ヨシコン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヨシコン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヨシコンは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、レジデンス、不動産開発、賃貸・管理、マテリアルなどの不動産・建設関連事業を主力とする企業です。地域密着型の不動産開発や企業誘致などに強みを持ちます。直近の業績では、不動産開発や賃貸・管理事業が牽引し増収となった一方、全体としては減益の傾向にあります。


※本記事は、ヨシコン株式会社の有価証券報告書(第58期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヨシコンってどんな会社?


総合街づくり企業として、不動産開発やマンション分譲、マテリアル事業などを幅広く展開しています。

(1) 会社概要


同社は1949年に創業し、1969年にコンクリート製品の製造販売を目的として設立されました。1986年に現在のヨシコンへ商号変更し、1990年に不動産業務を開始しています。1993年の株式店頭登録を経て、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。近年は東海道リート・マネジメントなどを設立し不動産証券化事業等も強化しています。

従業員数は連結58名、単体40名です。筆頭株主は役員の資産管理会社とみられるワイズで、第2位は事業関連先である太平洋セメント、第3位はヨシコン取引先持株会です。

氏名 持株比率
ワイズ 35.76%
太平洋セメント 4.58%
ヨシコン取引先持株会 4.17%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は吉田尚洋氏です。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
吉田 立志 代表取締役会長 1974年増田一郎会計事務所入所。1975年同社入社。1996年ワイシーシー代表取締役。2005年同社代表取締役社長を経て、2019年より現職。
吉田 尚洋 代表取締役社長 1999年同社入社。2006年不動産開発事業本部市場開発部長。2013年代表取締役副社長兼経営管理本部長などを経て、2019年より現職。
有岡 大成 取締役専務執行役員不動産開発事業部 事業本部長 2001年同社入社。2018年不動産開発事業本部不動産開発部長。2023年取締役常務執行役員不動産開発一部長などを経て、2026年より現職。
菊池 茂夫 取締役常務執行役員企画開発部長 1992年富士銀行(現みずほ銀行)入行。2021年同行名古屋法人第二部長などを経て、2024年同社へ出向し常務執行役員に就任。2026年より現職。
鵜飼 誠司 取締役常務執行役員経営管理部長 1988年協和銀行(現りそな銀行)入行。1998年トヨタファイナンス入社。2018年同社入社。2023年東海道リート・マネジメント取締役などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、赤堀一通(土地家屋調査士兼行政書士事務所開業)、早川清人(司法書士兼行政書士事務所開業)です。

2. 事業内容


同社グループは、「レジデンス事業」「不動産開発事業」「賃貸・管理等事業」「マテリアル事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) レジデンス事業


マンション分譲および一棟売りマンションや戸建住宅などの不動産販売を行っています。顧客は主に一般消費者やマンションデベロッパー等です。

収益源は販売物件の引渡時に受領する販売代金です。主にヨシコンが主体となって事業を運営しています。

(2) 不動産開発事業


総合デベロッパーとして企画から土地開発を手懸け、宅地分譲や商工業・物流施設の誘致開発など不動産の販売を行っています。

収益源は販売用不動産の売却代金です。上場不動産投資法人への収益不動産の開発・獲得・供給なども手掛け、主にヨシコンが展開しています。

(3) 賃貸・管理等事業


不動産の賃貸借および管理、仲介、設計監理、工事請負に従事しています。商業施設や居住用施設のリーシングや中古マンションのリノベーション事業も展開します。

収益源は、管理委託料、不動産仲介手数料、賃貸収入、工事請負代金などです。運営は主にヨシコン、ワイシーシー、東海道リート・マネジメント、YCKが行っています。

(4) マテリアル事業


主にコンクリート二次製品や生コンクリート、土木・建築用資材の販売を行っています。工場設備を有しないファブレスな業態で企画開発を進めています。

収益源は、道路用製品、擁壁・護岸用製品などの土木・建築用資材の販売代金です。主にヨシコンが事業を運営しています。

(5) その他


衣料品販売業や保険代理店業などの事業を展開しています。

収益源は保険代理店収入などの各種サービス・商品の販売代金です。主にワイシーシーやYCAが事業を運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、不動産開発事業などの進捗により売上高が増加傾向にあり、直近では291億円に達しています。一方で経常利益や当期利益は物件の引渡時期などの影響を受け変動が見られ、直近では減益となりました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 201億円 147億円 239億円 275億円 291億円
経常利益 26億円 17億円 33億円 47億円 42億円
利益率(%) 13.1% 11.7% 13.8% 17.2% 14.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 15億円 12億円 20億円 29億円 23億円

