※本記事は、虹技株式会社の有価証券報告書(第121期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 虹技ってどんな会社?
同社は、鋳物や圧延用ロールをはじめ、環境関連装置・機械の製造販売や土木建設工事を展開するメーカーです。
■(1) 会社概要
同社は1916年12月に神戸鋳鉄所として創業し、鋳型の生産を開始しました。1952年4月に株式上場を果たし、1964年には都市ごみ焼却炉の製造・販売を開始して事業領域を拡大しました。1993年に現在の虹技へ社名を変更し、直近では2024年1月に小口合金鋳造所を子会社化して事業体制を強化しています。
同社グループの従業員数は連結で766名、単体で479名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は取引先の持株会であり、第2位および第3位は金融機関が名を連ねており、安定した事業関係と財務関係に基づく株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 虹技取引先持株会 | 6.53% |
| 住友生命保険相互会社 | 5.79% |
| 三井住友銀行 | 4.53% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山本幹雄氏が務めており、社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山本 幹雄 | 代表取締役取締役社長 | 1982年入社。大型鋳物事業部長、執行役員東京支社長等を経て、2017年より現職。 |
| 谷岡 宗 | 専務取締役経営企画部長及び海外事業部、経理部、総務部、IT推進部、機能材料部、開発部担当 | 1984年入社。経理部長兼総務部長などを歴任し、2024年より現職。 |
| 片桐 康晴 | 取締役デンスバー事業部、人事部、安全環境管理部担当 | 1988年入社。デンスバー事業部長等を経て、2019年より現職。 |
| 萩野 豊明 | 取締役小型鋳物事業部長兼資材部担当 | 1990年入社。小型鋳物事業部長等を務め、2021年より現職。 |
| 梶野 正則 | 取締役環境エンジニアリング事業部長兼同事業部環境プラント部長及び技術部、ソーラー事業グループ担当 | 1981年入社。環境装置事業部長等を経て、2022年より現職。 |
| 稲毛 宏二 | 取締役素形材事業部長 | 1990年入社。大型鋳物事業部長等を務め、2024年より現職。 |
社外取締役は、大塚良朗(元日鉄物流大分社長)、松山康二(元新日本監査法人シニアパートナー)、大山英人(元神戸製鋼所素形材事業部門チタンユニット研究首席)です。
2. 事業内容
同社グループは、「Casting Field」「Environment Field・環境エンジニアリング」「Environment Field・機能材料」および「その他」事業を展開しています。
■(1) Casting Field
鉄鋼圧延用ロール、鋼塊用鋳物、自動車用金型鋳物、デンスバー(連続鋳造鋳鉄棒)、一般鋳物、アルミニウム合金鋳造製品等の製造と販売を行っています。
取引先企業への製品販売代金を主な収益源としています。運営は同社が主体となって行うほか、アルミニウム合金鋳造製品は小口合金鋳造所が、自動車用プレス金型鋳物は中国の天津虹岡鋳鋼有限公司や南通虹岡鋳鋼有限公司が担っています。
■(2) Environment Field・環境エンジニアリング
環境関連装置や機械製品等の開発・製造・販売のほか、土木・建設工事の請負、さらにはソーラー売電事業を展開しています。
装置・製品の販売代金や土木建設の請負代金、および売電収入を収益源としています。当該事業の運営は同社が行っています。
■(3) Environment Field・機能材料
自動車、鉄道、産業機械向けに使用される摩擦材をはじめとする機能材料製品の製造および販売を行っています。
各業界のメーカーや関連企業に対する製品販売による代金を収益源としています。当該事業の運営は同社が行っています。
■(4) その他
同社の姫路東工場および姫路西工場の保安業務をはじめとした、その他の関連業務を手掛けています。
グループ内からの業務委託料などを主な収益源としています。当該事業の運営は子会社である虹技サービスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の売上高は230億円台から260億円台で推移していましたが、直近では減収に転じました。経常利益は一時11億円台まで伸長したものの、当期は原材料やエネルギー価格の高騰、一部の需要の伸び悩みなどが影響し、減益となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 231億円 | 267億円 | 260億円 | 263億円 | 257億円 |
| 経常利益 | 1億円 | 7億円 | 7億円 | 11億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 0.4% | 2.7% | 2.8% | 4.3% | 2.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 5億円 | 7億円 | 8億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に加えて、原材料費の高騰や販管費の増加が影響し、売上総利益と営業利益のいずれも前年を下回りました。これに伴い、営業利益率も前年から低下する結果となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 263億円 | 257億円 |
| 売上総利益 | 43億円 | 40億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.4% | 15.7% |
| 営業利益 | 11億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 4.2% | 2.4% |
