ミツウロコグループホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミツウロコグループホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミツウロコグループホールディングスはスタンダード市場上場企業です。エネルギー、電力、フーズ、リビング&ウェルネスなど多角的に事業を展開しています。2026年3月期は石油販売量の減少等により売上高は微減となりましたが、電力事業の販売数量増加などにより営業利益と経常利益は大幅な増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ミツウロコグループホールディングスの有価証券報告書(第117期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月12日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミツウロコグループホールディングスってどんな会社?


ミツウロコグループホールディングスは、エネルギー事業を中心として、電力やフーズなど幅広い生活周辺サービスを展開する企業です。

(1) 会社概要


1910年に三鱗石炭部として石炭販売業を開始したのが始まりです。1961年にミツウロコへ商号変更し、1962年に東京証券取引所市場第二部へ上場しました。2011年には持株会社制へ移行し現在の社名へと変更しています。直近の2026年にはインペックスジャパンとの合弁会社を設立し、電力事業を強化しています。

現在の従業員数は連結で1,759名、単体で74名となっています。筆頭株主は保険会社の明治安田生命保険相互会社で、第2位は田島、第3位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。上位株主には金融機関や事業会社などが名を連ね、安定した株主構成となっています。

氏名 持株比率
明治安田生命保険相互会社 9.04%
田島 7.84%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長CEOは田島晃平氏が務めています。社外取締役は5名で、取締役全体の約41.6%を占めています。

氏名 役職 主な経歴
田島晃平 代表取締役社長CEO 1995年三井物産入社。2002年同社取締役に就任し、2007年代表取締役社長を経て、2013年より現職。
児島和洋 取締役コーポレートセクレタリー 1984年富士銀行(現みずほ銀行)入行。2009年に同社へ出向し、2020年取締役CFOを経て現職。
松本尚志 取締役 1989年エッソ石油(現ENEOS)入社。エクソンモービル等の要職を経て、2023年より現職。
坂西学 取締役 1991年エッソ石油(現ENEOS)入社。2019年に同社取締役に就任し現職。
大森基靖 取締役 1993年同社入社。ミツウロコビバレッジ事業部長などを経て、2015年に同社取締役に就任し現職。
ゴ ウィミン 取締役 2008年シンガポール国際企業庁入庁。同庁のシニアオフィサー等を経て、2017年より現職。
吉澤賢二 取締役 1995年同社入社。内部監査室長などを歴任し、2025年より同社取締役に就任し現職。
髙尾幸生 取締役Co-CFO トレジャラー 2011年同社入社。ファイナンス&コントロールセンター課長等を経て、2026年より現職。


社外取締役は、松井香(JAPAN革新継承代表取締役)、河野義之(江戸川病院泌尿器科部長)、菅原英雄(菅原経理事務所所長)、田嶋圭(オルゴヴェーレ代表取締役社長)、塩原規男(サンリン代表取締役会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エネルギー事業」「電力事業」「フーズ事業」「リビング&ウェルネス事業」「海外事業」および「その他事業」を展開しています。

エネルギー事業


LPガスや都市ガス、石油関連製品、太陽光発電システムや蓄電池などの環境エネルギー商品を一般需要家向けに販売するとともに、各種燃料の卸売や物流サービスを提供しています。また、ガス器具など住宅設備機器の販売・施工等も行っています。

一般消費者からのエネルギー料金や機器販売代金、事業者からの卸売代金を主な収益源としています。事業の運営は、ミツウロコヴェッセルやミツウロコドライヴ、ロジトライホールディングスなどの複数の子会社が担っています。

電力事業


風力発電やバイオマス発電、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用した発電事業や、電力会社への電力卸売、および一般需要家向けの電力小売事業を展開しています。環境に配慮したエネルギーの安定供給に注力しています。

一般需要家からの電力料金や、電力会社等への卸売代金を収益源としています。ミツウロコグリーンエネルギーを中心に、的山大島風力発電所、ミツウロコ岩国発電所などの子会社がそれぞれの役割に応じて事業を運営しています。

フーズ事業


飲料水および清涼飲料水の製造・販売事業のほか、施設内売店やカフェテリアの運営、スクラッチベーカリーの店舗運営などを展開しています。「Natural Handmade DELICATERIA」を事業テーマに掲げています。

飲料の販売代金や、カフェ・ベーカリーなどの店舗における飲食代金を主な収益源としています。ミツウロコビバレッジや静岡ミツウロコフーズ、ミツウロコプロビジョンズ、ミツウロコパートナーズ等の子会社が事業を運営しています。

リビング&ウェルネス事業


オフィスビルやマンションなどの不動産賃貸事業を一般需要家向けに展開しています。また、温浴施設などの健康・スポーツをテーマとした施設や、スポーツスタジオの運営を通じたウェルネス事業も行っています。

不動産の賃貸収入や、温浴施設・スポーツスタジオの利用者からの施設利用料等を主な収益源としています。運営はミツウロコやハマエステート、ミツウロコスポーツ、ミツウロコEBM等の子会社が行っています。

海外事業


アジア太平洋地域を中心に、日本国外の事業への投資や支援事業を展開しています。また、シンガポールなどを拠点にレンタル収納事業やソーラー発電事業をグローバルに推進しています。

