※本記事は、高砂鐵工株式会社 の有価証券報告書(第153期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 高砂鐵工ってどんな会社?
鉄鋼製品事業(みがき帯鋼、ステンレス加工等)と不動産事業を展開する東証スタンダード上場企業です。
■(1) 会社概要
1923年に高砂工業の鉄工部門が分離独立して設立。1925年には日本で最初にみがき帯鋼の製造を開始した東京鋼帯工業を合併しました。1961年に東証・大証二部へ上場し、2011年にはみがき帯鋼事業等に特化する新体制へ移行。2022年の市場区分見直しに伴い、東証スタンダード市場へ移行しました。
連結従業員数は150名(単体127名)です。筆頭株主は事業会社(親会社)の日鉄ステンレスで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は事業会社の株式会社大谷製作所です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日鉄ステンレス | 30.72% |
| 三井物産 | 16.65% |
| 大谷製作所 | 5.16% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名、計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は加藤勘二氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 加藤 勘二 | 代表取締役社長 | 1987年新日本製鐵(現日本製鉄)入社。同社八幡製鐵所工程業務部長、鋼管事業部鋼管営業部長などを経て、2022年6月より現職。 |
| 松井 勝人 | 常務取締役総務・経理担当、調達部長 | 1990年同社入社。総務部長、企画室部長、取締役経理担当などを経て、2025年6月より現職。 |
| 里見 紀一 | 取締役品質保証担当、製造部長 | 1990年同社入社。製造部長、企画室部長などを歴任。2023年6月より現職。 |
| 山田 光哉 | 取締役企画・営業第一・営業第二担当 | 1993年新日本製鐵入社。住友商事などを経て、2024年同社参与。2025年6月より現職。 |
| 横谷 龍裕 | 取締役(監査等委員・常勤) | 1989年同社入社。販売部長、企画室長、取締役品質保証・製造担当などを経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、白石勉(元日鐵住金溶接工業常務取締役)、中村俊介(元住商メタルワン鋼管常務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「鉄鋼製品事業」「不動産事業」を展開しています。
■(1) 鉄鋼製品事業
みがき帯鋼、みがき特殊帯鋼、エンボス製品を含む冷間圧延ステンレス鋼帯、およびステンレス加工製品等の製造・販売を行っています。
製品販売による収益を得ています。運営は同社および子会社のタカサゴスチールが行っています。なお、製品の原材料はその他の関係会社である日鉄ステンレスおよびその親会社である日本製鉄より購入しています。
■(2) 不動産事業
保有する不動産の賃貸および管理を行っています。
テナントからの賃料収入を収益源としています。運営は同社および子会社のタカテツライフが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2025年3月期までの推移を見ると、売上高は87億円から121億円へと拡大傾向にあります。利益面では2022年3月期に高い利益率を記録した後、変動が見られますが、直近の2025年3月期は経常利益5.2億円、利益率4.3%と前期比で改善しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 87億円 | 108億円 | 122億円 | 122億円 | 121億円 |
| 経常利益 | 1.1億円 | 8.1億円 | 7.8億円 | 4.0億円 | 5.2億円 |
| 利益率(%) | 1.3% | 7.5% | 6.4% | 3.2% | 4.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.1億円 | 4.6億円 | 2.6億円 | 0.5億円 | 1.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期とほぼ横ばいですが、売上総利益および営業利益は増加しており、収益性が向上しています。売上総利益率は12.4%から14.0%へ、営業利益率は3.2%から4.2%へと改善傾向にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 122億円 | 121億円 |
| 売上総利益 | 15億円 | 17億円 |
| 売上総利益率(%) | 12.4% | 14.0% |
| 営業利益 | 3.9億円 | 5.1億円 |
| 営業利益率(%) | 3.2% | 4.2% |
■(3) セグメント収益
主力である鉄鋼製品事業は、市況価格の低下や自動車関連産業の影響により減収となりましたが、販売価格の改善やコスト低減により増益を確保しました。不動産事業は売上高は横ばいですが、安定した利益を生み出し業績を下支えしています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 鉄鋼製品事業 | 120億円 | 119億円 | 3.0億円 | 4.1億円 | 3.4% |
| 不動産事業 | 1.9億円 | 1.9億円 | 1.0億円 | 1.1億円 | 59.6% |
| 連結(合計) | 122億円 | 121億円 | 4.0億円 | 5.2億円 | 4.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業活動で得た資金の範囲内で借入返済を行い、投資も手元資金等で賄う健全型です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.1億円 | 0.4億円 |
| 投資CF | -2.5億円 | -2.7億円 |
| 財務CF | -1.1億円 | -1.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.4%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、鉄鋼事業を中核として、豊かな価値の創造・提供を通じ、顧客と社会に貢献することを基本理念としています。
■(2) 経営計画・目標
2024年度から2026年度を対象とした中期計画を策定し、以下の経営目標を掲げています。
* 売上高:200億円以上
* ROS(売上高経常利益率):8.0%以上
* 配当性向:30.0%以上
■(3) 成長戦略と重点施策
中期計画達成に向け、みがき帯鋼事業では「短納期・小ロット・高品質」の強みを活かし、エンボス事業ではパートナー企業との連携による用途開発を進めます。プレスプレート事業では独自技術による「タカサゴプレスプレート(TPP)」の販売拡大を図り、製造部門では多能工化による柔軟な稼働体制を構築します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
様々な価値観の存在を強みと認識し、優秀な人材については性別や国籍等によらず採用・育成する方針です。能力・成果に応じた人事評価を行い、全ての社員に平等な評価・登用の機会を提供することを目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 45.9歳 | 17.6年 | 5,694,067円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
同社は従業員規模が300人以下のため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人管理職比率(0%)、中途採用者管理職比率(4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原料価格変動と調達リスク
鉄鋼製品事業において、みがき帯鋼およびステンレス鋼の原料価格が大幅に変動した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、原料調達の特定メーカー依存度が大きく、供給遅延や品質問題が発生した際には生産や売上に影響が出る可能性があります。
■(2) 自動車業界の動向による販売リスク
主力製品であるみがき帯鋼は自動車用部品向けが中心であり、受注状況は自動車業界の動向と密接に関連しています。国内外の販売台数や為替相場の変動など、急激な自動車生産・販売の変動が業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 設備保全と人材確保のリスク
安定供給のため生産設備の保全と熟練技術者の確保・育成に努めていますが、重大な設備トラブルの発生や操業に必要な人員確保が困難となった場合、工場の操業に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 金利変動に関するリスク
運転資金や設備資金等を主に銀行借入により調達しています。長期資金については金利スワップ等でリスク回避を図っていますが、変動金利で調達している資金については、急激な市場金利の変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。



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