※本記事は、日本鋳造株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本鋳造は、鋳造関連事業を主な事業内容としています。鋳鋼品や鋳鉄品、鋼構造品、景観加工品などを手掛けており、素形材やエンジニアリング分野で事業を展開しています。
単体従業員数は285名です。同社の事業セグメントは鋳造関連事業の1つです。
日本鋳造は、鋳造関連事業を単一セグメントとしており、鋳鋼品、鋳鉄品、鋼構造品、景観加工品、その他製品の製造・販売を行っています。JFEスチールは同社の議決権36.2%を所有するその他の関係会社であり、重要な販売先かつ原材料の仕入先でもあります。
2025年7月1日付で、日本鋳造は連結子会社であった株式会社ダットを吸収合併しました。これにより、当事業年度より単体決算による開示となっています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本鋳造は、長年にわたり培ってきた技術を基盤に、社会に価値を提供する企業です。社員一人ひとりの技術力向上と質の高い人材育成を重視しており、安定した環境で専門性を高めながら働くことが期待できます。多様な人材の確保にも力を入れ、働きやすい職場環境づくりにも取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も中堅層が中心となっています。これは、従業員が長期にわたってキャリアを築きやすい環境であることを示唆しており、安定した人材定着の傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,850,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.9年 |
| 平均年齢 | 42.7歳 |
| 単体従業員数 | 285人 |
同社は、退職給付制度として確定給付型の制度を採用しています。これは、給与や勤続年数に応じて将来の給付額が決まる制度です。
適用範囲は、同社単体を対象としています。退職一時金制度も設けられています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は13.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、多様な人材の確保と育成を中長期的な企業価値向上に繋がる重要な要素と位置づけています。特に、技術力の向上と質の高い人材育成を全社的な経営課題として重視しています。
従業員の給与は、技術・技能、経験、経歴、年齢などを総合的に考慮した給与規程に基づき決定されます。賞与は経常利益に連動し、夏季と冬季の年2回支給される仕組みです。
また、業務目標管理制度を導入しており、各部門の目標達成度に応じた人事考課が年1回実施され、定期昇給や役職手当に反映されます。人材育成においては、マネジメント研修をはじめとする階層別研修を充実させているほか、リスキリング教育も実施しています。
多様な人材の登用にも積極的で、女性、外国人、中途採用者の発掘と登用に努めています。働きやすい職場環境づくりにも力を入れており、在宅勤務制度も導入されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 2.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 71.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 75.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 74.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 47.7% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 役員のうち女性役員比率 | 23.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日本鋳造は、鋳造関連事業を主軸としています。同社は、この単一セグメントで事業を展開しており、多岐にわたる産業分野に製品とサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社の事業は、素形材、エンジニアリング、その他の品種に分けられます。素形材関連では、半導体製造装置向けの鋳鋼品を手がけており、特にAI関連の需要が旺盛です。エンジニアリング関連では、モノレール軌道向けや高速道路向けの支承、建築物用柱脚などを提供しており、物流倉庫の需要が堅調に推移しています。
同社はJFEスチールを重要な販売先および原材料の仕入先としています。また、国内の顧客への売上が大部分を占めており、事業は国内市場に強く根ざしています。2025年7月1日付で連結子会社であった株式会社ダットを吸収合併し、当事業年度より単体決算に移行しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の業績は、過去数期にわたり売上高と利益が変動する傾向を示しています。直近の連結業績では、売上高は減少しましたが、経常利益は増加しました。
当事業年度は単体決算に移行しており、売上高は前期から減少したものの、営業利益と経常利益は増加しています。これは、合理化や販売価格改定が進んだことによる損益改善が要因です。一方で、当期純利益は減少しました。これは、連結子会社の吸収合併に伴う受取配当金や抱合せ株式消滅差益といった一過性の利益計上があったものの、工場設備の撤去費用や減損損失などの特別損失を計上した影響によるものです。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 121億円 | 148億円 | 160億円 | 143億円 | - |
| 経常利益 | 8.1億円 | 7.0億円 | 12.8億円 | 3.9億円 | - |
| 経常利益率 | 6.7% | 4.7% | 8.0% | 2.7% | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 6.6億円 | 5.7億円 | 6.5億円 | 2.4億円 | - |
| 1株当たり当期純利益(円) | 129.30 | 116.67 | 135.14 | 49.06 | - |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員1人あたりの売上高は前期に一定の水準を示しています。従業員1人あたりの経常利益も前期に確認できます。これらの指標は、同社が従業員一人ひとりの貢献を通じて収益を上げている状況を示しており、組織全体の効率性や生産性の傾向を把握する上で参考となります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 48.7百万円 | - |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 1.3百万円 | - |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
日本鋳造は、財務の安定性において、本業で得た資金を将来に向けた投資に充てている状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤を見ると、前期の自己資本比率は53.2%となっており、これは製造業のプライム市場平均(46.8%)と比較して高い水準を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)は前期2.0%であり、プライム市場平均(9.4%)を下回っています。これらの指標は、同社が安定した財務体質を維持しつつも、資本効率の改善が今後の課題であることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 53.2% | - |
| ROE(自己資本利益率) | 2.0% | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローを見ると、直近の当期は営業活動によるキャッシュフローが21.2億円の収入となりました。これは主に棚卸資産の減少や売上債権の回収が進んだことによるものです。投資活動によるキャッシュフローは、老朽設備の更新に加え、大型金属3Dプリンターの設置やシステム化投資を行った結果、△6.1億円の支出となっています。
