※本記事は、藤倉コンポジット株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、産業用資材、引布加工品、スポーツ用品の製造販売を主な事業内容としています。子会社16社、関連会社1社で構成され、幅広い分野で事業を展開しています。
単体従業員数は743名、連結従業員数は2,252名です。セグメントは産業用資材、引布加工品、スポーツ用品、その他の4つです。
主な国内グループ会社は、キャラバン(スポーツ用品)、藤栄運輸(その他)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
藤倉コンポジットは、創業から長い歴史を持つ企業として、従業員の長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていると考えられます。多様な人材が活躍できるよう、働きがいのある職場づくりと人材育成に力を入れている点が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
藤倉コンポジットでは、従業員の定着を重視する傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、長期にわたってキャリアを築くことが可能な環境であることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,679,960円 |
| 平均勤続年数 | 15.6年 |
| 平均年齢 | 42.1歳 |
| 単体従業員数 | 743人 |
| 連結従業員数 | 2,252人 |
| 単体のグループ内比率 | 33.0% |
同社グループは、確定給付型と確定拠出型の退職給付制度を設けています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は、同社および国内連結子会社、一部の海外連結子会社に適用されています。
退職一時金制度も存在します。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は26.4億円、年金資産は30.4億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
藤倉コンポジットは、社員一人ひとりと経営理念を共有し、多様な価値観や仲間、環境を掛け合わせることで相乗効果を生み出すことを人材戦略の基本方針としています。1901年の創業以来、「働く人」を製品の原点と捉え、多様な人材が能力を最大限発揮し、いきいきと働き続けられる環境づくりを推進しています。
上記方針の実現に向け、「人材育成・キャリア支援」「エンゲージメント向上・評価」「ダイバーシティ&インクルージョン」の3つの軸で具体的な取り組みを行っています。人材育成とキャリア支援では、社員の自律的な成長と次世代の経営人材育成を目的とした階層別・目的別研修を実施しています。また、部門横断型研修や海外派遣を通じて、グローバルに活躍できる人材の育成と組織改革に努めています。
エンゲージメント向上と評価・報酬制度においては、社員が働きがいを感じ、中長期的な企業価値向上にコミットできる環境を整備しています。定期的なエンゲージメント調査で組織の現状を可視化し、改善策の策定・実行に繋げています。評価制度の見直しに伴い、会社の成長と個人の報償を連動させる新たな分配制度として従業員株式報酬制度を導入しました。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性の割合 | 2.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 65.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 66.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 71.7% |
多様性・登用
提出会社単体の任意開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性採用比率 | 11.1% |
| 新卒者の女性採用比率 | 11.1% |
| 障がい者雇用率/法定雇用率以上の雇用人数拡大 | 2.7% |
健康・安全
提出会社単体の任意開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康診断の2次受診率 | 95.3% |
人材育成・エンゲージメント
提出会社単体の任意開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| コンプライアンス研修実施率 | 100.0% |
| 教育研修実施率 | 25.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
藤倉コンポジットは、産業用資材、引布加工品、スポーツ用品の製造販売を主軸に事業を展開しています。多岐にわたる製品とサービスを通じて、幅広い顧客層に価値を提供している会社です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、産業用資材、引布加工品、スポーツ用品の製造販売を主な事業内容としています。それぞれの事業セグメントにおいて、独自の製品とサービスを提供し、収益を上げています。
産業用資材
このセグメントでは、工業用精密ゴム部品、空圧制御機器、電気絶縁材料、電気接続材料などを製造販売しています。国内の自動車関連部品や住宅設備関連部品の受注は回復傾向にありますが、中国の自動車市場や住宅設備市場、北米の汎用エンジン市場は低調に推移しました。リチウムイオン電池製造装置関連部品の設備投資は回復が見られたものの、AI半導体製造装置や液晶製造装置への設備投資は一巡または低調でした。
引布加工品
各種加工品や各種ゴム引布の製造販売を行っています。電気・電子向けの部材や自動車関連部品の受注が好調に推移しました。また、小型船舶用救命浮器や救命胴衣の交換需要、防衛関連製品の追加受注なども収益に貢献しています。
スポーツ用品
ゴルフ用カーボンシャフトの製造販売、およびシューズやウェアなどのアウトドア用品の販売を手掛けています。ゴルフ用カーボンシャフトは、物価高騰や景気低迷の影響を受け、減収減益となりました。アウトドア用品も主力商品の販売が伸び悩み、円安による仕入れ価格高騰の影響を受けています。
