※本記事は、株式会社ユシロ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ユシログループは、主に金属加工油剤の生産・販売を手がけています。国内ではユシロが、海外では各地域の現地法人が独立して事業を展開し、製品に関する包括的な戦略を立案しています。日本セグメントでは金属加工油剤のほか、ビルメンテナンス製品も生産・販売しています。
単体従業員数は362名、連結従業員数は862名です。同社グループの報告セグメントは、「日本」、「南北アメリカ」、「中国」及び「東南アジア/インド」の4つです。
主な国内グループ会社は、トランスケム(輸送業)、ユシロ・ゼネラルサービス(倉庫管理業)などです。
2025年9月29日付で、上海尤希路化学工業有限公司を連結の範囲から除外し、持分法適用関連会社としています。これにより、同社グループの売上高および営業利益に影響がありました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ユシロは、創業以来の企業理念「共々の道」を掲げ、社員との共生を重視する企業文化を持つ同社グループです。グローバルに事業を展開しながら、従業員の成長と多様な働き方を推進する方針が示されています。給与水準や働き方の具体的な特徴について、詳しく見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も長めであることから、安定して長く働き続ける人材が多い傾向がうかがえます。これは、長期的なキャリア形成を重視する方にとって、魅力的な環境であると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,164,000円 |
| 平均勤続年数 | 17.9年 |
| 平均年齢 | 47.5歳 |
| 単体従業員数 | 362人 |
| 連結従業員数 | 862人 |
| 単体のグループ内比率 | 42.0% |
同社グループは、従業員の退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。同社は確定給付型の退職一時金制度と確定給付企業年金制度を設けており、国内子会社では確定拠出型の中小企業退職金共済制度を導入しています。在外連結子会社においても、確定給付型または確定拠出型の退職給付制度を採用している会社があります。
退職一時金制度は設けられていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、当連結会計年度末における退職給付債務は25.6億円、年金資産は22.9億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材を企業価値創造の基盤と位置付け、経営戦略と一体となった人材戦略を推進しています。中長期的な成長に必要な人材の確保・育成・配置を計画的に進め、即戦力となる専門人材の確保に加え、将来の事業変革を担うポテンシャル人材の育成に注力しています。評価・配置・育成を一体的に運用することで、個々の能力発揮と組織全体の成長を促進する方針です。
従業員の給与・報酬は、職務内容、役割の重要性、個人の能力、業績評価を総合的に勘案し、適正かつ公平に決定されています。報酬体系は基本給と賞与等で構成され、個々の役割及び業績との連動性を重視し、透明性と納得性の確保に努めています。人事制度は「役割・能力・評価」に基づく処遇を基本としています。
また、同社は2026年度より人事制度を刷新し、制度理解の浸透と評価の公平性確保を人材育成の中心に据えています。評価制度の透明性向上と運用の適正化を重視し、現場との乖離が生じた場合には柔軟に見直す姿勢を明確にしています。働き方改革にも積極的に取り組み、有給取得率の向上や柔軟な働き方の促進を通じて、社員が安心して働き続けられる環境づくりを進めています。具体的には、評価制度の共通言語化や管理職・非管理職双方を対象とした研修を実施し、残業時間の適正化や業務効率化、属人化解消に向けた取り組みも推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 77.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 76.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 69.2% |
人権
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇取得率 | 65.0% |
人材育成・エンゲージメント
同社は、人材育成の実行状況を測るため、複数の指標と目標を設定しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 評価制度研修受講率 | 100.0% |
| 評価フィードバック面談実施率 | 100.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ユシロは、主に金属加工油剤の生産と販売をグローバルに展開しています。国内外の各地域を独立した現地法人が担当し、地域別の包括的な戦略のもと事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ユシロは、主に金属加工油剤の生産と販売をグローバルに展開しています。国内では同社が、海外では各地域の現地法人が事業を担い、それぞれの地域に合わせた戦略で活動しています。主要な顧客は自動車メーカーや自動車部品メーカーであり、EV化の進展や顧客のESG志向に対応した新製品の拡販にも注力しています。また、航空機分野への展開強化や、光触媒、自己修復性素材といった新規事業の創出にも取り組んでいます。
同社グループの事業は「日本」「南北アメリカ」「中国」「東南アジア/インド」の4つの地域別セグメントで構成されています。このうち「日本」セグメントでは、金属加工油剤に加えてビルメンテナンス製品も生産・販売しています。当連結会計年度においては、中国合弁会社を連結範囲から除外し持分法適用関連会社化した影響により、中国セグメントの売上高と営業利益は大幅に減少しました。一方で、日本と東南アジア/インド地域では売上高が増加しています。
海外事業が同社グループの売上高の大部分を占めており、グローバルな事業展開が特徴です。特定の顧客への売上高が連結売上高の10%未満であるため、特定の顧客への収益集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 南北アメリカ | 226億円 | 225億円 |
