【平均年収811万円】松風 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収811万円】松風 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

松風は、歯科材料・機器の総合メーカーとして、歯科関連事業を主軸にネイル関連事業や工業用研磨材の製造販売も手掛けています。過去5期にわたり増収増益を継続し、直近期も売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が増加しました。


目次

※本記事は、株式会社松風 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


松風は、歯科材料・機器の総合メーカーとして、その製造・販売を主な事業内容としています。同社グループは、歯科関連事業を主軸に、ネイル関連事業や工業用研磨材の製造販売も手掛けています。

単体従業員数は536名、連結従業員数は1,462名です。セグメントはデンタル関連事業、ネイル関連事業、その他の事業の3つです。

主な国内グループ会社は、滋賀松風、松風プロダクツ京都、松風バイオフィックス、ネイルラボなどです。

また、前連結会計年度に連結子会社であったSmart Dentistry Solutions Inc.は、2026年1月1日付でSHOFU Dental Corp.へ吸収合併され、当連結会計年度より連結の範囲から除外されています。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


松風は、世界の歯科医療に貢献するという経営理念のもと、創造的な企業活動を展開しています。同社グループでは、従業員一人ひとりの成長を重視し、働きがいと働きやすさを両立できる職場環境の整備に力を入れています。グローバルな事業展開を加速させる中で、多様な人材が活躍できる環境づくりを目指していることがうかがえます。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、従業員の平均勤続年数が長く、安定してキャリアを築ける環境が整っていることがうかがえます。平均年齢も比較的落ち着いており、経験豊富な人材が活躍している傾向が見られます。長期的な視点で自身の成長と会社の発展に貢献したいと考える方にとって、魅力的な職場環境であると言えるでしょう。

項目 数値
平均年間給与 8,113,619円
平均勤続年数 16.24年
平均年齢 42.72歳
単体従業員数 536人
連結従業員数 1,462人
単体のグループ内比率 36.7%


同社グループは、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)の両方を採用しています。これらの制度は、同社および一部の国内連結子会社、ならびに海外の連結子会社に適用されています。

退職一時金制度も設けられています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

確定給付制度における退職給付債務は33.3億円、年金資産は51.5億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


同社グループは、「創造的な企業活動を通じて世界の歯科医療に貢献する」という経営理念のもと、長期ビジョン達成に向けた人材戦略を推進しています。特に海外での成長を柱とする企業戦略を遂行するため、人材をその源泉の一つと位置付け、従業員のエンゲージメント向上に力を入れています。

給与制度においては、労働組合との交渉結果を重視し、職能資格制度と人事考課制度を通じて職務遂行能力や成果を処遇に反映させています。賞与については、これまで単体業績を基準としていましたが、2026年度の夏季賞与からは連結業績指標も加味した制度に改定し、単体と連結のバランスの取れた納得性の高い制度を導入しています。

人材育成では、グローバル人材、DX人材、次世代経営人材の育成を重点課題とし、それぞれ選抜・育成フローを策定しています。語学力向上や海外派遣研修、DXリテラシー研修、AI・データ活用専門人材育成、次世代経営人材の計画的育成など、多岐にわたるプログラムを提供しています。

また、「働きがい」と「働きやすさ」を感じる職場環境の整備にも注力しており、健康経営の推進、教育機会の提供、仕事と家庭の両立支援、メンタルヘルスやハラスメント研修による心理的安全性の高い職場づくりを進めています。多様性の尊重と活躍推進のため、女性社員の採用比率向上やキャリア教育、シニア・外国人・障害者雇用も積極的に推進しています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されています。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 3.9%
男性労働者の育児休業取得率 79.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 53.7%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 79.8%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 87.2%

連結子会社の法定開示


主要事業会社3社の数値のみ掲載します。

▼ ㈱滋賀松風

指標 数値
男性労働者の育児休業取得率 100.0%

多様性・登用

指標 数値
女性社員の採用比率 30.0%
育児休業取得率(女性) 100.0%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


松風は、歯科材料や機器の製造・販売を主軸に、ネイル関連事業や工業用研磨材事業も展開する企業です。多岐にわたる事業を通じて、幅広い顧客層に製品とサービスを提供しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、歯科材料、機器の総合メーカーとして、その製造・販売を主な事業内容としています。また、ネイル関連事業やその他の事業(工業用研磨材)も手掛けています。

