※本記事は、大成ラミックグループ株式会社の有価証券報告書(第61期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 大成ラミックグループってどんな会社?
液体包装分野に特化し、高機能フィルムと包装機械を組み合わせたトータルソリューションを提供する企業です。
■(1) 会社概要
1966年に設立され、セロファン等の加工販売を開始しました。1989年に液体充填用フィルムの販売を開始し、1992年に液体充填機の販売を始めています。2002年に東証二部、翌年に東証一部へ上場しました。2025年4月には持株会社体制へ移行し、大成ラミックグループへ商号を変更しています。
現在の従業員数は連結で631名、単体で41名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位は資本関係のある事業会社のタイパック、第3位には大成ラミック取引先持株会が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.85% |
| タイパック | 7.91% |
| 大成ラミック取引先持株会 | 4.30% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役会長Co-CEOは木村義成氏、代表取締役社長CEOは長谷部正氏が務めており、社外取締役の比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 木村 義成 | 代表取締役会長Co-CEO | 1982年入社。包装フィルム本部長、生産本部長などを経て、2007年代表取締役社長に就任。2023年代表取締役会長を経て、2025年4月より現職。 |
| 長谷部 正 | 代表取締役社長CEO | 1984年入社。管理本部長などを歴任し、2020年代表取締役専務に就任。2023年代表取締役社長を経て、2025年4月より現職。 |
| 北條 洋史 | 取締役CFO | 1986年三菱銀行入行。ソウル支店長等を経て、2018年同社へ転籍。経営企画室長、経営戦略本部長などを経て、2025年4月より現職。 |
社外取締役は、友野直子(T&Tパートナーズ法律事務所パートナー)、鈴木道孝(元アイシンシロキ社長)、村田泰彦(日本工業大学機械実工学教育センター長)です。
2. 事業内容
同社グループは「包装フィルム」および「包装機械」の事業を展開しています。
包装フィルム部門
主に即席麺の液体スープ、ドレッシング、タレ類などを包装するラミネートフィルムの製造および販売を行っています。液漏れ防止や保存性、易開封性など、食品メーカー等の顧客ニーズに合わせた高機能な液体充填用フィルムを提供しています。
包装フィルムの販売により収益を得ています。運営は大成ラミックやDANGANフィルムなどが担っており、国内だけでなく米国やアジアなど海外市場でも積極的に製品を展開しています。
包装機械部門
液体充填用フィルムに内容物を充填するための液体充填機「DANGAN」の開発や製造を行っています。充填速度と再現性を重視したハイエンドモデルから、基本機能に特化したエントリーモデルまで幅広く揃えています。
機械本体の販売代金のほか、保守サービスやIoT化支援クラウドサービスを通じた業務改善サポートから収益を得ています。運営は大成ラミックなどが担当し、実習を交えた研修などのオペレーションサポートも提供しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は概ね右肩上がりで推移しており、堅調な成長を維持しています。一方、経常利益や当期利益については原材料価格の高騰等の影響により一時的に落ち込みが見られましたが、継続的な価格改定やコスト削減の取り組みにより回復傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 281.6億円 | 292.2億円 | 280.3億円 | 308.5億円 | 324.8億円 |
| 経常利益 | 30.7億円 | 26.2億円 | 16.5億円 | 24.0億円 | 25.0億円 |
| 利益率(%) | 10.9% | 9.0% | 5.9% | 7.8% | 7.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 19.9億円 | 15.2億円 | 10.4億円 | 15.8億円 | -4.6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期から当期にかけて約5.3%増加し、売上総利益率も26.4%から27.2%へと改善しています。営業利益率も7%台後半を安定してキープしており、本業における着実な収益力向上がうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 308.5億円 | 324.8億円 |
| 売上総利益 | 81.4億円 | 88.4億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.4% | 27.2% |
| 営業利益 | 23.7億円 | 24.2億円 |
| 営業利益率(%) | 7.7% | 7.4% |
販売費及び一般管理費(当期64.2億円)のうち、給与及び手当が16.6億円(構成比25.9%)、荷造運搬費が11.5億円(同17.9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
両部門ともに増収を達成しています。包装フィルム部門は、国内外での底堅い販売と継続的な価格改定により売上を伸ばしました。包装機械部門も、国内での販売台数増加やアフターサービスの堅調な推移が寄与し、安定した成長を見せています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 包装フィルム | 268.1億円 | 283.8億円 |
| 包装機械 | 40.4億円 | 41.0億円 |
| 連結(合計) | 308.5億円 | 324.8億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 33.4億円 | 22.6億円 |
| 投資CF | -21.4億円 | -22.7億円 |
| 財務CF | -5.0億円 | -11.6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は73.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「液体包装の分野において、たゆまぬ研究と実践で培ったノウハウを、『安全、安心、便利』そして『持続可能な社会の実現』のために提供し続けます」を企業の使命として掲げています。顧客や消費者、社会に対して安定的かつ高度な価値を届けることを目指しています。
■(2) 企業文化
基本行動指針のもと、従業員の人格や個性を尊重し、安全で働きやすい環境を確保することを重視しています。全員参加による安全第一の社風づくりに取り組んでおり、労働安全衛生管理システムを活用しながら、心身ともに健康で働き続けられる職場環境の整備を進めています。
■(3) 経営計画・目標
経営方針に基づき、安定かつ継続的な成長と利益の確保を経営目標としています。エネルギーや原材料価格の高騰、労働力の減少などの経営環境変化を前提に、堅固な経営体制を継続的に強化していくことを目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
インフレ経済の持続を前提に、強みである液体小袋包装分野を軸とした付加価値の高い製品の提供やコストダウンを追求しています。また、IoT技術を活用した包装工程の見える化など、DXによる業務効率化を推進しています。さらに、新素材による環境対応フィルムの開発など、持続可能な社会への貢献にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「従業員は会社の大切な財産である」と考え、多様な能力や個性を十分に発揮できる成長支援を行っています。新領域を担う多様な人材の確保・育成や、経営・企画機能を担う人材の登用と最適配置、さらに海外事業を支えるグローバル人材の拡充を重点的な人材戦略として推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.7歳 | 13.7年 | 6,997,742円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 73.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 67.3% |
| 男女賃金差異(正規) | 69.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 45.8% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員に占める女性労働者の割合(15.8%)、全従業員に占める外国籍割合(6.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料調達のリスク
包装フィルムおよび包装機械の製造に必要な原材料のサプライチェーンにおいて、急激な需要の増加や自然災害等により供給が停滞した場合、調達が困難になるリスクや調達価格が高騰するリスクがあります。
■(2) 製品・サービス市場の競争激化
包装フィルムおよび包装機械分野では多数の市場参加者が存在し、競合状況は激しさを増しています。需要の急速な減退や価格競争の激化など、予想を超える環境変化が発生した場合、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 海外事業におけるカントリーリスク
海外事業を成長のドライバーと位置づけていますが、展開先の地域において政治・経済・法制度の状況変化、暴動・テロなどの地政学リスクが顕在化し、事業活動が制限された場合、業績および財政状態に影響を与える懸念があります。



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