コタ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コタ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コタは東京証券取引所プライム市場に上場し、美容室向けの頭髪用化粧品および医薬部外品の製造・販売を主力事業としています。美容室に特化した「コタ アイ ケア」などのトイレタリー製品の拡販が奏功し、売上高は96億円と28期連続の増収を達成し、各利益項目も増益となるなど、業績は好調に推移しています。


※本記事は、コタ株式会社の有価証券報告書(第47期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年8月31日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. コタってどんな会社?


美容室向けの頭髪用化粧品および医薬部外品の製造、販売を主力事業として展開しています。

(1) 会社概要


1979年に小田製薬として設立され、美容室向けの業務用頭髪化粧品の製造・販売を開始しました。2001年に現在のコタへ商号を変更し、2002年には大阪証券取引所市場第二部に上場を果たしました。その後、東証一部銘柄への指定を経て、2022年の市場区分見直しによりプライム市場へ移行しています。同年には研究開発施設「COTA KYOTO Lab」を竣工し、開発体制を強化しています。

同社単体の従業員数は395名で、連結子会社はありません。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位は関連会社の英和商事、第3位も信託業務を行う日本カストディ銀行です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.34%
英和商事 6.15%
日本カストディ銀行(信託口) 3.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性4名の計14名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役会長は小田博英氏、代表取締役社長は吉田茂治氏が務めており、取締役11名のうち4名が社外取締役です。

氏名 役職 主な経歴
小田博英 代表取締役会長 1984年同社入社。総務部長、常務取締役等を経て、2004年に代表取締役社長に就任。2026年より現職。
吉田茂治 代表取締役社長 1994年同社入社。営業第二部長、取締役営業第二部長等を経て、2026年より現職。
廣瀬俊二 常務取締役 1987年同社入社。営業第二部長、取締役経理部長等を経て、2019年より現職。
平田律雄 常務取締役総務部長 1984年同社入社。CS部長、取締役総務部長等を経て、2018年より現職。
河村省吾 取締役ロジスティクス部長 1994年同社入社。生産部長、取締役生産部長を経て、2023年より現職。
西村充弘 取締役広報・IR部長 1995年同社入社。広報・IR部長を経て、2022年より現職。英和商事の取締役も兼務。
沖村英明 取締役教育研修部長 1997年同社入社。教育研修部長を経て、2022年より現職。


社外取締役は、原正和(弁護士)、山中智香(キャリアコンサルタント)、本城蓮華(ニューハーフクラブ経営)、小田尚江(企業役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、美容室向けの頭髪用化粧品および医薬部外品の製造、販売事業を展開しています。

(1) トイレタリー・整髪料等の製造販売


美容室に来店された顧客に対して美容師が提案・使用するプロ用の「美容室専売品」として、シャンプーやトリートメント、整髪料、ヘアカラーなどを提供しています。市販品とは異なる市場を形成しており、高品質かつ高付加価値であることが特徴です。

美容室や代理店への製品販売によって収益を得ています。運営は同社が行っており、全国の代理店へ販売する代理店ルートと、同社の各支店から直接美容室へ販売する直販ルートの2つの販売チャネルを通じて展開しています。

(2) 経営コンサルティング・セールス


同社製品を取り扱う美容室に対して、「旬報店システム」を用いた経営改善のアドバイスや、トイレタリー製品を中心とした店舗販売(店販)の推進策を企画・提案しています。美容技術の指導にとどまらず、美容室の経営全般に関する指導を行っています。

コンサルティング自体は無償で提供しており、同社製品の使用と販売拡大を通じて自社の収益につなげています。運営は同社が担当しており、営業データを分析しながら業績向上に向けた具体的な改善策を提案する独自のビジネスモデルを構築しています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が87億円から96億円へと継続的に拡大しています。一方、経常利益はシステム投資や人材関連費用などの影響で18億円まで減少する局面もありましたが、直近の2026年3月期には増収効果により21億円まで回復しており、安定した収益基盤を維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 87億円 88億円 91億円 94億円 96億円
経常利益 22億円 21億円 20億円 18億円 21億円
利益率(%) 25.1% 24.0% 21.4% 19.6% 21.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 14億円 16億円 13億円 13億円 14億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに前年度を上回っています。原価管理の見直しを進めているものの、原材料費の上昇などにより売上総利益率は微減となりましたが、依然として約70%の高い水準を維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 94億円 96億円
売上総利益 65億円 67億円
売上総利益率(%) 69.6% 69.4%
営業利益 18億円 20億円
営業利益率(%) 19.5% 20.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が14億円(構成比29%)、賞与引当金繰入額が5億円(同11%)を占めています。売上原価(当期総製造費用)の内訳は、材料費が20億円(構成比64%)、労務費が5億円(同17%)を占めています。

(3) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 10億円 18億円
投資CF -4億円 -8億円
財務CF -11億円 -6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.3%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.3%といずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「美容業界(美容室経営)の近代化」を創業精神とし、「世の中の美容室を一軒でも多く近代経営に導く」こと、「世の中の女性を一人でも多く髪から美しくする」ことを2つのミッションとして掲げています。会社に関わるすべての人々の幸せを求め、美容室の労働環境整備や人材育成を通じた永続的な経営管理体制づくりを支援し、業界の発展に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「共有すること」を大切にしており、ステークホルダーと目指す未来「コタビジョン」を共有することで、より強い「いい会社」になれると考えています。「いい会社」を目指し続けることを基本理念とし、役員や従業員全員が目先の損得ではなく善悪の判断基準に基づいて行動する高い道徳観や倫理観の醸成に努めています。

(3) 経営計画・目標


会社の着実な成長と永続という観点から、以下の2つの指標に目標値を定めており、これらの目標値を継続的かつ安定的に上回ることを目指しています。

・売上高経常利益率:15%以上
・ROE(自己資本当期純利益率):10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


独自のビジネスモデルであるトイレタリーの販売を中心とした「店販戦略」と、旬報店システムを軸とした「コンサルティング・セールス」を推進し、美容室の業績向上に注力しています。また、次世代を担う人材の育成や多様な人材の確保、情報開示による投資家との対話強化、およびインターネット等での非正規販売対策を推進し、ブランド価値の維持と着実な成長を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「コタビジョン」を基に、長期的な視点で人材育成に取り組んでいます。従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出すため、階層別研修やコンプライアンス研修、ダイバーシティ研修などを実施しています。また、性別や年齢、国籍にとらわれない多様な人材の活躍を推進し、健康管理の支援や労働環境の整備を通じて、長期にわたり働きやすい職場づくりを行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 35.0歳 10.7年 5,705,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 55.6%
男女賃金差異(全従業員) 70.3%
男女賃金差異(正規社員) 70.6%
男女賃金差異(非正規社員) 95.7%


※女性管理職比率については、有報に記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(9.4%)、平均勤続年数(10.7年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 独自のビジネスモデル推進に伴うリスク

独自の「店販戦略」や「コンサルティング・セールス」を徹底できない場合、取引先美容室や代理店の業績低下を招き、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) インターネット等での非正規販売

美容室専売品である同社製品がインターネット等で非正規に販売された場合、製品のブランド力や信用が低下し、美容室の業績悪化につながるリスクがあります。同社は監視や行政機関への相談など毅然とした対応を行っています。

(3) 高品質な製品づくりと原材料調達

高付加価値な製品を持続的に提供するには開発技術力の向上が不可欠です。また、製品の安定供給に向けて原材料の調達や在庫確保の課題に対応できない場合、製造・供給体制に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。