※本記事は、高砂鐵工株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
高砂鐵工グループは、みがき帯鋼、みがき特殊帯鋼、エンボス製品を含む冷間圧延ステンレス鋼帯、及びステンレス加工製品等の鉄鋼製品事業を主な事業としています。また、不動産事業も展開しています。
単体従業員数は130名、連結従業員数は152名です。同社グループのセグメントは鉄鋼製品事業、不動産事業の2つです。
主な国内グループ会社は、タカサゴスチール.2、タカテツライフ(不動産の賃貸及び管理)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
高砂鐵工は、鉄鋼製品事業を主軸とする企業であり、安定した事業基盤を持つことがうかがえます。社員の長期的なキャリア形成を支援する方針や、多様な人材が活躍できる環境づくりへの取り組みが見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、社員が長期的に働き続ける傾向にあることがうかがえます。安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって、参考となる情報です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,021,943円 |
| 平均勤続年数 | 18.4年 |
| 平均年齢 | 46.9歳 |
| 単体従業員数 | 130人 |
| 連結従業員数 | 152人 |
| 単体のグループ内比率 | 85.5% |
同社グループは退職一時金制度を設けています。これは確定給付型の制度であり、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる仕組みです。
ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は6.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、様々な価値観の存在が会社の持続的な成長を確保するうえでの強みになると認識しています。そのため、能力・成果に応じた人事評価を基本方針とし、社員の誰もが継続的に活躍できる環境を提供しています。
優秀な人材については性別や国籍等に依ることなく採用・育成する方針であり、全ての社員に平等な評価及び登用の機会を設けています。また、従業員の給与その他の給与の額及び内容については、「給与規定」において定め、その管理体制に基づき決定されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は従業員数が100人未満のため法定開示の公表義務対象外であり、提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率は、育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 8.3% |
多様性・登用
同社グループは、優秀な人材については性別、国籍等に依ることなく採用・育成する方針であり、全ての社員に平等な評価及び登用の機会を設けています。現状より増加させることを目標に採用活動に取り組んでいます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.3% |
| 外国人管理職比率 | 0% |
| 中途採用者管理職比率 | 4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
高砂鐵工は、主に鉄鋼製品の製造・販売と不動産事業を展開している同社グループです。長年にわたり培ってきた技術を活かし、多様な産業に製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、鉄鋼製品事業と不動産事業の2つの報告セグメントで事業を展開しています。鉄鋼製品事業が同社グループの収益の大部分を占めており、不動産事業がこれに次ぐ規模となっています。
鉄鋼製品事業
この事業では、みがき帯鋼、みがき特殊帯鋼、エンボス製品を含む冷間圧延ステンレス鋼帯、及びステンレス加工製品などの鉄鋼製品の製造と販売を行っています。収益は、これらの製品を顧客に提供することから得ています。運営は、高砂鐵工が製造・販売を担うほか、子会社のタカサゴスチールが製造・販売に携わっています。また、同社の冷間圧延ステンレス鋼帯の一部の作業工程は、子会社のタカサゴスチールに下請けさせています。原材料は主に日本製鉄から日鉄物産等の商社を経由して購入し、製品の一部はタカサゴスチールや日鉄物産等を経由して販売しています。直近では、ステンレス事業での市況価格の低下というマイナス要因があったものの、みがき帯鋼事業とプレスプレート事業での売上数量増と販売価格の改善効果により、売上高は前期からわずかに増加し、利益面も改善しました。主要な顧客として寿産業株式会社への売上があり、同社グループの鉄鋼製品事業における重要な取引先となっています。
不動産事業
この事業では、不動産の賃貸や管理を行っています。収益は、不動産の賃貸収入や管理手数料から得ています。運営は、高砂鐵工及び子会社のタカテツライフが展開しています。直近の業績は、売上高、経常利益ともに前期から減少しましたが、引き続き同社グループの利益を下支えする役割を担っています。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、国内市場に強く根ざした事業構造であると言えます。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 鉄鋼製品事業 | 119億円 | 119億円 |
| 不動産事業 | 1.9億円 | 1.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は概ね120億円台で推移しており、直近の期間では前期からわずかに増加しました。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、一時的に減少した時期があったものの、その後は回復傾向にあり、直近の期間では前期から増加しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 108億円 | 122億円 | 122億円 | 121億円 | 121億円 |
| 経常利益 | 8.1億円 | 7.8億円 | 4.0億円 | 5.2億円 | 5.7億円 |
| 経常利益率 | 7.5% | 6.4% | 3.2% | 4.3% | 4.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 6.5億円 | 5.2億円 | 2.3億円 | 3.3億円 | 3.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 215.80 | 174.31 | 78.18 | 111.00 | 120.60 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期からわずかに減少しました。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から増加しており、組織全体の収益性が向上している傾向が見られます。これらの指標は、同社グループが効率的な事業運営を通じて、従業員一人ひとりの貢献度を高めていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 80.7百万円 | 79.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.4百万円 | 3.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
高砂鐵工は、堅実な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しています。本業で着実に資金を生み出し、投資活動も適切に行われている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
高砂鐵工の財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準にあり、安定した経営状況を示しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回るものの、堅実な経営が特徴です。手元資金である現金及び預金も十分に確保されており、事業運営における不測の事態への耐性があると言えます。このような財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 47.4億円 | 50.9億円 |
