大成ラミックグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

大成ラミックグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場。主要事業は、食品用液体包装フィルムおよび高速液体充填機「DANGAN」の製造・販売です。2025年3月期の業績は、売上高308億円(前期比10.1%増)、経常利益24億円(同45.1%増)と、国内外での需要堅調や価格改定効果により増収増益となりました。


※本記事は、大成ラミックグループ株式会社 の有価証券報告書(第60期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 大成ラミックグループってどんな会社?


食品業界向けに、液体スープや調味料などの包装フィルムと、それを充填する機械をセットで提供する企業です。

(1) 会社概要


1966年に大成包材株式会社として設立され、1989年に液体充填用フィルムの販売を開始しました。1992年には液体充填機「NT-DANGAN」を投入し、フィルムと機械のシステム販売を確立しました。2002年に株式を上場し、2025年4月には持株会社体制へ移行して商号を「大成ラミックグループ」に変更しました。

2025年3月31日時点の従業員数は連結648名、単体537名です。筆頭株主は資産管理を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第2位は創業家が代表を務める株式会社タイパック、第3位は大成ラミック取引先持株会となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 10.80%
タイパック 7.51%
大成ラミック取引先持株会 3.86%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表取締役会長兼Co-CEOは木村義成氏、代表取締役社長兼CEOは長谷部正氏です。社外取締役比率は27.3%です。

氏名 役職 主な経歴
木村 義成 代表取締役会長兼Co-CEO 1982年同社入社。工場長、包装フィルム本部長、生産本部長等を歴任。2007年より代表取締役社長を務め、2023年に会長就任。2025年4月より現職。
長谷部 正 代表取締役社長兼CEO 1984年同社入社。生産本部プロセスセクター長、財務部長、管理本部長等を歴任。2023年代表取締役社長に就任。2025年4月より現職。
富田 一郎 取締役 1988年同社入社。工場長、財務部長、生産本部長等を歴任。2020年常務取締役。2025年4月より現職およびDANGANフィルム社長を務める。
北條 洋史 取締役兼CFO 1986年三菱銀行入行。2017年同社へ出向・転籍。経営企画室長、経営戦略本部長等を歴任。2025年4月より現職。
土屋 和男 取締役 1998年同社入社。営業本部副本部長、経営企画室部長、P.I.リサーチセンター長等を歴任。2025年4月より大成ラミック社長を務める。


社外取締役は、友野直子(弁護士)、鈴木道孝(元シロキ工業社長)、村田泰彦(日本工業大学教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「包装フィルム」および「包装機械」事業を展開しています。

(1) 包装フィルム事業


主に食品メーカー向けに、即席麺の液体スープ、ドレッシング、タレ類などを包装する「液体充填用フィルム」や、粉末・乾燥物向けの「ラミネート汎用品」を製造・販売しています。内容物の保存性や開封のしやすさなど、顧客ニーズに合わせた高機能なフィルムを提供しています。

収益は、顧客である食品メーカー等への製品販売代金から得ています。運営は、国内では事業承継会社である大成ラミックや製造子会社のDANGANフィルム、海外では米国およびマレーシアの現地法人が主に行っています。

(2) 包装機械事業


液体充填用フィルムに内容物を高速かつ高精度に充填するための液体充填機「DANGAN」シリーズを開発・製造・販売しています。また、機械の稼働状況を可視化するIoTクラウドサービス「H.U.G.Home」や、メンテナンス、技術指導などのオペレーションサポートも提供しています。

収益は、充填機本体の販売代金および保守サービス料から得ています。運営は、国内では大成ラミック、海外では各国の現地法人が担当し、フィルムと機械を併せたトータルソリューションを提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は概ね増加傾向にあり、特に当期は300億円台に乗せました。利益面では、原材料価格高騰の影響を受けた前期から回復し、当期は大幅な増益を達成しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 259億円 282億円 292億円 280億円 308億円
経常利益 24億円 31億円 26億円 17億円 24億円
利益率(%) 9.4% 10.9% 9.0% 5.9% 7.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 17億円 22億円 19億円 11億円 17億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに前期から大きく伸長しました。営業利益率は7.7%となり、収益性が改善しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 280億円 308億円
売上総利益 69億円 81億円
売上総利益率(%) 24.8% 26.4%
営業利益 16億円 24億円
営業利益率(%) 5.8% 7.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が15億円(構成比26%)、荷造運搬費が10億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