デンタル関連事業

この事業は、歯科に関連する材料や機器の製造・販売、修理サービスを提供しています。収益は、歯科切削加工用レジン材料やセラミックスなどのCAD/CAM関連製品、歯科用充填修復材料などから得ています。当連結会計年度では、前年同期比で増収となりました。特に海外市場では、北米・中南米、中国、欧州で売上が堅調に推移し、為替変動も収益にプラスの影響を与えています。

ネイル関連事業

ネイルに関連する美容器具・健康器具及び化粧品の製造・販売、修理サービスを行っています。収益は、主力ネイル製品やネイル・ハンドケア製品「ARTiS di Voce」などから得ています。当連結会計年度では、国内市場でのコモディティ化や他社攻勢、海外市場での低価格製品の台頭や欧州規制強化の影響を受け、前年同期比で減収となりました。

その他の事業

この事業では、工業用材料の製造販売を行っています。収益は、工業用研磨材市場での販売から得ています。当連結会計年度では、一部業界で回復の兆しが見られたものの、市場全体としては低調な状況が続きました。しかし、納期遅延防止と受注対応力の強化に取り組んだ結果、前年同期比で増収となりました。

同社グループの売上高は、日本、アメリカ、ドイツ、中国、その他の地域にわたっており、海外市場からの収益も大きな割合を占めています。為替変動が経営成績に影響を与える傾向が見られます。特定の主要な顧客に売上が集中している状況はありません。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
デンタル関連事業 364億円 377億円
ネイル関連事業 22.4億円 22.2億円
その他事業 97百万円 99百万円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの過去5期にわたる業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも一貫して増加傾向にあります。特に当連結会計年度においては、売上高、経常利益、当期純利益が過去最高の水準となりました。

営業利益は前年同期比で減少しましたが、為替差益や貯蔵品売却益の計上などにより営業外収益が増加したため、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は増益を達成しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 281億円 317億円 351億円 387億円 400億円
経常利益 36.6億円 42.4億円 51.2億円 55.2億円 58.6億円
経常利益率 13.0% 13.4% 14.6% 14.3% 14.6%
親会社株主に帰属する当期純利益 25.5億円 31.4億円 36.5億円 43.2億円 48.9億円
1株当たり当期純利益(円) 71.61 88.05 103.09 121.52 137.38

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり売上高は、当連結会計年度において前期から横ばいとなりました。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しています。これは、販売費及び一般管理費の増加が影響していると考えられます。

従業員数が増加する中で1人あたり売上高が維持されていることは、事業規模の拡大と効率性のバランスを示唆しています。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 27.4百万円 27.4百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 3.8百万円 3.6百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


同社グループは本業で安定した資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、手元に資金を残している状況です。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を大きく上回る水準で推移しています。これは、安定した経営基盤を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回っており、効率的な資本活用がうかがえます。手元資金も潤沢に確保されており、不測の事態への耐性も高い状態です。これらの財務状況は、長期的な雇用や給与の安定性につながる要素と言えます。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 427億円 487億円
自己資本比率 85.2% 84.1%
ROE(自己資本利益率) 10.3% 10.7%
現金及び預金 107億円 101億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは33.7億円のプラスとなりましたが、前期からは減少しています。これは主に税金等調整前当期純利益によるものです。投資活動によるキャッシュフローは20.7億円のマイナスとなり、前期よりも支出が増加しています。これは主に有形固定資産の取得による支出が要因です。財務活動によるキャッシュフローは19.7億円のマイナスで、主に配当金の支払いが影響しています。結果として、フリーキャッシュフローは13.0億円のプラスを維持していますが、前期からは減少しています。本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた設備投資を積極的に行っている状況がうかがえます。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 34.5億円 33.7億円
投資CF △9.1億円 △20.7億円
財務CF △17.8億円 △19.7億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 25.3億円 13.0億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、各国の医療費抑制政策により製品価格の引き下げ要求や需要減少のリスクを認識しています。また、市場のグローバル化に伴う他業種や新規参入企業との競争激化により、シェアや収益性が低下する可能性も指摘されています。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、労働人口の減少などにより必要な人材の採用・確保が困難になるリスクを認識しています。専門人材の不足や育成期間の長期化が、事業の拡大や効率化の遅延につながる可能性も指摘されています。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


