※本記事は、三谷セキサン株式会社の有価証券報告書(第93期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 三谷セキサンってどんな会社?
コンクリートパイルやポール等の製造・販売を主力とし、幅広い事業を展開するメーカーです。
■(1) 会社概要
同社は1956年に北陸石産工業として設立され、1963年にコンクリートパイルの生産を開始し大阪証券取引所市場第二部に上場しました。1983年に現在の三谷セキサンへ商号を変更し、その後もコンクリート製品メーカーの買収やホテル事業の開始など多角化を推進し、事業規模を拡大しています。
同社の従業員数は連結で1,095名、単体で359名です。筆頭株主は一般財団法人三谷市民文化振興財団で、第2位はその他の関係会社として資本・取引関係にある三谷商事、第3位は一般財団法人三谷進一育英会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 一般財団法人三谷市民文化振興財団 | 12.46% |
| 三谷商事 | 10.40% |
| 一般財団法人三谷進一育英会 | 8.11% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は三谷進治氏が務めており、取締役7名のうち社外取締役は1名(14.3%)となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 三谷進治 | 代表取締役社長社長経営執行役 | 1997年同社取締役、1998年同社取締役財務部長、1999年同社専務取締役を経て、2001年より現職。 |
| 田中昌郁 | 専務取締役専務経営執行役パイル・ポール事業本部兼技術本部担当 | 1982年同社入社。大阪支店長、東京支店長等を経て2013年常務経営執行役。2018年より現職。 |
| 阿部亨 | 常務取締役常務経営執行役管理本部兼砂利事業本部兼水工資材事業本部担当 | 2002年同社入社。総務部長、管理本部長等を経て、2015年同社取締役。2026年より現職。 |
| 三谷聡 | 取締役相談役 | 1985年同社取締役。同社代表取締役社長を経て、1998年三谷商事代表取締役社長。1998年より現職。 |
| 渡辺崇嗣 | 取締役 | 2000年駒屋代表取締役社長。2003年同社監査役を経て、2006年より現職。 |
| 三谷聡一郎 | 取締役 | 2016年富士ゼロックス入社。2018年三谷商事入社。同社常務取締役財務部長等を経て、2026年より現職。 |
社外取締役は、光野稔(元福井テレビジョン放送代表取締役社長・現同社常勤相談役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「コンクリート二次製品関連事業」「情報関連事業」および「その他」事業の3つのセグメントで事業を展開しています。
■コンクリート二次製品関連事業
コンクリートパイル、ポール、コンクリートブロック、砂利製品の製造販売や、消波ブロックの型枠賃貸等を行っています。主に建設業界や官公庁などの顧客向けに、構築物の基礎支持力を提供する高品質な製品と施工技術を提供しています。
顧客への製品販売および請負工事による収益を主な収益源としています。運営は同社のほか、滋賀セキサン、東京セキサン、セキサンピーシー、大牟田セキサンなどの子会社が担い、グループ間で連携した生産・販売体制を構築しています。
■情報関連事業
情報処理の委託計算やコンピュータプログラムなどの情報システム構築、ハードウェアおよびソフトウェアの販売を行っています。幅広い業種の企業を顧客とし、IT技術を活用した各種サービスを提供しています。
顧客への製品・機器の販売や、ソフトウェアの受託製作による収益を事業の基盤としています。運営は主に子会社の福井システムズが担っており、顧客のニーズに対応したシステムの提供を通じて収益を確保しています。
■その他
環境衛生事業、施設管理事業、ビジネスホテルの運営、不動産賃貸業務、太陽光発電事業など、多岐にわたるサービスを展開しています。法人および一般消費者を対象に、快適な生活環境の創造に貢献しています。
ホテル事業では宿泊客からの利用料、環境衛生事業では廃棄物収集やリサイクルによる収益、不動産事業ではテナントからの賃貸収入を収益源としています。運営は同社のほか、トスマク・アイや浦和スプリングレーンズなどの子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は800億円前後で推移していましたが、当期は大型物件の受注などにより999億円へと大きく伸長しました。経常利益も当期に189億円を計上し、利益率も19.0%と高い水準に向上しており、収益力の強化が進んでいることが伺えます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 773億円 | 861億円 | 831億円 | 878億円 | 999億円 |
| 経常利益 | 84億円 | 109億円 | 134億円 | 149億円 | 189億円 |
| 利益率(%) | 10.8% | 12.7% | 16.1% | 17.0% | 19.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 37億円 | 65億円 | 75億円 | 71億円 | 117億円 |
■(2) 損益計算書
当期は売上高が前期比で大きく伸びたことに伴い、売上総利益も拡大しています。売上総利益率は23.5%から24.7%へ上昇し、営業利益率も15.8%から17.6%へと改善しており、本業における高い収益性を確保しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 878億円 | 999億円 |
| 売上総利益 | 207億円 | 247億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.5% | 24.7% |
| 営業利益 | 139億円 | 176億円 |
| 営業利益率(%) | 15.8% | 17.6% |
