※本記事は、ジオスター株式会社 の有価証券報告書(第56期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジオスターってどんな会社?
日本製鉄グループに属する土木建材メーカーです。トンネルや地下構造物に使われるセグメント製品が主力です。
■(1) 会社概要
1970年、日本製鉄(当時八幡製鐵)と熊谷組の出資によりプレスコンクリートとして設立されました。1994年にジオスターへ商号変更し、1995年に東京証券取引所市場第二部に上場しました。2011年には東京エコン建鉄を吸収合併し、日本製鉄の子会社となりました。2022年にスタンダード市場へ移行しています。
同社の連結従業員数は465名、単体では288名です。筆頭株主は親会社である大手鉄鋼メーカーで、第2位は取引関係のある大手商社です。第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本製鉄 | 40.69% |
| 阪和興業 | 4.83% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.77% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長は堀田穣氏です。取締役7名のうち社外取締役は3名で、比率は約42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 堀田 穣 | 代表取締役社長 | 1990年新日本製鐵(現日本製鉄)入社。同社建材営業部長、ジオスター常任顧問、取締役副社長を経て、2024年4月より現職。 |
| 髙松 芳徳 | 取締役常務執行役員設計・開発本部長 | 1985年ジオスター入社。技術統括本部技術部長、技術本部長、取締役執行役員を経て、2025年4月より現職。 |
| 佐久間 靖 | 取締役常務執行役員営業本部長 | 1992年ジオスター入社。営業統括本部本社営業部部長、執行役員営業本部長を経て、2024年4月より現職。 |
| 大石 仁 | 取締役常務執行役員管理本部長 | 1992年新日本製鐵入社。同社総務部部長代理、ジオスター執行役員経営管理本部総務部長を経て、2025年4月より現職。 |
社外取締役は、土岐敦司(弁護士)、桒山章司(元丸紅代表取締役常務執行役員)、小笠原薫子(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「土木事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) 土木事業
同社は、トンネルの構造部材であるセグメント(鋼製セグメント、合成セグメント等)やRC(鉄筋コンクリート)土木製品、鋼材加工製品の製造販売を行っています。また、これらに付帯する土木工事の請負も手掛けています。主な顧客は官公庁や建設会社であり、公共工事向けの製品が大半を占めます。
製品の販売代金や工事請負代金が主な収益源です。運営は主にジオスターが行っているほか、親会社である日本製鉄からの受託製造も行っています。また、連結子会社のジオファクトが製造の一部を受託し、ジオスターへ原材料等を供給しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は300億円前後で推移していましたが、2023年3月期に一度250億円台まで減少しました。その後は回復傾向にあり、当期は285億円となっています。経常利益率は5〜7%台で推移しており、一定の収益性を維持しています。当期は前期に比べ増収となったものの、利益面では減少しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 301億円 | 309億円 | 252億円 | 269億円 | 285億円 |
| 経常利益 | 18億円 | 22億円 | 15億円 | 19億円 | 16億円 |
| 利益率(%) | 5.9% | 7.2% | 6.1% | 6.9% | 5.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9億円 | 14億円 | 8億円 | 11億円 | 12億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高は増加しましたが、売上総利益は若干減少しました。これは売上原価率の上昇によるものと考えられます。これに伴い、売上総利益率および営業利益率も低下しており、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 269億円 | 285億円 |
| 売上総利益 | 46億円 | 45億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.2% | 15.7% |
| 営業利益 | 18億円 | 16億円 |
| 営業利益率(%) | 6.8% | 5.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が10億円(構成比33%)、賞与引当金繰入額が2億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社グループは、「土木事業」の単一セグメントのため、事業ごとの利益は開示していません。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保を基本方針としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の流れを示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有形無形固定資産の取得・売却等による資金の動きを表しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払い等、資金調達や返済に関する活動を示しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -19億円 | 9億円 |
| 投資CF | -7億円 | -13億円 |
| 財務CF | -2億円 | -5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「人の満足を支える」ことを使命としています。社会のニーズに即応した土木建材製品を供給し、社会資本の整備と国民生活の向上に貢献することを基本方針とし、新たな需要・用途開発と高品質で廉価な製品の供給にグループ一体で取り組んでいます。
■(2) 企業文化
仕事に誇りを持ち、新しい技術や製品を創り出すことで、顧客、株主、社員、そして地域社会に貢献する姿勢を重視しています。また、「地域社会と共生・繁栄する持続可能な企業活動の基盤となる環境保全活動の推進」を掲げ、ESGを踏まえた施策やカーボンニュートラルへの取り組みを推進しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、顧客に優れた製品を長期的に供給するため、収益性向上と財務体質強化を最重要目標としています。また、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた取り組みも強化しています。
* 売上高経常利益率:5%(中長期的に安定して計上することを目標)
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、鉄筋や輸送費などの価格上昇に対応しつつ、収益体質の強化を図るため、以下の施策に注力しています。また、2040年度のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも推進しています。
* 総合競争力の強化:大型セグメントに加え、中小セグメントや土木製品の受注拡大、原価低減を推進。
* 新規商品の開発・技術提案力の強化:環境配慮型コンクリートやEVワイヤレス給電対応プレキャストコンクリート版などの開発。
* 女性活躍の推進:女性管理職比率7%を目標とし、登用を推進。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「企業は人なり」の考えのもと、社員を財産と捉え、個々の適性やキャリアプランを踏まえた能力開発を行っています。ジョブローテーションによる若手社員の早期育成や、女性社員の積極的な採用・活用を推進しています。また、フレックス制度や在宅勤務制度の導入など、職場環境の整備にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 48.2歳 | 17.0年 | 7,863,497円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.6% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
※男女賃金差異については、同社は従業員規模が300人以下のため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(34.4%)、年休取得率(73.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 公共工事投資の動向による影響
同社グループの主力製品であるセグメントやRC土木製品の大半は公共工事に使用されます。そのため、業績は日本政府および地方自治体の政策による公共工事投資の動向から影響を受ける可能性があります。
■(2) 原材料価格変動リスク
製品の原材料であるセメント、骨材、鋼材、重油等の価格は市場動向により変動します。これら原材料価格の変動は、同社グループの損益に影響を与える可能性があります。対策として、集中購買の検討などによるコスト削減に努めています。
■(3) 人手不足に係るリスク
労働人口の減少に伴い、特に土木分野では人手不足が継続しており、業務運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。同社グループでは、外国人労働者の受け入れや多国語による安全教育などを通じて、労働環境の整備に努めています。



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