包装フィルム部門は在庫調整の一巡や価格改定効果により増収となりました。包装機械部門も、海外での設備投資需要や円安効果により売上が伸長しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
包装フィルム 268億円 268億円
包装機械 40億円 40億円
その他 0.3億円 0.3億円
連結(合計) 280億円 308億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

大成ラミックグループは、包装フィルム及び包装機械の製造・販売事業を展開しており、営業活動で得られた資金は増加傾向にあります。投資活動では、生産体制強化や品質向上を目的とした設備投資が行われています。財務活動では、配当金の支払い等により資金が使用されています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 25億円 33億円
投資CF -21億円 -21億円
財務CF -10億円 -5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「液体包装の分野において、たゆまぬ研究と実践で培ったノウハウを、『安全、安心、便利』そして『持続可能な社会の実現』のために提供し続けます」を企業の使命としています。製品・サービスを通じて社会に価値と満足を提供し、企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「たゆまぬ研究と実践」を重視する文化を持っています。フィルムと充填機械の双方を提供する独自のビジネスモデルを背景に、顧客のニーズや社会的課題に対して、技術革新やオペレーションサポートを含むトータルソリューションで応える姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


経営方針に基づき、「安定かつ継続的な成長と利益の確保」を経営目標としています。具体的な数値目標としてKPI等を明示する形式ではありませんが、利益額および利益率の最大化や、海外事業の拡大などを通じて企業価値の向上を図る方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


国内既存事業では、液体小袋包装分野を軸に付加価値の高い製品提供とコストダウンを推進し、利益の最大化を目指します。海外事業では、既存展開地域へのリソース集中により、量と質(利益)を伴う事業拡大を図ります。

また、IoT技術を活用した包装工程の「見える化」サービスなど新事業の創出や、環境対応フィルムの開発による「環境負荷低減」と「生産性・機能性」の両立を推進し、持続可能な社会の実現に貢献する戦略を掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員を大切な財産と捉え、多様な能力や個性を発揮できるよう成長を支援する方針です。安全で働きやすい職場環境の確保、労働安全衛生管理システムによる安全第一の風土づくり、ライフイベントに備えた両立支援制度の充実などにより、エンゲージメントの向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.1歳 15.0年 6,352,822円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.4%
男性育児休業取得率 64.7%
男女賃金差異(全労働者) 61.9%
男女賃金差異(正規) 65.9%
男女賃金差異(非正規) 64.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員に占める女性労働者の割合(15.5%)、従業員に占める外国籍割合(5.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料調達について


包装フィルムや機械の製造に必要な原材料について、世界的な需給バランスや自然災害等の影響で供給停滞や価格高騰が発生する可能性があります。これにより調達が困難になったりコストが増加した場合、グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 事業活動が制限される不測の事態


地震、風水害、感染症、火災などの予期せぬ事象により生産設備に被害が生じた場合、事業活動の停止や制限を余儀なくされる可能性があります。こうした事態が発生した場合、製品供給への影響などを通じて、業績に悪影響を与えるリスクがあります。

(3) 製品・サービス市場について


包装フィルムおよび包装機械市場では多数の競合が存在し、競争が激化しています。技術革新やコスト最適化に取り組んでいますが、急速な需要減退や予想を超える価格競争の激化などが起きた場合、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(4) カントリーリスクについて


国内需要の減少が見込まれる中、海外事業を成長ドライバーと位置づけていますが、進出先の政治・経済・法制度の変更や地政学リスクにより事業活動が制限される可能性があります。これにより、海外事業の遂行や業績に悪影響が生じるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。