サンユウ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サンユウ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の鉄鋼二次加工メーカーです。みがき棒鋼および冷間圧造用鋼線の製造・販売を主力事業とし、自動車産業向けを中心に製品を供給しています。直近の業績は、販売数量の減少やコスト増があったものの、価格改定や在庫評価益などが寄与し、売上高244億円、経常利益7.3億円の増収増益となりました。


※本記事は、株式会社サンユウ の有価証券報告書(第79期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サンユウってどんな会社?


日本製鉄グループとも関係の深い鉄鋼二次加工メーカーです。みがき棒鋼と冷間圧造用鋼線の製造を軸に、自動車部品等の素材供給を行っています。

(1) 会社概要


1957年にみがき棒鋼の製造・販売を目的として三友シャフト工業が設立されました。1991年に八尾精鋼を吸収合併し、現在のサンユウに商号変更しています。1996年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、2011年には大同磨鋼材工業を完全子会社化しました。2013年には東京証券取引所市場第二部に上場を果たし、2018年には大阪ミガキを子会社化するなど、グループ体制を強化しています。

同グループの連結従業員数は301名、単体では196名です。筆頭株主は同社製品の主要材料供給元でもある大手鉄鋼メーカーの日本製鉄で、第2位は鉄鋼専門商社です。第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
日本製鉄 33.67%
伊藤忠丸紅鉄鋼 7.49%
村岡克彦 4.56%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は喜多 章氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
喜多 章 代表取締役社長 1986年新日本製鐵(現日本製鉄)入社。同社棒線事業部での要職を経て、2022年サンユウ入社。取締役副社長等を経て2023年4月より現職。
荒木 克典 取締役総務企画部長 1990年新日本製鐵入社。日本製鉄財務部IR室上席主幹などを歴任。2024年サンユウ入社、同年6月より現職。
清家 徹 取締役財務部長 1986年日鐵商事(現日鉄物産)入社。同社人事秘書部長などを経て2020年サンユウ出向。2023年6月より現職。
伊豆 大助 取締役八尾事業所長 1993年住友金属工業(現日本製鉄)入社。日本製鉄品質管理部上席主幹などを経て2024年サンユウ入社、同年6月より現職。


社外取締役は、清水 良寛(弁護士)、若林 嘉幸(元三菱日立パワーシステムズ常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「みがき棒鋼部門」および「冷間圧造用鋼線部門」の事業を展開しています。

(1) みがき棒鋼部門


自動車や産業機械などの部品材料となる「みがき棒鋼」を製造・販売しています。主要な材料は日本製鉄をはじめとする鉄鋼メーカーから商社経由で調達しています。また、一部製品については、センタレス研削や切断などの精密機械加工も行い、付加価値を高めた製品を提供しています。

収益は、顧客への製品販売による代金となります。運営は主にサンユウおよび子会社の大阪ミガキが行っており、子会社の大同磨鋼材工業は主にサンユウから購入したみがき棒鋼の切断加工と販売を担っています。

(2) 冷間圧造用鋼線部門


ボルト、ナット、パーツ等の自動車用保安部品の素材として使用される「冷間圧造用鋼線」を製造・販売しています。材料は主に日本製鉄などの鉄鋼メーカーから商社を通じて調達しています。自動車業界を主要な需要先としており、高品質な線材製品を供給しています。

収益は、製品の販売対価となります。運営はサンユウが行っています。また、同社は大同磨鋼材工業に対して一部建物を賃貸しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 171億円 211億円 239億円 240億円 244億円
経常利益 3.5億円 11.7億円 10.4億円 6.5億円 7.3億円
利益率(%) 2.1% 5.5% 4.4% 2.7% 3.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.1億円 6.7億円 6.5億円 3.9億円 4.5億円


ここ数年の業績は、売上高においては増加傾向を維持しており、2025年3月期には244億円に達しました。利益面では、2022年3月期をピークに変動が見られますが、直近の2025年3月期は経常利益、当期利益ともに前期比で増加し、増収増益で着地しています。利益率は3%前後で推移しています。

(2) 損益計算書


直近2期間の傾向として、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は約13%の水準を維持しています。営業利益および営業利益率も前期と比較して改善しており、収益性が向上していることが伺えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 240億円 244億円
売上総利益 31億円 32億円
売上総利益率(%) 12.7% 13.3%
営業利益 6.0億円 6.7億円
営業利益率(%) 2.5% 2.7%