松風は、世界の歯科医療への貢献を経営理念に掲げ、長期的な視点で成長と変革を目指す企業です。質を重視しつつ量的な拡大を図り、変化を先取りして挑戦する文化を大切にしています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社グループは「創造的な企業活動を通じて世界の歯科医療に貢献する」ことを経営理念としています。
「企業活動のあらゆる局面で、質を重視しつつ量的な成長・拡大をはかる」こと、また「あらゆる変化を先取りし、積極的に挑戦する」ことを行動指針としています。
2025年12月には、2040年を見据えた次期長期ビジョン「Vision10」を策定しました。
本ビジョンでは、歯科業界におけるグローバルトップ10入りを目標に掲げ、「世界の歯科ソリューションの未来を切り拓く、デジタル歯科と口腔ケアのリーディングカンパニー」を目指しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループは「企業活動のあらゆる局面で、質を重視しつつ量的な成長・拡大をはかる」こと、そして「あらゆる変化を先取りし、積極的に挑戦する」ことを行動指針としています。
サステナビリティに関する基本的な考え方として、「人々のQOL向上への貢献」「地球環境に配慮した企業活動の推進」「企業価値の向上を支える経営基盤の強化」「働きがいのある組織文化の醸成・人材づくり」の4つの方針を定めています。
「人材こそが新たな価値を生み出す源泉」「個々の役割の総和が会社の価値」という考えのもと、多様性を尊重し、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる組織文化の醸成を目指しています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、次期長期ビジョン「Vision10」の実現に向けた取り組みを中長期的な経営課題として位置付けています。
第五次中期経営計画の3年目にあたる2026年度は、成長加速のため、主要課題として国内外学術ネットワークの構築に取り組んでいます。
また、海外展開を積極的に推進するための人材育成・確保、グループガバナンス体制の強化、サステナビリティ経営の推進も重点テーマとしています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


松風は、取締役会と監査役会を設置する体制を採用しています。社外役員が経営の監督と監査を担う体制です。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


筆頭株主は化学メーカーである三井化学です。同社グループは、三井化学をはじめとする事業会社や金融機関に支えられた資本構成となっています。筆頭株主である三井化学は、同社グループの重要な業務提携先でもあります。

株主名 持株比率
三井化学 20.11%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.88%
京都銀行 4.00%


なお、ニューバーガー・バーマンは2026年3月31日現在で2,017千株を保有している旨が大量保有報告書に記載されています。

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は13名(男性9名・女性4名)で構成され、女性役員比率は30.8%です。代表取締役社長社長執行役員は髙見哲夫氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
根來 紀行 代表取締役会長 1981年3月同社入社、2009年6月同社代表取締役社長、2022年6月同社代表取締役会長より現職。
髙見 哲夫 代表取締役社長社長執行役員 1983年3月同社入社、2022年6月同社代表取締役社長社長執行役員より現職。
梅田 隆宏 代表取締役 専務執行役員財務・情報システム・ネイル事業担当 2013年6月京都銀行福知山支店長、2015年3月同社入社、2026年4月同社代表取締役専務執行役員財務・情報システム・ネイル事業担当より現職。
山嵜 文孝 取締役 専務執行役員総合企画担当 1981年3月同社入社、2013年6月同社取締役総合企画担当、2024年6月同社取締役専務執行役員総合企画担当より現職。
薗井 秀次 取締役 常務執行役員生産担当 1995年4月同社入社、2018年4月Merz Dental GmbH Executive Director、2024年6月同社取締役常務執行役員生産担当より現職。


社外取締役は、鈴木基市氏(元三井化学専務取締役)、西村大三氏(大手前監査法人代表社員)、矢口順子氏(ミンカブ・ジ・インフォノイド取締役)、松江香織氏(三井化学執行役員)です。

同社は監査役会設置会社であり、取締役会は毎月1回開催されています。社外取締役4名が選任されており、客観的な立場から経営の監督と助言を行っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社グループの役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主利益との連動を重視した体系です。報酬は固定報酬、業績連動報酬である取締役賞与、そして譲渡制限付株式報酬で構成されています。社外取締役に対しては、業務執行から独立した立場での監督・助言の職務に鑑み、固定報酬のみが支給されています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 5名 2.7億円 53.8百万円
監査役(社外除く) 2名 38百万円 19.0百万円
社外役員 8名 42百万円 5.2百万円


なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。

連結報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別報酬の開示対象となる役員はいません。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

松風の転職研究 2026年3月期通期決算に見るキャリア機会

松風の2026年3月期通期決算は、売上高・当期純利益が過去最高を更新する一方で、ネイル事業の再編検討や顧問制度廃止などの構造改革にも着手。「なぜ今松風なのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。