※本記事は、ジオスターの有価証券報告書(第57期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジオスターってどんな会社?
土木コンクリート製品および金属製品の製造販売と付帯工事の請負を主力とする企業です。
■(1) 会社概要
同社は1970年に八幡製鐵(現日本製鉄)と熊谷組の折半出資により設立されました。1994年に現在のジオスターへと商号を変更し、1995年には東京証券取引所市場第二部へ株式上場を果たしています。2011年に東京エコン建鉄を吸収合併したことに伴い日本製鉄の子会社となり、2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しました。
同社の従業員数は連結で467名、単体で320名です。筆頭株主は親会社で事業会社である日本製鉄で、第2位も取引先事業会社である阪和興業、第3位は資産管理業務を行う日本カストディ銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本製鉄 | 41.55% |
| 阪和興業 | 4.93% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.81% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長 営業本部長は堀田穣氏が務めており、社外取締役の比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 堀田 穣 | 代表取締役社長営業本部長 | 1990年新日本製鐵(現日本製鉄)入社。同社建材事業部建材営業部長等を経て、2023年同社取締役副社長。2024年より現職。 |
| 髙松 芳徳 | 取締役常務執行役員 | 1985年同社入社。同社エンジニアリングサポートセンター長、技術本部長等を経て、2022年同社取締役常務執行役員技術本部長。2026年より現職。 |
| 佐久間 靖 | 取締役常務執行役員 | 1992年同社入社。同社営業統括本部本社営業部部長、営業本部長等を経て、2021年同社取締役執行役員営業本部長。2026年より現職。 |
社外取締役は、土岐敦司(明哲綜合法律事務所代表)、桒山章司(元丸紅建材リース代表取締役社長)、小笠原薫子(小笠原会計事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「土木事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■土木事業
土木事業では、トンネルの構造部材であるセグメントや舗装版などの大型・特殊な土木コンクリート製品および金属製品の製造・販売、ならびにこれらに付帯する工事の請負を行っています。主な顧客は公共工事を発注する日本政府や地方自治体、および元請けとなるゼネコン等の建設業者です。
収益は主に、製造・販売した製品の代金や工事請負代金として顧客から受け取ります。事業の運営は同社が行っているほか、親会社である日本製鉄からの受託製造も実施しています。また、子会社のジオファクトに製造の一部を外注し、同社から原材料等を仕入れる体制を構築しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一時減少したものの回復基調にあり、直近では増加傾向を維持しています。経常利益および当期利益についても、原材料価格高騰などの影響を受けつつも販売価格改定等により改善が進み、直近の期間では大幅な増益を達成して利益率も向上しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 309億円 | 252億円 | 269億円 | 285億円 | 289億円 |
| 経常利益 | 22億円 | 15億円 | 19億円 | 16億円 | 21億円 |
| 利益率(%) | 7.2% | 6.1% | 6.9% | 5.5% | 7.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 14億円 | 8億円 | 11億円 | 12億円 | 20億円 |
■(2) 損益計算書
販売価格改定の効果により売上総利益率が改善し、それに伴って営業利益率も上昇しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 285億円 | 289億円 |
| 売上総利益 | 45億円 | 53億円 |
| 売上総利益率(%) | 15.8% | 18.3% |
| 営業利益 | 16億円 | 21億円 |
| 営業利益率(%) | 5.4% | 7.1% |
販売費及び一般管理費(32億円)のうち、給料が10億円(構成比32%)、賞与引当金繰入額が4.2億円(同13%)を占めています。また、当期総製造費用(128億円)のうち、経費が68億円(構成比53%)、材料費が50億円(同39%)となっています。
■(3) セグメント収益
同社グループは「土木事業」の単一セグメントであるため、事業全体の売上高を記載しています。関西地区のセグメント製品の安定生産や差別化製品の売上拡大、価格転嫁の推進により、売上高は前期比で微増となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 土木事業 | 285億円 | 289億円 |
| 連結(合計) | 285億円 | 289億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業といえる健全型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9億円 | 45億円 |
| 投資CF | -13億円 | -0.7億円 |
| 財務CF | -5億円 | -7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.6%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も68.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「人の満足を支える」ことを使命としています。社会のニーズに即応した土木建材製品を供給し、社会資本の整備と国民生活の向上に大きく貢献することを基本方針として掲げ、高品質で廉価な製品を供給できるようグループ一体となって取り組んでいます。
■(2) 企業文化
同社は、自らの仕事に誇りを持ち、新しい技術や新しい製品を創り出すことで、顧客、株主、社員、そして地域社会に貢献していくことを重んじる文化を有しています。また、地域社会と共生・繁栄する持続可能な企業活動の基盤となる環境保全活動の推進を運営方針に掲げています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的成長による企業価値の向上を重視し、その結果として収益性向上と株主還元を実現しうる取り組みを強化することを目標としています。客観的な指標として、売上高経常利益率を中長期的に安定して計上することを掲げており、その目標値は5%に設定されています。
* 売上高経常利益率:5%
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画「CAST THE FUTURE 2030」に基づき、製品ポートフォリオの抜本的見直しを進めています。防衛・港湾分野など今後の成長が期待される土木製品の重点育成を図るとともに、ハイブリッド建材等の新規商品開発や建築分野への参入による技術提案力の強化、およびカーボンニュートラル実現に向けた環境配慮型製品の開発に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「企業は人なり」という理念のもと、社員を会社の財産と位置づけています。一人ひとりの適性やキャリアプランを踏まえた能力開発を行い、計画的なジョブローテーションにより若手社員の早期育成を図るとともに、意欲を持ちながら働き続けることができる人事処遇制度の構築や、女性社員の積極的な採用・登用を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 48.7歳 | 15.8年 | 7,597,272円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.4% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 64.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 66.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 39.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(42.9%)、男女合わせた育休取得比率(100.0%)、年休取得率(78.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格の変動
セメント、骨材、鋼材、重油等の原材料価格が市場動向を反映して変動するため、調達コストの上昇が同社の損益に影響を及ぼす可能性があります。対策として、全国での集中購買の検討など抜本的な調達改革を実行し、コスト削減に努めています。
■(2) 土木分野における人手不足
長期的な労働人口の減少に伴い、土木分野では依然として人手不足が継続しており、業務運営や業績等に影響を及ぼす可能性があります。同社グループでは、外国人労働者を受け入れ、多言語での安全教育を実施するなど働きやすい環境づくりに努めています。
■(3) 取引先の信用悪化による貸倒損失
関連する土木業界において、公共工事投資は堅調に推移しているものの、取引先の信用状況悪化に伴う債権の貸倒れが発生するリスクがあります。これに対し、信用調査会社の評点を参考に毎年与信枠の見直しを行い、個別審議を実施してリスク低減を図っています。



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