販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給与手当賞与が31億円(構成比44%)、福利厚生費が7億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の業績を見ると、主力であるコンクリート二次製品関連事業が売上高の大部分を占めており、利益率も17.7%と非常に高い水準を誇っています。情報関連事業は子会社売却の影響で減収減益となった一方、その他事業は堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| コンクリート二次製品関連事業 | 683億円 | 832億円 | 105億円 | 147億円 | 17.7% |
| 情報関連事業 | 103億円 | 75億円 | 18億円 | 16億円 | 21.7% |
| その他 | 92億円 | 92億円 | 26億円 | 22億円 | 24.1% |
| 調整額 | - | - | -11億円 | -10億円 | - |
| 連結(合計) | 878億円 | 999億円 | 139億円 | 176億円 | 17.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型のキャッシュ・フロー状況となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 134億円 | 133億円 |
| 投資CF | -53億円 | -49億円 |
| 財務CF | -56億円 | -47億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.5%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.9%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「高品質の商品を需要家に」を企業理念に掲げています。独自の製品や新技術の開発に努め、より高性能の商品・工法を提供していくことにより、顧客のニーズに応え、社会資本の整備と快適な環境の創造に貢献することを経営の基本としています。
■(2) 企業文化
同社は、「開拓者精神」を持ったジオテクノロジーのトップブランドカンパニーとして、様々なソリューションを通じて社会に貢献することを重視しています。構築物の基礎支持力を提供するメーカーとして、高品質のコンクリート、高品質の施工技術および施工管理技術の研究に積極的に取り組む文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
他社との差別化を図り、収益性を高め、財務体質を強化することを全体的な目標として掲げています。構築物の基礎支持力を提供するメーカーとして、競争力を高めることを目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、顧客ニーズに対応した新製品・新技術の開発を積極的に進め、技術力と営業力の向上に努める方針です。また、キャッシュ・フロー経営を重視し、財務体質の強化と事業経営全般の効率化を図ります。さらに、競合他社との価格競争の激化や原材料価格の高止まりが見込まれる中、採算管理の徹底と経費抑制に全力を挙げて取り組む戦略を描いています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、人材を重要な経営資本と位置づけ、変化する事業環境に対応できる組織づくりを重要な経営課題と認識しています。新卒および専門知識を有する中途の即戦力人材の継続的な採用を図るほか、新入社員向けの教育プログラムや階層別研修を通じた人材育成、健康経営の推進による職場環境の整備に一体的に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 40.1歳 | 11.0年 | 6,997,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 61.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 72.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 63.7% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 民間需要の変動による影響
同社グループの主力であるコンクリートパイル部門の全体需要は、民間需要に大きく影響される状況にあります。想定以上に需要が落ち込んだ場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として、経営執行役会議等において受注見通しや案件量を毎月フォローし、適宜必要な対策を検討しています。
■(2) パイル工事における不採算工事の発生リスク
請負工事契約の締結段階での価格競争による不採算工事の発生や、手持工事における設計内容の変更、顧客による工事工程の見直し、製造工程の逼迫等により工期の遅延が生じた場合、見積総原価が収益総額を超過して工事損失引当金を計上することになり、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 原材料価格の高騰と調達リスク
コンクリート二次製品関連事業において、セメントや鋼材等の原材料を使用していますが、市場価格の変動により調達価格が上昇し、製造コストに影響を及ぼすおそれがあります。コストダウンや適正価格への改定要請に取り組むものの、価格動向によっては業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 情報セキュリティリスク
設計や施工をはじめとする各種サービスを提供するにあたり、構造物や顧客、経営・技術等に関する様々な情報を保有しています。外部からの攻撃や従業員の過失等によってこれらが漏洩または消失した場合、信用の毀損や損害賠償の発生により、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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