※本記事は、合同製鐵株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
合同製鐵は、鉄鋼事業と農業資材事業を主軸に事業を展開しています。同社グループは、線材や各種形鋼、棒鋼などの鉄鋼製品の製造・販売、および有機質肥料や化成肥料の製造・販売を行っています。
単体従業員数は772名、連結従業員数は2,168名です。セグメントは鉄鋼事業、農業資材事業の2つです。
主な国内グループ会社は、朝日工業、三星金属工業(鉄筋用棒鋼・の製造販売)、合鐵産業(鋼材・機械・製鋼原料・の販売)、ワイヤーテクノ(線材加工製・品の製造販・売)などです。
同社は2025年6月30日付で、株式会社ブラストの鉄筋工事事業の分割会社である合同デーバーエンジニアリングを譲受し、当連結会計年度より新たな連結子会社としています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
合同製鐵は、電炉事業を通じて資源循環型社会に貢献する企業です。同社グループの給与水準や働き方には、安定した事業基盤と、長期的な人材育成への投資姿勢が反映されています。従業員の定着を重視し、多様な働き方を支援する環境整備にも取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の長期的なキャリア形成を支援する環境が整っており、平均勤続年数からその定着傾向がうかがえます。平均年齢も比較的安定しており、経験豊富な人材が活躍していることが示唆されます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,780,705円 |
| 平均勤続年数 | 18.4年 |
| 平均年齢 | 40.6歳 |
| 単体従業員数 | 772人 |
| 連結従業員数 | 2,168人 |
| 単体のグループ内比率 | 35.6% |
同社グループは、従業員の退職給付制度として、確定給付型と確定拠出型の両方を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は、同社および連結子会社に適用されています(一部の連結子会社は中小企業退職金共済制度に加入しています)。
退職一時金制度もあり、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
確定給付制度における退職給付債務は70.1億円、年金資産は56.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、資源循環型産業をリードし、人と技術と自然環境との調和を追求する中で、人材を「継続的に収益を生み出す力」の基軸と位置付けています。2026年度からの「合同製鐵グループ中期ビジョン2030」では「Proactive×Challenge」を行動方針に掲げ、人的資本投資の強化を通じて収益力向上と財務体質改善を目指しています。
人材育成戦略としては、変化の激しい市場環境に対応できる組織力構築のため、多様な人材の採用・起用を継続的に行い、特性や能力を最大限活かせる職場環境の整備や教育に取り組んでいます。これにより、多様な社員からの新たな着想や意見を取り込み、持続的成長に繋げる方針です。
給与制度については、製造現場の技能職社員は長期就業を前提とし、基本給は年功給と職能給で構成されています。総合職社員は事業成長への貢献を重視し、職能給の比率を高めた処遇です。管理職は資格・役職に応じた能力給主体の月俸制を採用しており、賞与は半期業績に連動する制度を導入しています。賃金水準の見直しは毎年の春季交渉で経営環境や消費者物価指数を勘案し、若手・子育て世代への支援も踏まえた「人への投資」を行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.3% |
| 男性育児休業取得率 | 83.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 72.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 73.6% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
合同製鐵グループは、主に鉄鋼事業と農業資材事業を展開しており、社会の基盤を支える製品を提供しています。複数の製造拠点を活用し、市場の変化に迅速に対応しながら事業を推進しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、鉄鋼製品の製造・販売と、農業資材の製造・販売を主な事業としています。国内の建設分野を主要な需要先とし、安定的な供給体制を構築しています。収益は、これらの製品の販売から得ています。
鉄鋼事業
線材、形鋼、棒鋼などの鉄鋼製品や、鉄鋼二次加工製品の生産・販売を行っています。国内建設分野における需要が主な収益源です。当連結会計年度の売上高は前期から減少しました。
農業資材事業
肥料、種苗、乾牧草などの製造・販売を手掛けています。農業分野のニーズに応える製品を提供しており、当連結会計年度の売上高は前期から増加しました。
その他の事業セグメント
砕石・砕砂事業などを展開しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 鉄鋼事業 | 1,885億円 | 1,743億円 |
| 農業資材事業 | 122億円 | 127億円 |
| その他の事業セグメント | 44.8億円 | 47.5億円 |
同社グループの売上高は、国内の外部顧客への販売が大部分を占めており、海外比率は低い傾向にあります。主要な顧客としては、阪和興業や伊藤忠丸紅住商テクノスチールが挙げられます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
直近5期の業績推移を見ると、売上高は変動しながらも、当連結会計年度は前期から減少しました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も同様に変動し、当連結会計年度は前期に比べて減少しています。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは増加傾向を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,042億円 | 2,354億円 | 2,228億円 | 2,052億円 | 1,918億円 |
| 経常利益 | △12.5億円 | 159億円 | 203億円 | 154億円 | 111億円 |
| 経常利益率 | △0.6% | 6.7% | 9.1% | 7.5% | 5.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △11.1億円 | 125億円 | 152億円 | 113億円 | 80.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △76.06 | 855.19 | 1,038.84 | 774.19 | 550.56 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
従業員1人あたりの売上高は前期から減少傾向にあります。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から減少しています。これらの指標は、同社グループの生産性や収益体質の変化を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 97.7百万円 | 88.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.5百万円 | 4.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
合同製鐵グループは、堅実な財務基盤を維持し、安定した事業運営を行っています。本業で得た資金を投資に回し、将来に向けた成長も図っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準で推移しており、強固な財務体質を築いています。手元資金も潤沢に確保されており、不測の事態にも対応できる体制が整っています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,347億円 | 1,442億円 |
| 自己資本比率 | 52.8% | 56.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.6% | 5.8% |
