【平均年収766万円】富士石油 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年3月期)

【平均年収766万円】富士石油 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年3月期)

富士石油は、石油の精製、貯蔵、調達、売買、原油・石油製品等の輸送・入出荷を主な事業内容とし、グループ各社とともに石油精製/販売事業を展開しています。直近期は増収減益となりました。


目次

※本記事は、富士石油株式会社 の有価証券報告書(2025年3月期、2024年4月1日 ~ 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


同社グループは、石油の精製、貯蔵、調達、売買、原油・石油製品等の輸送・入出荷を主な事業内容としています。グループ各社とともに、石油精製/販売事業を展開しています。

単体従業員数は491名、連結従業員数は672名です。同社グループは石油精製/販売事業の単一セグメントで事業を展開しています。

主な国内グループ会社は、当社、ペトロプログレス、富士石油販売、富士臨海、東海工機などです。

直近では、2025年4月1日付でアラビア石油を吸収合併により解散(消滅)しました。また、2024年7月1日付で東京石油興業が連結子会社から除外されています。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


富士石油は、石油精製・販売事業を基盤とし、安定した事業運営を行っています。同社グループは、脱炭素社会への貢献を重要な経営課題と捉え、環境負荷低減や脱炭素ビジネスの追求に取り組んでいます。このような事業環境の中で、従業員の給与水準や働き方、人材育成への取り組みは、転職を検討する上で重要な要素となります。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、平均年齢が40歳を超え、平均勤続年数も20年近くに及ぶことから、従業員が長期にわたってキャリアを築いている傾向が見られます。これは、安定した環境で専門性を深めたいと考える方にとって魅力的な要素となるでしょう。

項目 数値
平均年間給与 7,664,000円
平均勤続年数 19.7年
平均年齢 42.5歳
単体従業員数 491人
連結従業員数 672人
単体のグループ内比率 73.1%


同社及び連結子会社は、確定給付企業年金制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)及び退職一時金制度等を設けています。退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

なお、退職給付債務は26.8億円、年金資産は24.5億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


富士石油は、環境変化が激しい中で企業理念の実現に向けた継続的な成長のため、従業員一人ひとりが主体的に動ける自律型人財の育成に注力しています。具体的には、「共有・貢献」「自律・挑戦」「高い人間性」「専門性・技術力」を兼ね備えた人財を「期待する人財」と定義し、教育研修制度の整備や人事マネジメントを通じて育成を図っています。

また、多様な人財が心身ともに健康でいきいきと活躍できる社内環境の整備にも力を入れています。2019年度に全面改定した人事制度に基づき、若年層の早期登用やシニア世代の継続起用、女性従業員の職域拡大・管理職候補者育成を進めています。

多様な働き方を推進するため、2019年度にフレックスタイム制度や法定以上に拡充した育児・介護休業制度を導入しました。さらに、2020年度にはテレワーク制度を導入し、デジタル技術の幅広い利活用等を通じたワークライフバランスの向上と残業の低減を目指しています。職群転換制度の活用や障がい者雇用の推進にも取り組んでいます。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。労働者の男女の賃金差異は、複線型人事制度における職群別人数構成の差によるものであり、同一職群・役割での男女間賃金差異はありません。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 1.9%
男性労働者の育児休業等の取得割合 50.0%
労働者の男女の賃金差異(全労働者) 74.7%
労働者の男女の賃金差異(正規雇用労働者) 79.5%
労働者の男女の賃金差異(有期労働者) 51.4%

人材育成・多様性に関する目標


提出会社単体の目標値です。

指標 数値
2025年度の採用者に占める女性比率 30.0%以上
有給休暇取得率 90.0%以上
女性管理職登用目標(2025年度まで) 1名以上(2022年度達成)

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


富士石油は、石油の精製から販売までを一貫して手掛ける企業グループです。石油精製/販売事業を単一セグメントとして展開し、日本のエネルギー供給の一翼を担っています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


富士石油グループは、石油の精製、貯蔵、調達、売買、そして原油・石油製品の輸送・入出荷を主な事業内容としています。連結子会社6社と持分法適用会社2社で構成されており、石油精製/販売事業の単一セグメントで事業を展開しています。