その他事業
物品の輸送および保管サービスを提供しています。産業用資材の輸送減少や燃料費の高騰などにより、減収減益となりました。
同社グループは、日本、米国、中国、その他の地域で事業を展開しており、国際的な市場で収益を得ています。特定の顧客への売上高集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 産業用資材 | 234億円 | 232億円 |
| スポーツ用品 | 135億円 | 128億円 |
| 引布加工品 | 34.1億円 | 38.9億円 |
| その他事業 | 3.5億円 | 3.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で増減を繰り返しながらも、概ね400億円前後で推移しています。経常利益は、変動はあるものの、安定して50億円前後の水準を維持している傾向が見られます。親会社株主に帰属する当期純利益も同様に推移しており、直近では増加傾向にあります。当連結会計年度では、売上高は前期比でわずかに減少しましたが、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも増加しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 364億円 | 407億円 | 377億円 | 406億円 | 402億円 |
| 経常利益 | 46.4億円 | 51.3億円 | 38.7億円 | 48.6億円 | 51.0億円 |
| 経常利益率 | 12.7% | 12.6% | 10.3% | 12.0% | 12.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 39.3億円 | 39.3億円 | 32.3億円 | 37.4億円 | 39.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 174.64 | 180.42 | 139.61 | 190.46 | 208.61 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけてわずかに増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。従業員1人あたり営業利益も同様に増加しており、従業員一人ひとりが生み出す利益が増えていることを示しています。これらの指標の改善は、組織全体の効率化や収益体質の強化が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 17.5百万円 | 17.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.0百万円 | 2.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、安定した財務基盤を築いています。本業で着実に資金を生み出し、投資活動後も余剰資金を確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は強固な状態です。自己資本比率は76.2%と、プライム市場の製造業平均(46.8%)を大きく上回っています。ROE(自己資本利益率)も10.3%と、プライム市場平均(9.4%)を上回る水準を示しています。手元資金である現金及び預金も119億円と潤沢であり、不況時にも耐えうる安定性があると言えます。これらの財務指標は、入社後の雇用や給与の安定性につながる要素となっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 344億円 | 386億円 |
| 自己資本比率 | 72.0% | 76.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.8% | 10.3% |
| 現金及び預金 | 109億円 | 119億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは57.4億円のプラスとなりました。これは主に税金等調整前当期純利益を計上したことによるものです。投資活動によるキャッシュフローは△19.0億円のマイナスで、主に有形固定資産の取得による支出が要因となっています。財務活動によるキャッシュフローは△29.0億円のマイナスで、配当金の支払額が主な要因です。営業活動によるキャッシュフローから投資活動によるキャッシュフローを差し引いたフリーキャッシュフローは38.4億円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある優良な状態です。この安定した資金の流れは、会社の持続的な成長と雇用・給与の安定性につながるものと考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 68.8億円 | 57.4億円 |
| 投資CF | △31.7億円 | △19.0億円 |
| 財務CF | △34.5億円 | △29.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 37.1億円 | 38.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、DX化や生成AI等の利用の遅れにより、技術革新や業務効率の改善が進まず、市場競争力が低下するリスクを認識しています。また、イノベーションの欠如による新製品開発の遅れは、機会損失や既存製品の受注減少、特定顧客・産業への依存度を高める可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、コア人員数不足や業務の属人化が、労働時間の増加、モチベーションの低下、人材流出、技術継承不足につながり、企業活動を停滞させる可能性があると認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
藤倉コンポジットは、多様なステークホルダーとの協力関係を重視し、豊かな社会の実現に貢献することを経営理念としています。中長期的な企業価値の安定的な向上を目指し、事業活動を展開している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
