※本記事は、リソルホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第132期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. リソルホールディングスってどんな会社?
ホテル・ゴルフ場の運営をはじめ、福利厚生代行や再生エネルギー事業などを多角的に展開するリゾート企業です。
■(1) 会社概要
1931年に日本エタニットパイプとして設立され、1949年に東証一部へ上場しました。その後、2005年に三井不動産、2006年にコナミと資本業務提携を行い、リゾート事業へ転換。2016年に持株会社体制へ移行し、現社名となりました。現在は多角的なリゾート運営と再生ビジネスを推進しています。
連結従業員数は585名、単体では24名です。筆頭株主は総合不動産会社の三井不動産で、第2位はエンタテインメント企業のコナミグループです。これら事業会社との提携関係のもと、安定した経営基盤を構築しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三井不動産 | 31.04% |
| コナミグループ | 20.38% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(退職給付信託口・ミサワホーム口) | 6.15% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は大澤 勝氏が務めています。社外取締役比率は約22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大澤 勝 | 代表取締役社長 | 東海銀行(現 三菱UFJ銀行)入行を経て同社入社。管理部長、お客様相談室長等を歴任し、2022年より現職。 |
| 平田 秀明 | 取締役会長 | ミサワホーム常務取締役を経て同社代表取締役社長に就任。2022年より現職。 |
| 星野 正 | 取締役 | 三井不動産入社を経て同社入社。経営企画部長、広報室長等を歴任し、2022年より現職。 |
| 小嶋 康司 | 取締役 | ミサワホーム入社を経て同社入社。総務人事部長、内部監査室長、常勤監査役を経て2023年より現職。 |
社外取締役は、海藤明子(三井不動産常務執行役員)、東尾公彦(コナミグループ代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ホテル運営事業」「ゴルフ運営事業」「リソルの森事業」「福利厚生事業」「再生エネルギー事業」「投資再生事業」を展開しています。
■(1) ホテル運営事業
「リソルホテルズ」ブランドを中心に全国20施設のホテルを展開し、くつろぎの時間を提供しています。また、滞在型貸別荘「リソルステイ」などの新規事業も推進し、多様化する宿泊ニーズに対応しています。
収益は主に宿泊客からの宿泊料やレストラン利用料などから得ています。運営は主にリソル、リソル不動産などが行っています。
■(2) ゴルフ運営事業
全国18コースのゴルフ場を運営し、コースの上質化やサービスの向上に取り組んでいます。また、コースに隣接した「フェアウェイフロントヴィラ」など、インバウンドも含めた高級リゾート化を推進しています。
収益はプレーフィ、会員権販売収入、レストラン利用料などから得ています。運営はリソル、大熱海国際ゴルフなどが行っています。
■(3) リソルの森事業
千葉県にある体験型リゾート「Sport & Do Resort リソルの森」を運営し、スポーツ・アウトドア施設や宿泊施設を提供しています。また、リゾートマンションや別荘の販売・管理も行っています。
収益は施設利用料、宿泊料、不動産販売収入などから得ています。運営は主にリソルの森が行っています。
■(4) 福利厚生事業
総合福利厚生代行サービス「ライフサポート倶楽部」を通じて、企業・団体の従業員向けに宿泊・レジャー・生活支援等のメニューを提供しています。
収益は会員企業からの会費や提携先からの手数料収入などから得ています。運営はリソルライフサポートが行っています。
■(5) 再生エネルギー事業
ゴルフ場やリゾート施設の敷地を活用し、太陽光発電事業を展開しています。売電事業のほか、ソーラーカーポート等の自家消費型設備の導入によるCO2削減にも取り組んでいます。
収益は電力会社への売電収入などから得ています。運営はリソル総合研究所などが行っています。
■(6) 投資再生事業
運営施設のバリューアップや、ゴルフ場のリゾート型再生、再エネ転用など、市場環境に合わせた再生ビジネスを行っています。
収益は不動産の販売収入やデューデリジェンス業務等の対価から得ています。運営は主にリソル不動産が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、特に直近では284億円に達しています。経常利益も回復基調にあり、直近では26億円、利益率も9.0%と高い水準を維持しています。当期純利益も増益傾向で推移しており、コロナ禍からの回復と成長が顕著です。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 195億円 | 209億円 | 221億円 | 257億円 | 284億円 |
| 経常利益 | 17億円 | 8億円 | 2億円 | 19億円 | 26億円 |
| 利益率(%) | 8.6% | 3.8% | 0.8% | 7.6% | 9.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 5億円 | 7億円 | 14億円 | 20億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の257億円から284億円へ増加し、売上総利益も178億円から202億円へと伸長しました。営業利益は21億円から27億円へ増加しており、増収効果が利益拡大に寄与しています。利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 257億円 | 284億円 |
| 売上総利益 | 178億円 | 202億円 |
