※本記事は、東京鐵鋼株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東京鐵鋼グループは、棒鋼及び加工品の製造販売を主な事業としています。JIS規格に準拠した小形棒鋼や鉄筋の機械式継手の製造・販売を行う鉄鋼事業と、貨物運送や設備メンテナンスを行うその他事業を展開しています。
単体従業員数は607名、連結従業員数は815名です。セグメントは鉄鋼事業、その他の2つです。
主な国内グループ会社は、トーテツ興運(その他)、トーテツ産業(鉄鋼事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
東京鐵鋼は、鉄のリサイクルを通じて社会に貢献する電炉事業を核とし、建設業界の発展を支える企業です。同社グループの給与水準や働き方は、安定した事業基盤と人材育成への注力を背景に、従業員の長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていると考えられます。専門技術の継承と多様な働き方の推進を通じて、持続可能な社会と企業価値の向上を目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
東京鐵鋼では、従業員の平均年齢と平均勤続年数から、比較的若手から中堅層が中心となり、長期にわたってキャリアを築いている傾向が見られます。これは、同社が専門技術の継承と人材育成に力を入れていることと関連していると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,577,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.4年 |
| 平均年齢 | 38.9歳 |
| 単体従業員数 | 607人 |
| 連結従業員数 | 815人 |
| 単体のグループ内比率 | 74.5% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。この制度は、同社および連結子会社を対象としています。
退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は26.2億円、年金資産は18.4億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
東京鐵鋼は、建設分野におけるエンジニアリングサービスの提供や鉄関連事業の拡大において、人材を経営戦略実現の中核と位置付けています。特に、建設技術や製造技術に関する高度な専門知識の維持・継承、そしてそれを担う人材の確保と育成を重要課題としています。
報酬制度については、賃金規程に基づき、職能資格制度を基本とした能力・役割を反映する給与体系です。これに加えて、業績および個人成果を反映させる賞与が支給されます。給与改訂は労働組合との対話を通じて、採用環境や従業員の意欲、会社の業績、市場水準を考慮して決定されます。
人材育成では、高度化・多様化する建設業界のニーズに応えるため、独自の社内プログラムや外部研修、階層別研修制度、自己啓発支援制度、資格取得支援制度などを通じて従業員の能力向上に取り組んでいます。また、性別や国籍に関わらず公正な採用・登用・配置・処遇を行い、多様な人材の確保と活用を目指しています。
働きやすい職場環境の整備にも注力しており、労働条件やキャリアパスの弾力化、評価制度のモニタリング、業務改変などを通じて、全従業員が能力を発揮できる環境づくりを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 9.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 33.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 81.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 84.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(非正規雇用労働者) | 80.7% |
人材育成・エンゲージメント
同社では、人材確保における最重要事項として採用計画人数の達成を目標に設定しています。また、多様な働き方に向けた制度として、複線型人事や労働時間の柔軟性の拡大、作業環境の改善等を通じて働きやすい職場づくりを目指しています。
| 指標 | 目標 | 実績 |
|---|---|---|
| 採用計画人数の達成率 | 100.0% | 93.9% |
| 多様な働き方に向けた新たな制度の導入数 | 2つ以上(2031年4月まで) | 0 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東京鐵鋼グループは、棒鋼及び加工品の製造販売を主軸とする事業を展開しています。建設現場の省力化・省人化に貢献する製品や工法の提案に注力しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、東京鐵鋼を中心に連結子会社8社、非連結子会社2社、持分法適用関連会社1社で構成されています。主力は「鉄鋼事業」と「その他の事業」の2つのセグメントです。
鉄鋼事業
JIS規格に準拠した小形棒鋼や鉄筋の機械式継手の製造・販売を行っています。収益は、これらの製品の販売から得ています。運営は、トーテツ産業、東京鐵鋼土木、関東メタル、トーテツ資源、JOTS、ティーティーケイ コリア、伊藤製鐵所が行っています。
その他の事業
貨物運送や設備等のメンテナンス事業など、鉄鋼事業以外の多岐にわたるサービスを提供しています。収益は、これらのサービス提供から得ています。運営は、トーテツ興運、トーテツメンテナンスが行っています。