同社グループの収益は、主に石油製品の販売から得ています。燃料油価格激変緩和対策事業による補助金もその他の収益として計上されています。

販売実績を見ると、主要な顧客として出光興産株式会社やENEOS株式会社への販売が大きな割合を占めています。特定の顧客への収益集中が見られます。

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあります。しかし、当期は経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益が損失となりました。これは、在庫影響による原価の押し上げ要因や子会社株式売却損などが影響しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは当期に大きく増加しており、本業でのキャッシュ創出は堅調に推移していることがうかがえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 3,446億円 4,860億円 8,509億円 7,237億円 8,402億円
経常利益 82.9億円 161億円 47.0億円 187億円 △38.9億円
経常利益率 2.4% 3.3% 0.6% 2.6% △0.5%
親会社株主に帰属する当期純利益 65.3億円 152億円 35.8億円 155億円 △57.7億円
1株当たり当期純利益(円) 84.72 197.29 46.36 201.09 △74.79

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しています。これは、販売数量の増加などが影響していると考えられます。一方で、従業員1人あたりの営業利益は当期に損失に転じています。これは、在庫影響による原価の押し上げや各種コストの増加など、連結業績全体に影響した要因が反映されたものと見られます。

指標 2024年3月期 2025年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 1031.0百万円 1250.3百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 23.1百万円 △8.3百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


富士石油グループの経営の安定性について、財務基盤と資金の流れから現状を把握します。本業でキャッシュを生み出し、投資活動も行っている状況です。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


富士石油グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から改善傾向にあります。しかし、プライム市場の非製造業平均と比較すると、やや低い水準となっています。ROEは当期にマイナスに転じていますが、前期は高い水準でした。手元資金である現金及び預金は増加しており、一定の資金的な余裕があることを示しています。これらの財務状況は、今後の事業展開や雇用・給与の安定性に影響を与える可能性があります。

指標 2024年3月期(前期) 2025年3月期(当期)
純資産 864億円 859億円
自己資本比率 22.1% 23.0%
ROE(自己資本利益率) 19.7% -6.7%
現金及び預金 138億円 143億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


富士石油グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、前期の74.4億円の収入から当期は314.4億円の収入へと大きく増加しました。これは主に棚卸資産の減少や未払消費税等の増加によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、製油所施設等に係る有形固定資産の取得により、前期の△51.2億円の支出から当期は△48.6億円の支出と、支出額が減少しています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の純減少などにより、前期の△12.3億円の支出から当期は△278.2億円の支出へと大幅に増加しました。

結果として、事業活動で得た資金で投資を賄い、さらに余剰資金を生み出すフリーキャッシュフローは、前期の23.2億円のプラスから当期は265.8億円のプラスへと大きく増加しています。この状況は、本業で安定的に資金を生み出し、財務的な健全性を維持していることを示しており、今後の事業成長や雇用・給与の安定性につながる可能性があります。

項目 2024年3月期(前期) 2025年3月期(当期)
営業CF 74.4億円 314.4億円
投資CF △51.2億円 △48.6億円
財務CF △12.3億円 △278.2億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 23.2億円 265.8億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

富士石油グループは、国内の石油製品需要が少子高齢化や低燃費車の普及により構造的な減少傾向にある中で、激しい競争環境に曝されるリスクを認識しています。また、低炭素化・脱炭素化の動きが急激に進展した場合、石油製品需要の減少が事業及び業績に影響を及ぼす可能性も指摘されています。

③ 人材・組織に関するリスク

富士石油グループは、女性活躍推進の取り組みを通じて女性の定着を図り、上位職への登用や管理職育成に向けた研修、就業環境の整備に取り組む方針を示しています。また、女性従業員の中間層を補完するためのキャリア採用も継続的に実施していくとしています。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


富士石油は、エネルギーの安定供給と地球環境の保全を企業理念に掲げ、ステークホルダーとの共存共栄を目指す企業です。活力に満ちた働きがいのある職場づくりを重視し、持続的な成長への挑戦を続けています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


富士石油グループは、エネルギーの安定供給と安全の確保、地球環境の保全を企業理念としています。ステークホルダーとの共存共栄を図り、活力に満ちた働きがいのある職場を実現することを目指しています。

グループ経営方針としては、ステークホルダー価値の最大化と経営の透明性向上を掲げています。また、袖ケ浦製油所の立地優位性と設備能力を活かし、安定的な経営・収益基盤の維持と持続的な成長への挑戦を追求しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


富士石油は、企業理念や経営ビジョンを理解・共有し、組織目標に貢献する人財を「期待する人財」としています。広い視野で変化を察知し、自ら考え挑戦し続ける自律型人財の育成を目指しています。

