※本記事は、昭和化学工業株式会社 の有価証券報告書(第98期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 昭和化学工業ってどんな会社?
珪藻土およびパーライトを原料とする製品の製造販売を行う企業です。濾過助剤分野で高いシェアを持ちます。
■(1) 会社概要
1930年に東亜商会として創業し、1933年に昭和化学工業を設立しました。1971年に東京証券取引所市場第二部へ上場を果たしています。2008年にはアーステクノス(現連結子会社)を設立、2010年には中国に北京瑞来特貿易有限公司を設立し、海外展開も進めています。
同グループの従業員数は連結218名、単体162名です。筆頭株主はシグマで、第2位は代表取締役社長の石橋健藏氏、第3位は公益財団法人石橋奨学会です。上位株主には経営陣や関連団体が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| シグマ | 17.63% |
| 石橋 健藏 | 12.91% |
| 公益財団法人石橋奨学会 | 9.10% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は石橋健藏氏です。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石橋 健藏 | 代表取締役社長 | 1997年ORIX USA Corporation入社。1998年同社入社。常務取締役等を経て2003年より現職。白山工業代表取締役社長等を兼任。 |
| 田子 薫 | 専務取締役 | 1978年小野田セメント入社。2009年同社入社。経営企画室長、取締役技術開発推進部長等を経て2025年4月より現職。 |
| 笹元 岳 | 取締役経営管理部長 | 1993年同社入社。2019年総務企画部長(現経営管理部長)を経て2024年より現職。 |
| 小関 肇 | 取締役(監査等委員) | 1984年同社入社。2009年内部監査室長、2012年監査役を経て2016年より現職。 |
社外取締役は、波光史成(税理士法人レゾンパートナーズ代表社員)、神谷宗之介(神谷法律事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「珪藻土・パーライト事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 濾過助剤
ビールや清涼飲料水などの食品工業、抗生物質等の製薬工業、化学工業などで使用される濾過助剤を製造・販売しています。顧客は食品メーカーや製薬会社などが中心です。
収益は、製品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は、国内では昭和化学工業が自社製造するほか、子会社の白山工業に一部製造を委託しています。海外では、子会社の北京瑞来特貿易有限公司が製品を販売しています。
■(2) 建材・充填材
住宅用建材、土木資材、シリコーンゴム等に使用される充填材を製造・販売しています。顧客は建設会社や化学メーカーなどです。
収益は、製品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は、昭和化学工業が自社製造するほか、子会社の白山工業への製造委託や、子会社の日昭による請負製造が行われています。
■(3) 化成品
プールや温浴施設、浄化槽向けの塩素系消毒剤や、産業排水向けの水処理剤などを取り扱っています。
収益は、製品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は、昭和化学工業が製品を仕入れて販売を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は92億円前後で横ばいに推移しており、安定した需要があることがうかがえます。経常利益は変動が見られ、直近では減益となりましたが、一定の黒字を維持しています。利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 77億円 | 78億円 | 92億円 | 92億円 | 92億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 5億円 | 8億円 | 7億円 | 6億円 |
| 利益率(%) | 6.2% | 6.2% | 9.1% | 7.8% | 6.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 3億円 | 6億円 | 6億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期とほぼ同水準を維持しましたが、売上原価の増加等により売上総利益は若干減少しました。営業利益率は低下しており、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 92億円 | 92億円 |
| 売上総利益 | 29億円 | 28億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.7% | 30.8% |
| 営業利益 | 5億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | 5.5% | 3.7% |
販売費及び一般管理費のうち、発送費が10億円(構成比41%)、その他が9億円(同38%)を占めています。売上原価については、製品製造原価明細書(単体)によると、材料費と経費がそれぞれ約40%を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の濾過助剤は、化学品向け等の売上増により堅調に推移しました。一方、建材・充填材や化成品は国内需要の減少等により減収となりました。全体としては微増収を確保しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 濾過助剤 | 57億円 | 58億円 |
| 建材・充填材 | 15億円 | 14億円 |
| 化成品 | 15億円 | 15億円 |
| その他 | 6億円 | 6億円 |
| 連結(合計) | 92億円 | 92億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
昭和化学工業は、営業活動により潤沢な資金を獲得し、事業活動を支えています。投資活動では、将来の成長に向けた設備投資等を行いました。財務活動では、資金調達の状況を適切に管理しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8億円 | 8億円 |
| 投資CF | -2億円 | -1億円 |
| 財務CF | -5億円 | -4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客様のため、社会のため、人間生活向上のため、貴重な資源を限りなく有効に活用し、広く産業を支え、豊かな明日を構築することに貢献する。」ことを経営理念としています。顧客第一主義を徹底し、珪藻土やパーライトの有効活用を通じて社会に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
「和音」、「さすが」というキーワードを社風の根底としています。業務品質の向上へ挑戦し、顧客対応力の底上げを図るとともに、一人一人が進化し続ける集団への成長を目指しています。また、ダイバーシティ&インクルージョンの推進により、活力ある組織作りを実践しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、外部要因に影響されることなく安定的に収益性を向上させることを目的とし、売上高および経常利益を経営指標としています。具体的な数値目標は明示されていませんが、財務基盤の強化と収益の安定を図りつつ、社会課題への取り組みを通じて持続可能な社会の構築に貢献する方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
「お客様サイドの発想への挑戦」「業務品質向上への挑戦」「新領域への挑戦」の3つを掲げています。既存事業の深化と拡大に加え、M&Aを含めた新規事業の構築を進めます。具体的には、2025年4月より国内事業の製造部門と営業部門を一体運営とする組織改編を行い、技術サービスの充実やソリューション提案の強化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「業務品質向上への挑戦」を掲げ、顧客対応力の底上げを図ると同時に、「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進しています。人事制度の見直しや風土改革を通じて就業意欲を鼓舞し、自律した人材の育成と活力ある組織作りを目指しています。また、スキルアップやキャリアアップを目的とした各種研修を実施しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 48.6歳 | 19.7年 | 5,628,025円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.4% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原料、燃料等の調達
珪藻土・パーライトといった天然資源を原料とし、製造には燃料を使用しています。採掘規制や燃料価格の高騰により、良質かつ適正価格での調達が困難になった場合、製造コストが上昇し、業績に影響を与える可能性があります。これに対し、世界各地からの調達や省エネ技術の開発等で対応しています。
■(2) 特定製品への依存
濾過助剤分野の売上高が全体の60%以上を占めています。技術革新により同社製品の優位性が低下した場合、業績に影響を与える可能性があります。これに対し、コスト面や環境面での優位性を高めるとともに、周辺商材や他分野の市場拡大を推進することでリスク低減に努めています。
■(3) 事業展開国でのカントリーリスク
中国に販売子会社および製造拠点としての合弁会社を持ち、世界各国へ輸出しています。中国や輸出先の政情不安、法規制強化、為替変動等が発生した場合、事業活動に支障をきたし業績に影響を与える可能性があります。グループ内での情報収集等により適切な対応に備えています。



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