(2) 損益計算書


売上高が増加した一方で、売上総利益および営業利益は減少しています。これは販売用不動産の構成や利益率の変化によるものと見られ、全体として増収減益の傾向を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 275億円 291億円
売上総利益 79億円 66億円
売上総利益率(%) 28.6% 22.8%
営業利益 47億円 39億円
営業利益率(%) 17.0% 13.4%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬が5億円(構成比18%)、租税公課が5億円(同17%)、給料が5億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


レジデンス事業は新規分譲マンションの引渡件数の減少により大幅な減収減益となりました。一方、不動産開発事業は不動産案件の引渡しが堅調に推移し増収増益となり、賃貸・管理等事業も請負工事売上の増加により大きく伸長しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
レジデンス事業 80億円 25億円 17億円 3億円 10.7%
不動産開発事業 153億円 195億円 32億円 35億円 17.8%
賃貸・管理等事業 35億円 64億円 8億円 12億円 18.1%
マテリアル事業 6億円 7億円 - 0.1億円 1.4%
その他 0.4億円 0.4億円 0.3億円 0.2億円 49.8%
連結(合計) 275億円 291億円 47億円 39億円 13.4%


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.4%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.7%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「総合街づくり企業」を目指し、「わが社は無限の可能性を探求しわが社に関連ある人々に幸せと利益を提供し併せてその職業を通じ地域社会に貢献することにあり」という基本方針を掲げています。人と住環境の豊かな未来に向けて商品とサービスを提供し続けることを存在意義としています。

(2) 企業文化


「常に業界のパイオニアたること」「常に相手の身になって対処すること」などを経営方針に定めています。また、行動指針として競争力の根源となる財務基盤の堅持(心)、イノベーションによる新事業創造(技)、選択と集中による豊かさの実現(体)を全社員で共有し、変化をチャンスと捉える文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


強固な財務基盤の確立のため、経営指標として自己資本比率の維持・確保を目標に掲げています。また、販売用不動産の回転率を高めることで、安定した収益基盤と資金効率の向上を目指しています。

* 自己資本比率50%以上の維持・確保

(4) 成長戦略と重点施策


地元密着型の不動産仕入れと実需ニーズに基づいた不動産企画を徹底し、中長期的な視点で事業用地の取得や自社開発を積極的に進めます。また、不動産証券化事業への取り組み強化として上場不動産投資法人に向けた収益不動産の開発や供給を行い、パートナー企業との協業により大きな事業へと挑戦していく戦略です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人が財産であり、多様な人材を確保し育成していくことが中長期的な企業価値向上に繋がる」との考えのもと、中途採用者の積極的な採用や管理職登用を行っています。また、新卒社員の初任給を大幅に引き上げ、即戦力となる優秀な人材の確保と更なる企業の成長促進を図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 34.9歳 9.1年 6,636,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用労働者) -
男女賃金差異(パート・有期労働者) -


※男女賃金差異について、有報には具体的な省略理由の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 引渡時期による業績変動


分譲マンションなどの販売では、引渡時または工事完成時点で一括して多額の売上が計上されることが多いため、引渡時期によって業績に大きな変動が生じる可能性があります。

(2) 不動産市況の変動


景気や金利、雇用情勢の悪化により消費者の購買意欲や企業の設備投資が減退した場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。また、建設現場の人員不足による建築費の高騰もリスクとなります。

(3) 法的規制や瑕疵担保リスク


宅地建物取引業法や建築基準法などの法令規制を受けており、法改正が影響を及ぼす可能性があります。また、分譲マンションの施工会社が破綻等により瑕疵担保責任を履行できない場合、同社が負担を負うリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。