販売費及び一般管理費のうち、発送費が9億円(構成比25%)、給料賃金が7億円(同22%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のCasting Fieldは自動車用金型鋳物等の需要減で減収減益となりました。環境エンジニアリングは大型案件の進捗により増収ながら赤字が継続し、機能材料は摩擦材等が好調で増収増益でした。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| Casting Field | 236億円 | 228億円 | 13億円 | 9億円 | 3.9% |
| Environment Field・環境エンジニアリング | 19億円 | 21億円 | -0億円 | -1億円 | -4.3% |
| Environment Field・機能材料 | 8億円 | 8億円 | 0億円 | 0億円 | 5.4% |
| その他 | 0億円 | 0億円 | -0.0億円 | -0.1億円 | -28.6% |
| 連結(合計) | 263億円 | 257億円 | 11億円 | 7億円 | 2.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金で借入金の返済や投資を賄う「健全型」となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 48億円 | 9億円 |
| 投資CF | -10億円 | -15億円 |
| 財務CF | -33億円 | -1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.2%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.2%で、いずれもスタンダード市場の製造業平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「社会における『信頼』を創造する」「社内における『相互信頼』を大切にする」などの経営理念を掲げています。高品質な製品づくりと環境保全への積極的な取り組みを通じてステークホルダーの期待に応え、社会の発展に貢献することを基本方針としています。
■(2) 企業文化
自分自身で考え行動できる「自立人」を目指すことや、「挑戦する姿勢」を尊重する価値観を重視しています。また、相互信頼を大切にし、法令や社会的規範を遵守しながら公正で健全な企業活動を行う文化を根底に持っています。
■(3) 経営計画・目標
株主価値の拡大に向け、売上高経常利益率、総資産経常利益率、自己資本比率を重要な経営指標と位置づけ、継続的な利益計上と安定的な配当を可能とする企業体質の構築を目指しています。また、2030年度のCO2排出量を2013年度比で46%削減する中期目標を掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
第8次3カ年計画において、「省人化」「脱炭素社会に向けて」「人材育成」を重点課題に掲げています。既存事業の原価低減や生産性向上で安定的な事業基盤を構築するとともに、デジタル技術の活用や環境関連の新たなビジネスチャンス創出による成長戦略の実現を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
将来に向けた安定的基盤の構築と成長戦略の実現には、多様性の確保や人材育成が不可欠であると認識しています。入社形態や性別、国籍に関係のない採用を維持し、適材適所の配置と技術継承を中心とした人材育成、働きやすい職場環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.7歳 | 18.0年 | 6,532,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 21.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 73.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 73.1% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 80.1% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性総合職員数(6名)、年間所定労働時間(1,912時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 国内の事業環境と景気変動
国内市場への依存度が高く、民間設備投資や公共関連事業の動向に業績が大きく左右されます。鋳物関連事業の市場成熟化や競争激化に対し高付加価値化や新市場開拓を進めていますが、顧客の生産活動が停滞した場合は経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料の調達および価格変動
主力事業は銑鉄やスクラップ等の市況・購入価格の変動や地政学的リスクの影響を受けます。原材料の調達コストが増加した場合、製品価格への転嫁に時間を要するため、利益率の低下や生産への支障が生じる可能性があります。
■(3) 電気料金の価格動向
鋳物関連事業は大量の電力を消費するため、再生可能エネルギーの導入拡大などに伴う国内の電力供給環境の変化や電気料金の高騰が業績に影響する可能性があります。同社は省資源・省エネルギーを追求した生産活動でリスクの最小化に取り組んでいます。
■(4) 中国における海外事業
自動車用プレス金型鋳物を生産・販売する中国の海外子会社において、現地の政治や法規制の変化、米中貿易摩擦による経済変動、社会的混乱などの予期せぬ事態が発生した場合、事業遂行に影響を与えるリスクが存在します。



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