この結果、フリーキャッシュフローは15.2億円の収入となり、本業で得た資金が投資を上回る優良な状態を示しています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の減少や配当金の支払いにより△3.7億円の支出となりました。同社は本業で安定的に資金を生み出し、将来への投資も行いつつ、資金の流出を抑制していることから、雇用や給与の安定性にも期待が持てる財務状況にあると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.9億円 | 21.2億円 |
| 投資CF | △11.0億円 | △6.1億円 |
| 財務CF | △1.2億円 | △3.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △4.1億円 | 15.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、世界的な情勢不安や労務費の価格転嫁等による需給環境の急激な変化を事業リスクとして認識しています。具体的には、原料・燃料・資材品等の調達難や価格高騰、販売価格への転嫁が困難になる可能性を挙げています。また、為替レートの変動もリスク要因であり、海外OEM品の調達価格上昇の可能性を示しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、人材の獲得・維持や組織文化・労働環境に関するリスクについて、事業等のリスクとして具体的な記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本鋳造は、自ら培った技術を通じて社会に貢献し、社員全員が誇りを持って努力し続けることを経営理念として掲げています。この理念に基づき、持続可能な社会の実現を目指す企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、「自ら培った技術により、より高い価値・サービスを社会に提供し、貢献していく」ことを経営理念としています。また、この理念の実現に向けて、社員全員がプライドを持って努力し続けることを目指しています。
経営指標としては、ROS(売上高経常利益率)10%以上、ROE(自己資本利益率)10%以上を目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社では、経営理念を共有し、あらゆる活動の拠り所となる行動規範を定めています。具体的には、「うそをつかない」「手を抜かない」「まわりの人に配慮し思いやりの気持ちを持とう」「お互い協力しあって仕事しよう」「奉仕と感謝」を掲げています。
また、社長方針として「安全」「一体感(One Team)」「ボトムアップ」「Bad News First」「時間と期限を守る」「基礎体力向上」「レクリエーション」を重視しています。多様な人材の確保と育成を中長期的な企業価値向上に繋がるものと考え、女性、外国人、中途採用者の積極的な登用に努める方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社が対処すべき課題として、清本鉄工株式会社および株式会社川金ホールディングスとの協業の推進を挙げています。これは、需要減少に対応するための経営資源の最適化と事業強化に向けた協業の検討を進めるものです。
また、SDGsへの取り組みとして、人材確保および育成、グリーントランスフォーメーションの推進を重点テーマとしています。資本効率の向上も課題の一つであり、PBR1倍の達成に向けてROEを改善するための取り組みを進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、取締役会による経営の意思決定と業務執行の監督、および監査役会による職務執行状況の監督を行う体制を採用しています。十分な人数の独立社外取締役を含む取締役会を機能させることで、効率的で実効性のあるガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主はJFEスチール、次いで日立建機が上位を占めています。複数の事業会社が大株主として名を連ねており、同社の事業基盤を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| JFEスチール | 36.17% |
| 日立建機 | 14.91% |
| 垂 水 邦 明 | 1.39% |
| 上田八木短資 | 1.32% |
| 小 柳 厚 三 | 0.87% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は13名(男性10名・女性3名)で構成され、女性役員比率は23.0%です。代表取締役社長は佐竹義宏氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐 竹 義 宏 | 代表取締役社長 | 1987年川崎製鉄入社後、JFEスチールで東日本製鉄所ステンレス部長、監査役などを歴任。2024年同社入社、常勤顧問を経て、2025年6月より代表取締役社長に現職。 |
| 池 田 憲 英 | 取締役 | 1990年日本鋼管入社。JFEスチール、JFEホールディングスを経て、2016年同社へ出向し経理部長。2020年同社へ移籍後、2023年6月より取締役に現職。 |
| 津 崎 健 司 | 取締役 | 1985年日本鋼管入社。エヌケーケーシームレス鋼管でオーダー管理部長、国内営業部長などを務める。2023年同社入社、生産統括部長を経て、2025年6月より取締役に現職。 |
| 須 藤 聡 | 取締役 エンジニアリング企画部長 | 1991年日本鋼管入社。JFEエンジニアリングで鋼構造本部管理部長などを務める。2024年同社へ出向し鋼構造技術部長。2026年同社入社、エンジニアリング企画部長を経て、2026年6月より取締役に現職。 |
| 和 田 武 司 | 取締役 | 1993年川崎製鉄入社。JFEスチールで東日本製鉄所熱延工場長、品質保証部長などを歴任。2026年同社入社、常勤顧問を経て、2026年6月より取締役に現職。 |
| 西 村 望 | 取締役 企画部長 | 1992年川崎製鉄入社。JFEスチールで東日本製鉄所製銑工場長、製銑技術部長などを歴任。2026年同社入社、常勤顧問および企画部長を経て、2026年6月より取締役に現職。 |
社外取締役は、南二三吉氏(大阪大学名誉教授)、弥富洋子氏(新潟大学大学院教育支援機構 博士イノベーター育成部門 PhDリクルート室長 特任教授)、村瀬幸子氏(九段坂上法律事務所 弁護士)、室賀弘行氏(日立建機 生産・調達本部調達統括部 統括部長)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会が経営の意思決定と業務執行の監督を、監査役会が職務執行状況の監督を担っています。社外取締役は、独立した中立の立場から経営判断へのチェック機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、取締役の役職に応じた年間報酬額を基準とし、業務執行取締役には個人業績や会社業績を反映した年間賞与が支給される仕組みです。また、在任年数と業績に応じて退職慰労金が決定されます。報酬は全額金銭で支給され、監査役の報酬は監査役の協議により決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 8名 | 1.1億円 | 13.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 15百万円 | 15.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 13百万円 | 3.2百万円 |
連結報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個別の報酬開示はありません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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