ミツウロコグループホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミツウロコグループホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所 スタンダード市場に上場しており、LPガスや石油製品等のエネルギー事業を中心に、電力、フーズ、不動産事業等を展開しています。当連結会計年度の業績は、売上高が3,397億円で前期比増収となった一方、経常利益は100億円で減益となりました。


※本記事は、株式会社ミツウロコグループホールディングス の有価証券報告書(第116期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月13日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミツウロコグループホールディングスってどんな会社?


エネルギー関連事業を中核に、電力、食品、不動産など多角的に事業を展開する持株会社です。

(1) 会社概要


同社は1910年に三鱗運送部の別部門として石炭販売業に進出したことに始まります。1926年には三井物産との資本提携により三鱗煉炭原料を設立しました。1961年に5社との合併を経て商号をミツウロコに変更し、1962年に東京証券取引所市場第二部へ上場しました。2011年には持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更しています。

同グループの従業員数は連結で1,776名、単体で24名です。筆頭株主は明治安田生命保険相互会社で、第2位は田島、第3位は損害保険ジャパンです。

氏名 持株比率
明治安田生命保険相互会社 8.75%
田島 7.58%
損害保険ジャパン 6.45%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長CEOは田島晃平氏が務めています。社外取締役比率は41.7%です。

氏名 役職 主な経歴
田島 晃平 代表取締役社長CEO 1995年三井物産入社。2007年同社代表取締役社長、2013年より現職。ミツウロコフーズ代表取締役会長等を兼務。
児島 和洋 取締役コーポレートセクレタリー 1984年富士銀行(現みずほ銀行)入行。2012年同社入社。CFO等を経て2023年より現職。
松本 尚志 取締役 1989年エッソ石油(現ENEOS)入社。ExxonMobil等を経て2023年より現職。社長補佐(グループシナジー)等を兼務。
坂西 学 取締役 1991年エッソ石油(現ENEOS)入社。EMGルブリカンツ副社長等を経て2019年より現職。ミツウロコグリーンエネルギー社長を兼務。
川上 順 取締役 1990年同社入社。ミツウロコヴェッセル社長等を経て2017年より現職。ミツウロコテック社長を兼務。
大森 基靖 取締役 1993年同社入社。社長室部長等を経て2017年より現職。ミツウロコフーズ社長を兼務。
ゴ ウィミン 取締役CTOCIOGCIDO 2008年シンガポール国際企業庁入庁。2017年同社入社。CTO、CIO、ヘルスケアセンター長等を兼務。


社外取締役は、松井香(元ACA革新基金運用社長)、河野義之(医師)、菅原英雄(税理士)、田嶋圭(オルゴヴェーレ社長)、塩原規男(サンリン社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エネルギー事業」「電力事業」「フーズ事業」「リビング&ウェルネス事業」「海外事業」および「その他」事業を展開しています。

エネルギー事業


LPガス、ガソリン・軽油・灯油等の石油製品、住宅設備機器等を一般消費者や法人顧客に提供しています。環境エネルギー商品として太陽光発電システムや蓄電池等の販売も行っています。

主な収益は、LPガスや石油製品、住宅機器等の販売代金です。運営は主に株式会社ミツウロコヴェッセルやミツウロコドライヴ株式会社などが行っています。

電力事業


風力発電やバイオマス発電による電力の卸売を行うほか、一般家庭や法人向けに電力の小売販売を行っています。また、太陽光発電による電力供給も手がけています。

主な収益は、電力会社や一般需要家からの電気料金です。運営は主にミツウロコグリーンエネルギー株式会社や株式会社ミツウロコ岩国発電所などが行っています。

フーズ事業


飲料水および清涼飲料水の製造・販売を行うほか、施設内売店やカフェテリア、ベーカリーショップ、カフェ等の店舗運営を行っています。

主な収益は、飲料水や食品等の商品販売代金です。運営は主に株式会社ミツウロコビバレッジ、株式会社ミツウロコプロビジョンズ、株式会社ミツウロコパートナーズなどが行っています。

リビング&ウェルネス事業


オフィスビルやマンション等の不動産賃貸事業を展開するとともに、横浜のアミューズメント施設「ハマボールイアス」において温浴施設等の運営を行っています。

主な収益は、不動産の賃貸料や温浴施設等の利用料です。運営は主に株式会社ミツウロコ、株式会社ハマエステート、株式会社ミツウロコスポーツなどが行っています。

海外事業


アジア地域において、レンタル収納事業や再生可能エネルギー事業への投資および支援を行っています。

主な収益は、レンタル収納スペースの利用料等です。運営はGeneral Storage Company Pte. Ltd.やTRIFORCE INVESTMENTS PTE. LTD.などが行っています。

