※本記事は、コタ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年8月31日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
コタは美容室向けの頭髪用化粧品及び医薬部外品の製造・販売を主な事業としています。同社製品は美容室専売品であり、美容師が使用することを前提とした品質と付加価値の高い製品を提供しています。
単体従業員数は395名です。同社は美容室向けの頭髪用化粧品及び医薬部外品の製造、販売事業の単一セグメントで事業を展開しています。
コタは美容室向けの頭髪用化粧品及び医薬部外品の製造・販売事業を単一セグメントとして展開しており、関係会社は存在しません。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社は、美容業界向けの頭髪用化粧品や医薬部外品の製造・販売を手掛けています。従業員の平均年齢や勤続年数から、長期的なキャリア形成が期待できる環境であると考えられます。給与水準や働き方に関する具体的なデータを見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が10年を超えており、従業員が長く働き続ける傾向が見られます。平均年齢も30代半ばであることから、経験を積んだ人材が活躍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,705,000円 |
| 平均勤続年数 | 10.7年 |
| 平均年齢 | 35.0歳 |
| 単体従業員数 | 395人 |
退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。この制度は、同社の従業員を対象としています。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は12.5億円、年金資産は15.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、「コタビジョン」に基づき、社内外研修の充実、多様な人材確保、長期的な視点での人材育成を人材戦略の基本方針としています。基本理念として「『いい会社』を目指し続ける」ことを掲げ、従業員一人ひとりの成長を重視しています。
従業員の給与等は、職務内容、責任の程度、勤務成績、経験、同社への貢献度を総合的に評価して決定されます。部門での評価後、取締役および全部門長が出席する査定会議で最終決定され、給与等に反映される仕組みです。また、労働市場の動向や物価上昇等の外部環境も踏まえ、必要に応じてベースアップを実施しています。月例給与と賞与で構成され、昇給は原則毎期首に人事考課の結果を反映して行われます。
人材育成を重要課題の一つと捉え、教育専門部署を設置し、「コタビジョン」を深く理解するための研修をはじめ、役職別研修、コンプライアンス研修、ダイバーシティ研修、社内IR説明会などを実施し、従業員の能力向上を支援しています。社内環境整備においては、多様な視点や価値観を重視し、性別、年齢、国籍等にとらわれない多様性の確保、女性の活躍促進、雇用環境整備、教育研修機会の確保を推進しています。具体的な取り組みとして、全従業員を対象としたインフルエンザ予防接種やメンタルヘルスに関するストレス診断、障がいのある方が働きやすい環境の整備などを行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異は、一般職における女性比率の高さ、勤続年数の長い社員の男性比率の高さ、男性管理職比率の高さが要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 55.6% |
| 男女賃金差異(全従業員) | 70.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 70.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 95.7% |
人材育成・エンゲージメント
同社では数値目標を設定せず、コタビジョンを理解・共有できる人材育成と公平な登用を重視しています。平均勤続年数および従業員数、離職率は臨時社員(無期契約社員及び有期契約社員)及び嘱託社員を含んでいません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均勤続年数(男性) | 12.3年 |
| 平均勤続年数(女性) | 8.1年 |
| 平均勤続年数(合計) | 10.7年 |
| 従業員数 | 395人 |
| 離職率 | 9.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
コタは、美容室向けの頭髪用化粧品および医薬部外品の製造・販売を主な事業としています。美容室でのカウンセリングを通じて、来店客に付加価値の高いヘアケア提案を行うことを重視しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、美容室専売品として、美容師が使用することを前提とした品質と付加価値の高い製品を提供しています。主な製品はシャンプーやトリートメントなどのトイレタリー製品で、主力ブランドは「コタ アイ ケア」です。
販売ルートは、全国の代理店に販売する「代理店ルート」と、同社が直接美容室に販売する「直販ルート」の二つを採用しています。インターネットやフリマアプリ、小売店等での販売は行っていません。
同社の独自のビジネスモデルとして、「トイレタリーの販売を中心とした店販戦略」と「旬報店システムを軸としたコンサルティング・セールス」を展開しています。店販戦略では、美容師がお客様にヘアケアやヘアスタイルのアドバイスを行い、自宅で使用できる製品を対面で販売することを推進しています。これにより、美容室の客単価向上やお客様の再来店につながる相乗効果を目指しています。
