※本記事は、株式会社ヨータイ の有価証券報告書(第127期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ヨータイってどんな会社?
鉄鋼やセメントなどの高熱工業に不可欠な「耐火物」の専門メーカーとして、製品の製造から築炉工事までを手掛ける企業です。
■(1) 会社概要
1936年に大阪窯業耐火煉瓦として設立され、1937年から各工場の操業を開始しました。1949年に大阪証券取引所に上場し、1987年に現社名へ変更しました。1993年には大阪窯業を吸収合併して規模を拡大し、2022年の市場区分見直しによりプライム市場へ移行しました。近年では中国での事業再編を進めています。
連結従業員数は538名、単体では519名です。筆頭株主はセメント製造大手の住友大阪セメントで、同社とは設立当初から資本関係にあり、現在も主要な取引先の一つです。第2位、第3位は信託銀行や投資事業組合が名を連ねており、安定株主と機関投資家が混在する構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 住友大阪セメント | 17.53% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.74% |
| サンシャインD号投資事業組合 業務執行組合員 UGSアセットマネジメント | 5.53% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.0%です。代表取締役社長は田口三男氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田口 三男 | 取締役社長(代表取締役) | 1984年同社入社。エンジニアリング事業部長、技術研究所管掌、日生工場長などを歴任。2019年6月より現職。 |
| 竹林 真一郎 | 専務取締役本社業務部長 | 1986年同社入社。2015年本社業務部担当部長、2017年取締役本社業務部長を経て、2024年6月より現職。 |
| 谷口 忠史 | 取締役岡山事業所長 | 1995年同社入社。日生工場製造部長、取締役日生工場長を経て、2025年6月より現職。 |
| 松本 頼貞 | 取締役東京支社長 | 1996年同社入社。東京支社営業部担当部長、執行役員東京支社長などを経て、2022年6月より現職。 |
| 川森 康夫 | 取締役監査等委員(常勤) | 1984年同社入社。日生工場製造部長、吉永工場長、瑞浪工場長、経営企画室長などを歴任。2025年6月より現職。 |
社外取締役は、秋吉忍(弁護士)、尾本勝彦(元パナソニック品質・環境本部本部長)、大塚祐介(公認会計士・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「耐火物等」および「エンジニアリング」事業を展開しています。
■(1) 耐火物等
鉄鋼用をはじめ、非鉄金属、セメント、ガラス、その他窯業用および環境装置関係炉用を主とした各種耐火れんが(塩基性、高アルミナ質、粘土質、珪石など)および不定形耐火物を製造販売しています。高温工業にとって不可欠な基礎資材を提供しており、顧客は素材メーカー等が中心です。
収益は、これらの製品を顧客へ販売することで得ています。国内では主に出荷時点で、輸出では船積み時点で収益を認識します。一部、製品納入後に顧客の使用高に応じて収益を認識する預託在庫取引も行っています。運営は主に株式会社ヨータイが行っており、中国の連結子会社である営口窯耐進出口有限公司も製品販売に関与しています。
■(2) エンジニアリング
耐火物を使用する各種工業用窯炉や環境設備等の設計・施工を行っており、必要に応じてメンテナンス工事等も請け負っています。耐火物の納入先である顧客の需要に応じた築炉工事サービスを提供しています。
収益は、顧客との工事契約に基づく設計・施工・メンテナンス工事の対価として得ています。工事の進捗に応じて一定の期間にわたり収益を認識する方法を原則としており、運営は主に株式会社ヨータイが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2025年3月期までの業績推移です。売上高は一貫して増加傾向にあり、直近では290億円を超えています。利益面では2022年3月期から2023年3月期にかけて高水準を維持していましたが、2025年3月期は原燃料高等の影響により、経常利益、当期利益ともに減少しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 236億円 | 259億円 | 283億円 | 291億円 | 293億円 |
| 経常利益 | 30億円 | 41億円 | 41億円 | 37億円 | 36億円 |
| 利益率(%) | 12.8% | 15.9% | 14.7% | 12.7% | 12.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 22億円 | 27億円 | 28億円 | 36億円 | 25億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は微増となりましたが、売上原価の増加などにより営業利益は減少しました。営業利益率は依然として10%を超える高い水準を維持しています。経常利益も微減となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 291億円 | 293億円 |
| 売上総利益 | 62億円 | 62億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.2% | 21.3% |
| 営業利益 | 36億円 | 35億円 |
| 営業利益率(%) | 12.4% | 11.9% |
販売費及び一般管理費のうち、運賃及び荷造費が7.4億円(構成比27%)、従業員給料及び手当が6.0億円(同22%)を占めています。
■(3) セグメント収益