規律性と高い倫理観を持ち、互いの個性や価値観を尊重し協働できる高い人間性も重視しています。また、自らの成長を希求し、高い専門性・技術力を備えた人財を育むことを大切にしています。多様な人財や価値観を積極的に取り入れ、高い意欲を持った従業員が心身ともに健康でいきいきと活躍できる環境整備に取り組んでいます。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、エネルギーの安定供給の使命を果たすため、収益の安定的拡大と環境負荷低減の両立を基本方針としています。石油精製事業の更なる基盤強化と脱炭素社会に向けた取組み強化を重点課題としています。

具体的には、デジタル技術の活用による稼働信頼性の維持・強化や、組織横断的なコスト削減活動を推進しています。また、本社移転や組織改編を通じて組織・業務のスリム化、人財・組織面での交流促進にも取り組んでいます。脱炭素社会の実現に向けては、製油所の徹底した環境負荷低減と、次世代バイオ燃料やCO2フリー水素などの脱炭素ビジネスの追求を進めています。中長期的なカーボンニュートラルの実現に向けて、カーボンニュートラル推進委員会のもと、全社横断的に取組みを推進しています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


富士石油グループは、過半数の社外取締役で構成される取締役会と社外監査役で構成される監査役会を設置し、適正な意思決定と業務執行に対する監査・監督機能を確保しています。また、法定の機関とは別に、執行役員と常勤監査役から成る常勤役員会を定期的に開催し、業務執行の効率性向上を図る体制を整えています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


同社グループの株主構成を見ると、筆頭株主は出光興産であり、同社グループの事業活動と関連の深い事業会社が上位に名を連ねています。また、信託銀行や外国政府も主要な株主として名を連ねており、多様なステークホルダーに支えられていることがうかがえます。

株主名 持株比率
出光興産 22.01%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.90%
クウェート石油公社 7.50%
サウジアラビア王国政府 7.50%
日本郵船 3.55%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は15名(男性13名・女性2名)で構成され、女性役員比率は13.3%です。代表取締役社長社長執行役員は山本重人氏が務めています。社外取締役比率は54.5%です。

氏名 役職 主な経歴
山本 重人 代表取締役社長社長執行役員 1981年4月 旧富士石油入社、2014年6月 同社取締役業務部長、2021年6月 同社代表取締役社長社長執行役員より現職。
川畑 尚之 代表取締役常務執行役員 1983年4月 旧富士石油入社、2017年6月 同社取締役袖ケ浦製油所副所長、2023年6月 同社代表取締役常務執行役員より現職。
岩本 巧 取締役常務執行役員 1984年4月 旧富士石油入社、2017年6月 同社取締役企画部長、2023年6月 同社取締役常務執行役員袖ケ浦製油所長より現職。
津田 雅之 取締役常務執行役員 1985年4月 日本開発銀行(現 日本政策投資銀行)入行、2019年6月 同社取締役、2023年6月 同社取締役常務執行役員より現職。
渡邊 厚夫 取締役執行役員 1989年4月 通商産業省(現 経済産業省)入省、2022年6月 同社執行役員袖ケ浦製油所副所長、2023年6月 同社取締役執行役員より現職。


社外取締役は、前澤浩士氏(元出光興産常務執行役員・指名報酬諮問委員会◎)、山本順三氏(出光興産常務執行役員)、佐藤良氏(元住友化学執行役員)、ムハンマド・シュブルーミー氏(サウジアラビア王国政府エネルギー省 Senior Legal Advisor)、ハーリド・サバーハ氏(クウェート石油公社 Managing Director, International Marketing Sales)、坂本倫子氏(岩田合同法律事務所執行パートナー弁護士)です。

同社は監査役会設置会社であり、過半数を社外取締役が占める取締役会と、社外監査役で構成される監査役会が、経営の透明性・公正性を確保する役割を担っています。社外取締役は経営陣から独立した立場で業務執行に対する助言・監督を行い、社外監査役は業務執行の適法性についてモニタリングや意見表明を行っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社では、業務執行取締役等に対して、固定報酬、業績連動報酬、および業績連動型譲渡制限付株式報酬の3つの要素で構成される報酬体系を採用しています。これにより、同社グループの経営環境や業績を反映させ、中長期的な企業価値向上へのインセンティブを強化しています。一方、社外取締役および監査役の報酬は、監督機能の有効性を確保する観点から固定報酬のみで構成されています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 5名 1.6億円 33.0百万円
社外取締役 6名 41百万円 6.8百万円
社外監査役 - 46百万円 -


なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
提出会社の役員ごとの連結報酬等の総額が1億円以上であるものは存在しないため、個人別報酬の開示はありません。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。