| 日本 | 194億円 | 196億円 |
| 東南アジア/インド | 72.6億円 | 75.1億円 |
| 中国 | 62.2億円 | 14.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績推移を見ると、売上高は直近の前期まで増加傾向にありましたが、当期は減少に転じました。経常利益も前期まで大きく伸びていましたが、当期は減少しています。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は、当期も増加を続けています。売上高と営業利益、経常利益の減少は、主に中国合弁会社の連結除外による影響が大きく、親会社株主に帰属する当期純利益の増加には投資有価証券売却益が寄与しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 377億円 | 468億円 | 530億円 | 555億円 | 512億円 |
| 経常利益 | 15.4億円 | 14.4億円 | 46.3億円 | 61.0億円 | 56.7億円 |
| 経常利益率 | 4.1% | 3.1% | 8.7% | 11.0% | 11.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.7億円 | 9.0億円 | 30.1億円 | 43.1億円 | 47.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 20.07 | 66.04 | 221.20 | 317.94 | 362.03 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけて増加しています。これは、従業員数の減少があったものの、売上高の減少幅がそれよりも小さかったことによるものです。従業員1人あたり営業利益は、前期と当期で横ばいとなっています。これらの指標は、組織全体の効率性や、従業員一人ひとりが生み出す価値の傾向を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 57.3百万円 | 59.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 5.2百万円 | 5.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ユシロの経営の安定性について、財務基盤、キャッシュフロー、そして事業リスクの観点から解説します。同社グループの現在の財務状況と資金の流れ、事業を取り巻くリスク要因を把握することで、安心して働ける環境であるかどうかの判断材料となります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、安定した状態を示しています。当期の自己資本比率は73.5%であり、プライム市場の製造業平均(46.8%)と比較して高い水準です。また、ROE(自己資本利益率)は10.5%で、プライム市場平均(9.4%)を上回っています。手元資金である現金及び預金も125億円を確保しており、これらの指標は同社グループの堅実な経営状況を反映しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 450億円 | 479億円 |
| 自己資本比率 | 68.5% | 73.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.3% | 10.5% |
| 現金及び預金 | 124億円 | 125億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、投資も行っている状況を示しています。当期の営業活動によるキャッシュフローは47.6億円の収入超過となり、前期からやや減少しました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費による収入があった一方で、法人税等の支払額や投資有価証券売却益、持分法による投資損益などが影響しています。
投資活動によるキャッシュフローは△10.3億円の支出超過となり、前期から支出の減少が見られます。これは有形固定資産の取得や定期預金の預入による支出があったものの、定期預金の払戻や投資有価証券の売却による収入があったためです。財務活動によるキャッシュフローは△25.7億円の支出超過となり、前期から支出が増加しました。配当金の支払いや自己株式の取得、長期借入金の返済による支出が主な要因です。
結果として、フリーキャッシュフローは37.3億円の収入超過となり、前期から増加しています。本業で得た資金を投資に回しつつ、安定した資金余力を確保している状況であり、今後の事業展開や雇用環境の安定性につながる可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 48.1億円 | 47.6億円 |
| 投資CF | △11.4億円 | △10.3億円 |
| 財務CF | △24.1億円 | △25.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 36.7億円 | 37.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、自動車関連業界への販売依存度が高く、売上高全体の半数以上を占めています。EV(電気自動車)等の次世代自動車の普及により、主力製品である金属加工油剤の使用量が減少する可能性が指摘されています。また、海外売上高比率が当期で61.6%と高く、海外展開に伴うカントリーリスクや為替相場の変動が財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ユシロは、創業以来「共々の道」という理念を掲げ、社会、顧客、社員との共生を重視する企業文化を築いてきました。持続可能な社会への貢献と企業価値の向上を両立させることを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ユシロは創業以来、「共々の道」という理念を掲げています。これは、企業が社会、お客様、そして社員と共に歩むことで、株主の皆様のためになり、企業価値向上に繋がるという考え方です。この理念に基づき、同社グループは三つの経営理念を定めています。
