ヤマックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヤマックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヤマックスはスタンダード市場に上場し、土木用および建築用コンクリート二次製品の製造・販売等を主力とする企業です。直近の業績トレンドでは、建築用セメント製品事業における大型物件の受注増などが寄与し、売上高・利益ともに増収増益と好調に推移しています。今後は防衛省関連事業などへの対応強化により更なる成長を見込んでいます。


※本記事は、株式会社ヤマックスの有価証券報告書(第63期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヤマックスってどんな会社?


土木用および建築用コンクリート二次製品の製造・販売を主力とし、社会インフラ整備に貢献する企業です。

(1) 会社概要


1963年に長崎県島原市でヤマウコンクリート工業として設立され、コンクリート二次製品の製造・販売を開始しました。その後、1991年に4社を吸収合併して現在のヤマックスに商号変更しています。1995年の店頭登録を経て、現在はスタンダード市場に上場しています。2012年には東北ヤマックスを子会社化し、事業エリアを拡大してきました。

従業員数は連結で610名、単体で543名体制で事業を運営しています。筆頭株主は創業者の茂森潔氏で、第2位は事業会社である麻生、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。同社の経営トップやその親族なども大株主に名を連ねており、強固な経営基盤を持っています。

氏名 持株比率
茂森潔 7.50%
麻生 6.77%
日本カストディ銀行(信託E口) 4.47%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長の茂森拓氏を中心に経営を担っています。社外取締役比率は9.1%です。

氏名 役職 主な経歴
茂森潔 取締役会長代表取締役 1963年同社入社。1964年専務取締役、1974年代表取締役社長を経て、2014年より現職。東北ヤマックス代表取締役会長も兼任。
茂森拓 取締役社長代表取締役西日本事業本部長 1995年同社入社。営業本部長や管理本部長等を経て、2014年より代表取締役社長。西日本事業本部長等も兼任。
森將彦 取締役副社長事業本部統括 1963年建設省四国地方整備局入省。2013年同社入社。2016年より現職。
渡辺宏之 常務取締役管理本部長兼海外事業推進室長 1990年同社入社。管理本部副本部長等を経て、2024年より現職。
浦崎啓介 取締役東日本事業本部管掌兼西日本事業本部九州建築事業部長兼福岡支店長 1985年同社入社。福岡支店長等を経て、2021年より取締役。2026年より現職。
木山伸悟 取締役西日本事業本部生産統括本部長 1989年同社入社。九州建築事業部長洲工場長等を経て、2024年より現職。
森田芳文 取締役西日本事業本部営業統括本部長兼総合企画室長兼工事部長 2010年同社入社。熊本南営業所長等を経て、2024年より取締役。2026年より現職。


社外取締役は、津留清(津留山村法律事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「土木用セメント製品」「建築用セメント製品」および「その他の事業」を展開しています。

土木用セメント製品


道路用製品や景観用製品など、土木用コンクリート二次製品の製造・販売を中心に、付随する商品・資材の販売および施工を行っています。公共事業や防災・減災対策に向けた社会インフラの整備に関わる製品を提供しています。

収益源は製品の販売代金や施工請負代金です。事業の運営は、ヤマックスおよび東北ヤマックスなどのすべての連結子会社が行っています。

建築用セメント製品


PCa床、梁、柱、バルコニーや戸建て住宅用PCa壁などの建築用コンクリート二次製品の製造・販売を行っており、付随する商品・資材の販売や施工も手掛けています。建設現場の人手不足解消に貢献するプレキャスト工法向けの製品を中心に提供しています。

収益源は建築用コンクリート製品の販売代金や製造請負契約に基づく代金です。当事業の運営は、ヤマックスおよび東北ヤマックスが行っています。

その他の事業


木造住宅等の施工販売、不動産の販売および宅地の開発などの不動産関連事業を展開しています。一般消費者向けに住宅や自社分譲地の販売、中古住宅の再販事業などを行っています。