藤倉コンポジットは、「多様なステークホルダーとの適切かつ継続的な協力関係の下で、豊かな社会の実現に向けて貢献していくこと」を経営理念および事業理念として掲げています。同社グループは、経済的および社会的な企業価値を中長期にわたって安定的に向上させることを目指しています。
また、「人々の安心を支え、社会の豊かさに貢献できる企業であり続ける」ことを理念とし、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
藤倉コンポジットは、多様なステークホルダーとの協力関係のもと、豊かな社会の実現に貢献することを重視しています。持続可能な社会の実現と企業価値の向上を基本方針とし、ESG経営を通じて企業の成長を目指す姿勢です。
従業員に対しては、一人ひとりが積極的かつ創造的に行動し、期待される成果をあげることを求めています。また、多様な価値観を持つ社員が能力を発揮し、安心して働き続けられる環境づくりを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、急速な技術革新に対応するため、先進技術戦略室を設置し、新規分野への投資やM&A、スタートアップ・大学研究機関との提携を通じてイノベーション創出による社会課題解決に取り組んでいます。
サステナビリティの推進も重点テーマであり、気候変動対応や人的資本の強化に注力しています。具体的には、人材育成施策の刷新、社内環境整備、健康経営を推進しています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応も進め、働き方改革や生産性向上、業務の変革を目指しています。さらに、多様な価値観を持つ社員が能力を発揮できる環境整備や、女性が活躍できる機会の提供にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
藤倉コンポジットは、2023年6月29日に監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。これにより、取締役会の監督機能強化と経営意思決定の迅速化を図る体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、信託銀行や海外機関投資家が上位に名を連ねる一方、関連会社や従業員持株会も上位株主として存在し、多様な株主によって支えられている構成です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.49% |
| NOMURA PB NOMINESS LIMITED OBNIBUS-MARGIN (CASHPB)(常任代理人 野村證券) | 7.78% |
| フジクラ | 5.07% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(株式付与ESOP信託口・80014口) | 4.42% |
| MURAKAMI TAKATERU(常任代理人 三田証券) | 3.87% |
なお、ひびき・パース・アドバイザーズ・エスピーシーは2026年3月25日現在で1,488,400株(7.41%)を所有している旨が大量保有報告書に記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性6名・女性2名)で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長執行役員は森田健司氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 森田 健司 | 代表取締役社長執行役員 | 1981年4月同社入社、2008年6月同社取締役、2016年4月同社代表取締役社長、2024年4月同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 渡邊 貴史 | 取締役執行役員 兼事業部統括 兼引布加工品事業部長 | 1993年4月同社入社、2021年4月Fujikura Composite America,Inc. CEO、2023年6月同社取締役、2024年4月同社取締役執行役員より現職。 |
| 樋口 昭康 | 取締役執行役員 兼管理本部統括 兼同情報セキュリティ推進室長 | 1994年4月同社入社、2007年4月FUJIKURA COMPOSITES HAIPHONG, INC.取締役社長、2023年4月同社執行役員、2024年6月同社取締役執行役員より現職。 |
社外取締役は、長浜洋一氏(元フジクラ代表取締役社長)、細井和昭氏(細井会計事務所代表・監査等委員)、田中響子氏(阿部・田中法律事務所共同経営弁護士・監査等委員)、鶴見真利子氏(鶴見真利子公認会計士事務所代表・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能強化と経営意思決定の迅速化を図っています。社外取締役は取締役8名中4名で、独立性の高い視点から経営を監督する体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、役位に応じた固定報酬に加え、連結当期純利益を指標とした業績連動報酬を導入しています。業績連動報酬の一部は株式取得に充てられ、株主との一体感を高めるインセンティブ設計となっています。社外取締役には独立性を重視し、固定報酬のみを支給する方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 1.4億円 | 23.7百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 2名 | 19百万円 | 9.6百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 38百万円 | 7.7百万円 |
なお、人数および総額は事業年度中に報酬の支給対象となった人数および総額であり、期中に退任した役員を含みます。また、株式報酬欄の金額は、株式報酬制度に係る当事業年度中の株式給付引当金の当期繰入額です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。