その他事業


リース業、保険代理業、情報機器の販売、印刷・EC事業、コンテンツ事業などを行っています。

主な収益は、リース料や手数料、商品販売代金等です。運営は株式会社ミツウロコリース、株式会社三鱗、株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は増加傾向にありますが、利益面では変動が見られます。当期は増収ながら、経常利益ベースでは減益となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,265億円 2,500億円 3,237億円 3,091億円 3,397億円
経常利益 60億円 29億円 141億円 133億円 100億円
利益率(%) 2.7% 1.2% 4.3% 4.3% 2.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 34億円 19億円 78億円 91億円 105億円

(2) 損益計算書


前期と比較して売上高は増加しましたが、売上原価の増加等により売上総利益率は低下しました。営業利益も減少しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 3,091億円 3,397億円
売上総利益 450億円 425億円
売上総利益率(%) 14.6% 12.5%
営業利益 123億円 88億円
営業利益率(%) 4.0% 2.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が88億円(構成比26%)、業務委託料が42億円(同12%)、賃借料が32億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


エネルギー事業と電力事業が売上の大部分を占めています。電力事業は増収でしたが、容量拠出金の影響等で減益となりました。エネルギー事業も人財投資等により減益となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
エネルギー事業 1,468億円 1,535億円 29億円 24億円 1.6%
電力事業 1,334億円 1,570億円 98億円 67億円 4.3%
フーズ事業 213億円 212億円 9億円 9億円 4.2%
リビング&ウェルネス事業 27億円 27億円 2億円 0.9億円 3.2%
海外事業 27億円 29億円 -1億円 2億円 6.1%
その他 23億円 24億円 1億円 0.2億円 0.9%
調整額 - - -14億円 -16億円 -
連結(合計) 3,091億円 3,397億円 123億円 88億円 2.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のCFパターンは「改善型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 105億円 180億円
投資CF -94億円 6億円
財務CF -19億円 -88億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は53.1%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「わたしたちは、豊かなくらしのにないてとして、常に正道に立ち、お客さま起点で社業を運営します。」という経営理念を掲げています。エネルギーを中心とした生活者周辺サービスの充実を図り、地球環境保全や社会的責任の遂行を通じて、持続可能な社会づくりに貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「環境適応業」として、時代とともに変化することを理念としてきました。今後は環境に後追いで適応するのではなく、自ら新しい環境を提案し創り出すことを重視しています。また、コンプライアンスを徹底し、高い倫理性に基づいた誠実な経営活動を行うことを企業文化として根付かせています。

(3) 経営計画・目標


同社は、強固な財務基盤と健全な財務規律を保つため、連結自己資本比率を50~55%程度に維持する方針としています。また、サステナビリティ経営の推進において、環境への貢献等のマテリアリティに定量目標を設定し、その達成を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


コア事業であるエネルギー事業では、ユーザーアカウント拡大と生活インフラ商材の提供を軸に、家計消費支出の10%を担えるサービス事業者を目指します。電力事業では、再生可能エネルギー電源の活用と顧客開拓を進め、2030年の非化石比率44%達成を目標としています。また、ウェルネス事業や海外事業など、次世代の中核となり得る事業の育成にも注力しています。

* 2023年度より500億円の中長期的な投資枠を設定
* 総還元性向50%以上の維持と累進配当の継続

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは「人財こそ最大の資産」と考え、従業員の健康管理を重要な経営課題と捉えています。「ミツウロコグループヘルスケア宣言」のもと、健康増進をサポートするとともに、多様な人材が活躍できる組織づくりを推進しています。また、社員一人ひとりの能力開発・育成を進め、その力を最大限に発揮できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.8歳 7.8年 13,111,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 47.4%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 67.0%
男女賃金差異(正規雇用) 78.4%
男女賃金差異(非正規) 27.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性就業比率(29.8%)、女性管理職比率(連結)(10.9%)、育児休業取得率(女性100%、男性57.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 需要動向について


主力商品である石油製品(灯油)及びLPガスは、一般的に気温が低いと需要が伸びる傾向があります。そのため、冷夏や暖冬などの天候不順により販売数量が減少し、売上高が変動することで、グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 商品の調達について


石油製品、LPガス及び電力は、原油価格やLPガスの輸入価格(CP)、為替レート、卸電力市場価格の変動により調達コストが変わります。これらの価格変動リスクに対しヘッジ取引等の対策を行っていますが、完全に回避することは難しく、売上原価の変動が業績に影響を与える可能性があります。

(3) 営業戦略について


エネルギー自由化による選択肢の拡大や料金競争など、同業者間の顧客獲得競争が激化しています。これに伴う顧客数の減少や販売価格の低下が生じた場合、コア事業であるエネルギー事業や電力事業の収益性が低下し、グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 災害等について


各事業所には石油製品やLPガスの貯蔵設備、発電所等を有しています。法令に基づく検査や自主保安体制による点検を行っていますが、大規模な地震や災害等が発生した場合、漏洩事故や設備の損壊が生じる可能性があり、事業運営や業績に影響を与えるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。