旬報店システムでは、取引先美容室から営業データを受け取り、その分析結果をフィードバックするだけでなく、業績向上に向けた具体的な改善策を提案する経営アドバイスを無償で提供しています。同業他社が美容技術の提案・指導を主とする中で、同社は美容室の経営全般に関する指導を主とした経営志向の営業活動を行っています。
また、ブランド価値を高めるため、非正規販売対策にも徹底して取り組んでいます。これは、美容室でのカウンセリングを通じた対面販売を前提とした製品であるため、非正規販売が美容室の店販モチベーション低下や偽造品の流通につながることを防ぐためです。
収益は、主にトイレタリー製品の販売から得ており、その割合は同業他社に比べて高いことが特徴です。同社の売上高は本邦の外部顧客への売上高が90%を超えており、国内市場に収益が集中しています。特定の販売先への収益集中は見られません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
直近の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも前期を上回る結果となりました。特に売上高は28期連続の増収を達成し、過去最高を更新しています。利益面でも、営業利益、経常利益、当期純利益ともに前期比で増加しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員数は395名であり、平均年齢は35.0歳、平均勤続年数は10.7年となっています。平均年間給与は5,705千円です。これらの数値は、同社の組織構成や従業員の定着状況を示すものとなります。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
コタは、財務基盤の安定性を保ちながら事業活動を行っています。本業で得た資金を元に、将来に向けた投資も進めている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
コタは強固な財務基盤を維持しています。自己資本比率は76.3%と高く、安定した経営状況を示しています。ROE(自己資本利益率)も12.3%と、効率的な資本活用ができていることがうかがえます。手元資金として6,050百万円の現金及び預金を有しており、不測の事態にも対応できる資金的な余裕がある状態です。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 11,208百万円 | 12,086百万円 |
| 自己資本比率 | 75.3% | 76.3% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 12.3% |
| 現金及び預金 | 5,167百万円 | 6,050百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
コタのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。当事業年度の営業活動によるキャッシュフローは1,784百万円のプラスとなりました。これは主に税引前当期純利益と減価償却費によるものです。投資活動によるキャッシュフローは845百万円のマイナスとなっており、定期預金の預入や有形・無形固定資産の取得に資金が使われています。一方で、定期預金の払戻による収入もありました。財務活動によるキャッシュフローは556百万円のマイナスで、主に配当金の支払いに充てられています。営業活動で得た資金が投資活動による支出を上回るフリーキャッシュフローは939百万円のプラスとなっており、本業で稼いだ資金を元に、投資を行いながらも手元に資金が残る健全な状態です。この資金の流れは、コタが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力も確保していることを示しており、従業員の雇用や給与の安定性にもつながると考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 998百万円 | 1,784百万円 |
| 投資CF | △1,300百万円 | △845百万円 |
| 財務CF | 24百万円 | △556百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △302百万円 | 939百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
コタは、独自のビジネスモデルである「トイレタリーの販売を中心とした店販戦略」と「旬報店システムを軸としたコンサルティング・セールス」を徹底できない事態が生じた場合、美容室や代理店の業績低下を通じて同社の業績に影響を及ぼす可能性があると認識しています。また、美容室専売品である同社製品がインターネット等で非正規販売される事態が生じた場合、製品のブランド力や信用の低下、美容室の業績低下を招き、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
コタは、採用環境の変化等により求める人材を確保できない事態や、「コタビジョン」の共有を深められず優秀な人材の確保及び育成を図れない事態が生じた場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があると認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
コタは、「共有すること」を大切にし、美容業界の近代化と女性の美を追求する企業です。ステークホルダーとの「コタビジョン」を共有することで、より強く「いい会社」になることを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
コタは、「美容業界(美容室経営)の近代化」を目的として創業しました。これは、美容室の経営を近代化し、経営者一代限りで終わらない「会社の永続を目的とした経営管理体制づくり」を目指すものです。
