実績(当事業年度) |
|---|---|---|
| 女性社員の平均勤続年数 | 2026年3月期に15年 | 15年11ヶ月 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
サンエー化研は、軽包装材料、産業資材、機能性材料といった化成品を製造・販売している同社グループです。これらの製品を通じて、幅広い産業分野の顧客に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、化成品の製造・販売およびこれに付随する業務を単一事業としていますが、取り扱う製品群によって「軽包装材料」「産業資材」「機能性材料」の3つの報告セグメントに区分して事業を展開しています。各セグメントは、国内および海外の包括的な戦略に基づいて事業活動を行っています。
軽包装材料
食品用包材、医薬品・医療用包材、日用品等の包材を生産しています。食品用包材では消費者の買い控えにより受注が減少しましたが、医薬品・医療用包材の受注は堅調に推移しました。日用品等の包材は、低採算製品の受注調整や包材の形態変更により受注が減少する傾向にあります。当連結会計年度の売上高は前期から減少しました。
産業資材
紙・布へのラミネート製品、剥離紙を生産しています。紙・布へのラミネート製品は顧客の事業縮小やシステム障害、海外品の流入により受注が減少しました。一方で、剥離紙はスマートフォン向けや自動車関連用途向け製品の受注が増加しました。当連結会計年度の売上高は前期からわずかに増加しました。
機能性材料
表面保護フィルム(オレフィン系粘着加工品、その他の粘着加工品)を生産しています。前連結会計年度に譲り受けた保護フィルム事業の生産開始により、オレフィン系粘着加工品の受注が増加しました。しかし、スマートフォン・タブレット等の仕様変更やVRゴーグルの売れ行き不振により、その他の粘着加工品の受注は減少しました。当連結会計年度の売上高は前期から大きく増加しました。
同社グループの事業は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、国内市場が中心となっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期の業績を見ると、売上高は概ね増加傾向にあります。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、一時的に損失を計上した期もありましたが、直近の当連結会計年度では大幅な改善を見せています。
特に、前期は営業損失を計上していましたが、当連結会計年度では営業利益に転換し、収益性が大きく向上していることが示されています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 287億円 | 279億円 | 275億円 | 294億円 | 304億円 |
| 経常利益 | 9.7億円 | △2.4億円 | 36百万円 | 90百万円 | 10.2億円 |
| 経常利益率 | 3.4% | △0.8% | 0.1% | 0.3% | 3.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 15.2億円 | △2.0億円 | 3.5億円 | 2.4億円 | 9.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 138.11 | △18.13 | 32.86 | 23.38 | 99.62 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、当期に49.7百万円となり、前期の46.1百万円から増加しました。また、従業員1人あたりの営業利益も、前期の△0.1百万円から当期は1.4百万円へと大きく改善しています。
これらの指標は、同社グループの生産性が向上し、従業員一人ひとりが生み出す収益と利益が増加している傾向を示しています。特に営業利益の改善は、事業活動における収益体質の強化が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 46.1百万円 | 49.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △0.1百万円 | 1.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社サンエー化研は、本業で着実に資金を生み出し、事業への投資も行っています。その上で余剰資金を確保しており、財務基盤は安定している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準で推移しています。これは、安定した経営を支える強固な資本構成を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっています。
手元資金である現金及び預金も一定規模を確保しており、事業運営における資金の安定性がうかがえます。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 210億円 | 232億円 |
| 自己資本比率 | 53.1% | 57.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 1.2% | 4.5% |
| 現金及び預金 | 63.8億円 | 60.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、当連結会計年度は営業活動により16.7億円の資金を得ています。これは税金等調整前当期純利益の増加や減価償却費の増加などが主な要因です。前期は営業活動で資金を使用していたため、本業で資金を生み出す状況に転換しています。
投資活動では、主に有形固定資産の取得により6.6億円の資金を使用しました。これは事業に必要な設備投資を継続していることを示しています。財務活動では、短期借入金の返済や長期借入金の返済により14.0億円の資金を使用しており、借入金の圧縮を進めている状況です。
これらの結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは10.1億円のプラスとなりました。前期はフリーキャッシュフローがマイナスでしたが、当期は本業で稼いだ資金で投資を行い、さらに余剰資金も生み出せる財務体質へと改善しています。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力も確保していることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △3.2億円 | 16.7億円 |
| 投資CF | △11.1億円 | △6.6億円 |