| 自己資本比率 | 52.4% | 52.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.3% | 7.4% |
| 現金及び預金 | 13.6億円 | 23.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の営業活動で安定的に資金を生み出している状況です。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは12.1億円の増加となり、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少、仕入債務の増加が主な要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは△1.5億円の支出で、有形固定資産や無形固定資産の取得によるものです。
財務活動によるキャッシュフローは△1.2億円の支出となり、主に配当金の支払いが影響しています。結果として、フリーキャッシュフローは10.6億円のプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回り、事業の安定性と成長に向けた余力を確保していることが示されています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.4億円 | 12.1億円 |
| 投資CF | △2.7億円 | △1.5億円 |
| 財務CF | △1.1億円 | △1.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2.3億円 | 10.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの鉄鋼製品事業は、主力製品であるみがき帯鋼が自動車用部品向けに集中しており、自動車業界の動向が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、鉄鋼製品事業の原料調達は特定メーカーへの依存度が高く、供給遅延や品質問題が発生した場合、生産や売上に影響が出るリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、安定操業のために熟練技術者の確保・育成に注力していますが、操業に必要な人員確保ができない場合には、工場の操業に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
高砂鐵工は、鉄鋼事業を中核に据え、顧客と社会への貢献を目指す企業です。持続的な成長のために、多様な価値観を尊重し、企業倫理を重視する経営を推進しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、鉄鋼事業を中核として、豊かな価値の創造と提供を通じて顧客と社会に貢献することを基本理念としています。中期計画では、各事業が目指す方向性が明確に示されています。
みがき帯鋼事業では「短納期、小ロット、高品質により日本のモノづくり現場を支える」ことを掲げています。エンボス事業では「機能性・意匠性両面で人々の暮らしに快適さと彩りを添える」ことを目指しています。プレスプレート事業は「ハイエンドニーズに応える商品力で世界の電子部品産業の発展に貢献する」ことを目標としています。また、ステンレス流通事業では「小ロット短納期等のサービス拡充・地域密着営業の更なる強化、個社では解決することが困難な事象への他社連携等を視野に入れた対応で顧客のニーズを先取りする」ことを方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、国際社会の一員としての自覚を持ち、国内外の法令を遵守し、高い企業倫理を保つことを重視しています。企業の社会的責任への取り組みを徹底し、社会、経済、環境、法的変動に適応できる経営方針を策定・実行しています。
人材の多様性については、様々な価値観の存在を持続的な成長の強みと認識しています。能力や成果に応じた人事評価を基本方針とし、社員の誰もが継続的に活躍できる環境を提供しています。性別や国籍等に依らず優秀な人材を採用・育成し、全ての社員に平等な評価と登用の機会を設ける方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、2026年度中期計画の最終年度において、売上高の具体的な目標数値達成が難しい状況にあることを課題としています。自動車業界の動向や製品・原料市況、ステンレス市況など、業績に影響を与える各事項の動向をタイムリーに捉え、適切に対応しながら計画達成に向けた諸施策を推進しています。
また、サステナビリティに関する取り組みとして、人材の多様性の確保を重点テーマとしています。管理職における女性、外国人、中途採用者の比率増加を目標に掲げ、採用活動に取り組む方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
高砂鐵工は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が過半数を占める監査等委員会が監査・監督機能を強化しています。取締役会は代表取締役社長を議長とし、社内取締役と監査等委員である取締役で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
高砂鐵工の筆頭株主は日本製鉄であり、主要株主には三井物産などの事業会社が名を連ねています。複数の事業会社が上位株主として同社を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本製鉄 | 30.72% |
| 三井物産 | 16.65% |
| THE HONGKONG AND SHANGHAI BANKING CORPORATION LTD - SINGAPORE BRANCH PRIVATE BANKING DIVISION CLIENTS A/C 8221-623793 | 5.48% |
| 大谷製作所 | 5.16% |
| 窪田正史 | 2.60% |
なお、前事業年度末現在主要株主であった日鉄ステンレスは、2025年4月1日付で日本製鉄に吸収合併されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は加藤勘二氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 加藤 勘二 | 代表取締役社長 | 1987年新日本製鐵(現日本製鉄)入社。同社八幡製鐡所生産業務部長、鋼管事業部鋼管営業部長などを歴任。2022年4月同社参与、同年6月より同社代表取締役社長に就任し現職。 |
| 松井 勝人 | 常務取締役 総務・経理・調達担当 | 1990年同社入社。総務部長、調達部長、企画室部長などを兼任。2020年6月取締役、2023年4月常務取締役。2025年10月より総務・経理・調達担当として現職。 |
| 里見 紀一 | 取締役 品質保証・製造担当 | 1990年同社入社。製造部長、品質保証担当などを歴任。2023年6月より取締役品質保証担当、2026年4月より品質保証・製造担当として現職。 |
| 山田 光哉 | 取締役 企画・営業総括・鉄鋼営業・加工製品営業担当 | 1993年新日本製鐵(現日本製鉄)入社。住友商事にて鋼管本部ラインパイプ事業部、メカニカル鋼管事業部チーム長などを歴任。2024年8月同社参与企画・営業担当、2025年6月より取締役、2026年4月より企画・営業総括・鉄鋼営業・加工製品営業担当として現職。 |
社外取締役は、白石勉氏(元日鉄溶接工業監査役・監査等委員)、中村俊介氏(元住友商事メカニカル鋼管事業部事業部長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社を採用しており、社外取締役が過半数を占める監査等委員会が取締役会の監査・監督機能の強化に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
高砂鐵工では、監査等委員でない取締役の報酬は前年度の連結経常利益に連動する業績連動報酬制度を採用しています。報酬は取締役報酬と役位報酬で構成され、年俸制・月額均等支給方式で、役員賞与制度はありません。一方、監査等委員である取締役の報酬は企業業績とは連動せず、監査等委員会の協議により決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 57百万円 | 14.2百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 14.0百万円 |
なお、上記報酬額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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