| 売上総利益率(%) | 69.3% | 71.1% |
| 営業利益 | 21億円 | 27億円 |
| 営業利益率(%) | 8.3% | 9.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が32億円(構成比18%)、販売手数料が19億円(同11%)を占めています。売上原価については、内訳データがないため省略します。
■(3) セグメント収益
ホテル運営事業はインバウンド需要を捉え大幅な増収となりました。ゴルフ運営事業やリソルの森事業も堅調に推移し、増収に寄与しています。福利厚生事業や再生エネルギー事業も安定的に推移しましたが、投資再生事業は物件売却の影響等により減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| ホテル運営事業 | 124億円 | 149億円 |
| ゴルフ運営事業 | 81億円 | 84億円 |
| リソルの森事業 | 37億円 | 40億円 |
| 福利厚生事業 | 9億円 | 10億円 |
| 再生エネルギー事業 | 1億円 | 1億円 |
| 投資再生事業 | 6億円 | 1億円 |
| 連結(合計) | 257億円 | 284億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、事業の通常の運営に加え、現在の事業拡大や新たな事業領域への参入機会を検討しています。
営業活動では、税金等調整前当期純利益や減損損失等により資金が増加しました。投資活動では、主に有形固定資産の取得により資金が減少しました。財務活動では、短期借入金の返済や配当金の支払い等により資金が減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 36億円 | 41億円 |
| 投資CF | -13億円 | -20億円 |
| 財務CF | -40億円 | -16億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
コーポレートスローガン「あなたのオフを、もっとスマイルに。」を全ての価値基準としています。顧客に心から喜ばれるサービスを提供し、革新的な発想と行動力で「いきがい・絆・健康・くつろぎ」を提供することで、明るい社会づくりに貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
長期方針として「人にやさしい」「社会にやさしい」「地球にやさしい」の3つの「やさしい」を掲げています。事業を通じて顧客や従業員との友好関係を維持し、省エネや緑地保全など地球環境に配慮した活動を実践する企業風土を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
2025年3月期の実績として、以下の数値を達成しています。
* 売上高:284億円
* 経常利益:26億円
* ROA(総資産経常利益率):5.9%
* ROE(自己資本当期純利益率):12.7%
■(4) 成長戦略と重点施策
「施設運営」と「再生ビジネス」の両軸で事業を展開し、インバウンド需要の取込みや新たな価値創造を目指しています。具体的には、ホテル事業での「ツーリストホテル」化、ゴルフ場での「フェアウェイフロントヴィラ事業」の推進、リソルの森での体験型リゾートの強化などに注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な価値観を尊重し、女性や若手社員の視点を活かすことで持続可能なビジネス展開を目指しています。ハラスメント防止やワークライフバランスの推進による働きやすい職場環境の整備に加え、資格取得支援や階層別研修などを通じて、次世代の幹部候補やプロデューサー型人材の育成に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.4歳 | 9.1年 | 7,234,401円 |
※平均年間給与は諸手当、基準外給与及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 44.4% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 81.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 81.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※男性育児休業取得率は、2024年度において男性労働者の内、新たに子供が生まれた者が0名のため算出されていません。男女賃金差異(非正規雇用)は、当社において男性のパート・有期労働者が0名のため算出されていません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒女性社員比率(50%)、健康診断実施率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 訪日旅行者減少に関するリスク
ホテル運営事業やゴルフ運営事業は訪日旅行者数の影響を受けやすい性質があります。経済状況、為替、政治、自然災害、疫病などによりインバウンド市場が縮小した場合、グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 情報セキュリティに関するリスク
事業活動において情報システムを活用しており、サイバー攻撃や予期せぬ自然災害、事故等によりシステム障害が発生し業務が中断した場合、業績に影響を与える可能性があります。適切な対策を講じていますが、完全に回避できる保証はありません。
■(3) 資産保有のリスク
ホテルやゴルフ場などの有形固定資産やのれん等を保有しており、減損会計を適用しています。事業計画や市場環境の変化により減損処理が必要となった場合、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



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