| 財務CF | 5.1億円 | △14.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △14.3億円 | 10.1億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業構造・収益性に関するリスクとして、機能性材料部門における市場変動と技術変化が挙げられます。主力製品である表面保護フィルムはFPD向けに生産されており、最終製品の技術革新や設計変更により需要が減少する可能性があります。また、原材料の価格変動と調達に関するリスクも認識されています。主な原材料である石油化学製品の仕入価格はナフサ価格の変動に影響され、原材料費の上昇が収益性を低下させる可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
サンエー化研は、長年培ってきた独自の技術を核に、社会に貢献する新しい価値の創造を目指しています。持続可能な社会の実現に向けた取り組みや、従業員が安心して能力を発揮できる職場環境づくりにも力を入れている会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
サンエー化研グループは、「わたしたちは、未来にむけて新しい価値を創造し、社業を通じて社会に貢献しよう」という企業理念を掲げています。創業以来80年以上にわたり、包装関連業界の多様なニーズに応え、技術を磨きながら製品づくりを行ってきました。
同社グループのコア・テクノロジーである「ラミネート技術」「コーティング技術」「フィルム多層押出し技術」を基盤としています。この事業活動を通じて、今後も社会に必要とされる製品を供給し続け、健全な成長・発展を遂げることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
サンエー化研グループは、コア・テクノロジーを絶えず進化させ、新技術の開発を推進する姿勢を大切にしています。市場の動向や社会の変化を常に注視し、顧客の要望に真摯に対応することで、製品開発のためのニーズを的確に捉えるよう努めています。
また、同社は人的資本経営を経営上の重要課題の一つと位置付け、従業員が安心して働き、能力を十分に発揮できる職場環境の整備に取り組んでいます。労働災害の防止やハラスメント防止に向けた教育・啓発活動の継続、若手従業員に対する定期的な面談機会の充実などを通じて、安心・安全で働きやすい職場づくりを推進しています。従業員の定着と成長を図るため、職場内コミュニケーションの活性化や管理職による育成支援にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
サンエー化研グループは、製品価格の適正化、合理化、生産性向上、コスト削減を推進し、収益基盤の改善に取り組んでいます。従業員の安全確保とエンゲージメント向上を強く意識しながら、業績改善に努める方針です。
環境対応製品の開発にも注力しており、プラスチック使用量の削減、容器の減容化、モノマテリアル化、紙を使用した包材への転換など、顧客の環境対応ニーズに応じた製品開発を進めています。また、クリーン塗工商材への対応や、顧客密着型の開発体制を強化し、保護フィルムだけでなく部材を含めた様々な開発にも注力しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
サンエー化研は、経営の透明性とコンプライアンスを重視し、柔軟かつ効率的な事業運営を目指しています。同社グループは、企業規模や事業内容を考慮し、監査役会設置会社として取締役会や監査役会を設置しています。
取締役会は毎月1回定時に開催され、法令で定められた事項や経営に関する重要事項の意思決定を行っています。また、円滑かつ迅速な組織運営のため、執行役員制度を採用し、業務執行の権限を有する執行役員を選任しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
サンエー化研の株主構成を見ると、主要な株主が事業会社であることが特徴です。筆頭株主である新生紙パルプ商事や、第2位の昭和パックスは、同社グループと営業取引関係にあり、相互に経営を監視する体制を構築しています。また、サンエー化研社員持株会も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 新生紙パルプ商事 | 18.81% |
| 昭和パックス | 13.96% |
| サンエー化研社員持株会 | 3.59% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は櫻田武志氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 櫻田 武志 | 代表取締役 社長 | 1987年4月 同社入社、2014年6月 取締役東京営業第3部長、2023年4月 代表取締役社長兼東京営業統括を経て現職。 |
| 山本 元 | 取締役 生産部長兼資材部管掌 | 1990年4月 同社入社、2013年6月 執行役員袋井工場長兼生産技術部長、2018年6月 取締役R&Dセンター所長を経て現職。 |
| 有馬 啓介 | 取締役 関西支店長 | 1990年9月 同社入社、2021年6月 執行役員東京営業第1部長、2025年6月 取締役関西支店長兼関西営業第1部長を経て現職。 |
| 伊澤 正猛 | 取締役 袋井工場長兼製造部長兼 R&Dセンター管掌 | 1996年4月 同社入社、2023年4月 R&Dセンター所長、2025年6月 執行役員掛川工場長兼製造部長兼R&Dセンター所長を経て現職。 |
社外取締役は、野口隆一氏(高井総合法律事務所パートナー)、宮本貞彦氏(元新生紙パルプ商事常勤監査役)です。社外監査役は、井上眞樹夫氏(新生紙パルプ商事監査役)、湯口毅氏(昭和パックス取締役営業本部長)です。
同社は監査役会設置会社を採用しており、取締役6名、監査役3名を選任しています。社外取締役および社外監査役は、客観的な立場から取締役の職務執行に対する適切な監督と助言を行うことが期待されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、月額報酬と賞与で構成される年俸制を基本としています。社外取締役は月額報酬のみです。賞与は対象期間の業績に応じて変動させる仕組みとなっており、また、取締役(社外取締役を除く)および監査役(社外監査役を含む)に対しては、株主との価値共有を目的とした譲渡制限付株式による株式報酬も付与されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 84百万円 | 16.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 15百万円 | 15.1百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 6百万円 | 1.6百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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