販売費及び一般管理費のうち、運搬費が6.3億円(構成比24%)、給料及び手当が7.0億円(同27%)を占めています。また、その他費用が8.6億円(同34%)となっており、これらが販管費の主要な構成要素です。

(3) セグメント収益


各セグメントの売上高は増加傾向にあります。みがき棒鋼部門は前期比で増収となり、グループ全体の売上を牽引しています。冷間圧造用鋼線部門も微増ながら売上を伸ばしており、両部門ともに堅調に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
みがき棒鋼部門 152億円 156億円
冷間圧造用鋼線部門 88億円 89億円
連結(合計) 240億円 244億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持し、投資活動と財務活動はマイナスとなっていることから、本業で稼いだ資金で借入返済や投資を行っている健全型のキャッシュ・フロー状態と言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 10.3億円 14.2億円
投資CF -3.4億円 -5.2億円
財務CF -4.0億円 -6.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.7%で市場平均(スタンダード市場7.2%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.1%で市場平均(スタンダード市場製造業57.5%)をやや下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、創立以来「誠実」をモットーに掲げています。みがき棒鋼・冷間圧造用鋼線について顧客のあらゆるニーズに応えられるメーカーを目指し、技術力の向上、生産設備および販売・物流体制の充実に努めています。今後も取引先や株主をはじめとするあらゆるステークホルダーを尊重する方針のもとで事業展開を行うとしています。

(2) 企業文化


「クオリティー ファーストの追求」を品質方針に掲げ、全社を挙げて品質向上に取り組む文化があります。また、企業の社会的責任(CSR)を重視し、ISO9001およびISO14001に基づく企業経営を行い、内部統制やコンプライアンス体制を強化することで、社会と共生し信頼される企業を目指す姿勢を持っています。従業員に対しては、働くことを通じた自己実現と社会貢献ができる環境作りを目指しています。

(3) 経営計画・目標


顧客指向の立場で収益性の高い事業展開を目指し、売上高経常利益率や自己資本比率といった収益性・安全性に関する経営指標を重視しています。

* 2025年度目標:売上高経常利益率(ROS) 2.5%
* 2025年度目標:自己資本比率 52.6%

(4) 成長戦略と重点施策


価格競争激化などの環境下でも耐えうる競争力のある企業体質の確立を目指しています。具体的には、みがき棒鋼および冷間圧造用鋼線両分野での販売数量のシェアアップ、高付加価値化、三次加工分野への展開を図ります。また、日本製鉄を主体とする中国・タイの合弁会社への参加を通じた海外戦略や、生産性・品質向上のための継続的な設備投資も推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な人材の登用と育成を持続的な成長に不可欠と考え、年齢、性別、国籍等を問わず活躍できる場の提供を目指しています。各人のスキルアップ支援として外部セミナーや資格取得費用のサポートを行うほか、製造部門での多能工化や営業部門でのローテーションを実施しています。また、グループ会社間での人材交流や表彰制度の運用により、組織の活性化とモチベーション向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.4歳 15.6年 5,855,903円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績が自動車の生産動向に影響


同社グループの主力製品であるみがき棒鋼および冷間圧造用鋼線の主要な需要家は自動車関連業界です。そのため、自動車メーカーの海外生産シフトや部品・鋼材の海外調達増加、あるいは海外経済や為替動向の激変により自動車業界の活動水準や調達方針に大きな変動が生じた場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製造コスト変動にかかるリスク


エネルギーコストの高騰に伴う電力料金や副資材コストの上昇、賃上げによる労務費の増加、物流を含む外注コストの上昇が懸念されます。これらのコスト上昇が発生した場合、同社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。これに対し、グループ内での最適化生産やコスト削減策の実施、加工賃の改定などに努めています。

(3) 鋼材価格の大幅な変動


鉄鋼原料価格の変動は鉄鋼メーカーの鋼材価格に反映され、同社グループの売上原価に大きな影響を与えます。鋼材値上げ時に販売価格への転嫁が十分でない場合や、値下げ時に在庫簿価の高い製品の払い出しが続く場合には利益率が低下するリスクがあります。これに対し、顧客に対するきめ細かな営業活動を通じて価格転嫁への理解を求めていく方針です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。