同社グループの売上高は、特定の主要顧客に集中する傾向があります。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 鉄鋼事業 | 815億円 | 716億円 |
| その他の事業セグメント | 11.4億円 | 9.6億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、直近5年間で変動が見られます。売上高は前期に比べて減少しましたが、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は高水準を維持しています。特に、前期は売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに大きく伸長しました。当期は売上高が減少したものの、利益は引き続き堅調に推移しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 661億円 | 792億円 | 796億円 | 826億円 | 725億円 |
| 経常利益 | △6.4億円 | 49.4億円 | 114億円 | 151億円 | 120億円 |
| 経常利益率 | △1.0% | 6.2% | 14.3% | 18.2% | 16.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △47.2億円 | 36.6億円 | 78.9億円 | 109億円 | 80.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △172.69 | 135.09 | 294.97 | 412.92 | 315.59 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期に比べて減少しています。また、従業員1人あたり営業利益も前期から減少する傾向にあります。これは、鉄筋およびその関連商品等の出荷数量減少による売上高の減少が影響していると考えられます。一方で、同社グループは連結経常利益70億円以上および自己資本利益率10.0%以上を経営目標としており、当期も目標を達成しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 102.0百万円 | 89.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 18.1百万円 | 14.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、堅実な自己資本比率と手元資金の厚みを示しています。本業で得た資金を将来への投資に充てている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を大きく上回る水準で推移しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回っており、効率的な経営が行われていることを示しています。手元資金は前期から減少していますが、依然として一定の厚みがあり、不況時にも耐えうる安定性があると考えられます。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 597億円 | 634億円 |
| 自己資本比率 | 73.5% | 78.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 19.2% | 13.1% |
| 現金及び預金 | 142億円 | 71.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローはプラスとなっています。これは主に税金等調整前当期純利益と減価償却費が要因です。一方で、投資活動によるキャッシュフローは有形固定資産の取得による支出などにより、支出が前期から増加しマイナスとなっています。その結果、フリーキャッシュフローはマイナスとなり、本業で得た資金を上回る投資を行っている成長投資の状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは配当金の支払などにより支出が続いています。これらの資金の流れは、同社グループが将来に向けた事業基盤の強化に注力しており、中長期的な成長を目指していることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 81.8億円 | 51.8億円 |
| 投資CF | △56.0億円 | △69.6億円 |
| 財務CF | △47.6億円 | △52.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 25.9億円 | △17.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主力製品である棒鋼製品の価格や主原料である鉄スクラップの価格が市況により変動するリスクを認識しています。また、国内の建設需要が経済構造の成熟化や人口構造の変化等により今後減少する可能性があり、棒鋼製品の需要減少が業績に影響を及ぼすリスクも挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東京鐵鋼は、建設業の発展と環境リサイクルへの貢献を経営の基本に据え、持続可能な社会の実現を目指している会社です。技術力とエンジニアリングサービスを通じて、社会課題の解決と企業価値の向上を両立させることを重視しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、コーポレート・メッセージとして「建設業の発展に寄与し、環境リサイクルへの貢献を目指す東京鐵鋼」を経営の基本に掲げています。製造技術力、開発技術力、施工技術力を生かしたエンジニアリングサービスを提供し、建設工事の省力化と合理化に貢献することを目指しています。