収益源は顧客に対する住宅・不動産の販売代金や引き渡し代金です。当事業の運営はヤマックスが単体で行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して拡大を続けています。経常利益と当期利益についても、原材料価格の高騰等の影響を受けつつも増益基調を維持しており、着実な成長と収益力の向上がうかがえます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 158億円 180億円 208億円 235億円 261億円
経常利益 5億円 8億円 18億円 27億円 29億円
利益率(%) 3.4% 4.6% 8.8% 11.6% 11.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 7億円 14億円 21億円 21億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに前期を上回っています。原価高騰の影響を受けながらも適正な価格転嫁や生産性の向上を進めており、利益率も概ね横ばいの高水準を維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 235億円 261億円
売上総利益 66億円 69億円
売上総利益率(%) 28.0% 26.2%
営業利益 27億円 29億円
営業利益率(%) 11.7% 11.2%


販売費及び一般管理費のうち、運賃が10億円(構成比26%)、給与手当が10億円(同26%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の土木用セメント製品事業が堅調に推移したほか、建築用セメント製品事業では大型物件の寄与により売上高が大きく伸長し、全体として大幅な増収増益を達成しています。一方、その他の事業は引き渡しの期ズレ等により減収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
土木用セメント製品 161億円 168億円
建築用セメント製品 63億円 85億円
その他の事業 10億円 8億円
連結(合計) 235億円 261億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 13億円 10億円
投資CF -5億円 -7億円
財務CF -6億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.0%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も60.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「人と環境の最適な調和を提唱し、豊かな社会の発展に貢献します」という経営理念を掲げています。社会資本の整備や国土強靭化などに向けた事業を通じて、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視し、経済価値と社会価値の双方を創出するサステナビリティの実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、市況の情勢に呼応する販売体制の確立や業務効率の向上を目指した「企業体質改善」への取り組みを重視しています。また、自然災害時にはグループの総力を結集して製品の安定供給を責務とするなど、社会インフラを支える強い使命感を持つ文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は、持続的な事業拡大による企業価値の向上を経営の目標としています。財務の安全性と株主還元のバランスをとりつつ、十分な財務基盤を確保することを資本政策の基本方針としており、以下の数値を目標として掲げています。

* ROE(自己資本利益率)10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


プレキャスト工法の優位性を最大限に活かした提案営業を推進し、受注拡大に取り組む方針です。また、組織化した「防衛チーム」を通じて防衛省関連事業への対応強化を進めるほか、適正な価格転嫁や原価低減活動を通じて収益力を強化し、安定した製品供給体制の構築を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は中長期的な成長戦略である「コンクリート構造物のプレキャスト化」の推進に向けて、高度な専門知識と技術力を持つ人材の確保・育成を重要課題としています。新卒および即戦力の中途人材を継続的に採用するほか、資格取得支援などを通じて、主体的に業務を遂行できる人材の育成と技術継承を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.3歳 14.8年 5,955,630円

※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでいます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.4%
男性育児休業取得率 42.9%
男女賃金差異(全労働者) 86.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 83.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 102.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、主体的かつ自律的に遂行できる人材の比率目標(50.0%)、コンクリート主任技士及びコンクリート技士の資格保有率目標(17.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 公共事業投資による経営成績の変動リスク


土木用セメント製品事業は、国土交通省をはじめ地方自治体が行う公共事業の動向に大きく影響を受けます。これら行政機関の予算執行や物件発注などの公共事業投資の内容によって製品の需要が変動するため、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 金利の変動リスク


同社グループは、必要な運転資金や設備資金を金融機関からの借入れにより調達しており、短期的な資金調達についてはそのほとんどが変動金利となっています。借入金の返済等による有利子負債の圧縮に努めていますが、急激な金利の上昇により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 自然災害による影響リスク


同社の一部の製造工場は、立地条件によって台風や地震などの自然災害の影響を受ける可能性があります。災害防止対策に努めていますが、事象が発生した場合は製品や原材料に被害が生じ、生産活動や物流の遅延・停止を引き起こすことで、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。