| 現金及び預金 | 284億円 | 265億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、その資金を投資に充てながらも、余剰資金を確保している状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは増加しており、本業の稼ぐ力が堅調であることがうかがえます。投資活動によるキャッシュフローは、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したため、支出超過となっています。
しかし、営業活動によるキャッシュフローが投資活動によるキャッシュフローを上回るフリーキャッシュフローはプラスを維持しており、事業の成長に必要な投資を行いながらも、資金の流動性を確保している状態です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資も着実に実行していることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる基盤となっています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 191.4億円 | 214.3億円 |
| 投資CF | △56.8億円 | △95.9億円 |
| 財務CF | △94.5億円 | △137.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 134.6億円 | 118.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、国内の公共事業・民間建設需要の低迷に伴う販売競争の激化が業績に影響を及ぼす可能性を認識しています。また、主原料である鉄スクラップ価格や電力料金の高騰も、調達コストの増大を通じて業績に影響を与えるリスクとして挙げています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後の少子化・労働者人口の減少による人手不足に対応するため、有能な人材の確保と育成を重要な課題としています。多様な人材の採用や人材教育、省力化対策への設備投資に取り組んでいますが、計画が達成できない場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
合同製鐵は、持てる資源を最大限に活かし、製造実力の向上を通じて企業価値を高めることを目指しています。
資源循環の担い手として、社会に貢献する企業文化を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
合同製鐵グループは、「持てる資源を最大限に活かし製造実力の向上で、ゆるぎないコスト競争力の確立、新たな商品価値の創造 資源循環の担い手としての企業価値の一層の向上を目指す」をスローガンに掲げています。
企業価値の向上と継続的な企業成長に努めることを経営方針としています。
鉄鋼事業では、良質な鉄鋼製品の安定供給を通じて経済・社会の発展に寄与し、電炉メーカーとして鉄鋼リサイクルシステムの一翼を担い、省資源・省エネルギーに貢献することを目指しています。
農業資材事業では、種子と牧草というスペシャリティを持った肥料メーカーとして発展し、社会に貢献することを掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
合同製鐵グループは、中期ビジョン2030において「Proactive×Challenge」を行動方針として掲げています。
縮減する市場や生産年齢人口を前提に、成長投資の実現や人的資本投資の強化、サステナビリティの推進を通じて、中期課題に積極的に挑戦する姿勢を大切にしています。
同社は、電炉事業を通じて循環型社会における重要な役割を担い、持続可能な社会の実現に貢献することを基本方針としています。
良質な製品の提供と環境面への積極的な取り組みを通じて、社会全体の信頼確保に努める企業風土があります。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
合同製鐵グループは、中期ビジョン2030において、縮減していく鋼材市場や生産年齢人口を前提とした課題に取り組んでいます。
重点テーマとして、人的資本投資の強化を掲げ、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進や会社と社員との絆の深化に向けた取り組みを積極的に展開しています。
また、サステナビリティの推進も重要なテーマであり、非化石電力鋼材「GODO Green」の製造・販売、省エネルギー設備投資の継続などを通じて、カーボンニュートラル社会の実現に向けた施策を着実に実行しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
合同製鐵は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会を設置しています。独立社外取締役を複数選任し、経営の監督機能強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
合同製鐵の株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社である日本製鉄です。その他、信託銀行や取引先持株会が上位株主として名を連ねています。事業会社が主要な株主として経営を支える構造となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本製鉄 | 17.60% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.50% |
| 合鐵取引先持株会 | 4.90% |
| 共英製鋼 | 3.50% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 2.40% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は美濃部慎次氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 美濃部 慎次 | 代表取締役社長 | 1983年4月新日本製鐵(現 日本製鉄)入社。2021年4月同社常務執行役員鋼管事業部長。2023年6月日鉄建材代表取締役社長。2025年6月同社代表取締役社長より現職。 |
| 瀬戸口 昭人 | 専務取締役執行役員 | 1983年4月同社入社。2018年6月同社常務執行役員姫路製造所長。2022年6月同社専務取締役執行役員技術総括部長より現職。 |
| 西仲 桂 | 常務取締役執行役員 | 1984年4月同社入社。2019年6月同社常務執行役員経営企画部長兼経理部長。2020年6月同社常務取締役執行役員経営企画部長兼経理部長。2021年4月同社常務取締役執行役員経営企画部長より現職。 |
| 藤田 倫之 | 常務取締役執行役員 | 1988年4月新日本製鐵(現 日本製鉄)入社。2022年6月同社常務取締役執行役員東京営業所長兼営業総括部長より現職。 |
社外取締役は、土屋光章氏(元みずほ総合研究所代表取締役社長)、松田紀子氏(元国土交通省国土交通大学校長)、増岡研介氏(増岡総合法律事務所所長)です。
同社は監査役会設置会社です。取締役会は業務執行取締役と独立社外取締役で構成され、経営の意思決定と監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
合同製鐵の役員報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして、会社業績と連動した報酬体系を基本方針としています。業務執行取締役には固定報酬と業績連動報酬が支給され、社外取締役には職務に鑑み固定報酬のみが支払われます。報酬の決定にあたっては、役員人事・報酬会議の助言・提言を踏まえて取締役会で決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 2.7億円 | 54.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 3名 | 66百万円 | 22.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 28百万円 | 7.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。