また、鉄スクラップのリサイクルや産業廃棄物の処理事業を通じて、環境保全企業として社会に貢献していくことをビジョンとしています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループの事業の根幹である「鉄のリサイクルを通じて社会に貢献します」というグループ経営理念は、SDGsやサステナビリティの考え方を体現するものです。この理念と「最先端の建設パーツ・システムを開発して建設業の発展に寄与します」という理念の両輪のもと、サーキュラーエコノミー(循環型社会)の実現を牽引しています。
同社は、製造技術力、開発技術力、施工技術力、エンジニアリング力が「従業員の能力」によって発展すると認識し、継続的な人材育成に努めています。性別や国籍等の区別なく採用・登用・配置・処遇を公正に行い、全従業員が意欲的に能力を発揮できる就業環境の整備に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、既存分野において、お客様へ提供する機能の向上、コストの圧縮、効率化、商品の改良、業務改革を進めています。また、基幹システムの変更などにより、デジタル技術の有効活用を推進しています。
新規分野の開拓では、株式会社伊藤製鐵所との資本業務提携のようなアライアンスの活用・推進を課題とし、他社との関係構築・強化を進める考えです。社会的要請の強いサステナビリティの取り組みとして、環境リサイクル事業によるCO2削減効果を活用した低CO2鉄筋の生産・販売を通じて、建設分野でのカーボンニュートラル推進に貢献しています。
この他にも、人的資本の最大化やガバナンスの強化により、経営基盤の安定化を推進していくことを重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
東京鐵鋼は、取締役会と監査等委員会を軸としたガバナンス体制を構築しています。経営の健全性と透明性を確保し、企業価値向上を目指す方針です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
東京鐵鋼の株主構成を見ると、信託銀行や事業会社、金融機関などが上位に名を連ねています。特定の株主グループが過半数を占める状況ではなく、幅広い機関投資家や事業パートナーに支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.93% |
| 合同製鐵 | 5.45% |
| 三井住友銀行 | 5.02% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505223 | 2.52% |
| 朝日工業 | 2.20% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役会長は吉原毎文氏、代表取締役社長は吉原栄孝氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉原 毎文 | 代表取締役会長最高経営責任者 | 1973年同社入社後、営業部長、取締役、代表取締役副社長を経て、1992年代表取締役社長に就任。2024年より現職。 |
| 吉原 栄孝 | 代表取締役社長最高執行責任者 | 2006年同社入社後、グローバルプロジェクト課長、海外開発部長、ネジ加工品事業部営業企画部長などを歴任。2024年より現職。 |
| 田中 能成 | 取締役物流統括管理者 | 1988年同社入社後、本社棒鋼事業部本社工場長、総合企画部長、品質保証担当執行役員などを歴任。2025年より現職。 |
| 武笠 達也 | 取締役上席執行役員 | 1987年同社入社後、ネジ加工品事業部営業部長、技術部長、執行役員ネジ加工品事業部長などを歴任。2025年より現職。 |
| 柿沼 忠司 | 取締役最高リスク管理責任者 (CRO)常務執行役員 | 1991年同社入社後、東北棒鋼事業部八戸工場長、執行役員人事部長、総務・人事部長などを歴任。2025年より現職。 |
| 進士 年治 | 取締役最高財務責任者(CFO)上席執行役員 | 2020年三井住友銀行リテール部門統括責任役員補佐、2022年同社入社。理事経理・財務担当部長などを経て、2026年より現職。 |
社外取締役は、澤田和也氏(弁護士・馬場・澤田法律事務所・監査等委員)、片岡宏介氏(公認会計士・片岡公認会計士事務所代表・監査等委員)、増江亜佐緒氏(弁護士・弁護士法人奥野総合法律事務所・監査等委員)、下田祐子氏(公認会計士・下田祐子会計事務所代表・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員会が取締役の業務執行を監督することで、経営の効率化と企業価値向上を目指しています。監査等委員である取締役5名のうち4名が社外取締役です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬と業績連動報酬、そして譲渡制限付株式報酬で構成されています。業績連動報酬には連結売上高経常利益率が採用されており、株価変動のメリットとリスクを株主と共有し、企業価値向上への貢献意欲を高めることを目的としています。報酬の決定にあたっては、指名報酬諮問委員会が検討・審議を行い、その答申を尊重して取締役会で決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 25百万円 | 25.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 43百万円 | 10.8百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は、吉原毎文氏(1.15億円)、吉原栄孝氏(1.17億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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