同社は「世の中の美容室を一軒でも多く近代経営に導く」ことと、「世の中の女性を一人でも多く髪から美しくする」ことをミッションとしています。これらのミッションは、同社が目指す未来である「コタビジョン」を構成する「コタプリンシプル」(事業活動の方向性・行動指針)の一部です。また、「コタビジョン」は「コタベーシック」(経営の基本的な考え方)から成り立ち、「創業精神」と「美を愛する心 文化を愛する心 平和を愛する心」という創業理念、経営理念、基本理念の三つの理念を掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
コタは、ステークホルダーと「コタビジョン」を共有することで、より強く「いい会社」になれると考えています。同社が目指す「いい会社」とは、売上規模や建物ではなく、役員・従業員全員の日々の言動や思考の長期的な積み重ねによって築かれるものです。
同社では、「『いい会社』を目指し続ける」という基本理念を掲げています。目先の損得ではなく善悪による判断基準に基づき、常に全員が考え行動するように努めることが求められています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
コタは、持続的な成長と企業価値向上のため、いくつかの課題に取り組んでいます。その一つが「人的資本の充実」であり、次の世代を担う人材の育成、多様な人材の確保、将来の会社経営を担う人材育成に努めています。
また、「ビジネスモデルの徹底」として、独自のビジネスモデルを通じた美容室の業績向上や、新規旬報店の開拓および既存旬報店の成長に注力しています。さらに、「積極的なIR活動の推進と投資家との対話」を通じて、投資家層への浸透と情報開示の充実を図っています。同社製品のブランド価値維持のため、「非正規販売対策の推進」も重要な課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、取締役会と監査役会による企業統治体制を採用しています。経営の健全性と透明性を確保し、ステークホルダーからの期待と信頼に応えることを目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、信託銀行や事業会社、そして複数の個人株主が上位に名を連ねています。創業家や関連会社が上位株主として存在しており、経営に対して一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.34% |
| 英和商事 | 6.15% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.14% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は14名(男性10名・女性4名)で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は吉田茂治氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小田 博英 | 代表取締役会長 | 1984年9月同社入社、1992年5月同社取締役総務部長、2004年6月同社代表取締役社長、2015年5月英和商事代表取締役社長より現職。2026年6月同社代表取締役会長より現職。 |
| 吉田 茂治 | 代表取締役社長 | 1994年4月同社入社、2022年6月同社取締役営業第二部長、2026年4月同社取締役、2026年6月同社代表取締役社長より現職。 |
| 廣瀬 俊二 | 常務取締役 | 1987年12月同社入社、2004年6月同社取締役営業第二部長、2018年4月同社常務取締役経理部長、2019年4月同社常務取締役より現職。 |
| 平田 律雄 | 常務取締役総務部長 | 1984年10月同社入社、2010年11月同社取締役CS部長、2018年4月同社常務取締役総務部長より現職。 |
| 河村 省吾 | 取締役ロジスティクス部長 | 1994年12月同社入社、2018年6月同社取締役生産部長、2023年4月同社取締役ロジスティクス部長より現職。 |
| 西村 充弘 | 取締役広報・IR部長 | 1995年4月同社入社、2018年3月英和商事取締役より現職。2022年6月同社取締役広報・IR部長より現職。 |
| 沖村 英明 | 取締役教育研修部長 | 1997年4月同社入社、2022年6月同社取締役教育研修部長より現職。 |
社外取締役は、原正和氏(弁護士法人あすなろ代表社員弁護士)、山中智香氏(ウィズ・グロー代表)、本城蓮華氏(BAR KAMALA代表)、小田尚江氏(合同会社And March代表社員)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会による企業統治体制を採用しています。社外取締役は、専門的な知見や多様な視点から経営の監督と助言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、持続的な成長と株価および業績との相関性を重視した報酬体系を基本方針としています。役員報酬は現金報酬100%で構成され、固定報酬としての基本報酬、変動報酬としての賞与および退職慰労金によって構成されています。賞与や退職慰労金は、売上高経常利益率やROEなどの業績基準の達成を考慮して決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 2.9億円 | 41.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 9百万円 | 9.1百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 36百万円 | 4.5百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含む場合があります。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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