お客様に最良の商品とサービスを提供すること、事業の発展を通じて企業価値の永続的な向上を図ること、そして社員が思う存分にその能力を発揮できる活力ある職場を作ることです。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ユシログループは、創業以来の企業理念「共々の道」を企業風土の根幹としています。これは、お客様、お取引先様、地域社会、株主様、そして社員とその家族との共生を通じて、深い信頼関係を築くことを重視する価値観です。事業活動を通じて持続可能な社会への貢献と、中長期的な企業価値の向上を両立することを目指しています。
また、同社グループはコンプライアンスの徹底をコーポレートガバナンスの基本的な考えとし、株主の権利を重視し、社会的信頼に応える経営に取り組んでいます。社員が能力を最大限に発揮できる活力ある職場作りも経営理念の一つであり、人材を企業価値創造の基盤と位置付けています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、第20次中期経営計画『EXPLORER PLUS』の最終年度として、内部体制におけるサステナビリティ施策の推進を重点課題としています。具体的には、原材料価格変動への対応として、海外拠点を含めた原材料調達の効率化や内製化を進め、サステナブルな原材料調達を目指しています。
また、ESG戦略の推進も重要なテーマです。サステナビリティ推進委員会を中心とした全社的なサステナビリティ活動を推進し、ESG推進項目のKPI化と目標設定に取り組んでいます。これらの課題に対し、国内外のグループ全体で一丸となって取り組み、企業価値の最大化を進める方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ユシロは監査等委員会設置会社制度を採用しており、取締役会が業務執行の意思決定と監査等委員会による監督を受ける体制です。これにより、ガバナンスの実効性を確保しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ユシロの株主構成を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、次いで日本生命保険相互会社が名を連ねています。また、ユシロ取引先持株会も上位株主として存在しており、機関投資家や事業会社、取引先による幅広い層に支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.15% |
| 日本生命保険相互会社(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行) | 8.11% |
| ユシロ取引先持株会 | 7.56% |
| スズキ | 4.21% |
| 三井住友銀行 | 3.98% |
なお、fund noteは2026年5月29日現在で1,057千株(7.61%)を保有している旨が大量保有報告書に記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長 社長執行役員は有坂昌規氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 有坂 昌規 | 代表取締役社長 社長執行役員 | 1988年4月同社入社。2012年2月ユシロ(タイランド)Co.,Ltd.社長。2014年6月同社取締役IL事業統括本部長。2022年1月同社代表取締役社長。2025年6月より現職。 |
| 髙橋 誠司 | 取締役常務執行役員(技術部門・生産部門担当) | 1992年4月同社入社。2017年6月同社取締役IL事業統括本部技術部門担当役員。2022年6月同社常務取締役コーポレート統括本部長兼研究本部長。2025年6月より現職。 |
| 髙倉 一利 | 取締役常務執行役員(営業部門担当) | 1991年1月同社入社。2009年4月ユシロマニュファクチャリングアメリカInc.出向。2022年6月同社取締役営業本部長。2025年6月より現職。 |
| 小林 一重 | 取締役執行役員(南北アメリカ事業担当) | 1986年4月同社入社。2021年4月ユシロマニュファクチャリングアメリカInc.社長CEO。2021年6月同社取締役。2026年4月より現職。 |
| 石川 拓哉 | 取締役執行役員(コーポレート部門担当) | 1987年11月同社入社。2017年6月同社取締役南北アメリカ統括責任者。2023年6月同社取締役コーポレート統括本部長。2025年6月より現職。 |
社外取締役は、中野雅文氏(元マツダ常務執行役員)、飯塚佳都子氏(シティユーワ法律事務所パートナー・ウェルネオシュガー社外取締役・監査等委員)、杉山敦子氏(公認会計士・税理士杉山昌明事務所副所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役2名を含む3名の監査等委員が業務執行取締役の監査・監督を強化しています。取締役会は監査等委員でない取締役6名と監査等委員である取締役3名の計9名で構成され、意思決定とガバナンスの実効性を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ユシロの役員報酬体系は、株主の期待に応え、中長期的な業績向上へのモチベーションを高めることを基本方針としています。基本報酬は月例の固定報酬で、役位や職責などを総合的に考慮して決定されます。また、株主利益と連動させるため、社外取締役および監査等委員である取締役を除く取締役を対象に譲渡制限付株式報酬を継続して付与する方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.9億円 | 38.8百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 11.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 33百万円 | 11.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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