レンタル収納施設の利用者からの賃貸収入や、事業投資リターンを主な収益源としています。Triforce Investments Pte. Ltd.やGeneral Storage Company Pte. Ltd.などの海外子会社が事業を運営しています。

その他事業


リース業や保険代理業、情報機器の販売、印刷事業やEC事業、ドラマ・映画などのコンテンツ事業、さらにはスマート農業事業やアクセサリー事業など、主力事業を補完する多様なサービスを提供しています。

リース料収入や商品の販売代金などを収益源としています。ミツウロコリースや三鱗、ミツウロコクリエイティブソリューションズ、トライフォース、グルックなどの子会社がそれぞれの専門事業を運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は安定して成長を続けており、2,500億円台から3,300億円台へと大きく規模を拡大しています。経常利益も一時的な変動はあるものの総じて高い水準を維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,500億円 3,237億円 3,091億円 3,397億円 3,395億円
経常利益 29億円 141億円 133億円 100億円 137億円
利益率(%) 1.2% 4.3% 4.3% 2.9% 4.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 29億円 27億円 33億円 62億円 22億円

(2) 損益計算書


売上高は前期とほぼ同水準を維持していますが、売上総利益および営業利益はともに増加しています。利益率も改善傾向にあり、収益性の向上が伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 3,397億円 3,395億円
売上総利益 425億円 472億円
売上総利益率(%) 12.5% 13.9%
営業利益 88億円 124億円
営業利益率(%) 2.6% 3.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が91億円(構成比26%)、業務委託料が39億円(同11%)、賃借料が31億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


エネルギー事業がやや売上を落としたものの、電力事業が大きく成長して業績を牽引しています。海外事業やその他事業も増収となっており、事業ポートフォリオの分散が機能しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
エネルギー事業 1,535億円 1,436億円
電力事業 1,570億円 1,679億円
フーズ事業 212億円 200億円
リビング&ウェルネス事業 27億円 20億円
海外事業 29億円 31億円
その他事業 24億円 28億円
連結(合計) 3,397億円 3,395億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金と借入による資金調達を元に、積極的な投資を継続している「積極型」の状況です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.0%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も51.1%で市場平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 180億円 104億円
投資CF 6億円 -89億円
財務CF -88億円 16億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は経営理念として「わたしたちは、豊かなくらしのにないてとして、常に正道に立ち、お客さま起点で社業を運営します。」と掲げています。エネルギーを中心とした生活者周辺サービスの充実を図り、常に生活者目線で新しいサービスを拡充するとともに、地球環境保全へ貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は時代が求めるものを生業とする「環境適応業」として成長し、時代とともに変化することを理念としています。企業DNAを大切にしながら、自ら新しい環境やより良い環境を提案し創ることが持続的成長の実現に必要だと考え、「好循環を創造する企業」として新しい時代を創っていく企業文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は強固な財務基盤と健全な財務規律を保ちながら、積極的な投資と株主還元の強化を経営の重要課題としています。外部環境の変化に左右されない安定した財務基盤を維持するため、連結自己資本比率を50~55%程度に維持する方針を掲げ、総還元性向50%以上の維持と累進配当の継続を実施する計画です。

* 連結自己資本比率:50~55%程度
* 総還元性向:50%以上

(4) 成長戦略と重点施策


エネルギー事業において家計消費支出の10%を担えるエネルギーサービス事業者を目指すとともに、電力事業では再生可能エネルギー電源や蓄電池を活用して電力の新規顧客開拓を進めます。また、事業活動を通じたCO2排出量の削減に向け、営業車のEV化や配送業務効率化等のカーボンニュートラル対応を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人財こそ最大の資産である」という考えの下、人的資本への投資を続けています。「地球と人の健やかさをともに支える」というプラネタリーヘルスを経営の中核とし、環境分野やDX、コンプライアンス等に対応できる専門人財の確保・育成を強化するとともに、多様な人財が能力を発揮できる職場環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.0歳 8.1年 10,375,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 47.4%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 77.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 91.5%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 38.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、定期健診受診率(100%)、ストレスチェック受検率(100%)、女性就業比率(30.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 天候や気温による需要動向の変動


同社の主力商品である石油製品やLPガスは気温が低いと需要が伸びる特性があるため、天候の状況によって販売数量が変動します。暖冬などの天候不順が発生した場合、売上高が伸び悩み、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) エネルギー価格や為替レートの変動


石油製品やLPガス、電力などの調達価格は、原油価格や為替レート、国際情勢に伴う卸電力市場価格の変動により大きく影響を受けます。先物取引等のヘッジ取引によるリスク軽減を図っていますが、完全に回避することは難しく、売上原価の変動が収益を圧迫するリスクがあります。

(3) 自由化に伴うエネルギー市場の競争激化


電力・ガス自由化以降、エネルギー市場の垣根を越えた顧客獲得競争が激化しています。同業者間の競争による顧客の減少や販売価格の低下が生じた場合、エネルギー事業や電力事業といった主力事業において安定的な収益確保が困難になる可能性があります。

(4) 設備関連の事故や自然災害の発生


同社グループの各事業所には、石油製品やLPガスの貯蔵設備、発電所等の重要インフラがあります。定期的な検査や自主保安体制による設備点検を実施していますが、大規模な地震等の自然災害が発生した場合、漏洩事故や資産の毀損を招くリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。