耐火物等事業は鉄鋼向け以外の受注増により微増収増益となりました。一方、エンジニアリング事業は鉄鋼向け以外の受注減により微減収減益となりました。全社費用等の調整額が利益を押し下げる要因となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 耐火物等 | 239億円 | 242億円 | 46億円 | 47億円 | 19.5% |
| エンジニアリング | 52億円 | 51億円 | 8億円 | 7億円 | 13.9% |
| 調整額 | - | - | -18億円 | -20億円 | - |
| 連結(合計) | 291億円 | 293億円 | 36億円 | 35億円 | 11.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ヨータイは、事業活動を通じて安定的に資金を獲得しつつ、将来の成長に向けた投資や株主還元も積極的に行っています。
営業活動では、前年度比でより多くの資金を獲得しました。これは、主に本業の利益が増加したことや、一部の支払い減少によるものです。投資活動では、設備投資を中心に資金を使用しました。これは、将来の事業基盤強化に向けた積極的な投資姿勢を示しています。財務活動では、株主還元としての配当金支払いなどにより資金を使用しましたが、前年度と比較すると使用額は減少しました。これらの活動の結果、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末からわずかに減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 39億円 | 44億円 |
| 投資CF | -8億円 | -22億円 |
| 財務CF | -25億円 | -23億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、長年にわたる耐火物製造技術の歴史と経験を継承しつつ、独自の技術を生かして時代に即した新技術と製品を創出し、顧客満足度を高めることを目指しています。同時に、社会に貢献する「誠実な企業」を目指すことを基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は、「永年に亘る耐火物製造技術の歴史と経験を後世に継承しつつ、独自の技術を生かして、革新する時代に即した新しい技術と製品を創出し、顧客の満足度を高めるとともに、社会に貢献する誠実な企業を目指します」という企業理念を掲げており、この理念の実践を通じて社会課題の解決と持続的な成長を目指す文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は「収益力の維持とESG経営の推進により、財務価値・非財務価値を高め、社会と調和し、持続的に企業価値を向上し続ける企業」を目指す企業像として掲げています。具体的な経営指標としては、以下の数値を重視し、収益力の強化に取り組んでいます。
* 売上高経常利益率
* 自己資本利益率(ROE)
■(4) 成長戦略と重点施策
不確実性が高まる環境下で、製品・サービスの質向上による売上拡大、設備の合理化による低コスト・安定供給体制の強化、新たな収益源の育成、ESG推進による経営基盤の構築を進めています。第二次中期経営計画(2024-2026年度)では、人的資本や設備への投資を行い、収益力の強化と収益源の多様化を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材戦略の柱として「挑戦」「個の自立・自律」「技術の高度化への対応」を掲げ、これらを実現できる人材開発を目指しています。具体的には、高度な技術力を持ち環境変化に適応できる人材や、主体的に行動し自律的にキャリアを構築できる人材などを求めており、新卒・キャリア・グローバル採用を通じてプロ人材を確保する方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.5歳 | 13.8年 | 6,636,962円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.1% |
| 男性育児休業取得率 | 90.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.6% |
| 男女賃金差異(正規) | 72.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 70.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年休取得率(74.8%)、労働災害発生件数(7件)、eラーニング総受講時間の確保(5時間/一人当たり)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況
同社の主要事業である耐火物およびエンジニアリングは、鉄鋼、化学、セメント、ガラスなどの高熱工業向けが中心です。そのため、これらの顧客業界の経済状況が悪化し、耐火物需要が減少した場合には、同社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料価格
耐火物の原材料価格は、生産地域の経済状況や為替相場の変動、地政学的リスクなどにより大きく変動する可能性があります。原材料価格の高騰は製造コストの上昇に直結するため、これらの要因により同社グループの業績や財務状況に悪影響が生じるリスクがあります。
■(3) 価格競争
耐火物業界は競争が激しく、今後もさらに激化することが予想されます。同社は専門メーカーとして製品を供給していますが、競合他社がより低価格で同種の製品を提供した場合、価格競争に巻き込まれ、同社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。



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